神奈川県の「山の仲間 浮雲」の記録です


山行記録

丹沢・畦ヶ丸を巡る沢旅

2015年7月11日〜12日



”大又沢源流の戸沢は終始緩やかで歩き易い沢だ”



   丹沢は決して小さな山塊ではなく、登れば登るほどにその広さに驚く不思議な山だ。 しかし沢は短く、1泊しないと登れないような沢はない。 沢の楽しみはいろいろだが、泊まりの沢という形態は日帰りでは味わえない「よさ」がある。 短い丹沢の沢でも沢から沢へと渡り歩いたら、別の丹沢の魅力が味わえるのではと、 ここ数年このような山行をいくつか実行してきた。

 世附川水系は広い流域を有しているが、滝が連続するといった沢は少ない。 アプローチの長さもあって登山者の少ないエリアである。 しかしそのような特徴が泊まりを含む沢歩きには相応しいエリアなのではと考えた。 今回はまだ入ったことのない大又沢の源流の沢を中川川水系のモロクボ沢からアプローチし、 最後は大又沢の源流の水晶沢から畦ヶ丸をゴールとする計画にした。

 7月になって梅雨らしい雨の日が続いた。 出発前日に7月になってから初めて日差しが戻った。 雨が続いたので沢の水量は多いと思って出かけた。 入渓して最初に出会うモロクボ沢の大滝は迫力ある姿だったが、水量はやや多いといった程度だった。 大滝を右岸のチムニーから巻くと、モロクボ沢の売りである釜を持った小滝が連続する。 頭上を覆う樹林から漏れる夏の日差しを受けて、釜の水はキラキラとしてきれいだった。 しかし釜で泳ぐには少し早く、水には積極的には入らずに遡行した。 もう源流に近い1035mの二股で支流の右俣に入るとすぐに水は涸れた。 最後まで沢をつめるとザレの急斜面になってしまうので、適当なところで左手の尾根に逃げた。 支尾根は歩き易く、比較的簡単にモロクボ沢ノ頭東側の鞍部近くの登山道に出た。


 鞍部の反対側は大又沢源流の戸沢の流域で、枯れた笹に覆われた急な溝状になっている。 下り始めが急なので、ここは安全にと懸垂で下りた。 30m1ピッチ下ると、土の歩き易い沢となった。 水流が現れても、同じような歩き易い渓相は変わらなかった。 河原にある全ての石が青々とした苔に覆われている。 小さな流れでも先頭を歩くと何度も魚影を見た。 岩の下に隠れた魚を手づかみしようと試みたが結果は駄目だった。

 源頭から戸沢出合までの距離の3分の2ほど下りた940mあたりの右岸に壊れたハシゴがあった。 2万5千図にある東海自然歩道らしいが、完全に廃道状態となっていた。 この少し下で小滝があった。 クライムダウンできそうな感じもしたが、ここは懸垂で下った。 そして明日遡行する水晶沢が左から合流する。

 ここからは泊まり場を探しながら下降した。 泊れる場所はいくつかあったが、より快適な場所を求めてなおも下ると、赤沢出合によい適地があった。 流れから近い場所に土の平地があり、開放感もありマキも近くで得られそうだ。 乾いた流木はなかったが、マキは多く焚き火には困らなかった。 マキは皮が付いた状態で水分を持っていたが、次第に安定した焚き火になっていった。

 翌朝は自然に任せた起床とした。 焚き火をおこし、今日の行程は短いのでのんびりとした準備となった。 水晶沢に入ると小さなナメ滝が続く。 戸沢ではなく水晶沢を登りに使う判断はよかったと思った。 そして前方に多段となった滝が見えた。 最後の滝が直瀑で、最後は登れないだろうと思いながら、行くだけ行ってみようと滝を登り始めた。 下からは3段に見えたが、実際は4段目が一番高い直瀑だった。 登れそうにも見えたが、今回は登攀ではなく沢旅なので、記念写真を撮って巻き道を探した。 右岸の草付を少し登ったが、表土が薄く不安定なので、安全なルートを求めて滝を下りることにした。 クライムダウンは恐いので懸垂で下りることにした。 立ち木はなかったので、二人がかりなら動くような石にロープを回しての懸垂だった。

 多段の滝の上は一転して緩やかな沢となっていた。 時には苔が美しい日本庭園のような渓相になる。 時には短いがナメもあり、1箇所だけ巾広のナメ滝があった。 1050mの二股で水が涸れた。 ここは右俣にルートをとった。 水晶沢は終始歩き易い沢だったが、ここからは歩きにくいゴーロになった。 尾根に逃げようかとあたりを見渡すと、地形図と違って急な斜面を登らねばならない。 しかたなく最後まで沢をつめる気になった。 すぐ目の前が稜線というところで、ザレが登れず笹を掴んで稜線に出た。 標高は約2000m、ここからわずかな登りで畦ヶ丸の山頂だった。 2日目にやっと山頂である。 まだ時間が早く、登山者はいなかった。
(記事:S)


11日 天気:はれ
用木沢出合8:30〜9:00大滝下〜11:45稜線〜13:45戸沢・水晶沢出合〜14:05赤沢出合TS

12日 天気:はれ
TS7:00〜8:00多段の滝上〜8:55二股(1050m)〜9:25登山道〜10:00畦ヶ丸〜12:10西沢出合

メンバー:S、F、Is