神奈川県の「山の仲間 浮雲」の記録です


山行記録

明神岳東稜から主稜

2014年6月14日〜15日



”らくだのコルからは明神岳の眺めも良く、目標としている前穂高岳も、常念岳も綺麗だ”



 前穂高岳北尾根へ向けメンバー私HとGさんSnさんとトレーニングを重ねている。 前穂高岳北尾根へ入る前に同じ山域へ行こうと明神岳東稜に行く事が決まった。 6月の明神岳東稜の記録が少なく仲間で集まり、事前にルート行程、装備等の打合せを行った。 梅雨の時期であり出発前日の天気予報で判断する事にした。山行実施日の午後から晴れ間が覗く 予報で、とにかく上高地へ向かう事にした。

 上高地へ入るとまず目に飛び込んでくるのが、明神岳のはず。だが、その全容が見えない。 予報を信じ小雨に打たれながら、明神橋へ向かう。着く頃には次第に雨が上がりだしたが、天候が 不安定の為午前中は何度もウエアリングの調整を行った。 明神橋を渡り、その先の養魚場跡から 小川を渡る。私Hは初めてのルートだけあって、ここからさらに緊張感が高まる。リーダーGさんに お願いし、歩ける所は積極的にトップを歩かせてもらった。ルーファイが不安だったが、ルートに 印がついてあり何の問題もないが、メンバーを把握しつつ、慎重にガレ場を歩き宮川のコルに着く。 そこから、沢をふたつ越す。装備してきた軽アイゼン、ピッケルをだし最後の雪渓をトラバースし ひょうたん池まで目指した。楽しみにしていたひょうたん池は完全に雪に覆われて残念だったが、 登ってきた雪渓がとても美しく見えた。

 ここでハーネス、ヘルメットを装着する。第一階段に ロープを出し先行1パーティーが取りついている。ルート取りを頭で描きながら我々はロープを出さず 登攀開始。ここからは一気に高度感がでて気持ちが良い。急斜面の草付が続く地点もあり慎重に行く。 その先はハイマツの緩い登りがらくだのコルまで続いた。今回の幕営予定地、らくだのコルへ着くと ピッケルで雪を慣らしテントを設営した。ここからは、明神岳の眺めも良く、目標としている前穂高岳も、 常念岳も綺麗だ。早めの就寝をとったが、寒さで仲間も満足に眠れなかったようだ。

 翌日は快晴。朝日に照らされた山々を見ながらのコーヒーは格別だ!5時出発。コルから一段上がった テラスでロープを出しGさんがリード。左から回りこむが左側から切れ落ちている、そこを慎重に トラバースし直登した。高度も上がり早朝快晴の中のクライミングは気持ちが良い!バットレス基部へ 取付き、ここでトップがクライミングシューズに履き替えた。4〜5m程のフェースを登り上部の 岩の脇へ回り込み慎重にガレ場の斜面を登り上げると明神岳主峰に到着。仲間と固い握手を交わした。 ここからさらに展望がひらけ、残雪の残る前穂・奥穂・西穂が綺麗だ。

 下山ルートは主稜。 T-Uのコルへ向かいU峰登りでロープをだす。左に少しトラバースし短いピッチでU峰頂上直下へ出た。 クラックにロープが挟まりトップのセカンドビレイでロープアップ出来なかったがセカンドが登り返しで ロープを解いた。迅速に考えた上で迷わず判断出来た事は日頃の練習の成果がでたと感じた。 ここからはロープなしで、浮石に注意しながら、X峰まで快適な岩稜歩きを楽しむ。 10時X峰台地にて大休止。南西尾根をしっかりルーファイしながら岳沢一般登山道7番へ出た。

 東稜では1パーティーいたが、主稜を下ったのは我々だけで静けさのある自分達だけの素晴らしい山を 楽しめました。 一転、上高地へ着くと梅雨の晴れの週末もあって観光客で賑っていた。河童橋へ着くと自分達で登って きた山々を眺め、充実した山行の余韻に浸った。

 山行を終えてルート等の注意点を記録するだけでなく、同ルートの山行であっても、行く時期や仲間に よっても行程が変わる。今回ロープを出さないポイントであっても、支点等の確認、幕営予定地以外でも 幕営可能ポイントのチェック等々と山行中確認しながら今回の山行を終えられた事は良かったと思う。 また明神岳東稜へ行こう、次は人を連れて。 (H記)


感想

 7月に予定している前穂高北尾根のトレーニング山行として「明神岳東稜に行ってみませんか?」とGさんから提案された。 昨年8月号の「岳人」で紹介されていたルートだ。 奥穂・前穂・北穂・西穂といった登山者に人気の穂高連峰の中にあって、 上高地からも近いのに一般登山道がなく、その頂きに立つにはロープを使用した登攀が必須になるお山。 明神橋の目の前に堂々と聳えている。その静かな頂きに立ってみたいと素直に思った。 でも、はたして私なんかで行けるのだろうか?体力の あるお二人について歩き切れるのだろうか? 沢山の不安がありましたが、事前のルート確認、荷物の調整、ロープワークの 確認、岩トレ等を重ねて少しずつ準備が整っていくと、私の中の不安も薄らいで行き、 6月の梅雨の晴れ間を見事GETして挑戦することが出来ました。

 雪渓あり岩稜歩あり登攀あり藪漕ぎありと変化に富んだルートでした。 荷物もそれに合わせ、アイゼン・ピッケル・登攀道具・テント泊装備そして水場のないルートなので 各自水も3リットルづつ持参して行きました。 1人15s前後のザックを背負って歩いたりよじ登ったりしたのですが、 歩荷力のない私は、お二人に共同装備で私が担ったテントフライ&ポールを途中から背負わせてしまうという 情けない状況も発生しました。 荷物は軽量化して行ったつもりでしたが、まだ無駄なものを担いでいることにも気が付いたので、 今後はもっとウルトラライトを目指して前穂北尾根に備えようと考えています。

 幕営は当初は荷物を軽くするために各自ツェルト泊の予定でした。 事前の三つ峠でのトレーニングの時もツェルト泊を実施しました。 しかし事前の情報ではまだ幕営予定地のらくだのコルは一面雪との事、 会のテントをお借りしてテント泊に変更となったのですが、これが大正解! 夏用シュラフ&カバー&持参した衣類すべて着込んで寝ても、2,700mの山中の雪の上は寒かったです。 お二人は朝まで眠れなかったそうですが、私はお二人より脂肪が多めという事と、 こっそりホカロンを靴下に入れて寝たのでそこそこ寝れちゃいました。もしもツェルト泊だったら…(汗)

 バットレスをよじ登って辿り着いた明神岳の頂きは、標識もなく人工的なものなど何もないとても静かな場所でした。 目の前には残雪のまだら模様が美しい前穂高岳〜吊尾根〜奥穂高岳〜西穂高岳が一望出来、 とても神聖な場所のように感じました。 その頂きに立ち固い握手を交わした時、3人の力を合わせて登り切れた喜びでいっぱいになりました。

 下山の明神主稜は景色を楽しみながら快適な稜線歩き、南西尾根は疲れた足にはかなりパンチの利いた下山ルートでした。 上高地に下山し、行きでは見えなかった穂高&明神岳の風景を仰ぎ見た時、達成感でみたされ疲れも一気に吹き飛びました。 色々な事が勉強になった山行でした。次に繋がる山行が出来たと思います。 2日間、辛抱強く同行して下さったお二人に感謝致します。 (Sn記)


1日目 天気:雨のち曇りのち晴れ
上高地6:00〜7:00明神池養魚場〜8:30宮川のコル〜10:05ひょうたん池〜13:15らくだのコル(幕営) (行動時間7時間15分)

2日目 天気:晴れ
らくだのコル5:30〜6:50主峰〜8:00U峰〜9:10X峰9:40〜南西尾根〜12:05岳沢登山道〜12:50上高地 (行動時間7時間20分)

メンバー:G、H、Sn