神奈川県の「山の仲間 浮雲」の記録です


山行記録

八ヶ岳・ジョウゴ沢から硫黄岳

2014年3月29日



”雪に埋まったゴルジュを抜けると乙女の滝が姿を見せる”



 今回はジョウゴ沢から硫黄岳に抜けるルートである。 硫黄岳は10年前の冬に一般道から登頂して以来である。 しかし、今回のルートは一般道ではなく、ジョウゴ沢経由である。 アイスクライミングは経験ないが、今回はほとんど氷を登る箇所はないそうだ。

 早朝からの赤岳鉱泉へのアプローチ時には既に幾分か気分は高揚していた。 美濃戸から赤岳鉱泉までは1時間40分、天気は晴れ、陽も大分昇ってきてちょうど身体も温まってきた。 8時赤岳鉱泉にてハーネス、アイゼン、登攀具をセット、メットをかぶり、 再出発。間もなくジョウゴ沢に入った。

 雪の状態は少し柔らかい程度で、踏み抜くこともなく、アイゼンに付着することなく、 ちょうど歩きやすい状態である。 早速、F1が見えてきた。アイスの時期としては遅めとのことで、雪に埋もれている。 そしてF2、雪に覆われて氷は見えなくなっていた。 雪に覆われたF2の傾斜は緩く感じだが、 途中に氷が解けて水が流れている部分に薄い氷のブリッジがかかっていてここがルートになっている。 リーダーに安全のためロープを出して確保してもらった。 初めてダブルアックスで登ったが、傾斜がさほどでもなかったため、 この時点ではさほどの恐怖感は感じなかった。初のルートを登ること自体が楽しかった。

 F2を超えるとまもなくルートが開け、気持ちよい河原をしばらく歩いた。 雪は適度に締まり、風もなく、ベストコンディションである。 しばらくすると景色は一変し、迫力あるゴルジュとその奥に乙女の滝が見えてきた。 乙女の滝は下半分が雪で埋まっているものの、見えている上半分が見事に蒼く凍っている。 手前の大きなゴルジュに対し、凍った滝一つ一つの氷柱が繊細で女性的に見えるが故に 乙女の滝を呼ばれるのかもしれない。




 まもなく大滝。大滝は大部分が雪に埋もれていた。 左側は氷が露出していたが、右側の雪面からは登り易そうであった。 だが、大滝の取り付きでロープを準備しているときに一人が数m滑落。 かすり傷であったが、一気に緊張感が走る。 リーダがトップで登る。すぐにスクリューと左岸の岩場の残置で支点をとって姿が見えなくなった。 私はフォローで(滑落を見た後だったので)動揺しながらダブルアックスで大滝の右側を登る。 慎重に氷と雪壁を越えると、トップは左岸の傾斜がゆるくなったところで枯木を確保支点としていた。 ここでセルフビレイをとり、ようやく一息つく。 やや興奮状態。少し登ったところで整地し、一本入れて心を落ち着ける。

 登ってきたルートを振り返ったその先に阿弥陀岳本面が眺められ、 北西稜のスカイラインがかっこよかった。 気を取り直して出発。ここからは硫黄岳の火口壁に向かって一気に景色が広がる。



 見上げると白銀と青空のコントラストが美しく、自然とピッチが上がる。 息は少し荒くなってくるが、雪は適度に締まり、アイゼンの爪が利いて登りやすく最高に気持ちがいい。 どんどん高度を稼ぎ、火口壁の下にきて左にトラバース。 硫黄岳の稜線上に人が見える。しばらく行くと、頂上直下の登山道の尾根に出た。 3人で固い握手をした。ルートを無事に完登できて嬉しかった。
(記事:Sb)


天気:はれ
美濃戸6:20〜7:55赤岳鉱泉〜8:25出合〜8:40F2〜9:30大滝下〜10:30大滝上〜11:15稜線(硫黄岳往復)11:45〜 12:30鉱泉〜13:45美濃戸

メンバー:S、Sb、N