神奈川県の「山の仲間 浮雲」の記録です


山行記録

新潟・粟ヶ岳 イグルー体験記

2014年3月22日〜23日



”多少の隙間風はあるが、湿気がこもらない”



 友人から3月の3連休に越後の雪山縦走のお誘いを受けた。場所は粟ヶ岳〜矢筈岳の縦走で、 雪洞またはイグルーで行きましょうとのことだった。 雪洞は何度も経験しているが、イグルーはエスキモーの人が作るイメージで、 あんなに立派なものを山で作るのは現実的ではないなと思っていた。 しかしインターネットでイグルーのことを調べていたら、 山で作るイグルーが非常に有用であることが分かった。 イグルーは雪洞よりも短時間で作ることができる。(最短で40分) どんな傾斜の場所でも、雪が少なくても作ることができる。雪が降っても埋まらない、 風が吹いても壊れない、荷物も軽くなる、遭難時はシェルターになり生還の可能性が高まるなど、 良いことだらけだ。 今回の連休は天候が期待できないため、1泊2日の粟ヶ岳のみに変更し、 イグルー体験を主な目的として出発した。

 早朝に着いた燕三条駅周辺には雪が全くなく、空も晴れて星が見える。 予想より天気は良いと期待する。タクシーで移動して、公園のような水源地の手前から歩き始める。 第二貯水池の橋から登山道が始まり、いきなり急登となる。 高度を上げると徐々にガスが出始め雪となる。 地元の方と思われる健脚な単独の男性が先行し、傾斜は急だがステップがあるため登りやすい。 細い急な尾根で、雪庇も多くルート取りに気を使う。

 途中から完全に吹雪となり、小屋で天候の様子をみることにする。 小屋はきれいで毛布もあり、暖かく快適そうだ。 このまま小屋泊まりでも‥という誘惑に負けずに、 勇気を出し再び吹雪の中、山頂を目指す。

 稜線は非常に風が強く、山頂直下の風がやや緩むところにイグルー作成を決定する。 まずは、大きさを決めてふかふかの雪を踏み固める。 踏み固めた底からブロックを切り出し、円形に積んでいく。 2人が中でブロックを切り出す作業、外にいる1人がそのブロックを積みながら形を調整していき、 もう1人は入り口を外から掘りながら同時にブロックも切り出す。 4人同時に作業ができ、雪洞よりは効率が良さそう。吹雪の中の作業だが、ブロックの中は風を防げる。 2段目以降のブロックを内側に傾斜をつけて積んでいく作業が難しい。 切り出したブロックをそのまま積んでいくと、形がバラバラなためか崩れてしまう。 ブロックをできるだけ四角く削ることで接着面を多くし、 ブロック同士の重さでバランスを保ち傾斜がつくように積んでいくようにした。 最後は一番硬い雪質のところから、大きな板状にブロックを切り出し、一番上にかぶせて屋根が出来あがった。


 ブロックの隙間を雪で埋めて、中のスペースを掘り拡げ、床を平らにならしたら終了。 3時間もかかってしまった。(後半は吹雪のため写真が撮れなかった。) 中は4テンくらいの広さでちょうど良いが、高さが高くなってしまい170pの身長でも立てる。 外は猛吹雪だが中は暖かく、多少の隙間風はあるが、 湿気がこもらないため濡れた手袋などをコンロで乾かすことができた。 寝る場所は、薄いシュラフのメンバーに真ん中と入り口側を譲り、 私は冬用のシュラフを持ってきたため端っこで、明日はきっと快晴だと期待しながら眠りにつく。

 翌朝、メンバー3名は一晩中吹雪いた風がイグルー内にも吹き荒れて、 寒さでほとんど眠れなかったとのことだった。 厳冬期の利尻より寒かったそうだ。私は端っこで逆に風の影響を受けずに済んだ。 ブロックの隙間を埋める際には、サラサラの雪で埋めると風で飛んでしまうため、 硬いブロックの切れ端などでしっかりと埋めることがポイントのようだ。

 外は完全なホワイトアウトで風も強く、山頂はあきらめ下山する。 広いなだらかな稜線でルートが分かりにくく、巨大な雪庇があるため下山も危うい。 利尻を経験した2人のおかげで、真っ白な中を抜け出すことができた。 鎖場を過ぎたあたりから視界が開け、風もやみ一安心。山頂との天気の違いの大きさに驚いた。

 今回、イグルー作成が目的であったが、「悪天候の中でのイグルー作成」を体験することができた。 どんな状況でも、スコップとノコギリがあれば何とかなるかもしれない。 今後の課題としては、作業時間の短縮である。 短時間で作れることが、緊急時のシェルターとしては重要になってくる。 何度か経験を積み重ねてイグルーマスターになってみたいと思う。 この粟ヶ岳は、地元の方には愛されている山のようで、次々と登ってくる人がいた。 帰りのタクシーの運転手さんも、何回登りましたかと質問したら、かれこれ80回かなぁとの答えだった。 予想よりバリエーションのようなルートで、決して甘くはない。 視界は悪かったが、楽しませてくれたこの粟ヶ岳に、また登りに来たいと思った。
(記事:O)

3/22
燕三条駅(タクシー)〜6:30水源地〜7:15第二貯水池〜 11:10砥沢のヒュッテ避難小屋13:00〜14:20山頂直下〜14:30イグルー作成17:30

3/23
8:00イグルー出発〜10:10鎖場下〜11:30水源地


メンバー:M、O、他2