神奈川県の「山の仲間 浮雲」の記録です


山行記録

奥利根・楢俣川洗ノ沢

2013年9月12日〜13日



”中流部はナメ滝が続き、滝は釜を持っているものが多いが通過は容易である”


 2年前に浮雲で楢俣川ヘイズル沢に行った。 私はこの山行には参加しなかったが、写真で見るヘイズル沢の美しい渓相に『よい沢』と思った。 ヘイズル沢の欠点は入渓までの長いアプローチである。 地図を見るとヘイズル沢の一本手前の洗ノ沢が登山道と並行している。 ここならアプローチは短く楽そうだと思った。 同じ楢俣川流域の洗ノ沢ならきっと地質はヘイズル沢と同じだろうから同じような渓相と想像した。 行く気で同行者を探したがなかなか機会がなかった。

 八ケ岳から帰って次の計画を考えている時にOさんから山に行きませんかという突然の誘いがあった。 彼女は万太郎本谷を考えていたようだが、ここ数日めっきり涼しくなっていたので足の立たない淵は遠慮したかった。 こちらから洗ノ沢を逆提案すると、あっさりと洗ノ沢に決まってしまった。 完璧な癒し系の渓であることが気に入ったようだ。 日帰りでも可能なようだが、焚火キャンプを是非ということで1泊の計画とした。


 楢俣ダム先のゲートに車を停めて林道を歩き出した。 雨上がりか林道は濡れていて、自転車のものらしき轍がくっきりと残っていた。 奥のゲートで尾根を乗越して下り始めると洗ノ沢の沢音が聞こえ出す。 林道脇からわずかに下ると広々とした河原に出れる。 比較的簡単な入渓である。 ここから沢歩きが始まる。

 しばらくは単調なゴーロ歩きが続く。 ちょっとあきるころに淵を持った小滝に出会う。 朝から水に浸かるのは嫌だが、近づくと思ったより淵は浅く膝を濡らす程度だった。 以後も同じような場所があるが、たいていは水流に沿って都合のよいバンドが続いているのがこの沢の特徴だ。 ここからナメとゴーロが交互し、立派な2段になった斜瀑に出会う。 狭まった水流が凝縮されて立派だが、両岸とも階段状で快適に越えることができる。 やや赤みを帯びた岩はフリクションがよく効く。

 次第にゴーロの部分が短くなり、ナメ主体となる。 右岸からの支流を3本越えると、やや高さのあるナメ滝がいくつかある。 釜を持つ滝が多いが、簡単にへつれて、まさに癒し系の沢と感じる。 右岸から急なナメとなった支流を見送ると、流木が高く重なり合った場所があり、 その背後にナメとなった水流から少し高くなった平場があった。 標高は1350mほどで行動を止めるには早すぎるが、 この先にはこんな絶好のテントサイトはないだろうと時間は早いが行動を止めた。 マキは少し湿っていたが、近場でいくらでも集まった。 入念にタープを張り、時間は早いが昼ごろから焚き火を始めた。 夕方には雨が予想され、食事の準備中に雨に会いたくなかったので早目に食事をした。 暗くなるとすぐに雨となり、雨は明け方まで続いた。 山はもう寒いと考えて、夏のペラペラの寝袋ではなく三季用を用意したが、 夜は暖かく半身を出したままで眠れた。


 翌朝は明るくなり始めたころにタープを出た。 運良く雨は止み、焚火を見ると雨にもかかわらず大木の裏側にわずかに火が残っていた。 雨を予想してビニールシートで覆っていたマキを取り出し、残り火に乾いたマキを乗せると簡単に炎があがった。 水は濁りもなくも増水もしていなかった。 テント場からはナメ滝が連続して、すぐに左岸から急なナメとなって支流を見送る。 大滝と呼ばれる立った滝(右の写真)があり、唯一この滝だけは左岸を小さく巻いた。 今回は15mのロープを2本用意した。しかしロープを出すことはなかった。 もう一つナメ滝を越えると1385mの顕著な二股となる。 テントサイトからこのあたりにかけてが洗ノ沢の核心のようだ。

 二股からは水量も減り、滝は続くが美しさはだいぶ落ちた。 1500mの二股までは思ったより行程がはかどった。 ここからは滝はあるものの源頭が近いという渓相となった。 1600mあたりから沢に潅木が生い茂り、これがザックに引っかかったりして鬱陶しい。 また岩もヌメリが目立ち始めた。 歩き難い上に体力を消耗させられる行動になり、思ったように高度が稼げない。 水はなかなか涸れなかった。

 1850mあたりで沢型がはっきりしなくなったので沢芯から離れた。 沢芯は潅木が密生しているが、右岸は笹となっている。 左手に見えてきた露岩が点在する尾根を目がけて笹をこいた。 今までの潅木地獄と比べて笹の藪漕ぎは楽で10分ほどで急な草付に出た。 沢靴では滑るので露岩の下で靴を履き替えた。 靴を履き替えたら、草付の傾斜は落ちて歩きやすくなった。 ところどころに小さな花も見られ、もう少し季節が早かったらお花畑になっているような場所だ。 早目に尾根に出るようなルートをとったが、ハイ松帯になってしまうので、尾根の右手にある草原を通るルートに変えた。 藪という藪もなく、露岩から露岩へとハイ松の藪の切れ目を結んで歩くと笠ヶ岳山頂に出た。
(S記)


12日 天気:くもり(夜から明け方まで雨)
ゲート7:10〜7:45入渓点8:00〜10:45TS(1350m)

13日 天気:くもり
TS6:25〜7:00大滝上〜7:45二股(1500m)〜10:00藪へ〜10:50笠ヶ岳11:00〜15:00ゲート

メンバー:S、O(山の仲間 浮雲)