神奈川県の「山の仲間 浮雲」の記録です


山行記録

神宮川笹ノ沢

2013年8月23日〜24日



”出合から滝が連続し、ゴーロ歩きの少ない快適な沢だった”


 黒部川・赤木沢を計画していたが、北アルプスには絶望的な天気予報が出ていた。 残念ながら赤木沢は中止とし、比較的に天気が悪くない関東南部で代案を考えた。 日数を2日間に縮めた代案として奥秩父の金山沢大荒川谷と南アルプス前衛の神宮川笹ノ沢を候補とした。 山行中の雨が予想されたので参加者全員がやや弱気になっていたこともあり、行動時間の短い神宮川笹ノ沢となった。

 神宮川には今年の冬に支流のヤチキ沢にアイスクライミングに行ったことがある。 その時からこの流域には興味を持っていた。 急な転進だったが、登山口までのアクセスは経験済みだったことも後押しした。 笹ノ沢は前半部の滝場を1日で越えてしまうので、山に入ってからの雨にも問題ないとの読みがあった。 なお「その空の下で。。。」 というサイトに遡行図が掲載されているが、今回の記録では滝の名称・高さはこの遡行図にのっとった。


 林道ゲートに車を置き、しばらく林道を歩くと大きな2段となった堰堤がある。 笹ノ沢は堰堤の下の左岸に滝となって出合う沢だが、 地図をよく確認せずに大汗をかいて巨大堰堤を越えて日向沢の出合まで行ってしまった。 地図を見れば行き過ぎである。 戻って1段目の堰堤上で沢装備を整え、トラバースぎみに笹ノ沢に入ると最初の滝の上だった。 目の前には末広がりの滝15mがあった。 今までの暑さがうそのように冷たい空気に包まれて心地よい。 夏の沢歩きのよさを実感できる時だ。

 末広がりの滝は傾斜も緩くホールドは見るからに豊富でどこを登るか迷ってしまう。 結局はメンバー3人とも水流の中を登った。水はさほど冷たく感じない。 ややヌメリがあったが、この滝だけのことだった。 すぐに大きな滝(35m)があり、これは一目見て登れないと判断し、迷わず右岸を巻いた。 小さな滝を越えると多段となった大きな滝(40m)が出てきた。 一目見ただけで最後の部分が難しそうに思えた。 行ける所まで登って、登れなければ逃げればと思って進むと、意外にも登れてしまった。

 この滝でゴルジュ状から抜け出し、しばらくは5m以下の小滝が適度に続くようになる。 登れない滝もあるが巻きルートは明瞭で難しくなく、フィクスロープのある滝もあった。 また巻きはじめると踏み跡が明瞭で、獣道ではなく人による踏み跡と考えてよいような状態だった。 標識のテープも所々で見かけた。 ゴーロ歩きのほとんどない快適な沢で、ついつい楽しさから先に進んでしまったが、 左岸から顕著な支流が合流したので、位置確認のために荷を置いた。 地形図では黒津沢出合の手前に左岸には3本の支流が合流するが、最初の支沢と思われた。 標高は1210mでアレ沢出合までの距離の3分の1ぐらいである。

 1210m二股を過ぎると沢の傾斜は緩くなりナメが目立つようになった。 やがて高さはないが登れない滝があり、右岸を大きく巻いて越えた。 この巻きは今回の山行で一番大きな高巻きで流れが見えない高い位置を巻いた。 取り付くとすぐにテープがあり、以後も要所要所にあるテープを追った。 巻き下ると対岸の正面に大きな滝が見え出した。 明らかに遡行図にある50m大滝であろう。 すると核心部は終わりに近いことになる。 早過ぎという感はあったが、周囲の状況から間違いないだろう。


 このすぐ上に直瀑(13m)があり、この滝は直登できないとすぐに判断でき、ここも巻く。 笹ノ沢は登れそうな滝と登れない滝とがはっきりしている。 そのために難しい滝でルートを探すといったことはなく、またどこから巻こうかと悩むこともなかった。 私たちのとった巻きはほとんど右岸だった。 水流から少し逃げて越えた場合は逆に左岸が多かった。

 そして水量は少ないもののきれいなヒョングリとなったナメ滝の上に立つと最後の滝・樋状の滝が見えた。 樋状の滝を越えると沢の傾斜は一段と緩やかになり、両岸の山の傾斜も落ちた。 流れは今までなかったような平凡なゴーロとなった。 沢が開けると左岸から黒津沢が合流する。 左岸の一段上がったところには広い平地があり、木から何かを積めたバケツが吊るしてあった。 当初の計画では黒津沢出合に泊の計画だった。 平地は沢からかなり上がっている場所なので気が向かなかった。 渓相からこの先によい泊り場があると考えて先に進んだ。

 黒津沢出合から10分くらい歩くとアレ沢出合となる。 左岸に砂地の平らな場所があり、マキも豊富なので泊り場とした。 まだ時間は早く昼前である。 時間的にはこのまま稜線に抜けて下山も可能だが、せっかく1泊を予定していた山なのでキャンプを楽しむことにした。 マキは近くにたくさんあったので、昼前から焚火を始めた。 夕食の支度をそろそろという時にポツリと来た。 それまではモノポールテントの入口にタープを張っていたが、そのタープを河原の炊事場に張りなおした。 すぐに本格的な雨となり、雨は9時半ごろまで続いた。 沢は少し濁ったが、水量はさほど増えなかった。

 翌日は本流ではなく、支流のアレ沢をつめた。 下山路とする雨乞岳の登山道に早く出れるからである。 アレ沢は明るく開けた沢で、石も小さく歩きやすい。 水が涸れると斜度が強くなり、花崗岩の強風化した涸れ滝が続いた。 滝場を超えるとアザミの茂るザレとなる。 ズルズルとした登りにくい斜面だが、上手い具合に獣道が続いていた。 傾斜が落ち、背の低い笹の斜面となると釜無川との分水となる稜線に出た。 水晶ナギの少し西側の1700m付近と思われる。 稜線は風があり、少し寒く感じた。

 稜線には幾筋もの踏み跡があり、すぐに白ザレの斜面となっている水晶ナギだった。 ここはハイキングの山として人気の日向山とよく似た場所である。 北へ踏み跡を辿り、笹原となると踏み跡は明瞭になり、雨乞岳との分岐に出た。 そこには水晶ナギ分岐を示す標識があった。 ここからは長いが歩きやすい道が登山口まで続いていた。 下り始めはカラマツ林で、その下を笹が被っていた。 紅葉の時期に歩きたくなるような道だった。 やがて広葉樹林帯に入ると空気が変わった。 一時は雨が落ちてきた天気だったが、下界に近づくと晴れ出してしまった。 山の快適さを学習しながらも、たいした休憩もとらずに何故か下界の暑さ目がけて歩きやすい登山路を急いでしまった。
(S記)


23日 天気:くもり、夜雨
ゲート6:10〜6:50入渓点7:10〜8:40二股(1210m)〜9:40 2段滝上〜10:00黒津沢出合〜 10:10アレ沢出合TS

24日 天気:くもりのちはれ
TS6:30〜アレ沢〜7:40稜線〜8:25雨乞岳登山道〜10:30雨乞岳登山口

メンバー:S、F、H(山の仲間 浮雲)