神奈川県の「山の仲間 浮雲」の記録です


山行記録

奥又白池から明神岳主稜

2013年7月20日〜21日



”奥又白池は雪に埋もれて、晴天なのに池に映る穂高の岩峰は見られなかった”


 奥又白池に泊まりA沢を登って前穂・明神の稜線に出て明神主稜を縦走する。 この計画はかなり以前から持っていた。 2年前には奥又白池をベースにして明神東稜を登り、次に奥又白池に行く時は奥又白池から明神主稜と心に決めていた。 それが今回急にパートナーが現れて実現した。

 今年の梅雨明けは異常に早かったが、これは関東のことで北アルプスでは晴天続きの季節にはなっていなかった。 ところが運よく山行実施日には確実に晴天となる天気予報となった。 雨の心配のない山って気楽だ。 しかし心配は雪渓の残り具合だった。 以前8月初旬に中又白谷を登った時は小さなブロックが残っていたが、残り方によっては通過に面倒が予想された。 このことが心配で装備にはピッケル・12本アイゼンを入れた。 これが結果的には正解だった。 もし軽アイゼンとミニバイルにしていたら、もっと苦労していたことだろう。。

 奥又白池は池の周囲こそ水面が現れていたが、ほぼ全面が雪で覆われていた。 これでは池に映る穂高の岩峰も観賞できない。 夏山シーズンで登山者も多いと予想していたが、この日の池には私たちの他には1パーティーいただけだった。 いつもテントを張る水場に近い奥のサイトはまだ雪が残っていた。 そのために奥又尾根方面に一段登った場所にテントを張った。 景色は劣るが水場に近いのがよい。 30分ほどして北尾根4峰正面壁に行くというYK山岳会の3人パーティーが池の対岸にテントを張った。 テントの背後には上に雪渓のある沢が水音をたてて流れていた。 水は雪渓の融水のために異常に冷たく、夕方には極端に水流が減った。 テント周辺はコバイケイソウがあちこちで群落を作っていた。

 YK山岳会は暗い内に出発したようだ。 私たちは明るくなってから起きた。 高山植物を愛でながら登ると、北尾根4峰正面壁を見渡す広場に出た。 ちょうど3人パーティーが雪渓の最上部にいるのが見えた。 奥又尾根から中又白谷に回り込み歩き難いガレを歩くと雪渓となった。 ここからはアイゼンを付けての雪渓登りである。 朝の割には雪は柔らかかった。

 心配していたように雪渓は途中で切れていた。 最上部からは雪渓の下に降りられないので、少し戻って右岸に降りた。 再び上部の雪渓に乗らねばならないのだが、この乗越にロープを出してMさんが挑んだ。。 始めは右側から越そうとしたが、逆層の岩にアイゼンを履いた足が決まらずに敗退した。 次には雪渓の正面を突破しようとした。 私のピッケルも使ってダブルアックスで試みたが雪が柔らかくて一歩がなかなか踏み出せない。 このルートもあきらめ、最後は左側の岩と雪のチムニーを試みた。 バック&フートで高さをジワジワと稼ぎ、だいぶ時間をかけたが雪渓の上に乗れた。 下からは容易に見えたが、いざ登ってみてトップの苦労が解かった。 雪が柔らかく、雪にかけた足場がすぐに崩れて不安定なのである。 雪に頼れないので岩場のこれもやや不安定なホールドで思い切って体を持ち上げるのに体力を消耗してしまった。 そしてもう1ピッチ雪の上を登ると踏替点だった。 雪は懸垂下降点とする岩まで続いていた。



 Mさんが雪渓の末端で水を補給するというので先行させてもらった。 A沢は終始雪渓歩きだった。 雪のない時は歩き難いガレ登りとなるルートだが、疲れた体でも雪渓歩きは楽だ。 まだスプーンカットが発達していないので少し傾斜を感じる。 ジグザグ歩きを無数に繰り返すとA沢下降点である。 尾根の反対側には明神1峰と2峰の尖った岩峰、その右に見える御岳と乗鞍の姿は何度見ても美しい眺めだ。

 明神主稜は快適な稜線歩きだった。 1峰の登りで単独の男性とすれ違った。 それ以外は人を見かけないという静けさがこのルートの魅力だ。 2峰の登りはロープを出した。 出だしこそロープの必要性を強く感じるが、全般的にフリクションがよく効く容易な岩場だった。 短い2ピッチで頂上直下の稜線に出た。 ここからはロープを出すような箇所はなく、浮石とルートをはずさないように注意して歩いた。 明神主稜に取り付くのにちょっと時間がかかったが、その後のがんばりで予想していた時間に上高地に下山した。 上高地は観光客でお祭りのような混雑だった。 人をかき分けて一気にバスターミナルまで歩いた。 上高地の混雑が静かで自分たちだけの世界が楽しめたこの山行の素晴らしさを際立たせてくれた。
 
(S記)


20日 天気:はれ
上高地8:10〜10:00新村橋〜11:00松高ルンゼ出合〜13:15奥又白池TS

21日 天気:はれ
TS5:00〜5:45雪渓〜6:45踏替点〜7:30A沢下降点〜8:45明神1峰〜10:50明神5峰〜 13:15登山道〜14:15上高地

メンバー:S、M(山の仲間 浮雲)