神奈川県の「山の仲間 浮雲」の記録です


山行記録

御岳・濁河川兵衛谷(にごりごかわひょうえたに)

2013年8月13日〜16日



”トップはカラ荷でロープを引いて泳ぎ切り、荷物とフォローをロープで引くシステムを多用した。
水温が低く、ひと泳ぎでガッツリ体力がもって行かれる。”



8月13日 巌立から曲滝
 巌立峡駐車場から7時ころ入渓。いきなり長いゴルジュ帯となる。泳ぎを交えて日の届かない谷底を遡行。 水流があるため、トップはカラ荷でロープを引いて泳ぎ切り、荷物とフォローをロープで引くシステムを多用した。 水温が低く、ひと泳ぎでガッツリ体力がもって行かれる。また、泳ぎが重なると、ザックが水を吸い重くなってさらに過酷となる。 装備はファイントラックのフラッドラッシュの下着、上着、さらにカッパ上下を着込んだ。 ゴルジュ帯を2〜3時間ほどで抜けると、谷が浅くなり、日が届くようになる。 青い水と斜面を埋める深い緑がなんとも美しい。側面のいたるところから水が流れ込んでくる。 その後一か所非常にいやな高巻きと懸垂を経て、曲滝に出た。 曲滝を高巻き、上部の悪いゴルジュ(切れそうな細いロープに体重をかけて、 かぶった下部からツルツルのスラブに乗越す)を超えたところでテントを張った。 魚影は濃かったが、夕方なためと、腕の不足により釣果は一匹。塩焼きにして分けて食べました。 レトルトの牛プルコギ丼と玉ねぎを炒めておいしく頂きました。

8月14日 曲滝から材木滝
 7時ころ出発。曲滝から上部は再びゴルジュ帯となり、コケと差し込む太陽の光線がとても美しい。 へつりも容易で、昨日のゴルジュと違い滝めぐりお気楽な感じ。 林道からアプローチする滝めぐりコースになっているようで、ところどころくさりなどが打ってある。 大きな滝に急に出くわすが、ぬるぬるしてて直登は無理。 おまけに両岸がハングした恐ろしく高い側壁を形成している。 右岸を上がるとフィックスが見えたので、そこから上がったが、岩がもろく泥もやわらかく非常に悪かった。 猛烈な藪漕ぎをして一時間ほどで滝の上部に抜けると、我々の下りたより大分先にピンクテープがあった。 どうやらさらに上部を高巻く踏み跡があるらしい。

 長いゴーロ帯が延々と続き、疲れが出てきたところで、ダムの取水口に出る。堰堤が高さ3メートルくらいのスラブになっている。 最初甘く見て、荷物を持ったままMが突撃したところ上部で行き詰まり、滑り落ちて肘を思いっきりすりむいてしまった。 途中、ポケットに指を突っ込むと、カエルが跳び出てきた。 ロープを出して、カエルのいなくなった穴にハーケンを打ち込み、Sが無事に超えた。

 取水口を超えると、水量が倍くらいに増え、水流が強くなった。 長いごーろ歩きの先に巨大な滝がいくつもあり、一つの滝当たり一時間ほどかけて高巻き藪漕ぎを繰り返す。 かなり急で足場も悪く、笹を掴んでの登り下りになるのだが、ところどころにピンクテープがついており、 笹がかられているところもある。 道はいくつにも分岐しており、これらに惑わされて、無駄な登り下りを繰り返して体力を消耗してしまった。 明らかに上部の林道からアクセスしている道もあった。 また、笹が中途半端に刈られており、 斜めに切られて尖った断面がベトナム戦争の罠のように体に突き刺さってきて痛くてたまらない。

 岩穴をとおり抜けたり、ボロボロの壁をトラバースしたりでようやく高巻きを終えると二人組の釣師にあった。 軽装で、途中の林道からアプローチして入渓し、材木滝の登山道から日帰りで帰るとのことであった。 われわれが滝を愛でてる数分の間にもルアーで何匹も釣り上げたのでよほどの達人らしい。 話しかけると、ピンクテープのことが分かった。 麓の小坂町が滝めぐりで町おこしをしているそうで、今年からガイドを付けて上級コースを企てているらしい。 滝好きの山ガール、山おばば達には非常に過酷と思われるが、大丈夫なのだろうか・・・?

 やがて材木滝が現れる。ものすごい水量。左手に登山道がついており、楽々高巻く。 高巻き道に温泉がチョロチョロわいている。 材木滝上部にここ数年でできたという巨大な鉄橋がかかっており、その近くにテントを張った。 材木滝上部は魚影がなく、釣果はゼロ。 無数に生えている水菜を切って、チャーシューと炒め、タイカレーの缶詰で味を整えると大変美味でした。 翌日は頂上まで抜ける予定であったため、二人とも酒を全部飲み切って、ベロベロになって就寝。

8月15日 材木滝からシン谷2400メートル付近
 7時ころ出発。材木滝から上部はナメ状のゴルジュが連続している。谷は浅く明るい。すごくぬめって危ないので高巻く。 材木滝や鉄橋からアプローチが容易なので、滝めぐりコースや釣り師がかなり入っているらしいく、 高巻の道もしっかりしていて楽々距離を稼ぐ。 やがて、大きな滝が連続して出てくるようになると、巻き道のふみ跡もなくなり、ワイルドかつ危険な高巻きの繰り返しになる。 水量が多く、どの滝も恐ろしい様相を呈している。やがて巨大な滝が二つ落ち込む二俣にでる。 あとでこの左手のパノラマ滝が目指すシン谷の出合とわかるのだが、ここではわからずに右手の滝を高巻いて詰めてしまう。 この高巻がかなり悪かった。一か所崩れており、泥スラブの中に埋まった石にホールドを求めて騙しだまし、トラバースした。 下は流木が引っかかっているが、流木とスラブの間に人が通るくらいの穴があいており、 滝の落ち口まで、まっさかさまに50メートルほどある。 勇者Sはノーロープで超えてしまったが、見ていて心臓に悪かった。 Mはフェルトシューズが泥に弱いことを必死に主張して、ロープを出してもらった。

 ゴーロ帯をガンガン1時間ほど登って、様子がおかしいことにようやく気付く。 高度が高すぎるのに、シン谷らしきものがない。 おまけに水線が途絶えてしまった。枯れた滝が落ち込んでいるが、シン谷と地形が違っている。 やむなくGPSで場所を確認すると、兵衛谷本谷を詰めており、枯れた滝は尺ナンゾ谷であった。 このまま詰めてしまうことも考えたが、上部に見えている継母岳はものすごいハエマツにおおわれているのが見えたため、 恐ろしくなり戻ることにした。 なお、後で濁河温泉のおやじに聞いたところによると、地元の人は兵衛本谷や尺ナンゾ谷にも入っているらしい。 尺ナンゾ谷は最近の遡行記録がネットに一つだけ載っていた。

 猛烈な藪漕ぎでシン谷にトラバースすると、水が冷たく澄んで、まったく滑らない快適なシン谷が現れる。 結局2時間近いロスとなってしまった。まだ出てくる大きな滝をいくつも高巻いて、2400メートルまで高度を上げる。 途中で水線が何度か切れたが、何度もまた水が湧き出てきた。水のかろうじてながれている滝の下で、テントを張った。 水から5センチほどの高さであったが、巨大な岩をどけてそこそこのテント場を作った。 たき火をたいたころ、にわか雨があったが、増水はなかった。

8月16日 シン谷2400メートル付近〜賽の河原から濁河温泉
 5時ころ出発。この高さになっても、まだ巨大な滝が無数に出てくる。 アザミや棘フキ、バラのような木の棘に悩まされながら、高巻きを繰り返すとやがて、森林限界となる。 森林限界に達してもまだ30メートルオーバーの滝が出てきて、高巻く。ガレやザレの急な側壁を下るのが、恐ろしかった。 途中100キロは優に超える浮岩に足をかけると、ごろごろと谷底に転がっていった。 日本最高所の神津の滝2800メートルにはちゃんと水が流れていた。 この滝は、本州で最初に凍るため、アイスをやりにくる人がいるらしい。すぐに源頭のお花畠に達した。 賽の河原の直前にまで水がながれている。本当に水の多い山なんだと改めて感心した。

 賽の河原で着替えると、3時間で濁河温泉に下山した。湯の谷館で温泉に入った。大変よいお湯でした。 ここのおやじが沢好きらしくいろいろと教えてもらって、タクシーも呼んでもらった。 小坂町のタクシーを呼んで、巌立までで10,400円だった。 ほかの人の記録だと15,000円とあったので、幾分かおまけしてくれたようだ。 帰り、高山の茶々というとろろ屋で定食を食べましたが、 飛騨牛朴葉焼き、自然薯とろろ、てんぷら、小鉢がついて3000円と大満足でした。

 今回ロープは50メートル一本をもっていきましたが、大きな滝の直登は非常に困難なものばかりで、 高巻きが主体となりましたので、結果的に30メートル2本のほうが有利だったと思います。 フラッドラッシュの上下はかなり強力な武器となりました。なかったら、凍えていたと思います。

メンバー:S(無所属)、M(山の仲間 浮雲)