神奈川県の「山の仲間 浮雲」の記録です


山行記録

層雲峡・銀河の滝

2013年3月1日



”明瞭なトレースと仮橋に導かれて銀河の滝下に着くと2組のクライマーが”


 2008年秋にOさんと私は北海道美瑛に住むBさんと3人でヒマラヤに行ったことがある。 そのうちに北海道にBさんを訪ねてみようとOさんからは何度も話が出ていたがなかなか実現しなかった。 今年の1月になって急に話が具体化した。 当初は2月初旬の案だったが、私の提案で3月初旬に変えてもらった。 北海道の気象を考えてのことだった。

 ふたりの出発日は同じだったが、Oさんは5日間、私は7日間の計画となった。 のんびりした旅行にしたかったが、アイスクライミングと山歩きもと短い日程には窮屈な旅行になった。 Oさんはスキーをやらないが、私は北海道での山スキーを是非やりたいので私だけ山スキーを持参した。 具体的な計画は現地に着いてからBさんと相談して決めることにした。 出発直前の天気予報は1週間ずっと雪マークが付いていた。


 石北峠への国道からわずかにそれると銀河の滝を前にした駐車場に着く。 目の前の銀河の滝は高さ120mで鋭い岩峰の間から石狩川に落ちている。 上部は極端に狭くなっているが下部は50m近くもあるであろうと思われるほど広くなっている。 今年は雪が多いと聞いていたが、なるほど氷瀑というより雪壁に近い状態だ。 わずかに上部が蒼い氷となっている。

 駐車場からハーネスを付けてトレースを追う。 石狩川の渡渉は記録を読むと長靴を用意していることが多いようだが、今年は丸太がかかっていた。 実はBさんは1週間ほど前にも札幌に住む友人に頼まれて銀河の滝を登っている。 今回は彼に全てお任せの気楽な登山である。事前情報は完璧である。 それでも前回よりもさらに雪が増えているそうだ。


 滝の下には2組のクライマーがいた。 いずれもトップロープで下部の氷だけを登っていた。 少し会話を交わすと昨日もここで練習したという。 ちょうど真ん中のラインが空いていたので、支点のことなどを断ってからBさんのリードで登り始めた。 Bさんは今日はいてきた靴との相性から平爪のアイゼンである。 アイゼンのハンデなどまったく感じさせない安定した登りで中間部の雪壁に姿を消した。

 私は最後後尾となったが、氷は思ったより固くなく登りやすかった。 ただ長いので足には少しきた。 確保点は右岸の岩に打たれた古いボルトとハーケンであった。 テラスが狭いのでラストの私が斜上ぎみに雪壁をそのまま登ることとなった。 ルートは岩に沿った雪壁で、すぐに残置があったらピッを切ってしまうつもりだったが、岩にはなかった。 しかたなくそのまま登ると、傾斜はきつくなった。 重い新雪が30cmほど旧雪の上に乗っているのでバイルで新雪を落としながらの登攀だった。 少し頼りないが潅木があったのでピッチを切った。 右を見ると滝が大きく口を開け、勢いよくスラブを流れている水が見える。 端っこを登るせこいルートにならざるを得ないのは真ん中の氷が薄いからのようだ。


 3ピッチ目はBさんがふたたびトップにたち、岩とカンテ状の氷との間の溝に入ってピッチを切った。 フォローでは簡単なピッチだったが、雪と氷との判別がつきにくいので慎重に登った。 ここも右岸の岩にある古い残置を利用していた。 落口までの距離はまだまだあるように見えた。 4ピッチ目をBさんが登り始めるとすぐにまた残置があり、ここが好ましい確保点らしい。 たぶんここからでは途中でロープが足らなくなることが考えられ、 その時の対処法を打ち合わせてから再び登っていった。 やはりロープは足らなくなり、一段上の確保点に移動した。 最後はロープは不思議な動きをした。 たぶん支点を探しているのだと想像した。

 4ピッチ目は始め溝のような氷を登る。 雪を挟んで凍った氷なのか落氷が多い。 上部が溝となっているので、確保点に落氷の通り道になっている。 登攀者は見えないので恐い。 私は15cmほどの氷を顔に受けてしまい、口の中を大きく切った。 しばらくは顔がしびれたままだった。 しかしセカンドが登りきるころにはシビレは消えた。

 このピッチが銀河の滝で一番楽しいピッチだと思うが、このころには雪が舞い出した。 頬にあたる風が冷たくつらさを感じ始めた。 視界はまだあり、眼下の駐車場の車も見えていた。 落口ははば5mもないように狭くなっていた。 左岸側の雪の下からいろいろなスリングが顔を出していた。 掘り出すのに時間がかかってしまったとBさんは言っていた。

 残置スリングがどのようになっているのか不明なので、慎重にロープをセットして下降に移った。 斜め懸垂となるが、最初は最大傾斜を下り、少し下ってトラバースぎみに下って傾斜の緩い雪面に立った。 滝芯は透き通った氷で勢いよく流れる水が見えた。 ここは2ピッチ目の終了点付近だった。 すぐ脇の氷にはアバラコフの跡があった。 私たちは懸垂ではなくクライムダウンした。 雪が深いので恐怖心は感じなかった。 Bさんは下まで歩いて降りてしまったが、私とOさんは最後は懸垂で降りた。 このころには滝にはもう誰もいなかった。

 途中での休憩などを考えてラストの私は暖かい飲み物などを担いで登ったが、 寒さにのんびりと休むなどはありえなかった。 滝の下に降りた時も完登の余韻に浸ることなく、荷物を大急ぎでまとめて駐車場に急いだ。
(S記)


天気:くもりのち雪
駐車場〜10:00銀河の滝下10:20〜13:20滝上〜14:40駐車場

メンバー:S、O、他1(山の仲間 浮雲)