神奈川県の「山の仲間 浮雲」の記録です


山行記録

谷川岳・一ノ倉沢中央稜

2012年6月8日



”4ピッチ目は中央稜の核心と言われているチムニーがある”


 昨年6月末に衝立岩中央稜を登り、堕ちた。10cmほどのお尻のキズは今も消えない。 その時は結局ロウソク岩まで辿り着き、結果的に目的は果たされたが、3ピッチでのルートミスと4ピッチでの墜落のため、 心にもキズが残った。 お尻のキズと心のキズを癒さなければいけない。という訳で、1年ぶりの中央稜となった。 2つのキズは癒されたのか…。

 前日夜8時に海老名駅を出発し、一の倉沢出合には零時前に着いた。 みんなお疲れなのですぐに車中で睡眠。 車は他にいなかったが、朝4時半に物音に目を覚ますと3,4台の車があり、クライマーがすでに準備を始めていた。 他に、数人のカメラマンが出合に三脚を並べていた。我々もそこに行ってみると、「おぉーーー」衝立岩が高くて近い。 天気は抜群だ。南陵から国境稜線に抜けるという5人組を見送り、我々も予定より早く出発する。 

 出合まで雪渓が迫っている。雪渓に入ってすぐに軽アイゼンを着け歩き始めたが、雪が多いのでテールリッジまで本当に楽だ。 末端にアイゼンをデポし、テールリッジに取付いた。途中、先行パーティーに追いついた。 雪のおかげで楽に中央稜基部に到着した。 振り返るとテールリッジから出合、そして白毛門、笠ケ岳、朝日岳と視界はすこぶる良好だ。 天気は良いが、夕方には雨とみているので早々にギアを身に着けて出発。


 1,2ピッチは中央稜初体験のOさんがリード。1ピッチ目は烏帽子沢側を目指して緩傾斜を左上する。 ビレイポイントから見えるギリギリのところで切る。 2ピッチ目は烏帽子沢側に回り込み暗いルンゼを登るが、止まることを知らないOさんは3ピッチ目の終了点まで行ってしまった。 我々はロープが足りるかハラハラしながら何度もコールするが、何とか無事済んだようだ。 今回はこの時が最もドキドキした。そこをフォローしながら昨年のことを思い出す。 衝立側に戻るところを直上し、行き詰ったのだ。 4ピッチ目のビレイポイントから南陵を見ると、朝会ったパーティーは1ピッチ目を登り始め、 テラスには他に2パーティーを含む10人ほどが待機している。 南陵はウィークデイでも人が多い。

 さて、4ピッチ目はGがリード。今回はここだけリードさせてもらえばよかった。 ところが、Oさんとは逆に、1ピッチで抜けるところを2ピッチ掛けてしまった。 性格も逆なので話は合っているが…。 ただ、こうするとチムニーの辺りがビレイヤーから見えるので、自信がないときはいいかもしれない。 そして、いよいよ核心のチムニー。キズが疼く(ウソ)。 実は、2週間前、三つ峠でクーロワールと権兵衛チムニーを登り予習していた。 それが奏功してイメージ通りにチムニーを越えることができた。フォローの二人もそれぞれの登り方で快適に越えた。

 中央稜は4ピッチ目が核心というが、実はこの先が長い。 暗くジメッとしたルンゼからピナクルに出ると、日も当り気持ちの良いリッジになる。 そこをKさんリードの後、Oさんリードに変わり、出だしの傾斜がやや強いフェースを登る。 Kさんがフォロー時にその出だしでテンションがかかった。 どうやら正規のルートから少しはずれたらしく、岩には枯れた苔がついていた。 横で見ていた私は再び焦るが、ロープを張っていたためほとんど落ちることはなかった。ビレイは大切です!  最後の2ピッチはGリード。 最終9ピッチ目だが、昨年はリッジを直上し、最後悪い一歩のトラバースに緊張させられた。 今回は一段右に降りて(踏み跡はしっかり付いている)確保なしでも問題ないルンゼを直上して北稜に出て終了となった。 昨年の終了点のロウソク岩とは結構離れていた。


 終了点でゆっくりしながら、OさんとGが広沢寺対岸の岩場の話をしていたら、Kさんから文句を言われた。 「衝立の頭で広沢寺の話をするとは情けない!ヨーロッパアルプスやヒマラヤの話題は出ないのか!!」蓋し尤も!トホホ…。

 帰路は同ルートの懸垂だ。1ピッチ降りたところでクライアントを1人連れたガイドが登ってきた。 今日中央稜を登ったのは我々と彼/彼女等のみであった。懸垂は神経を使う。 屈曲の多い上部はできるだけ短く(ロープ1本で)下降した。 また、支点も怪しいので初めの二人は何等か(カムなど)でバックアップを取って懸垂した。 中央稜取付きに戻り、荷物をまとめてテールリッジを下る。やはり、雪渓に出るまでは気を抜けない。 途中、2回ロープを出した。フィックスを使えばロープを出さなくても済むが、自分たちのロープを使うべきだと感じる。

 雪渓でアイゼンを履き、後はのんびりと出合に向かう。出合に着くと20人ほどの人が散策していた。 そこで、初めて無事を祝って握手。メンバーのお蔭で私のキズも完治したようです。 多謝。午後は雨との予想と異なり、ずっと青空が続いていた。

(追記)
 中央稜は思ったほど声が通らない。南陵との会話の方がずいぶん楽なくらいだ。 コールが聞こえなくても、相手が何をやっているかわかるくらい意思が通じるメンバーでないと心配だ。 また、核心は4ピッチ目であるが、その後も長い。 懸垂もとくに上部は神経が疲労するので、体力・気力・時間を考えて4ピッチ目で降りるかどうかを判断した方がよい。
(G記)


6月8日 天気:はれ時々くもり
出合5:00〜5:30テールリッジ〜6:20中央稜基部6:40〜10:20終了点10:45〜13:00基部13:40〜14:20出合

メンバー:G、O、S(山の仲間 浮雲)