神奈川県の山の仲間 浮雲の記録です


山行記録

虎毛・保呂内沢(西ノ股沢〜保呂内沢本流)

20112年8月24日〜26日



”西ノ股沢に入り、ナメを少し進むと20mほどの大滝に出会う”


 河原いっぱいの水流が両岸まで迫ったブナの林の中をゆったりと流れる沢。 こんなイメージの沢を東北に求めて、毎年東北の沢を目指している。 昨年は長い間の懸案だった虎毛沢から虎毛山に立った。 今年はどこに行こうかと早い時期から候補を探していた。 観光地的な有名な沢にする案もあったが、最終的には虎毛山塊の山猫森を水源とする保呂内沢に決めた。 メンバーも早い時期に確定した。

 車を使った山行をする私たちにとって東北の山は遠い。 行きの運転はあまり苦にならないが帰りの運転は疲れた体にはきつく感じる。 保呂内沢は地元に住んでいる人には日帰りも可能な沢だ。 今回の計画は沢の中にベースキャンプを設け、ここを起点に西ノ股沢を遡行し保呂内沢本流を下降するという周遊コースとした。 沢の中でのんびりとした時間を過ごすためや、軽い荷物で沢を楽しむという理由だけでなく、 最終日の行程が短いので帰宅までの運転が楽というのがこの計画を決めた最大の理由だった。
(虎毛山塊概念図)



224日 天気:はれ、一時雷雨
盗人滝分岐10:15〜10:35保呂内沢〜11:35BC

 盗人滝分岐で林道脇に駐車して出発する。すぐに鎌内沢を横切るが、靴を濡らさずに渡れた。 小さな峠を越えると保呂内沢である。道が解り難いので目印の袋が木に付けてあった。 沢は広い河原をゆったりと流れて歩きやすい。樹林が川に迫っていて雰囲気は素晴らしい。 1時間ほど歩くと小さなナメ滝がある。少し戻った左岸を泊り場とした。 対岸には水量がほとんどない支沢が滝となって合流している。

 2泊するので多目にマキを集めて、少し早い時間から焚火を始めた。ご飯を炊き始めると雨が降ってきた。 雷を伴う強い雨にタープの下に避難した。まず対岸の滝が幅いっぱいの滝となり、沢の水量はも増えて濁流となった。 危険を感じ背後の斜面にロープを張って逃げる準備をした。そしてテント等を撤収して逃げ、急な斜面にタープを張った。 しばらくすると雨は止んだ。雨が降っていた時間は2時間ほどだった。 水量もどうやら安定したのでテント場に戻った。 せっかく集めたマキは流されてしまっていた。 水量が減ったと言っても沢の中に入れる状態ではなく、近くに流れてきたマキを集めなんとか焚火は再開できた。 水は次第に減ったが夜になっても濁りはそのままだった。


25日 天気:くもり、一時雨
BC6:45〜7:10西ノ股沢出合〜7:20大滝〜8:44ロープを出した滝〜10:40奥の二股〜12:00稜線〜15:55BC

 水は来た時よりもやや多いもののすんでいた。雨に会わないことを祈って出発した。 テントサイトを出発すると沢は小さなナメ滝となる。 フリクションがよく効いて気持ちよく通過できる。 西ノ股沢出合までは距離も短く簡単に着くと思っていたが思っていたより時間がかかった。 途中ちょっと微妙ななへつりが1箇所あった。 ここは帰りは当然懸垂になると思って通過した。 なお今回は様子がよく解らない沢なので全員がフェルト底の沢靴を使用した。

 西ノ股沢出合は本流西ノ股沢ともにナメとなっている。 西ノ股沢に入るとすぐに高さ20mほどの大滝があり右岸を巻いて越えた。 大滝を越えると渓相は一転し、開けた樹林帯となり、ゆったりとした流れはまるで源頭を思わせるようだ。 そして地図にも表現されているゴルジュとなる。 幅の狭い沢は小石が敷き締められて歩きやすい。 その後ナメや小滝が続き美しい渓相に感心した。

 出合から1時間半ほどで10mほどの滝があった。 Fさんが左壁に取り付いたが、3分の2ほど登ったところで1歩の踏ん切りがつかない。 結局Fさんはハーケンを打って、これを支点として引き返した。 私がロープを付けて空身で抜けた。やはりロープで確保されているという安心感は大きい。 ここでザックを引き上げたりして、意思疎通を欠く場面もあり、1時間ほどの時間を使った。 その後も滝は続くが特に問題となるものはなかった。

 770mの二股で右に入るとナメ滝の連続となる。稜線の近くまでナメは続いた。 そして笹の藪に入った。 山猫森から東に延びる本流と西ノ股沢を分ける尾根上にある1000mのコルを目指したが、 目標より山猫森山頂に近い場所に出てしまった。 このころより雷雨となり、帰路の増水が心配になった。

 保呂内沢本流に慎重に方向を合わせ、間違って西ノ股沢に降りないように磁石を見ながら笹の中を進んだ。 たいてい適当に下ると水の流れた窪に自然に出るものだが、なかなか沢型に入れなかった。 切れ込みが小さいので沢と並行して下っていたようだった。 やや斜度のあるゴーロ状の沢を下ると左から水量の多い沢に合した。 保呂内沢本流に出るとナメが現われて快適に下れる。 おりからの狭霧に鬱蒼としたブナ林に惚れ惚れした。 水は少し濁ったが、雨は1時間ほどで止んだ。 雨は止んだが下るにつれていくつかの支流を集め水量は次第に増してきた。

 単調に感じ始めたころに大きな滝の上に出た。 落口にある立木を支点に懸垂しようとしたら、滝は2段となっていて下段の滝は大きな釜を持っているようだ。 このラインでの懸垂はあきらめ、右岸から巻くことにした。 急な草付を登って尾根を越えると斜面は急だがしっかりとした樹林が続いていた。 最後は慎重にということで懸垂で沢に降りた。 降りた沢は広い河原が平滑となっていて気持ちよい。 滝は水量が多く迫力のあるものだった。 下から見て、水流沿いに懸垂はとても無理と解った。

 滝を降りるとすぐに西ノ股沢出合だった。 幅いっぱいに水が踊るナメに行きとは別の沢を見るようだった。 例のフリクションの限界を試されたようなへつりは左岸を少し登り立木を支点に懸垂で下りた。 結局増水はしていたものの、なんとか予想していたような時間でBCに戻れた。


26日 天気:くもり
BC7:50〜9:10盗人滝分岐

 今日は帰るだけだ。あと1時間ちょっと歩けば車まで戻れる。 早く下っても温泉は開いていないだろうと、のんびりとした時間を過ごした。 焚火を前にして、美しい渓流を見ながらの時間を贅沢に感じた。 そして、ゆっくりと朝食をとって出発した。

 歩き始めるとアブが付きまとって不快だった。 行きにもこんなにアブがいたのだろうか。 美しい河原に感嘆の声をあげながら歩いたことは記憶しているが、アブについては思い出せない。 アブ踊りをしながら先頭を歩いていると後から声がかかった。 林道の入口をあやうく通り過ぎるところだった。 気付くように付けた目印のケルンは増水で流されて姿がなかった。 沢を離れるとアブはもう付いてこなかった。 短いが、いろいろとあった山行だった。 そのうち長く記憶に残るのはどんなことだろうか。
(S記)

メンバー:S、F、O、I


感想

 初めての東北の沢でした。 山深い中を穏やかに流れる沢、そして魚がチラホラ。 小滝は深い釜をもって、広いナメが青白い岩に綺麗に映えていました。

 今回はBCを構えての沢の遡行で行程もゆったり。 何度か釣りに出掛ける時間を設けていただいたが、ご期待に添える結果が出せなくて申し訳ないと感じました。

 一日目は午後は天候が崩れて雷雨になり、一気に沢は増水と濁流と変貌を遂げ、上にビバーク体制で避難をしました。 雨が落ち着いたので下へ戻ると、集めた薪が沢筋だった為流され、残った薪は濡れました。 しかし、なんとか火が付いたし、雨が降る前に飯盒のご飯は炊けていたので美味しい夕食を取ることが出来ました。 なだらかな傾斜の沢だから、増水するのも早かった様です。最初からいい思い出と経験をしました。 こんな時でも笑顔が出る仲間が居て良かったと感じました。

 二日目は保呂内沢の本流〜西ノ股沢を遡行し、770mの二股から山猫森のコル990mあたりを目指し、 東に藪を漕ぎ保呂内沢の本流に下りてBCまで戻る予定でした。 朝は太陽が無く曇りでしたが、次第に陽射しが出てきました。 西ノ股沢に入る最初のナメが良かったです。 やがて沢登りらしい雰囲気になり滝が次々と出てきます。 どの滝も角が滑らかに削られた様な滝で、滝は処々で簡単には登らせてくれませんでした。 滝と滝の間に広がる綺麗なナメやゴルジュ、ブナの森や生き物に沢山感動しました。

 源頭部になると沢の水も減り、幅も狭まりますがナメが続きました。 そして、藪を漕いでいると雨が降って来ました。昨日と同じ様な雷雨ですが、降る時間が早まっていました。 雨の中を藪漕ぎと沢を下る緊張感。 下降に使った沢は下るのに問題ない渓相で、唯一の2段の大滝は少し巻いて草付きを懸垂下降しました。

 今回突然の雷雨、藪漕ぎのRF、滝の懸垂下降の判断、山をもっと知る力は、やはり経験がモノを言うのだと感じました。 そして、虫に集中攻撃されて、少々テンション下がりましたが、 無事に帰れた事と、癒しの沢を楽しめた事が、気分の低下をすべて帳消しにしてくれました。 沢を楽しむ楽しさをまた一つ経験が出来たのは仲間が居たから楽しめたのでした。 また、東北の沢に出掛けられる事を楽しみにしています。
(I記)