神奈川県の「山の仲間 浮雲」の記録です


山行記録

丹沢・早戸川中流

2012年9月20日



”できるだけ水線に沿った遡行をして早戸川中流を感じ取るように努めた”


 先日、越後山脈の丹後山に十字峡から登った。 丹後山の登山口は十字峡から三国川沿いの林道をしばらく歩くことになる。 三国川はゴルジュとなっていて、林道から覗くと大きな落ち込みはないが美しい瀞と小砂利の河原が交互に現れた。 折りからの渇水で渓谷は快適に歩けるように思えた。 林道は丹後山登山口より先にまだ続いている。 上には抜けずに林道が終わるあたりまで渓谷を歩きたくなった。 いわば近頃耳にするようになったウォーターウォーキングの適地のように思った。

 急にIさんと山に行くことになった。 ところがIさんには15時には家に帰らねばならない事情があるらしい。 丹沢南面の短い沢も考えたが、先日の三国川のことが頭に残っていたので、 かねてから気になっていた早戸川中流のウォーターウォーキングを提案した。 円山木沢出合から雷平まで早戸川沿いにある経路ではなく渓谷を歩くという計画だ。 (参照地図

 早戸川は丹沢の中にあって最も奥深さを感じる流域ではないだろうか。 昭和30年代にはすでに雷平まで経路ができていたらしいが、 ダムができる前の宮ヶ瀬から早戸川を辿って丹沢の最高峰である蛭ヶ岳を目指す山行に思いを寄せると、 丹沢離れしたスケールの大きい山行になっただろうと容易に推測される。 そんな感慨は抜きにして、以前から早戸川中流を経路ではなく渓谷を歩きたいという欲求はずっと抱いていた。

 9月も中旬を過ぎようとしているのに連日の30日越えである。 その暑さも今日が最後と聞いて水遊びにはよい日に当たったと思った。 雨が少なかったために林道から見る早戸川の水量は少なかった。 気温は最適だが、水量に関してはよくない時に来てしまったかなと思っていた。

 ところが円山木沢出合から沢を歩き始めると早戸川は水量豊富だ。 大きな深い淵と大岩が行く手を遮る。 今日の行程は短く時間は十分にあるので「できるだけ水線にこだわる」というのが今日の約束事だった。 大岩が重なったような渓谷は巻き気味に行けば簡単だが、可能な限り水線を行くのが今日の方針だ。 淵に腰まで入って小さな滝に取り付く行為が非常に楽しい。 水流が狭まったところでは水は白く泡立って、その泡立った色がなんともいえない美しい色だった。 まるでソーダ水のようにも感じた。 激流に身をさらし、限界的な水圧を感じて上流を目指すのも心地よい。 今日は楽に登るという普段の沢登りではなく、遊び心を全面に出した。

 太礼ノ沢出合までは傾斜があるので息つく暇もないほど楽しい箇所が連続する。 太礼ノ沢出合を過ぎたあたりに陽のあたった砂利の河原があったので始めて休んだ。 このあたりから沢は緩くなり大きな落ち込みはなくなる。 それでも楽しめるルート取りをして進む。 しかしもう冒険的なルートが取れるような箇所はなく少し単調さを感じた。 顕著なゴルジュを越えると経路の最初の渡渉点である。 ここにかけられていた丸木橋は流されていた。 ここを越えると沢は明るく開けて河原も広くなる。それでも水の中を歩くようにして雷平まで行った。 大滝沢と原小屋沢が出合う直前の河原に休むに絶好の大岩があった。 濡れた体で乾いた岩の上に横たわると非常に気持ちよかった。 下流を見ると山間に青空が広がっていた。 なんだか秋を感じるような空だった。

 雷平で大休止し、経路を戻った。ゴルジュの手前までは部分的に経路ではなく河原を歩いた。 経路はやはり歩きやすい。 簡単に魚止橋ちかくに置いた車まで戻れた。 心配していたヒルだが、車に戻ってチェックするとIさんに2匹私に1匹付いていた。 しかし流血の被害はなかった。 予想外の楽しい遡行に二人から出た言葉は「来年も来よう」だった。

 最後に、文章では上手く表現できなかった遡行の様子を写真で補足したい。 (写真をクリックすると大きなサイズになります)



(S記)


天気:はれ
魚止橋8:20〜8:40円山木沢出合〜太礼沢出合9:40〜10:25雷平11:00〜11:45魚止橋

メンバー:S、I(山の仲間 浮雲)