神奈川県の山の仲間 浮雲の記録です


山行記録

明神岳東稜から明神岳主稜

2011年10月8日〜9日



”岩が凍り付いていると厄介なので出発を遅らせたが、その心配はなかった。”


 2週間前に奥又白の池からひょうたん池に出て、明神の東稜を登ったとき、 この次は是非、東稜から主稜をつないでみたいと思った。時期的に今年は 無理だろうと思っていたら、ひょんなことから機会に恵まれ、さらに私に とっては多い4人のメンバーが集まった。

 沢渡の駐車場は朝早くから賑やかだ。5時過ぎにタクシー乗り場に行くと、 すでに列ができていて、20分ほど待たされた。運転手によると、この3連休 が年間を通じて最も上高地、穂高、槍が混雑するときだという。6時前についた 上高地は人で溢れていた。登山届けを提出し、水を各自4リットル汲んで出発。 明神館まで人が途切れることはない。いつも見慣れている明神V峰の姿であるが、 今回は正にそこを目指すのでよく観察する。

 明神橋を渡り、梓川上流に少し進むと左に建物が見えてくる。信州大学自然科学 総合ステーションだ。道を左折してその前を通り、川を渡るとひょうたん池までの ルートが始まる。ここからはもう我々4人だけの世界だ。それにしても上高地−明神館 (−涸沢、槍)の混雑振りとのコントラストは不思議だ。ひょうたん池までのルーファイ が不安だったが、入ってみると標類がしっかりしていて何の問題もなかった。おそらく、 この夏に整備されたのだろう。2回の休憩で氷の張ったひょたん池に到着。

 ひょうたん池のことについて、「がっかりした」という評がよくあるが、まあ、 こんなもんでしょう、という感じ。ただ、これのみを目的に来たならそうなるか。 ここからハーネスとヘルメットを着け、2週間前の記憶を辿りながら登る。天気も そのとき同様(いや、それ以上)の快晴。360度雲一つ見られない。途中明神主峰に 人がいるのが見えた。細かい休憩を取りながらラクダのコルに着いて大休止。 ここからはクライミングシューズに履き替え、まず3メートルほどの岩を一段登って バットレスの基部に取付く。ここでロープを出し、トラバースからルンゼ、スラブと 2ピッチで越える。2週間前はその後主峰までフリーで抜けたが、記憶よりも悪く (不安定)、頂上直下の2ピッチロープを出した。信州大学自然科学総合ステーション からここまで、誰にも会うことはなかった。

 主峰山頂で景色を楽しみゆっくり休んだ後、I-IIのコルに向かう。ここは急なガレ場の 降りで落石に気を使う。穂高のバリエーションはどこでもこんなところがある、 という意味で標準的だ。II峰は北面にあるため既に暗い。見た目も迫力があり、越え られるかという不安がよぎる。その前に、テント場だ。 今日はコルに幕営予定なのだが、 コルに降りてみるとテントを張る場所がまったくない!ガイドブックには「幕営可」と あるが、それは雪のある時期のことなのだろう。 幸い、主峰頂上にスペースがあるのは 確認済みだったので、登り返して頂上に張った。ただし、4テンではちょっとキツイ。 東側はスッパリ切れていて、西側も転べば止まらない急な岩場。気の抜けないテン場だ。 しばらくは好天が約束されているので、こんな場所でも安心だ。翌朝、明るくなってきた のでテントの外に出てみると、東の空は幻想的なグラデーションを見せていた。前穂、 奥穂には既に人がいるのが見える。多少寒いが日の出まで見入ってしまった。メンバーの 皆がここにテントを張った喜びを感じていた。

 岩が凍り付いていると厄介なので出発を遅らせたが、その心配はなかった。再びI-IIのコルに 降りてII峰の登攀。見た目は難しそうだが、実際にはまったく大したことはない。 正面左に1、2歩トラバースし、上に登って行けば登山靴でも十分登れる易しさの2ピッチで リッジに出て終了。そこから30秒ほどでII峰の頂上だ。そこにはI-IIのコルへの懸垂支点がある。 II-IIIのコルで主稜を登ってきた4人パーティーと出会った。昨日、信州大学自然科学総合 ステーションを出てから初めて会う人類である。コルからIII峰への直登は難しそうなので、 西側をトラバースし、III峰の腹から取付いた。浮石に注意であるが、すぐに稜線に出た。 その後はIV峰V峰の快適な岩稜歩き。V峰台地でゆっくり休み、いざ最後の難関南西尾根へ…。 と思っていたら、これまたトレースがばっちりで何の不安もなかった。強いて挙げれば 最後が急な笹薮で気を使ったことぐらいか。岳沢一般登山道7番に出て今回の山行は終わった。

 上高地は相変わらずの混雑だ。我々は10分ほどタクシー待ちをしたが、我々の後ろには 続々と人が並んできた。そして、沢渡までの道、反対車線はまったく車が途切れない。沢渡付近の 道路には駐車場に入れなかった車が沢山並んでいた。タクシーの運転手によると、この連休は 毎年のことだという。もし、下山が2時間も遅れたなら、沢渡に何時に着いたかわからない。 最後は中央道の渋滞に捕まったが、それらを差し引いても素晴らしい山行だった。
(G記)

10月8日
上高地06:10〜09:30ひょうたん池10:00〜12:40ラクダのコル13:00〜15:30明神岳主峰

10月9日
主峰07:10〜07:20I-IIのコル〜08:30U峰〜09:00V峰〜09:25IV峰〜10:00V峰〜13:00岳沢7番標識13:20〜13:50上高地