神奈川県の山の仲間 浮雲の記録です


山行記録

丹沢・二十女沢(オオユナラノ沢下降)

2011年11月26日



”小さなゴルジュもあるが、明るく開けた雰囲気が丹沢離れしている”


 二十女沢は鍋嵐山を源流とし宮ヶ瀬湖に注ぎ込む沢である。 鍋嵐山は標高817mと低いので魅力を感じず、一度もこのあたりには足を踏み入れたことがなかった。 しかし二十女沢という沢にはなぜかずっと以前から気になっていた。 このあたりはヤマヒルの巣窟である。 11月になっても暖かい日が多いが、もうヒルはいないだろうと計画した。 二十女沢は寒い季節限定の沢である。

 朝はちょつと冷え込んだ。 宮ヶ瀬湖湖畔からヤビツ峠方面へ進むと川のようになった湖に冷え込んだ日に発生する蒸気霧がたちこめていた。 朝という時間ではないので霧は薄かったが、きっと早朝は美しい光景が見られたと思うと残念だった。 晴れてはいたが歩いていないと空気の冷たさを感じる日だった。 そんな光景も車の中から見ただけで、林道入口に着いた時には霧は完全に消えていた。

 湖岸の林道から二十女沢沿いの林道に入る。寒さに手袋をして歩いた。 このまま林道を最後まで行ってしまうと沢から離れてしまうので、 林道終点の少し手前で尾根を下って二十女沢に降り立った。 鹿柵のゲートから二十女沢が見下ろせる場所で、なんとなく踏み跡がありそうな場所である。 思ったとおり簡単に沢に下れた。標高380mあたりと思われる。 目印もあったことから、このルートで入渓するのが一般的なのかもしれない。 ここには単独の男が休んでいた。彼は私たちのが到着するとすぐに出発した。 彼の足元は運動靴であった。

 ゆっくりと沢装備を用意して歩き始めるとすぐに小さなゴルジュになった。 谷の向きが午前の太陽の位置と一致するために淵が光って美しい。 落ち葉を浮かべた淵はたいした深さではなさそうだが、朝なので水を避けて通過した。 水の中に入れば簡単に通過できるのだが、水を避けると微妙なフリクションに頼らねばならない。 どの沢でもそうだが、最初は岩のフリクションがどの程度効くのか解らないので慎重になる。 岩は硬く、水色をしていて美しい。水垢もなく段々大胆な歩みができるようになった。 水は思ったほどは冷たくは感じず、まだまだ沢を追いかけられると思えた。

 ゴルジュを過ぎると水がほとんど流れていないオオユナラノ沢を左に分ける。 そしてチョックストーンのかかった滝となる。 なんとなくメンバーの雰囲気で一番登攀力のあるUさんが登ってロープを垂らすことになった。 ちゃんとしたクライミングロープを持っているのに、垂れ下がってきたロープは細いお助け紐だった。 足場が外傾していて嫌らしいが、セカンドは気楽だ。 最後の乗越は思い切ったハイステップが必要だった。

 その後、小さな滝を越えて行くうちに両岸が開けるようになった。 歩いていると、この沢は明るく雰囲気のよい沢であることに気付くようになった。 8mほどの滝は見てすぐに巻きと判断した。 右岸の枯葉で埋まった斜面を登る先行者が見えた。 この斜面はグズグズなのですぐに流れに近い脆い岩っぽい斜面に向かうと、上手い具合に落ち口に出れた。 大高巻きの先行者の前に出てしまった。 やはり滝は小さく巻けるルートをまず探すことという基本を思い知った。

 この上に登らなかった滝がもう一つあった。 この滝は水に濡れるのを厭わなければ行けそうにも感じたが、当然巻きを選んだ。 ここを越えると沢は源流の様相となった。 時間は十分あるので大休止をとった。

 地図からは最後は主流を離れて右手の支流から鍋嵐東のコルを目指すルートを考えていた。 それらしき稜線が左手に見え出したころ、岩で沢が二手に分けられている箇所に出た。 二股ではなく真ん中の岩はインゼルとなっている。 休んでいるうちに前に出た先行者は右手のチムニー状を登っていた。 岩が脆く落石をさせながら登りきった。 私とFさんは左手の凹角、Uさんは右手のチムニー状を選んだ。 ここは左が正解であった。 一見のっぺりとしたスラブに見えたが、取り付いてみれば岩は硬くホールドにも恵まれていた。 この上で左手の沢に入り、最後は急な泥壁を登ると鍋嵐山から辺室山に続く稜線に出た。 入渓して2時間弱の短い沢だった。

 下降はオオユナラノ沢にとった。 この沢は二十女沢の左俣のような存在で長さも本流に引けを取らないが、不思議なことに水がほとんど流れていない。 枯葉の積もったフカフカの斜面を下ると、小さな涸滝が続くようになる。 簡単に降りれるが、下が見えない滝に出会った。 これが柱状節理の滝であった。 左右どちらからでも巻いて下りられそうだが、せっかくロープを持って来ているので懸垂で降りた。 滝は2段となっていて降りながら丹沢では珍しい地質を観賞した。 その後も小さな涸滝が続いた。 フリーでは恐い小滝に出会い、ここは右岸の獣道のような跡を沢に沿って歩いた。 最後は10mほどの懸垂で沢に戻った。 沢に降り立つと、立ち木にペンキで我々がとったルートを指示するマークがあった。 ここから本流はすぐだった。 ゴルジュを朝の記憶を思い浮かべながら通過すると入渓地点に戻った。

 さて二十女沢の評価だが、あまり期待していなかったが、思わぬ美渓につい頬を緩ませながらの遡行が楽しめて満足だった。 谷は全般的に明るく、圧迫感を与えるような滝はなかった。 滝は少ないが適度に変化を与えている。 それでも所々に現れる滝は美しく、なだらかで開けた雰囲気は丹沢離れして新鮮だった。


天気:はれ
林道入口8:45〜9:30二十女沢入渓点〜11:35稜線〜オオユナラノ沢下降〜13:30林道登り口〜14:20林道入口
(S記)

メンバー:U、F、S