神奈川県の山の仲間 浮雲の記録です


山行記録

南会津(小沢山〜三つ岩岳)

2011年4月30日〜5月2日



”稲子山を越えると窓明山がぐっと近づいた”


 会津駒ケ岳から北へ続く山稜がある。 この山稜は坪入山で二つに分かれ、 西側は会津丸山岳・会津朝日岳へと続く日本でも最も山深い場所の一つとなっている。 東側はこれよりも標高が低いものの城郭朝日岳へと続く山稜である。 後者は標高が低いためにブナが主体の植生となっていて、これが逆にこの山稜の魅力となっている。

 ゴールデンウィークは普段行き難い山域に行くよい機会である。 以前から行きたかったこの山域に2泊3日で歩いてみることとなった。 山稜への取り付きは小立岩の集落から安越又沢と山毛欅沢との中間尾根とした。 ブナの山ばかりだと単調なので、ゴールはちょっと標高の高い三つ岩岳とした。 ちなみに坪入山から南の山稜は針葉樹林帯となっている。



30日 天気:くもり
小立岩6:15〜6:45尾根取付〜7:05雪(1090m)〜9:30稜線〜10:30コル〜11:55稲小山〜 13:00TS(1430m)

 前日に道の駅「番屋」まで入って車中泊した。なんと平地でもマイナスの気温で寒い。 翌日は明るくなってすぐに起きてしまい、そのおかげで登山口の小立岩の集落には早朝に着いた。 少し大桃集落の方に行った国道の路肩に駐車して安越又沢沿いの林道を歩き始めた。 林道には所々に雪が残っている。 スキーと長靴のトレースがあり、長靴の主は安越又沢で岩魚釣りの人だった。

 林道を30分ほど歩くと毛欅沢出合で、ここで橋で左岸に渡り急な尾根に取り付く。 しばらくは雪がなく、最初あった薄い踏み跡はすぐに消えて藪となった。 1時間強で尾根の傾斜が緩み、そして待望の雪の上を歩けるようになった。 ブナの疎林を辿ると簡単に稜線に出られた。

 稜線はしばらくは標高1400m前後の小さなアップダウンが続く。 終始ブナ林の中で、前方に窓明山とその後に三つ岩岳が遠くに見える。 小沢山を越え、稲子山手前のコルに至る。 ここで一人で山スキーに来ていた地元の女性に会った。 「藪はどうでしたか」と聞いたところ、「スキーを投げたくなった」との答えが返ってきた。 稲子山へは300m弱の登りで、最後がちょっと急な雪の壁になっていた。 ピッケルは出さずにストックのままで登り切った。 結局、私はこの山行ではピッケルをテントを止めるのにしか使わなかった。


 今日は天気がよいはずなのに、稲子山を越える頃に時々小雨が降ってきた。 明日は前線が通過するという予報を聞いていたので今日はできるだけ距離を延ばすつもりだった。 できれば坪入山の登り始めあたりまで行きたかったが、雨が強くなったので早目にテントを張った。 西側が林となっている大きなブナの下で風はあたらない。 しかも買って初めて使う新しいテントなので雨がまったく染みてこないので快適だ。


1日 天気:くもり
TS7:15〜7:45コル〜9:20坪入山〜11:10窓明山〜11:40TS

 雨が降り風も強かったので出発を見合わせた。 しかし朝食が終わる頃に高曇りとなった。風は強いもののとりあえず窓明山あたりを目標に先に進むことにした。 ゴールは三つ岩岳だが、天気が悪ければ窓明山からのエスケープルートで下山するつもりだった。 もうどんな悪天になっても往路を引き返すことはなくなった。

 少し稜線を辿ると、稜線の向きはは南北から東西に変わった。 行く手には目指す坪入山から窓明山への稜線が谷をはさんでよく見えてきた。 坪入山は標高1744m。今まで歩いて来た稜線より高い。 ブナは1600mあたりまでで、坪入山山頂近くまで登ると岳樺帯になった。 左手に窓明山を見ながらの雪壁登りは快適だった。 風が強かったので山頂での休憩は省略した。 坪入山を越えるとオオシラビソの針葉樹林帯となり、傾斜の緩い幅の広い稜線はテントがどこにでも張れるようになる。 当初は窓明山の手前で行動を終えるつもりだったが、天気が思ったよりよいので窓明山を越えることにした。 そして窓明山を越えて夏は池が出るという雪原の南側あたりにテントを張った。 ここまで来ればもう天候が悪化しても窓明山からの下山という選択肢はなくなった。


 終日風は強かったが、遠くの山まで見える天候だった。 テントサイトからは越後駒ケ岳から未丈ヶ岳にかけての山が遠望できた。 テントでくつろいでいると単独のスキーヤーがテントに立寄った。 彼は三つ岩岳避難小屋の近くにテントを張っているらしい。 とりとめのない会話の中で共通の知人がいることが解ったりして話が弾んだ。


2日 天気:上部:霧・強風、下部:くもり
TS5:55〜9:40 P1306〜10:10国道(小豆温泉)〜11:30小立岩

 夜から強風と雨となった。どうやら前線が通過したらしい。 風が東から西に変わっても風は収まらない。 テントの床の下に風が回り込み、朝食の用意はテントを体重で押さえながらであった。 しかし雨が止んでくれたのは助かった。強風下で気合のテント撤収をして出発の準備はできた。

 三つ岩岳への登りは樹林帯なので強風の影響はあまりない。 視界もないので三つ岩の山頂はあきらめ、標高1850mあたりから夏道のある尾根にルートをとった。 磁石で方向を慎重に定めて下ると視界もきいてきた。 植生がブナに変わると尾根の形状がはっきりしてきた。 もう下山は楽勝と思ったのは早かった。 途中で3回も別の尾根に入ってしまい、一度は正しいルートに戻るのに40分もかかってしまった。 標高1000mあたりまで降りると雪が消え夏道が出た。 雪が消えた林の中にはイワウチワの花が咲いていた。

 下山した小豆温泉から車を置いた場所まで舗装路を歩いた。 雪解け水を集めた桧枝岐川は迫力満点で見飽きなかった。 周囲の山には雪はなかったが、新緑の季節はまだだ。 コブシの白い花だけが春を告げていた。 大桃の集落を過ぎると停めて置いた車が見えた。 話題は帰路に立寄る温泉となった。
(S記)

メンバー:S、F