06年5月16日

法務委員会質疑(条約刑法関係)(暫定案)

民主党 平岡秀夫

 

(1)          組織犯罪集団

@      官庁における組織ぐるみの裏金作りの共謀が、共謀罪に該当するのか。法文案に則しての説明を求める。昨年10月28日の答弁と質問趣意書の答弁書とで、答弁の食い違いがあり、4,28の政府答弁は納得がいかない。(法務大臣、与党提案者)

A      428日の法務大臣への質問で、「官庁が共謀罪の対象となるか」となるかという問に対して、「個別具体的な事実関係の下で、ただいま申し上げたものに該当するか否かによって決まることになるものと考えられます」と答弁。そして与党修正案提出者も同様に答えている。つまり、修正案によっても団体が限定しきれていないのではないか。(法務大臣、与党提案者)

B      (与党質問でも明らかなように、)ある団体が、組織的犯罪集団であるか否かは極めて不明確である。オウム真理教の例(ある宗教の教義を広め、信者を教化育成することを主たる目的として設立された宗教団体が、その目的を達成するために多くの重大な犯罪を行うことになってしまった、という事例)を参考に、共謀罪の適用の可否を説明せよ。(法務大臣、与党提案者)

C      与党修正案で共謀罪の適用可能性がある団体としている「その共同の目的が重大な犯罪等を実行することにある団体」とは、どんな団体なのか。4,28の審議で、@重大な犯罪等を実行することだけを「共同の目的」とする団体、Aいくつかある「共同の目的」の中に重大な犯罪等を実行することが含まれている団体、B「共同の目的」(例えば、団員の生活維持)の下に、正当な業務と違法な業務とを行っている団体は、それぞれ該当するのかを質問したが、「共同の目的」の意義が明確でない。(与党提案者)

D      上記の質問に関連して、与党修正案では次の例はどうなるか。また、政府の理解は同じなのか。(与党提案者、法務大臣)

     その多くの業務が正当である会社がリフォーム詐欺を行うことを決めた。又は、リフォーム詐欺を行う会社を設立し、その業務計画を策定した。

     選挙戦終盤に、選対本部が苦戦のため、電話掛けのアルバイトを使うことを決めた。又は、選挙戦は主として電話掛けのアルバイトで行う戦略で選対本部を立ち上げて、その実施計画を立てた。

    マンション建設反対住民が工事用資材の搬入に座り込みで対抗する団体を結成し、その実行を決定した。又は、住民団体がマンション建設反対の座り込みの実行を決定した。

     宗教団体が勢力拡大、批判分子粛清のため、犯罪行為を行ったり(例、オウム真理教)、財政基盤強化のため脱税を行うことを決めた。

E      25日の委員会審議で、与党提案者や政府から、「『共同の目的』とは、その団体の構成員の継続的な結合関係を基礎づけている根本的な目的である」と答弁されている。他方で、法2条では、団体の定義規定の中で「共同の目的を有する多数人の継続的結合体」と規定しているが、その場合の「共同の」は、「多数人にとっての『共同の』目的」という意味で使われている。与党修正部分で「団体の『共同の』目的」という意味で使うのは、同じ法律の中で、その規定振りの整合性(誰にとって?)が取れなくさせてしまうのではないか。(与党提案者)

F      「共同の目的が重大な犯罪等を実行することにある団体」の「重大な犯罪等」の中に、共謀罪自体が入っているのはおかしいのではないか。(法務大臣、与党提案者)

 

(2)          「重大な犯罪」等

@      先進諸国において、「長期4年以上の自由刑」はどれくらいあるのか。(外務省)

A      仏の参加罪の対象となる「凶徒の結社」の要件は「重罪」と5年以上の「軽罪」となっている。TOC条約との関係はどうなっているのか。(外務省)

 

(3)          行為の越境性

@      条約34条2の文理的意味は、条約3条の解釈との整合性を考えれば、「共謀罪自体(共謀罪の対象となる重大な犯罪ではない)が国際性(越境性)を有しているものとして創設されてはならない」というものではないか。(外務政務官)

A      4,28に伊藤外務大臣政務官は「国際性の要件を付さないことは、本条約の中核をなす規定である」旨の答弁をしているが、条約交渉経緯(フランス提案の内容、元々の条約案に入っていない等)に照らしても、そうは言えないのではないか。(外務省)

B      我が国はこれまでの条約締結に当たって、「条約の趣旨・目的に両立しないものではない」との理由で、条約の留保を行ったことがあるか。あるとすれば、どういう理由で、「条約の趣旨・目的に両立しないものではない」と判断したのか(外務省)

 

(4)          顕示行為

@      TOC条約5条に基づき、立法化に当たって、「合意」に「準備行為(顕示行為)」を伴うこととした国として、オーストラリア、フィンランド、ラトビア、サウジアラビア等を挙げたが、これらの国は、「準備行為(顕示行為)」をどのように規定しているのか。(昨年10月28日の質問の宿題)(外務省)

A      5,10枝野質問に関連)修正案の「犯罪の実行に資する行為」と、条約の「合意の内容を推進するための行為」とは、どう違うのか。どちらが広い概念か。(与党提案者)

B      「犯罪の実行に資する行為」の範囲は、どこまで含まれるのか。与党提案者から3要件が示されているが、それでも範囲が広くなり過ぎて、「犯罪の実行に資する行為」では、どれが「犯罪の実行に資する行為」なのか判別が難しい。立証が難しく、捜査が自白偏重となる危険性が高いのではないか。(与党提案者)

C      外国において共謀罪を処罰する要件として、「合意の内容を推進する為の行為」を付していない場合に、我が国に対して捜査援助の要請があった場合は、どう対応することになるのか。「予備」でも問題ないはず(法務大臣、与党提案者)

D      「予備」では何故ダメなのか。(与党提案者)

 

(5)          捜査

@  現在自首減免規定が設けられているものは、どんな犯罪についてか。その考え方は何か。(法務大臣)

A  ある国では参加罪を定め、ある国では共謀罪を定めている場合には、国際的な捜査共助は、可能なのか。どのように行うことになるのか。(法務大臣)

B  共謀容疑でとりあえず逮捕し、その後の捜査で「資する行為」を探すという捜査手法が使われるのではないか。(法務大臣)

C      428日の細川委員の質問に対する与党提案者の答弁「共謀で犯罪が成立する。逮捕することは法的に可能。しかし実行に資する行為がなければ事実上起訴できない」と、同日の稲田委員に対する与党提案者の答弁、「処罰条件ということで、実行に資する行為というのを明定することにいたしました。ということは、この処罰条件を満たさないものについては、そもそも有罪をとることはできない、要するに、処罰の対象にならないということになります。結果的には、起訴をしても当然無罪にならなければならない。そういったものについて、犯罪の捜査をする、いわゆる強制捜査をするということは、これはあってはならないことだと私どもは考えております」とは不整合ではないか。(法務大臣、与党提案者)

 

(6)中止犯

@  ある重大な犯罪の実行を共謀したが、その実行を自己の意思で中止したという場合、刑法43条では実行に着手した後であっても(重大な犯罪について)刑の必要的減免が行われるのに、政府の答弁では、共謀罪は処罰されることになる。しかし、このことはいかにも不整合な取扱いであり、法令上、所要の調整が必要ではないか。(法務大臣)



06年5月16日

法務委員会質疑(条約刑法関係)(追加)

民主党 平岡秀夫

 

@    TOC条約34条2で規定している「国際的な性質」は、何について言っていると解されるのか。(外務大臣政務官)

A    TOC条約34条2で「組織的な犯罪集団の関与」は、何について言っていると解されるのか。(外務大臣政務官)

B    TOC条約第5条1(a(@)で「組織的な犯罪集団が関与するもの」と規定しているが、その「組織的な犯罪集団が関与するもの」は何であると解されるのか。(外務大臣政務官)

C    TOC条約第5条1(a(@)で「合意の内容を推進するための行為を伴うもの」と規定しているが、その「合意の内容を推進するための行為」を伴っているものは何であると解されるのか。(外務大臣政務官)

D    TOC条約で「長期4年以上の自由刑」及び「国際的な性質に関係なく定める」の各規定を留保することは、「TOC条約の趣旨、目的に両立しないもの」であるからできないと考えるか、それとも留保することが適当でないから留保すべきではないと考えるのか、どちらの見解を持っているのか。政治家としての見解を聞く。(法務副大臣、法務大臣)