サー・ジョン・バルビローリ
Sir John Barbirolli(1899/12/2-1970/7/29)
「バルビローリ節」歌謡道場


サー・ジョン・バルビローリ。ニックネームは「サー・ジョン」。イタリアの血を継ぎ、名チェリストでもある。 ゆえに、その腰の据わったカンタービレは「バルビローリ節」と呼ばれる。その真髄は、ブラームス、マーラー、シベリウス、エルガーで 発揮されている。

・ブラームス:交響曲全集
・マーラー:交響曲1番
・マーラー:交響曲2番
・マーラー:交響曲3番
・マーラー:交響曲4番
・マーラー:交響曲5番
・マーラー:交響曲6番
・マーラー:交響曲7番
・マーラー:交響曲9番
・チャイコフスキー:交響曲第5番
・シベリウス:交響曲選集
・シベリウス:交響曲全集
・R・シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」
・エルガー:チェロ協奏曲

ブラームス
交響曲全集
VPO
DISKY
  

CC30-3294/96

DISKY EMIライセンス
音質はCC30-3294/96が格段に優れている。
DISKY盤は、リマスターにより、楽音とVPOの音色が削がれている。

第1番
評価は低い。
しっかりしていて、それでいて重厚になりすぎす、歌うところが充分に歌われていく。 こうしてほしいと思うところ(蟻莪貅臑蝓↓現奏部最後のコラール、コーダのコラール)が、 その通りに演奏されており、 満足感は高い。もっと高く評価されてしかるべき。

第2番
評価の分かれる演奏である。レコード芸術リーダーズチョイスでのリスナーの評価は並み居る強豪を抑えて堂々の第1位。210票の17票を得ている。ちなみに2位はモントゥーLSOで15票、3位はワルターNYPとバーンスタインVPOでどちらも13票である。
かと思えば評論家の評価は低い。吉田秀和氏は「世界の指揮者」の中で、ベームVPOの演奏と比較して酷評している。問題は桔粗の3音にある。確かにバルビローリは楽譜指定を無視してフォルテに近い大きさで音を出す。それが興ざめであるらしい。
全体としては、同じVPOを振ったベームが厳格、ケルテスも少々厳しい、ジュリーニが不自然であるのに対し、最も自然な美しいカンタービレの連続である。 バルビローリ流儀を理解できる方には絶品に違いない。

第3番
これまた評価分かれる。この演奏で聴きたくないとの評論を2つ読んだが、そうかと思えば「絶品」とする評論(「クラシックCDの名盤」で中野雄氏推薦、「名盤鑑定百科」で吉井氏も評価している)も2つ読んだことがある。バルビローリの超ロマン的な演奏スタイルやいわゆる「バルビロ−リ節」を理解できない方にとっては、やぼったいような油臭いもののように聴こえるにちがいない。一方マーラーなどにおける「バルビロ−リ節」に慣れていたり、その良さのわかる者にとっては、この曲の歌わせ方や響きが心地よいものとなる。
CAZILLAさんは「ブラ3は過去に聴いたなかで、 バルビローリ&ウィーンフィルが最高だと思っています。 ちょっとメロドラマ風で、そこが好き」と評価している。そう、メロドラマ風なのだ。特に驚羇嵒堯↓靴離ライマックス。
問題となるのは、各楽章がppで終わるが、その前にリタルダンドして、いわば静かなる山場(あるいはため)を作って、旋律を最後に充分にカンタービレさせる部分。これを不自然とするか、「絶品」とするかの違い。要は好みよりも慣れの問題か?「フルヴェン流」を学んでフルトヴェングラーの凄さが真に理解できるように「バルビロ−リ節」を学んで慣れてはじめてバルビローリの良さが理解できるのではないか。評論家の皆さん、良し悪しではなくて、その流儀の上に立って評価していただきたい。

第4番
これは名演と評価される。前述リーダーズチョイスでは、245票中16票で4位。ちらみに、1位クライバー33、2位ワルター25、3位フルトヴェングラー(1948)17である。
バルビ節の魅力にあふれる。振幅大きなカンタービレ。ジュリーニのようなまとまりなく、拡散するVPOの魅力が出ている。
供3:20のVn、チェロの振幅大きなカンタービレ。3:48、8:50のスラーが超個性的。

マーラー
交響曲第1番 「巨人」
ハレ管
DUTTON
DUTTON

録音古く、時に木管、金管が窒息気味に聞こえる所もあるが、「バルビロ−リ節」満載の隠れたる逸品である。
第1楽章では、BPOの地上最強木管軍団にはかなわないが、バルビロ−リの薫陶を受けた木管群の詩情豊かな歌の世界となっており、 そこに加わる弦はまさにむせび泣くかのようである。
第2楽章も弦による「青春の謳歌」となっていて、 これほどリズミカルかつ歌謡的な盤は他にない。
第3楽章冒頭のコントラバスによる主題はワルター以上にたどたどしく 曲想ともマッチしているし中間部の弦の「バルビローリ節」も哀愁漂うものとなっていてベストと言える。
圧巻は第4楽章第2主題での弦のむせび泣きで、バーンスタイン盤などの美しさを超越した境地を感じさせる。
クライマックスでのアレッチェンド後のリタルダンドによる旋律の強調は、 バルビロ−リならではで理想的な盛り上がりとなっている。

マーラー
交響曲第2番 「復活」
BPO
TESTMENT
TESTAMENT

SBT2-1320

21:55 10:40 11:26 5:24 34:04

1965.6.3 フィルハーモニーでのライブ

伝説の名演文字通り「復活」である。9番同様、「黄金色」のサウンド、引き締まったアンサンブル、そこに出てくる「バルビローリ節」。
ソリスト、コーラスも良い。この大曲の理想的名演。

マーラー
交響曲第3番
ハレ管
BBC
BBC BBCL 4004−7

33:08 9:27 17:24 8:52 4:10 20:25

1969.5.23 マンチェスター フリートレードホールでのライブ。

音質良好。
1楽章の「大爆発」と、2.3楽章の繊細な室内楽的楽想が実に対照的。
4.5楽章のソロとコーラスは沈静と至純さで秀でている。バーンスタインのようなドラマや劇性は皆無。
圧巻は6楽章。9番4楽章と並ぶ、「バリビローリ節」全開で、歌謡ワールド。それでいながらドロドロしないのが見事。

マーラー
交響曲第4番
BBC響
BBC
BBC レジェンド

1967.1.3 スメタナホールでのライブ

Soprano:Heather Harper

17:52 9:59 19:55 11:11

「第3楽章の美しさだけでも一聴の価値あり」とのふれこみに負けて購入したが、予想以上の名演である。
第1楽章の出だしから弦楽器群の美しさに惹きつけられる。特に第1楽章第1主題と第3楽章冒頭のチェロのメロディーは美しい。
名チェリストの薫陶を受けたBBC響のチェロパートが「バルビローリ節」を存分に奏でており、思わず体をくねらせること請負である。
録音も1967年のライブ録音(スメタナホール)とは思えないほど鮮明で各パートはクリアに再現されている。

エクストンレーベルのSACDハイブリッド録音並みの驚異的な音質。各楽器は生々しく瑞々しく、音色も明瞭。ホール最前列の臨場感。というかマイクは指揮者の横あたりか。
機ゥ拭次Ε蕁璽蕁Ε薀薀蕕Vnのピュアで透明な音色。ここに「ウオー」というバルビローリの唸り声が入る。その声まで楽器の一部。
第2主題のチェロのBPO並みに1本にまとまる、温かみのある柔らかな音色は極上。ここにも「ウー」と唸り声。 木管、ホルンも柔らかくマイルドな音色。
冒頭のチェロのフレーズと音色のすばらしさ。言葉にできないのがはがゆい。とにかくお聴きいただきたい。続くVnの音の高いこと。第2主題のとろけるような飛翔感。その後の大きなカンタービレ。「もっと」と、叫ぶかの唸り声。それにより歌わされる弦楽器群。
「ウウー」の唸りのあとの、大フォルテシモ。ティンパニーの神業的リアルさ。
検ゥ愁廛薀里僚侏茲睥匹名歌唱。伴奏オーケストラの緩急強弱のコントラストが大きく、引き込まれる。ソプラノのフォルテで音が割れるのが残念。

アンコール:ベルリオーズ「海賊」序曲 9:47

マーラー
交響曲第5番
NPO
EMI
NPO(ニューフィルハーモニア管弦楽団)

EMI CDM 7 69186 2

13:40 15:09 17:59 9:51 17:23

バーンスタインの構築する「闘争から勝利へ」の劇的なドラマとは対照的で、 芝居がかった所は皆無であり、あくまでも純音楽的な演奏スタイルである。
しかしながら第2楽章に断片的に挿入される「運命の動機」などは、 バーンスタイン盤以上に明確であり効果も大きい。また第2楽章第2主題やアダ−ジェットの部分はスラー気味で、余分な感傷を廃しながらも「バルビローリ節」で歌わせる所は魅力一杯である。
第5楽章は最遅記録17分27秒というスローテンポの中で、マーラーの対位法的書法をブーレーズさながらに解明している。それでもブーレーズのように無機的、音の流れだけに終わらないのは、「バルビローリ節」の歌う世界になっているからであろう。

バルビローリのマーラーは名盤BPOとの第9番以外にも第1番、第3番、第4番とすべて名演。
しかしそれ以上に「バルビローリ節」の魅力を堪能できるのがNPOとの第6番。「これぞバルビローリ節マーラー」。

◆ マーラー:交響曲第5番 聴きくらべ
バルビローリ NPO
テンシュテット LPO:サー・ジョンとレニーの中間に位置する。サー・ジョン的でもある。そこまで節にならない所もある。 金管はカッコイイ。
バーンスタイン VPO:ドラマ
クーベリック BRSO:早めのテンポでおしまくる。ただ進むだけで欲求不満多い
クーベリック BRSO:(ライブ)オケ粗雑だしいいとこなし。
ハイティンク BPO:静かすぎるね。盛り上がりと感動ない。
ブーレーズ  VPO:音響的にクリアで美しいもマーラー的ではない。
シェルヘン フランス国立管:カットあり。オケの技量も粗末でとんでもない
シノーポリ PO:レニーのようでそこまでなりきれていない。たいへん半端だ。
 カラヤン BPO:オケの技量は確かだがそれ以上のものはない。
 マゼール VPO:こちらもVPOの音色は良いがそれならブーレーズの方が良い。
ということで、結論は,澄

マーラー
交響曲第6番「悲劇的」
NPO
EMI
EMI7243 5 69349 2 4 1996年オランダ盤

21:19 16:03 13:59 32:47

エルビン・ラッツ校訂版では、最終的に、第2楽章 スケルツォ、第3楽章 アンダンテ・モデラートに確定したが、当CDでは逆になっている。
CZS 7 67816 2(1994年 オランダ製)は、第2楽章 スケルツォ、第3楽章 アンダンテ・モデラートとなっている。

BPOとの歴史的な「第9」、NPOとの「第5」に並ぶ、3大バルビローリ節マーラー。
福島氏は、 「放射される愛の絶対量」 において、これを超えるものはない、と言っている。
中野雄氏も 「効し難い魅力あり」 と述べている。

冒頭チェロから、尋常ではない厚みのある響き。遅いテンポ、Vnの伸びやかなカンタービレ、強烈な金管、バルビローリの唸り声。
アルマの主題の、Vnの透明感、レガートなカンタービレ。
展開部でも、Vnとチェロのバルビローリ節、唸り声をあげて、「これでもか」と歌いまくらせる。でもバランスが崩れる訳ではない。各楽器が、ここぞとばかりに、振幅の大きな歌を歌う。音響的にも、クリアで繊細、広い空間で、各楽器の分離明瞭。
汽魁璽澄▲▲襯泙亮臑蠅、木管、ホルン、トランペット、トロンボーン、弦で推移する、すばらしい。

アンダンテ・モデラート
ブラームス3番3楽章以上のメロドラマ、でもドロドロしたり、芝居がかったところはない。この楽章を好む方に、ぜひお聴きいただきたい。

CZS 7 67816 2

鈍重に聴こえる人は、バルビローリの基本が、各フレーズのカンタービレであることを理解した上でお聴きいただきたい。
吉田秀和氏は、「世界の指揮者」の中で、
第5のアダージェットについてであるが、こう述べている。
「こんなに甘美な憂愁をたたえた演奏は、ほかのどこにもない。「そういうやり方ならワルターがいるではないか」という人もいるかもしれないが、それは先入観というもので、実はワルターは、バルビローリに比べれば、ずっと淡々とやっているのである。テンポも速いし、第一、細部にあまり拘泥しない。ところが、 バルビローリでは、いわば、心のたけ、思いのたけを綿々として綴った告白のようにきこえてくる
そう、 これが「バルビローリ節」の魅力 なのだ。

◆この曲の、満足できる盤を求め、奔走した。
気離▲襯泙亮臑蠅函▲▲鵐瀬鵐董Ε皀妊蕁璽箸良分について評価すると、
・バーンスタイン、VPO :新全集シリーズの中ではこの6番だけ録音状態が悪い。音が前面にでてこないのである。スピードの変化だけになり、立体感なし。
・ギーレン、南西ドイツ:録音優秀。カンタービレもよい。
・テンシュテット、LPO(全集):カンタービレよいが、もっと深いものを。
・テンシュテット、LPO(ライブ):熱いがライブゆえの不安定さあり
・シノーポリ、PO:「第5」同様、中途半端
・クーベリック、BRSO(ライブ):ライブゆえオケ粗雑
・カラヤン、BPO:レガートで美しいが、カンタービレの妙味なし
・レヴァイン、フィラデルフィア:深いものがほしい

ということで、「バルビローリ節」以上のものはない。

カプリングの「英雄の生涯」もすごい!!!

マーラー
交響曲第7番「夜の歌」
ハレ管
BBC
BBCノーザン交響楽団+ハレ管の混合オーケストラ。

1楽章第2主題や、2楽章の、独特の大きな歌いまわしに酔いしれる。
5楽章は、メチャクチャだ!!!
オーケストラは混合だけあってアンサンブルのずれもあるが、そんなことはどうでもよくなる醍醐味がある。

◆Coupling:ブルックナー「第9番」
大爆演の「第8番」に音質、演奏のスケールは劣るが、独特の魅力に溢れる。

マーラー
交響曲第9番
BPO
EMI
EMI

CDM7 63115 2

26:53 14:53 13:38 22:57=78:23

レコード演奏史上燦然と輝く世紀の名演。
1963年にバルビローリが客演で同曲を演奏した際、それに感動した楽員からの要望により、 異例のことながら、楽員の総意に基づき、レコーディングがなされたという、「レコード録音史上」の一大メモリアル。
しかもBPOにとってのマーラー初録音。
BPOのマーラー演奏の礎である。

翌1964年の録音でありながら、古さは感じない。

機ゥ曠襯鵑厚く柔らか。第1主題の弦楽器群のうねり。Vnは第1、第2の分離明瞭で、どちらも一つの大きな楽器として厚く結晶化しかつ透明。これぞBPOの至高のサウンド。第2主題は速い。猛烈なアッチェレランド。
8:30- Vcの静かな歌、Vnの語り、Hrのアクセントとすべてが絶品。
フレーズは短いながら、その中での最大限の歌いまわし。
供VcとDBが厚い。
掘1本のシンプルな旋律線が、手を替え品を替え、各楽器により奏でられていく。 トリオの、透けるような、そして昇天するような、清々しいフレージングを聴こう。 出てくる弦はすべてバルビローリ節になっている、しかも贅肉落とした引き締まったサウンドだ、これはすごい。バルビローリ節の典型。
検ゥ丱襯咼蹇璽蠅砲茲蝓▲沺璽蕁爾肇丱奪呂融合する。
主題は、バッハの「アリア」に似ているのです。
至純至高のサウンド。6:54-9:55のVcのうねり、VcとVnの対話、全体としての「バルビローリ節」。至福の3分。(これ以上の言葉が出ません)
コーダ(20:17-)のすばらしさ。死や終わりを超越し、希望を与える希有の音色。

*所々、「ウー」という音が入る(犬15:02など)が、それはバルビローリの唸り声。

すべてを忘れ、リフレッシュされ、癒される78分。

◆文春新書「クラシックCDの名盤」の中の福島評。
「解釈以前にこの黄金色に輝く豊穣なサウンドを聴こう。天に祝福されたとしか思えない奇跡の音、至福の音。愛に溢れたバリビローリ固有の音色と、剛毅で重量感あるベルリンフィルのサウンドのかくも幸せな融合。」

★★★ BPOサウンドを愛する方は、この盤に聴くものが、その原型かつ最高度の表明であることを理解しなければならない。そうでなければ片手落ち。 当盤のサウンドを聴かずして、BPOは語れない!!!

Q1.「バーンスタインはどうか?」って。
唯一BPOに客演した歴史的ドキュメントとしての価値はありますが、 サウンド面では、BPOがバーンスタインに完全に反応しきれておらず、同化してません。 バルビローリ盤では、BPOが指揮者と完全に一体となり、完璧に反応しております。

Q2.「マーラーは苦手です。」
メロディーラインはいたってシンプル、単純明快です。特に、この「第9」は。 4楽章から聴かれてみてはいかがでしょう。バッハの「アリア」ですから。

チャイコフスキー
交響曲第5番
ハレ管
EMI
DISKY
隠れたる裏名盤ではないかと思う。 「バルビロ−リ節」カンタービレと疾風怒号のフォルテとの対比が鮮やかで、満足度は大きい。
第1楽章、第4楽章は、スローテンポでたっぷり歌わせてくれる序奏とそれに続く強烈な提示部との効果が際立っている。 チェロパートは「バルビローリ節」を奏で、他のどの盤よりもよく歌い前面に出てくる。 そこに加わる金管パートは実に堂々としていて何とも「かっこよい」。
対位法パートも明確で第3楽章の左右の掛け合いや 第4楽章のVnの動きまくる様もはっきりしていて「おもしろい」。
劇的効果満点であり、「内容空虚」と評価されるこの曲の隠れたおもしろさを充分に伝えてくれる。
何度聴いても新たな発見に驚かされる。
第2楽章のチェロパートは最高だが、VnのクライマックスだけはVPOで聴きたかった。ということは、この曲の理想の演奏はバルビロ−リ、VPOの下で実現できたのではないか。残念。

シベリウス
交響曲選集
ハレ管
DUTTON
CDSJB1018
LP、SPからの盤起し。
・第1番 1957.10.31 Free Trade Hall Manchester
Pye CCl30113 (APL0066/7)
・第2番 1952.12.18-19 HMV ALP1122 (2XEA384/5) MONO
・第5番 1957.5.28 Pye CCL30144 (APL098/9)
・第7番 1955.1.12 HMV C3895-7 (2EA13648/53)MONO


第1番
11:42 9:35 6:06 13:21
STEREO。音質は今でも充分に通用するクリアさ、各楽器の分離も良く、とてもステレオ初期の録音とは思えない。 後のEMI録音よりも、ダイナミックで大迫力。

清楚充実なイメージよりも、バルビローリの体臭臭い演奏なので賛否両論。
いつものバルビローリのように、 「こう奏でてほしい」、「ここまで歌ってほしい」というフレーズがそのように演奏されている。 他のだれよりも歌うべきフレーズは歌い抜かれ、速いところは速い。 ゆえにスケールが極大で、曲の持つイメージとスケールを凌駕してしまうのである。
気遼粗のObの入り方や、第1主題のVnのスーという入り方に耳を傾けていただきたい。 無の境地からスーと音が始まっていく様は味わい深く絶品。 その後の主題のスケールの大きさは曲想を超越している。コーダのTiと弦のピチカートの生々しいこと。
兇遼粗はだれよりも深い。深く深く深いところから紡ぎ出され、 次第次第に大きなうねりになっていく。クライマックスのフレーズの大きく見事なこと。
掘ゥ譽ートとスタッカートの描き分けが明瞭で、実に明朗爽快。
検ヂ1主題と中間部の超アッチェレランドはフルトヴェングラー流以上。 前へ前への大迫力。圧巻は2回目の第2主題!!!(ここのスケールが小さかったりレガートさに欠けるとこの曲は死んでしまう。) 眼前に展開される大迫力。左右前後一杯に広がる立体的な大音響。 透明なる別世界に昇天されていくような印象。 ここの部分が最も大きな演奏は、この盤の演奏である。

第2番
9:22 13:34 11:42 6:45
後のEMI盤はおとなしくなってしまう。こちらはコントラストが大きくメリハリが利いている。
機チ破僂納然なフレージングであるが、オーケストラのアンサンブルが厚いので、清涼さをイメージする方には不向きかも。
供ツ誓邸⊇垳掘▲蹈泪鵝各々の要素が、抑制された中に表現される。その表現の幅は極めて大きい。
掘ゥ肇螢の透明感と抑制された情感。前後との緩急のコントラストの大きさ。低弦の唸り。
検ジ垢脇明、金管は荒々しく、バランスを取っているかのよう。
バルビローリ流クレッシェンドでいやが上にも盛り上がっていく。 しかし芝居気はなく、自然なのが良いところ。

第5番
14:18 9:23 9:53
1番に比べるとノイズが大きい。1番同様、後のEMI録音より、覇気と推進力で勝る。
機ゾさな流れから、疾風怒涛のコーダまで、1直線。有無を言わさぬ大迫力。 各フレーズが限界まで歌い抜かれる。
供ヌ擺匹料討気呂△襪、弦の厚みとBPO並みに1本にまとまる求心力でカバー。
掘ゥ轡戰螢Ε垢蕕靴ないと思う方が半数、すばらしいと感じる人が半数ではなかろうか。
盛り上がりは、晴朗堂々として充実しすばらしいのだが。

第7番
21:16
深遠清楚な世界から始まる。その深さはだれよりも深く、また透明。
ワルツの部分はだれよりもワルツらしくなる。

シベリウス
交響曲第2番
ハレ管
EMI
この曲から民族的な泥臭さを払拭し、後期ロマン派様式の一つとしてマーラーの交響曲の様に扱っている。
豊潤な弦楽器群が「バルビロ−リ節」を奏で、バルビロ−リの薫陶を受けた木管群は室内楽的なテクスチャアをクリアにする。 そうかと思えばアレッチェンドしてマーラーばりの強烈なフォルテシモを迎える。 このコントラストはたいへん見事である。第1楽章はまるでマーラーの第6番第1楽章のような趣である。 それでいながら混沌とせず、爽やかさと澄み切った情感を与える所がこの黄金コンビのすごさではないだろうか。
圧巻は第4楽章で「バルビロ−リ節」で歌わせる部分は十分に歌わせ、透明な部分は透明で、 クライマックスは他のどの盤より圧倒的である。メリハリの利いた名演。

R・シュトラウス
交響詩「英雄の生涯」
LSO
EMI
上記、マーラーの第6番とのカプリング。

この曲を愛する人に是非聴いてほしい大熱演、裏名盤。
この曲を描写音楽として捉えるかどうかの問題は抜きにして、とにかくバルビロ−リは人物、 情景描写に徹しておりすべてがたいへんリアルで聴き応えあり。
「英雄のテーマ」は分厚い弦に支えられて雄大勇壮、美しいだけでなくて中身も濃い。
「英雄の敵」の批評家部分の木管は冷徹に、そこに続く弦は「バルビロ−リ節」で朗々と悩み一杯に奏でられていて引き込まれる凄さ。
圧巻は4部「Certainty of Victory」部分のハープの挿入で、 Vnの上にハープがフォルテで入ってくる様は 美しさと劇的効果双方とも満点である。この部分だけでも一聴の価値あり。
しかし、バルビロ−リのこの曲にかける意気込みが十二分に伝わってくるし、「耳からうろこ」の部分も多々あるのでどうか全曲一聴を。

エルガー
チェロ協奏曲
LSO
EMI
Vc ジャクリーン・デュ・プレ
EMI 5 62887 2
「Great Recordings Of The Century」シリーズ
機Adajio−Moderato
供Lento−Allegro molto
掘Adagio
検Allegro−Moderato−Allegro ma non troppo

1965.8.19
Kingsway Hall
7:58 4:31 5:14 12:16

機ニ粗のソロの力強さと歌の幅の大きさ。第1主題をVaから引き継いで、次第に高揚していくその美しさとすばらしさ。
「チェリストを志ながら、願いかなわなかったバルビローリの怨念」を感じるという方もおられる。
冒頭ソロの力強さと歌の幅の大きさは、バルビローリがVcを弾いたであろう時に近いだろう。
デュ・プレ「マエストロなら、ここはこのようにお弾きになられますでしょう。これでいかがですか。」
バルビローリ「節回しが軽いなら、わしが弾くところだが。さすが、デュ・プレ。さすがじゃ。それでよい。」
と、バルビローリの怨念はデュプレの才能と技量の前に雲散抹消される。
以後、バルビローリはVcソロとオーケストラパートが共演するフレーズでは、Vcソロを妨げないようにしているのでは。
それでも、第1主題のオーケストラパートのVcをソロに負けないほど歌わせているのがバルビローリらしい。
第2主題で、Vcソロの旋律が、Vn次いで木管と重なる部分のコントラストによる美しさ。
フルトヴェングラーとバルビローリには共通点がある。それは音を「無から生成」できることだ。

供16分音符を実にスムーズに流れるように弾いていく。オーケストラの透明感ある瑞々しいアンサンブルとの掛合いを清々しい。
掘キ兇發修Δ世、ソロとオーケストラがこれほど溶け合うケースも稀だと思う。しかもフレージングの感覚も近しい。デュ・プレが「デュプレの才能と技量」でありながら、バルビローリに感覚的に近いことによるのだろう。
検ヂ2主題が変奏されていく中でのVcのアルベジオのすばらしさ。
再現部、第2主題でVcソロが延々と音量を上げていく。「悲劇的要素」が「昇華」されていく観を呈する。
靴硫鸛曚魯謄鵐櫃伐士未鰺泙┐討修譴箸覆行う。気僚奏の回想は菊瑛洋篭い。

◆カプリング:エルガー「Sea Pictures」
Sea Slumber-Songs
In Heven
Sabbath Morning at Sea
Where Corals Lie
The Swimmer
5:04 2:06 6:20 4:10 6:06

アルト ジャネット・ベイカー
ディズニー音楽のもとになっているような素敵な曲。
機ニ粗より「海」の情景。
ソロの背後での伴奏が、Vn→Va→Vcと交互に出て、情景が広がる。
オーケストレーションも見事だし、バルビローリの「無からの生成」もあって、爽やかに「風」が吹き抜けていく。

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