フランス旅行日記 2007.6/27-7/3

6/27

11:30成田初のANA機でパリへ!


 ロシア上空で


約11時間のフライト中は、現地での行動を考え、一睡もしないと決意。
機内映画一本と二回の食事をはさみつつ、持参したミステリー小説を黙々と読み進め、
クライマックスのラスト30ページを残したまま機体はシャルルドゴール空港に滑り込む。

初のフランス上陸!天気は若干の雨。現地時間16:40。

空港からパリへはバス移動。ここで痛恨の車酔い!ここまで順調だったのに!!
40分かけてバスがオペラ・ガルニエに到着すると、とりあえずカフェに入り一休み。


その後ホテルに荷物を置くとすぐに東駅の横にあるカフェK ('カ'と読む)に向かう。
ここでは毎週水曜日にギタリスト'Angelo Debarre'がライブ&セッションをやっているという。
しかし残念ながらこの日は彼は休みで、若手のギタリスト×2とバイオリニストが演奏していた。

 ホテルからの写真

サモア前日ということで、スウェーデンのギタリストAndreas Obergや
去年チャボロのバンドで来日したバイオリンのCostel Nitescuが来ていた。
他にもギターを抱えた人が続々とやってくる。

広い店内では、ステージを少し離れると音楽に聞き入るわけでもなく
酒を飲みながら仲間との会話を楽しんでいるグループがほとんどで、
カジュアルな雰囲気がとても心地良い。

夜も更けてステージがセッションタイムに突入したころ、
数年前に日本に滞在していたフランス人のギタリスト、セドリックがリハーサルを終えて来店。
約2年ぶりの再会!彼はギターの先生やバンド活動、作曲など、毎日忙しくしているらしい。

ギタリストでごった返すステージを尻目に外のテラス席でセドリックとセッションを始めると、
店内からミュージシャンがフランス語で何やら言ってくる。
僕が???な表情をしていると手をつかまれ、そのままステージに立たされる。
流れでジャンゴ作曲のHungariaとTwelfthYearを演奏する。
ここで現地でお借りしたギターにポジションマークが無いことが判明!何とか弾ききる!

深夜0時を回ったころ、急に眠気に襲われ、ホテルに戻り就寝。パリ一日目終了!


6/28

この日はサモアのジャンゴ・フェス初日。
パリから現地近くのMelunという町のホテルまで移動。
フェス初日は開演が20:30ということで、昼間はぎりぎりまでパリ市内を散策。
この旅の楽しみの一つ、楽器屋廻りをすることにした。

まずはホテルから歩いて行ける距離の、Pigalle周辺に向かう。
ドラムやベース専門店なども立ち並ぶ楽器街を進んでいくと目的地のOldies Guitarsに到着。

 左下にあるのがOldies Guitars

小さな店内はわりと幅広い品揃えで、カウンター奥の壁にマカフェリ・タイプが8本位かけられていた。
大体がDupont製のギターで、古いFavinoもあった。試奏させてもらうも、あまりピンとくるものもなく、すぐ退店。

Pigalleから地下鉄で4駅のVilliersで降り、今度はカスタルチアの工房兼ショップを探す。
この辺も楽器街になっていて、バイオリンや金管楽器など、どちらかというとクラシック系のお店や工房が並ぶ。

カスタルチアは伝統のあるメーカーで(店内の半分はクラシックギターでした)、色々弾いてみたがったが、
噂の通り(?)、ちょっと強めの店主の視線や雰囲気に耐え切れず、一本だけ弾いて退散(涙)
楽器自体は非常にすばらしかった。

その後、楽譜屋を見つけ、教則本や楽譜などを買い込む。
マヌーシュ・ジャズやフラメンコ、ラテン音楽など日本では考えられない品揃えでフランス人がうらやましい。

           
色々な弦楽器の専門店                            楽器の看板が並ぶ                    彫刻の入った楽器

リヨン駅で郊外鉄道に乗り換え、今夜からの宿泊地、Melunに向かう。
駅に着き地図を頼りにホテルに向かうも道に迷ってしまう。幸運にも親切な女性がホテルまで案内してくれた。
観光客慣れのせいかパリではつたない英語でも会話ができたが、田舎町となると容赦なくフランス語で話しかけられる。
奥の手として持参した’喋る電子辞書’を出す隙も与えられずに、否が応でも外国に来たことを痛感させられるが、
逆にますます旅情が深まりいいというものだ。

近くのスーパーで水や食料を調達してホテルに戻ると、ジプシー・ユニット’フラクタル’でご一緒しているカジカさん、佐々木憲さんに合流。
部屋が隣同士だった。その向こうの部屋はBLUE DRAGのオーナー河村さん。


 ホテルの様子左側の2,3階に部屋が並ぶ


ホテルからフェス会場へは、まずMelun駅から電車で2駅のFontainebleau・Avon駅まで行ってから無料のシャトルバスで約10分。
19時前に到着すると、まだ会場はリハーサル中でオープン前。外で待っている間も野外なのでガンガン聞こえてくる。

だんだんと人も集まり期待感の高まって来た頃やっと開場。4日間の通し券を買い、ついに中へ!

 セーヌ川 (フェスティバルはセーヌ川の中洲を借り切って行われる)


まだ演奏スタートまで時間があるので、とりあえず腹ごしらえ。
並んだ屋台の中から、ホットドッグとポテトを買い、ベンチで食べながら場内を観察していると、
いくつか並んだギターメーカーのブースの内、AJLのブースで今年一月にBLUE DRAGでセッションした
DENIS CHANGを発見。彼はAJLのエンドーサーで、デモ演奏等のために来ているとのこと。
彼も覚えていてくれて、「PLAY!PLAY!」と誘われる。

ブース内のギターを借り、その場にいた男性とセッションする。誰かが弾き始めるとブースの前はすぐに人だかりになる。
カナダから毎年フェスを訪れるというROBERTOは、本業は画家とのこと。
僕はというと、サモアということもあり、非常に緊張してしまった。

その後も会場内をうろついていると、とあるブースにて、Morenoを発見!!
ちょうどセッションを始めるところでかぶりつきで見学。
出演者以外にも有名な奏者が遊びにきてセッションしたりするので、油断できない。

Morenoだけ爆音でした。さすが。

この日の出演バンドは3バンドで、ジプシージャズのバンドはいなかった。
以前ビレリ・ラグレーンのバンドにいたバイオリンのFlorin Niculescuは、ピアノ、ベース、ドラムにゲストでAndres Obergを入れた
5人編成でストレートなジャズを演奏していた。

この日最後のGoran Bregovicのバンドはジプシーブラスを取り入れていて楽しみだったが、帰りのシャトルバスの時間があり、泣く泣く断念。
やはり、このフェスを十分に楽しむには、車で来るか、近くのキャンプ場に泊まるのが前提になりそうだ。

時差ボケのせいか、22時過ぎからものすごく眠くなってしまい、ホテルに着いてシャワーを浴びてすぐに熟睡した。2日目終了!



6/29


フェス二日目。
この日も演奏は20:30からで、昼間はMelun駅前のレストランで食事をした後、
ブルドラの河村さんの車で'ららぽーと'のような色々な店が入った巨大な施設に連れて行っていただいた。

    
スーパーにて。チーズの山                           肉も盛りだくさん                               飲み物も


前日のフェスで、日が暮れた後が結構肌寒かったので、2ユーロの真っ赤な激安ウィンドブレーカーを買う。
何気なく見ていた片隅のCDコーナーにてビレリ・ラグレーンの最新アルバムを発見。購入。

 サーモン寿司。味は以外にも悪くはなかった。

 

フェス初日の昨日は気分的には会場内の様子見といった感じだったが、二日目の今日は
バイオリンのカジカさんとアコーディオンの佐々木憲さんと僕のジプシー・ユニット「フラクタル」でサモアの会場で演奏してみることに。

ホテルでのリハーサル


フェス会場へは昨日より少し遅く19時過ぎに到着。まだ人もまばらだったが、屋台で買った食事をしているとだんだん人が増えてきた。
勝手がわからないので、とりあえず食事をしていたベンチで楽器を出すと、早くも雰囲気を察知した人が僕のギターを覗きに来る。

横の人が何やら僕のギターを見て話してます。

何か期待されているような視線に僕が「All Of Me」を弾き始めると、佐々木さんも合わせてくれて、勢いでガンガン弾きまくる。
自然に人が集まって来て、そのままフラクタルのレパートリーに突入!

   
だんだん人が集ってくる                           内心は結構ドキドキ       

結果的にたくさんの人が足を止めて聞いてくれた。周りがギタリスト中心のセッションばかりの中で、
アコーディオンとバイオリンを交えたアンサンブルが珍しかったのもあったと思う。
皆さん曲が終わるごとに温かい拍手を送ってくれる。5曲くらい演奏して終了。
右も左もわからない不安の中での演奏だったが、第一歩としては確かな手応えを感じた。


フェスティバル2日目のステージは、何といってもトップバッター,ギターのAngelo DebarreとアコーディオンのLudovic Beierのカルテットが目玉だろう。
やはりジプシージャズの、しかも大御所ともなると歓声も全然違ってくる。一曲目のキャラバンから興奮しっぱなしだった。
音のバランスもよく、迫力のある音圧でバリバリと弾いていく。
極めつけはステージ中盤、Angeloの弦が切れたとき。Ludovicがクラシックのような曲を一人で弾き始めて、一曲ソロで弾くのかと思ったら、
弦を早業で張り替えたAngeloが合流し、そのままバンド全員でパガニーニのカプリース24番に突入!
完全にノックアウトされてしまった。

 アレンジやグルーヴも最高


その後、セッションをしようとブースをまわる。どこも結構な人だかりだった。昨日よりもかなりの人手だった。
Dupontのブースでセッションを始めると、先ほどAngeloのステージにも登場した、彼の息子さん(8歳前後?)が入ってきた。
彼はまだバッキングしかやらないらしく、小さな手でMinor Swingを一緒に演奏してくれた。

隣のAJLブースを覗くと、Gypsyのギタリストが3人でセッションをしていた。どうやら普段から一緒に演奏している仲間たちのようだ。
横ではAndreas Obergが立ち話をしている。彼もAJLエンドーサーの一人で、ブースでは彼が使用していたギターがセールに出されていた。
するとGypsyの一人が彼にギターを渡し、演奏を促す。一瞬遠慮したそぶりを見せるも、快く演奏の輪に加わっていく。

Gypsyに混じるAndreas Oberg(左側の黒い服)

AndreasはメインはモダンジャズのプレイヤーだがDjangoにも傾倒しており、その手のアルバムも数枚出している。
ネットの動画でも見たことがあるが、生で演奏を聞いて、彼の生音が非常に小さいことに驚いた。
彼のピッキング・スタイルはいわゆるエレキ・ギターのスタイルなので、マヌーシュ・ジャズ奏法と比べて音量が小さいのは当然だが、
これも生で演奏を聞けたからこその発見だろう。でも相変わらず鮮やかな速弾きを披露していた。


ステージではウッドベースのAvishai Cohenのバンドがやっていた。
超絶ベースソロをフューチャーしたパフォーマンスは、ステージ裏手のブースの方まで歓声が聞こえてくるほどだった。

この日のラスト、以前ビレリ・ラグレーンのバンドでサイドギターをやっていたThomas Dutroncバンドは、またしてもバスの時間があり、見れずじまい。
しかし自分達の演奏を聞いてもらえたのと、Angeloバンドの最高のパフォーマンスとで、とても興奮した一夜だった。3日目終了!



6/30


フェスも後半、3日目に突入。この日は土曜ということで、少し早めの16:00からのスタートだった。

ホテルで少しフラクタルのリハをしてから、16:00を目安に会場に向かう。
週末ということもあり、会場へのシャトルバスは満員だった。

今日のステージ、トップバッターは8人編成くらいの地元(?)のアマチュア(?)ジャズバンド。
一曲だけ鑑賞した後、セッションをしに裏手に向かう。

昨夜はみんな遅くまでやっていたのか、まだ人は少ない。ブースにも人はまばらだった。
昨日と同じく、テーブルの周りの椅子で楽器を広げ、フラクタルでの演奏を始める。
あいかわらずみんな楽器の音には敏感に集まってきてくれる。

  
すぐに人だかりができる                              熱心に写真、動画を撮っていく人も多い


前日で結構雰囲気がつかめてきたので、わりと自分たちのペースで演奏をすすめる。
野外ということと、ギター中心のフェス、ということもあり、スピーディーで勢いのある曲の方が反応がいいようだ。

二曲のジプシー・ナンバーをメドレーで演奏した後は、大ききな拍手とともに「ブラボー!」の声があちこちから上がる。
5曲ほどやって切り上げたあとは、みんな僕達に声をかけてくれる。
僕は「Merci Beacoup(ありがとうございます)」と「Je suis japonais(僕は日本人です)」くらいしか言えなかったけど、
異国からやってきたミュージシャンをみんな暖かく迎えてくれる気持ちは伝わってくる。
音楽に国境は関係ないし、言葉がなくても音楽が好きな気持ちは伝わることを確信した。

その後ステージに向かうと、パリのカフェKでや昨日もブースで見かけたスウェーデン出身のギタリスト、
Andreas Obergのステージが始まるところだった。もう席は埋まっていて、袖から覗くようにして見る。

ピアノ、ベース、ドラムとのカルテット編成

彼は基本的に新進気鋭のモダンジャズのプレイヤーだけど、マヌーシュ系の演奏も多く、
マヌーシュ・ジャズ・ファンの間ではすでに広く認知されている。
広い音域での速弾きが得意で、フルアコ・ギターでストレートなジャズナンバーを弾いていく。

3曲ほど聞いた後、やはり自分もセッションがしたくなり、裏手に移動。
ブースを覗くと、ちょうどRoland Gagel Villelaというドイツのメーカーが空いていて、チャンス!とばかりに突入する。

初めて聞く名前のこのメーカー、小さな個人工房のようで、ルシアーとその奥さんの二人で、ギターを2本だけ持ってきたようだ。
このフェスティバルはこういったまだ小さなメーカーがプレイヤー達にアピールする絶好の場所でもあるのだろう。

僕がギターを持つと、奥さんの方は昨日のフラクタルの演奏を聞いてくれていたらしく、「よかったわよ」みたいな言葉をかけてくれる。
すっかり調子に乗った僕は、その場にいた佐々木さんを巻き込んで、演奏を開始!

 Them There EyesやDouce Ambienceなどを演奏

気になる楽器の方は、みんなに弾き倒されて弦が死んでしまっていたけど、非常によくできていた。
弾きやすさと音量が両立していて、初めて持つのに気持ちよく演奏できる。
オール・メイプル・ボディで14FジョイントのDホール・ギター、一本欲しい!


その後、非常ににぎわってきた場内を歩くも、どこもセッションで人があふれている。
しょうがなく、食べ物の屋台の裏手、セーヌ川沿いで休憩。
ここでも佐々木さんとセッションをしてみる。

  
セーヌ川沿いで                          どこでも人が寄ってきます

この辺から、「可能な限りたくさんの人たちに演奏を聞いてもらおう」というモードになっていた。


 
強引にはじめる                                  すぐに輪ができる

 
盛り上がってます                                   楽しむ余裕もでてきた

川辺で休憩しながら一人で楽器を弾いていると、フェス初日に出会った日本人のギタリスト、シンゴさんと出くわす。
さっそくセッションに誘い、弾き始める。フラクタルとはまた違う、ジプシー・ジャズ・ナンバー中心に弾きまくる。
途中から佐々木さんも参加。

   
セーヌ沿いの日本人                            セーヌ沿いの日本人×2                         セーヌ沿いの日本人×3

ここでちょっとしたハプニング発生。演奏中ずっとビデオカメラで撮影していた一向が、終了後に「インタビューを撮らせて欲しい」と言ってくる。
(おそらく)フランス人の彼らは、マヌーシュ・ジャズのドキュメンタリー・フィルムを撮影中とのこと。
3人ともフランス語はまったくだめで、一応英語が若干できる僕が受けることになった。


 
頼りなさげな青年…                                   身振りも交えて必死です


インタビュー内容は、「どこから来ましたか」、「何年ギターを弾いていますか」などの基本的なものから、
「なぜマヌーシュ・ジャズが好きなのですか」「日本ではマヌーシュ・ジャズは人気ですか」などと続いた。
どの程度伝わったかわからないけど、これも貴重ないい体験だ。


ステージでは、Patrick Saussois&Alma Sintiの演奏が始まるころ。客席はもう常に満席で、また横の方から鑑賞。
アコーディオン、サイドギター×3、ピアノにベースを従えた7人編成で貫禄の演奏。

大人な雰囲気です


テクニックに走らず、ゆったりとした雰囲気の、「お洒落なフレンチ・ジャズ」といった印象だ。
彼はこのフェスティバルの実行委員としても毎年貢献してくれている。


ステージ後も演奏場所を探して会場内をうろつくも、また川辺しかなさそうだ。
迷う暇もなく楽器を広げる。今度はフラクタルでの演奏。

場所さえあればやったもん勝ちです


暗くなってからも場内を物色しつつ、演奏のチャンスをうかがう。
テーブル席の隙間を見つけて、隣の人たちに一言断ってフラクタルで演奏を開始!

夜はいっそうGypsy曲が似合うムードに

ますます人も増えてきて、心なしかGypsyの方々が目立ってきて、彼らに取り囲まれるようにして演奏。
「これって結構ヤバイ雰囲気なんじゃないの?」と正直不安を覚えるも、一曲終わるごとに拍手をくれたり、曲中でも声援をくれる。
そこにGypsyのボスみたいな人が現れると、その人の取り巻きがさっと椅子を差し出し、がっつり鑑賞モードに。

これにはますます緊張が高まる。しかし取り巻き同様、ボス(らしき人)も、とても喜んでくれている様子だった。
安心すると同時に、少し彼らに認めてもらえた気がして、自信がついた。


すっかり日も沈み、ステージではトリのCaravan Palaceの演奏がロック・コンサートのような盛り上がりを見せる中、バスに乗ってホテルに戻る。

一日ずっと弾きっぱなしで興奮状態だった疲労と、緊張が解けたせいか、この日もすぐにぐっすり眠ってしまった。4日目終了!



7/1

いよいよジャンゴフェスも最終日。演奏は13:30〜スタート。
午前中にホテル近くのスーパーに行ったりフラクタルの練習をして、13:30に間に合うように出発する。

が、Melunからの電車のタイミングを逃し、休日ダイヤのせいで小一時間ほど待たされる。
時間がもったいないので、弦を張り替えたり、パンを食べたりする。

フェス会場に入る前に、会場近くにあるDjango Reinhardtの墓にお参りに行こうとするも、突然の豪雨に襲われ、断念。
会場では1バンド目のGilbert Leroux Washboard Groupが演奏していた。

最終日だからか、雨のせいか屋根のある観客席は最後列まで満席。
仕方なく、チャイや水タバコなどの並ぶ、オリエンタルな雰囲気のテント(カフェ)で雨宿りをする。

次第に雨も弱まってきたので、ステージを覗きに行く。
Gilbert Leroux Washboard Groupはベテランな雰囲気のおじさんたちがSwingの名曲を小気味良く演奏していた。
ジャンゴと同時期に活躍していたこういったSwing系のバンドがこのフェスにはもっといてもいいと思った。
アンコールも終わる頃には、雨もほとんど上がっていた。

今日も自分でもたくさん演奏したいな、なんて思っていると、
フェス初日に出会ったカナダ人ギタリスト、Robertが偶然近くのベンチにいた、
早速セッションを始めると、どこからともなくギタリストが集まり、セッション大会が始まった。

  
多国籍なセッション
                                                      Robertと

演奏終了後に、この日のトリで出演するYorugui Loefflerのマネージャー氏が声をかけてくれる。
僕が「Yorguiには日本で一昨年会ったよ」というと「ああ、Marcel Loefflerのバンドね」と答え、
特に演奏の感想もなく、なぜかYoruguiのビジネス・カードを2枚僕に渡し去っていった。

フラクタルでも演奏しようということで、場所を探す。
最終日は入場者数も最高のようで、会場内はすでにかなりにぎわっていた。
ベンチで強引に演奏を始める。

 
最終日もフラクタルで                  

この日もたくさん人が集まり、調子よく演奏していると、張り替えたばかりのギター弦が切れてしまう。
仕方なく演奏中断。しかし惜しみない拍手をもらえた。

ステージでWawau Adler のグループの演奏が始まるということで向かうと、客席は満席。
しかしどうしても近くで見たい僕は、観客席の最善列とステージ前の柵の間の3mほどのスペースに
レインコートを弾いて座り込む。周りもそうした人で埋まっていく。

Wawauのほかには、一昨年、秋の銀座Jazzフェスティバルで来日したアコーディオンのMarcel Loeffler、
去年Tchavoloバンドで来日したバイオリンのCostel Nitescu(パリ初日にカフェKにもいた)という豪華な編成。
のはずだったが、なぜかバイオリンのCostelは姿を見せず、サイドギター、ベースとの4人編成だった。

ギターはラインは使わずに、スタンド・マイクで音を拾っていたので、最初はちょっとバランスが悪かったが、
だんだんとよくなり、ハイテクニックを堪能できた。

 予想外にバカテクでした

結局最後まで姿を現さなかったバイオリンのCostelだが、その後ステージ裏のベンチで家族で食事をしていた。
手には出演者のリストバンドを巻いていたのだが、結局理由はわからずじまい。
僕が手を振ると、笑顔で応えてくれた。


Wawauグループ鑑賞後は、トリまで場所をキープしていようかと思ったが、じっとしていると寒さが厳しいのと、
最後にまた演奏したくなって、その場を離れる。セーヌ川沿いで弦を張り替えると、フラクタルの2人とともに演奏に向かった。

フェスも佳境に入り、どのブースも人であふれている。
ベンチで楽器を取り出し、まずは佐々木さんとセッション的に始めると、ギタリストが続々と集まってくる。
フラクタルのレパートリーと、みんなが知ってる曲を交互に弾いていく。

  
最後のセッション                       悔いの残らないように演奏                                      

こうして散々弾き倒したジャンゴ・フェスでの最後のセッションが終了。最後にふさわしいにぎやかな演奏だった。

あとは最後のステージを残すのみ。またうまくステージ近くに場所をとり、登場を待つ。
この日のトリは、Samson Schmitt,Yorgui Loeffler,Mike Reinhardtの若手三人を中心にした’Les Enfants De Django’に、
ゲストでTchavolo Schmitt,Dorado Schmittを加えたというスペシャルバンド。
ベースにはBireli Lagrene バンドのDiego Imbertが参加して、まさにドリームチームのような編成。

まずはLes Enfants De Djangoによる演奏。

  
Mike Reinhardt                               Yorgui Loeffler

まだ20代の若手同士、火花の散るような演奏を繰り広げる。
それぞれ自分のバンドを持って活動しているので、普段どの程度この形態でライブをやっているのかわからないけど
アレンジもしっかりしていて聴き応えがある。みんなとてつもなくうまい。

若手だけでしっかり聞かせた後、いよいよゲストの二人を呼び込む。
全員でやるのかと思ったら、曲によって面子を変えて進んでいく。

 Dodado Schmitt(左)とTchavolo Schmitt(右)

Doradoはバイオリンも結構弾いていた。
Tchavoloも相変わらずエモーショナルなプレイで沸かせていたが、どちらかというとDoradoの方が目立っていた気がする。

印象的だったのが、みんなバンバン弦を切っていたことだ。ステージで弦が切れても特に驚いた様子も見せない。
日常茶飯事なのだろう。

ライブ終盤は全員揃って演奏していた。これだけの面子が一同に会すと圧巻だ。

     
Les Enfants De Django                               +Dodado Schmitt&Tchavolo Schmitt

お約束の「黒い瞳」、「Minor Swing」でジャンゴ・フェスすべてのプログラムが終了。

帰りのシャトルバスが終了してしまっていたために、ブルドラ河村さんの車に同乗させていただきホテルに帰る。
この旅のメインイベントが終わり、完全に気が抜けてしまい、またしても爆睡。5日目終了!

   
Djangoの晩年の家の前で                        Djangoをモチーフにした絵画ブースで          セーヌ川


7/2

フェス期間中滞在した町Melunを去る。
お昼ごろホテルをみんなで出発し、パリ市内リヨン駅で別れる。

今日のホテルは、パリの中でも繁華街のForum des Hallesのすぐ近く。
ホテルを一歩出るとすぐに飲食店やショップが立ち並ぶ。
荷物を置くとさっそく散策に出かけた。

  
ホテルの近く、サントゥスタッシュ教会                  中の様子                          ルーブル美術館も歩いてすぐ


日本食屋もよく見かける。そういえばフェス会場の近くFontainebleau・Avon駅前にもあったし途中の駅でもなんどか見かけた。
途中で楽譜屋を見つけて一冊購入。

  
マドレーヌ教会                                商品取引所                                 オペラ・ガルニエ


歩いているといたるところで歴史的な建物に出くわす。どれもとても凝ったつくりで、建物めぐりだけでも相当楽しめる。
お菓子屋さんも多く、有名ブランドのお店もあった。
   
MICHEL CLUIZEL                              GODIVA                                    LADUREE

LADUREEはフランスで大人気らしく、長い行列ができていた。今秋、日本にも上陸するそうだ。
この日残念だったのは、楽しみにしていた楽器屋、Le Shopが月曜でお休みだったこと。
しかも店頭の張り紙によると、営業時間は14:00〜18:00。パリ人らしいということなのだろうか。
ただ、幸運なことにお店の場所がホテルから歩いてすぐだったので、また明日出直すことにした。

夕食はパリ最後の夜ということでホテル近くのレストランに入るも、メニューがまったくわからずに雰囲気でコース料理をオーダー。
食事に関してはその辺のパン屋さんのパンが一番美味しかった気がする。6日目終了!


7/3


この旅もいよいよ最終日。にも関わらずあいにくの雨。
ホテルで朝食をすませて帰りの荷作りをしてチェックアウト。荷物はホテルのロビーに預かってもらい、お土産などを買いに出かける。

雑貨屋で次回(?)のためにパリ市内の地図を買い、昨日も通ったMICHEL CLUIZELでチョコを買い店を出ると、
近くの角からどこかで見た黒い服のおじさんが歩いてくる。なんとTchavolo Schmittだった。
後で聞いた話だと、彼は週一のペースでパリ市内でライブ&セッションをやっているらしい。


午後二時に、初日にも会ったセドリックとシャトレ駅で待ち合わせをして一緒にご飯を食べる。
彼のおすすめでフランスの伝統的な肉料理を食べた。
彼はリハーサル帰りで、これから自宅で生徒のレッスンがあるそうだ。

昨日お休みで入れなかった楽器屋Le Shopにそのままセドリックと一緒に行く。
Galerie Vero-Dodatという、アンティークな家具屋などが並ぶアーケード街の中にあるお店だ。

飛行機の時間もあってあまりゆっくり見られなかったのが残念だったけど、急いで楽譜や教本を購入。
日本にはまず入ってこないようなメーカーのギターもあり、弾いてみたかったけど泣く泣く断念。

 お店の外観(購入したポストカードより)


セドリックとも別れ、いよいよパリをあとにする。
空港へはシャトレ・レ・アール駅から電車に乗って向かった。

空港で荷物を預けてぶらぶらしていると、売店内の雑誌コーナーで、アコースティックギター雑誌を発見!
表紙はThe Rosenberg Trioだ。よくフランスのマヌーシュ・ジャズのホームページで見ていた雑誌で、即購入。

 Manoucheプレイヤーが表紙なんて信じられない…


新作を出したThe Rosenberg TrioやMorenoのインタビュー、Samson Schmittのギター試奏など、日本では考えられない内容だ。
もちろんマヌーシュ・ジャズ以外にもアコースティックギター全般に関する記事が載っているが、
ちょっとした情報ページにもマヌーシュ・ジャズ関係の記事が載っていたりする。
付属のCD-RomにはRosenbergをはじめ、教則ページのデモ映像が入っている。(もう一枚、音だけのCDも付属)
改めて情報量の多さをうらやましく感じてしまう。


その後もすべて順調に進み、現地時間20:00にシャルル・ド・ゴール空港を離陸。
約11時間のフライトを経て日本時間7/4 14:30、無事に成田に到着!

機内からみた太陽



旅を終えて

約一週間と短い旅でしたが、目的がはっきりしていた分、密度が濃く充実した毎日だったと思います。
トッププレイヤー達の演奏を聞けたのはもちろん、一般の人たちの演奏を多く聞けたのも収穫だと思いました。
そして自分も演奏できたのが大きな経験になりました。

普段インターネットで海外のサイトから情報を集めたりもしますが、やはり現地で体感するのが何よりだと思いました。

といっても日本でもまだまだ自分を磨くことはできるはずなので、また次に行ってセッションする時まで、
もっともっと修行をつんでいこうと思います!