一、うどんは讃岐か
2003年現在、世は空前のうどんブーム。少なくともメディアではうどんの特集番組や記事を探すのに苦労を要しません。
またデフレの嵐を追い風に低価格のうどんチェーンがそこかしこに進出を果たし、既存の外食産業も新しい事業としてこの分野に注目していることがうかがえます。
そこで注目されるのが、全国に通用するネームバリューと話題性が豊富な讃岐うどんです。
メディアや企業との蜜月により、もともと実力のあった讃岐が今のうどん界を席巻しているのが現状と言えます。

二、福岡はどうか
一方、ブームと言えばラーメンブームと騒がれて久しくなります。
福岡始め、九州のトンコツラーメンも立派なジャンルに成長し、全国区進出の先鞭を既に付けているのは周知のところです。
ご当地博多ともなれば、そりゃもうラーメン屋だらけ?
インターネットタウンページで検索できる福岡市博多区のラーメン屋数は104件。
これは結構な密度でしょうし、日々確実に増え続けています。
で、やっとうどん屋。
同じく検索した結果は、、、99件。
正直なところ驚きました。
もはやラーメンの街だと思っていた博多で、同数に匹敵するうどん屋が健在なのです。

三、福岡のうどんは?
タモリ曰く「博多のうどんに、コシはいらない」。
いらないかどうかは置いておくとして(笑)、一般的に福岡のうどんは柔らかいものが多いのは事実です。
中世、うどんがここに伝播した時代にはきっと小麦の粉をこねて延ばして切っただけだったのでしょう。塩を加えたり、時間をおいて熟成させたり、現代のような工夫された行程を経ないうどんは、茹でればゆるゆるになったのだろうと想像できます。
故に柔らかいのは、発祥地の伝統を踏まえているのだ、とする向きもあります。
それに、この土地の産業的背景も関係しているかもしれません。
もともと商業地域である福岡では、多くの食堂で日々消費されるために製麺は機械化され、
効率化のために茹で置かれて供給されてきたのではないでしょうか。
讃岐のようにゆったりとした環境で、手をかけられ充実したうどんが育ったのとは逆に、バタバタとした時間の中でできあがったテロテロさが、福岡のうどん文化なのでは。
これは奇しくも、魚市場の喧噪の中から生まれた長浜のラーメンに通じますね。

四、そして
食は文化なれば、一つの幹からたくさんの枝葉が伸びます。
福岡のうどんも、昔ながらの食堂風があれば、拘りの手打ちあり、本場を豪語する讃岐からの切り込みありで、踏み込んで行くほどにけっこう楽しい状況です。
材料は小麦の粉だけ、という実に原点に近い食べ物であるうどんは、まず「とてもマズイ」ということがありません(よっぽどでなければね)。
いいトコ探しをしながら、理想のうどんに出会えれば、と夢見る毎日であります。