風俗営業始めま専科!
性風俗関連特殊営業開始届出
風俗営業許可申請手続代行センター
愛媛県四国中央市 海事代理士・行政書士  藤 田  晶  事務所
海事代理士・行政書士   藤 田   晶  事務所 社団法人 日本海事代理士会 正会員
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いわゆる個室ビデオ店が、風営適正化法(風営法)第2条第6項第3号に該当するとされた裁判例
事件番号 平成19(う)1189
事件名 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反被告事件
裁判年月日 平成19年 8月29日
裁判所名・部 東京高等裁判所 第5刑事部
結果 棄却
高裁判例集登載巻・号・頁 第60巻3号1頁
原審裁判所名 横浜地方裁判所 川崎支部
原審事件番号
判示事項 いわゆる個室ビデオ店が、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律2条6項3号、同法施行令2条1号の定める「専ら、性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる興行の用に供する興行場」に当たるとされた事例
裁判要旨 いわゆる個室ビデオ店は、一般ビデオ店や一般DVDを上回る多数のアダルトビデオやアダルトDVDが陳列され、店外へのビデオ等の借出しができず、店内の個室のみでビデオ等の視聴が可能で、その料金が一般のレンタルビデオ店の料金よりもかなり高額に設定され、アダルトビデオ等を視聴する個室利用客の割合やその売上額の割合が高いなど、判示の事情の下においては、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律2条6項3号、同法施行令2条1号の定める「専ら、性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる興行の用に供する興行場」に当たる。
主     文
本件控訴を棄却する。
理     由
 本件控訴の趣旨は、弁護人●●●作成の控訴趣意書記載のとおりであるから、これを引用する。
 所論は、要するに、原判決は、「罪となるべき事実」において、被告人が、店舗型性風俗特殊営業を営むことが禁止されている神奈川県条例で定められた施設の敷地の周囲200メートルの区域内にある川崎市高津区内のビルの3階に、「甲店」の名称で営業所を設け、平成18年6月2日午後10時20分ころ及び同年7月28日午後7時10分ころ、前後2回にわたり、同営業所内に設置した個室において、不特定多数の遊客である男性2名に対し、専ら、性的好奇心をそそるため、衣服を脱いだ人の映像を見せるいわゆる個室ビデオ店を営み、もって、店舗型性風俗特殊営業禁止区域において、同営業を営んだという風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」という。)違反の事実を認定したが、被告人の営む「甲店」(以下「本件個室ビデオ店」という。)は、風営法2条6項3号、同法施行令2条1号の定める「興行」及び「専ら」の要件を充足せず、店舗型性風俗特殊営業に該当しないのであるから、被告人に営業禁止区域における店舗型性風俗特殊営業の罪の成立を認めた原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認がある、というのである。
 そこで、記録を調査して検討すると、原判決が「罪となるべき事実」及び「補足説明」において認定、判示するところは、当裁判所も概ね正当として是認することができる。所論に鑑み、以下に補足して説明する。

第1 「興行」の要件
 所論は、本件個室ビデオ店においては、客自身が、機器を借りて、「衣服を脱いだ人の姿態」を自由に再生するので、「興行」をするのは客自身であって、営業者は、客に対し、その道具、備品及び部屋をレンタルするだけであり、「映像を見せる興行」をしていないのであるから、本件個室ビデオ店が、風営法2条6項3号、同法施行令2条1号の定める「映像を見せる興行の用に供する興行場」に該当しない旨主張するので、検討する。
1 関係法令
(1) 風営法2条6項3号は、「専ら、性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態を見せる興行その他の善良の風俗又は少年の健全な育成に与える影響が著しい興行の用に供する興行場(興行場法(昭和23年法律第137号)第1条第1項に規定するものをいう。)として政令で定めるものを経営する営業」が、「店舗型性風俗特殊営業」に該当することを定めている。
(2) 風営法施行令2条1号は、「ヌードスタジオその他個室を設け、当該個室において、当該個室に在室する客に、その性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態又はその映像を見せる興行の用に供する興行場」で、「専らこれらの」「興行の用に供するもの」が、風営法2条6項3号の政令で定める興行場に該当することを定めている。
(3) 興行場法1条1項は、「この法律で『興行場』とは、映画、演劇、音楽、スポーツ、演芸又は観せ物を、公衆に見せ、又は聞かせる施設をいう。」と定めている。
2 本件個室ビデオ店の営業形態等
 関係各証拠によれば、本件個室ビデオ店の営業形態等について、次のような事実が認められる。すなわち、
(1) 本件個室ビデオ店は、客の性的好奇心をそそるため、衣服を脱いだ人の姿態の映像(女性が裸体となって性交や性交類似行為等を行っている映像)を録画したアダルトビデオやアダルトDVD(以下「アダルトビデオ等」という。)を店内に多数陳列するとともに、ビデオやDVDの再生装置を備えた個室8室を店内に設けており、各個室の出入口の扉は、中から施錠ができるようになっていた。
(2) 本件個室ビデオ店では、客に対し、店内の陳列棚から好みのアダルトビデオ等を含むビデオやDVD(以下「ビデオ等」という。)を5本まで選択させ、選択したビデオ等を受付カウンター内の棚から出すなどして、それを店内の個室での視聴に限って有料で貸し出し、個室を指定し、テレビ用のヘッドホン及びリモコンも一緒に手渡すことによって、店内の個室において、再生装置を自ら使用して視聴してもらい、視聴が終われば、客からそれをヘッドホン等と一緒に返却してもらっていた。
(3) 本件個室ビデオ店では、ビデオ等の貸出料金の体系は、1時間が2000円、2時間が3000円、3時間が4000円、時間無制限が6000円、延長が30分につき1000円と時間制となっており、客に対しては、受付カウンターで料金を前払いさせてから個室に入れていた。
(4) 本件個室ビデオ店では、客は、店内に陳列されているビデオ等を店外に持ち出す形のレンタルが一切できず、店内の個室でしか視聴できなかった。
3 「興行」の要件の該当性
 これらの事情に照らせば、本件ビデオ店は、店内に多数の個室を設置し、多数のアダルトビデオ等をあらかじめ準備した上、来店した客に対し、店内の個室において、それらのアダルトビデオ等のうち客の選択したものを視聴させていたのであるから、「客の性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる興行」を行っていたことは明らかというべきである。そして、この点は、客が、個室において、備え付けられた再生装置を自ら操作してアダルトビデオ等を再生するかどうかや、どの部分を再生するのかなどについては、客の判断に委ねられ、店舗側が一切関知しないからといって、所論主張のように、「興行」を行うのが、客自身であって、本件個室ビデオ店が、「映像を見せる興行」をしていないことになるものではない(実際にも、わざわざ料金を支払ってアダルトビデオ等を借り出した客が、そのアダルトビデオ等について、内容の不備や時間の制約等により途中で視聴を打ち切ることはあっても、女性が裸体となって性交や性交類似行為等を行っている部分を全く見ることなく、そのまま店に返却することは、考え難いところである。)。
 したがって、本件個室ビデオ店が、「映像を見せる興行」をしていないことを理由に、法令の定める「映像を見せる興行の用に供する興行場」に該当しない旨の所論は、採用することができない。
第2 「専ら」の要件
 所論は、警察庁生活安全局作成の「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準」(以下「解釈運用基準」という。)第5の3の(2)が、風営法2条6項3号、同法施行令2条の定める「専ら」について、「『専ら』とは、他の営業でも同様であるが、おおむね7割ないし8割程度以上をいう。」と解釈及び運用の基準を示しており、第一線で取締りに当たっている警察は、これを受けて、店内に陳列してあるアダルトビデオ等の本数の割合が7割以上の場合に、「専ら」に当たるとこれまで判断してきており、被告人も、それを知って、本件個室ビデオ店においては、陳列するアダルトビデオ等の本数の割合を6割くらいに抑制し、7割を下回るようにいつも気を付けて在庫管理しており、実際にも、陳列されていたアダルトビデオ等の本数が7割を下回っていたのであるから、本件個室ビデオ店が、風営法2条6項3号、同法施行令2条1号の定める「専ら」に該当しない旨主張するので、検討する。
1 被告人及び従業員の各供述
 被告人及び本件個室ビデオ店の従業員であるAは、同店の営業形態について、次のように供述している。
(1) 店内には、客の性的な興奮を煽るために、女性の裸や性交場面が映ったプロモーションビデオを流し、アダルトビデオ出演女優のポスターを多数貼っており、アダルトビデオ等を借りて個室で視聴している客に気持ちよく自慰行為や射精をしてもらうために、自慰用グッズやローションを販売したり、コンドーム1個を無料サービスで渡したりしているので、店では、一般ビデオや一般DVD(以下「一般ビデオ等」という。)を個室で視聴する客は念頭になく、アダルトビデオ等の本数の比率に関係なく、アダルトビデオ等を個室で見せる営業で店が成り立っている。
(2) 一般ビデオ等については、一般のレンタルビデオ店で借りれば、店の個室で見るより安く済むので、わざわざ個室で視聴する必要はなく、それを個室で見る客はほとんどいないことから、一般ビデオ等の個室での視聴では店の営業が成り立たないので、アダルトビデオ等を個室で見せる営業を行っていた。
(3) 店の客層は、20歳から60歳までくらいの男性であり、自宅では家庭環境等によりアダルトビデオ等を視聴できないなどから、店の個室でアダルトビデオ等を視聴することが来店の目的である。
(4) 店の外は、「アダルト」と看板等で掲げており、店内は、セックス関連の販売商品、ポスター、プロモーションビデオ、アダルトビデオ等が溢れているので、店には、女性客はまず来ないし、子供も当然来ない。
(5) 店の外観や内装から考えれば、一般ビデオ等だけを借りる客は、まずいないし、実際にも9割以上の客が、個室でアダルトビデオ等を視聴していることは間違いない。
(6) アダルトビデオと一般ビデオを混合させて借りる客がたまにいるが、そのような客も、一般ビデオはまず見ていない。なぜならば、ビデオは、巻き戻さなくてもよいと店内で掲示してあり、アダルトビデオは巻き戻っていないのに、一般ビデオは巻き戻ったままの状態であることがほとんどだからである。
(7) 店内では、販売用のビデオが置いてあり、代金は、一般ビデオが1本500円、5本1000円で、アダルトビデオが1本1000円、5本2000円であるところ、その購入客は、1日に一、二名くらいである。また、コンドームが1日に20個くらい、ローションや自慰用グッズがそれぞれ1日に一、二個くらい売れるが、個室で利用していく客がほとんどで、店外に買って帰る客は、ほとんどいない。したがって、店の売上げは、9割くらいが個室ビデオでの視聴の売上げである。
(8) アダルトDVDは、2週間に1回くらい、30本くらいの新作を入荷している。これに対し、一般ビデオ等は、アダルトビデオ等と比べると、販売数等も少ないので、2箇月に1回くらい入荷しているが、値段の高い新作は入荷していない。
(9) 店は、平成17年11月に警察に摘発されたことがあったので、それ以降、警察の摘発を逃れるために、アダルトビデオ等の本数を減らし、一般ビデオ等の本数を増やしたが、店の営業の実態が、アダルトビデオ等を個室で見せるものであることは、アダルトビデオ等の本数の比率に関係なく、変わっていない。
(10) 店の売上げにおけるアダルトビデオ等の視聴による売上げの割合を7割以下に抑制することは、売上げ全体を縮小せざるを得ず、店の経営を続けて利益を上げるとすれば、無理な話であった。個室でのアダルトビデオ等の視聴による売上げの割合が9割近いので、売上げ比率を適用されれば、店は間違いなく店舗型性風俗特殊営業に認定されることは分かっていた。
(11) 店内の陳列棚とは別に、受付の奥にある個室前の通路の陳列棚には、万引きされてもいいような類の一般ビデオが陳列してある。それらは、客が、店内の陳列棚からビデオ等を借り出し、受付を通って個室前の通路に入らないと目にすることができないものであり、客がそれらの一般ビデオを受付に持っていった借り出すことも可能であるが、そのような客はほとんどいない。
(12) 平成18年6月2日当時と同年7月28日当時で、アダルトビデオ等の配置や本数の比率は変わっておらず、店の営業の実態がアダルトビデオ等を個室で見せることにあることも変わっていない。
2 本件個室ビデオ店の営業実態等
 同店の営業実態等に関する被告人らの上記供述は、前記第1の2の(1)認定の各事実のほか、関係各証拠により認められる次のような事実によって、裏付けられている。すなわち、
(1) 本件個室ビデオ店は、原判示2の平成18年7月28日当時、陳列棚にアダルトビデオ等約5416本、一般ビデオ等約2974本が陳列されており、アダルトビデオ等の本数の割合は、約64.55パーセントであった。また、店内に入って誰でもすぐに目にすることができるアダルトビデオ等の本数の割合(店内の陳列棚からビデオ等を借り出し、受付を通って個室前の通路に入らないと目にすることができない奥まった位置にある一般ビデオ約775本を除いた割合)は、約71.12パーセントであった。
(2) 本件個室ビデオ店では、データの残っている受付票の精査結果によれば、平成18年6月14日から同年7月28日までの45日間、店の総売上額が165万9569円で、個室利用売上額が151万7000円であり、仮に、被告人らの供述のように、個室利用客の少なくとも9割がアダルトビデオ等を視聴するものだとすると、アダルトビデオ等の視聴による個室利用売上額の割合は、店の総売上額の約82.27パーセントであった。
(3) 本件個室ビデオ店では、データの残っている受付票の精査結果によれば、平成18年6月14日から同年7月28日までの45日間、店の総利用件数が795件で、個室利用件数が660件であり、仮に、被告人らの供述のように、個室利用客の少なくとも9割がアダルトビデオ等を視聴するものだとすると、アダルトビデオ等を視聴する個室利用客の割合は、店の総利用客の約74.72パーセントであった。また、データの残っているジャーナルの精査結果によれば、同年5月14日から同年7月28日までの76日間、店の総利用件数が1572件で、個室利用件数が1300件(ただし、1時間、2時間及び3時間の利用のみ)であり、仮に、個室利用客の少なくとも9割がアダルトビデオ等を視聴するものだとすると、アダルトビデオ等を視聴する個室利用客の割合は、店の総利用客の約74.43パーセントであった。
(4) 本件個室ビデオ店では、アダルトDVDには、「NEW 新作」、「新譜」、「新入荷」等のシールがパッケージに貼付されたものがあるが、一般ビデオ等には、そのようなものはなかった。
(5) 本件個室ビデオ店では、ビデオ等の貸出料金が、前記第1の2の(3)認定のように、一般のレンタルビデオ店の料金に比較して、かなり高額になっていた。
(6) 本件個室ビデオ店の店外には、「個室ビデオ鑑賞」、「激安!絶頂!ビデオBOX 映画 アダルト 在庫多数!!」(原判決の「補足説明」に「激安」とあるのは、「爆安」の誤記である。)などと記載された各看板が設置されており、同店の出入口ドアの横には、アダルトビデオ出演女優のポスターが貼付されていた。
(7) 本件個室ビデオ店の店内には、多数のアダルトビデオ出演女優のポスター、自慰用グッズやツーショットカードの販売広告等が、壁や陳列棚に貼付されており、一般ビデオ等のポスターは貼付されていなかった。また、アダルトビデオ等のプロモーションビデオの映像が、店内のモニターに映し出され、客が見ることができるようになっていた。
(8) 本件個室ビデオ店では、コンドームを受付カウンターに置いて個室利用客一人1個まで無償で配布し、ティシュペーパーを個室内に置いて客の利用の便に供し、ローションを受付カウンター上に置いて販売しているほか、自慰用グッズやローションを陳列棚に置いて販売したり、自動販売機で販売していた。
3 「専ら」の要件の該当性
 以上検討したように、@店内に陳列されたビデオ等のうちアダルトビデオ等の本数の割合、A個室利用客のうちアダルトビデオ等を視聴する客の割合、B店の総売上額のうちアダルトビデオ等の視聴による個室利用売上額の割合、C店の総利用客のうちアダルトビデオ等を視聴する個室利用客の割合、D客が、借り出したビデオ等を店外に持ち出すことができず、個室でのみ視聴できる貸出しのシステム、E一般のレンタルビデオ店に比較してかなり高額なビデオ等の貸出料金の体系、F新作が、一般ビデオ等にはなく、アダルトDVDのみであること、G店の看板等の店外の状況、H店内に貼付された多数のポスター等の内容、モニターに映し出されたプロモーションビデオの映像等に現れている店内の状況や雰囲気、I個室利用客へのコンドーム1個の無償配布、施錠可能な個室の仕組み、店内の販売商品の種類等に現れている個室利用客へのサービスや配慮の状況等のほか、J被告人らの供述する店の営業実態等を総合すれば、本件個室ビデオ店は、まさにアダルトビデオ等を視聴するために来店する客を対象として営業し、そのような客にアダルトビデオ等を視聴させることを専門的に行っていたこと、すなわち、専ら、性的好奇心をそそるため、衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる興行の用に供する興行場として経営されていたことは明らかである。
4 所論に対する検討
 なお、所論は、被告人が、解釈運用基準第5の3の(2)に従って、本件個室ビデオ店に陳列するアダルトビデオ等の本数の割合について、7割を下回らせていたのであるから、風営法2条6項3号、同法施行令2条1号の定める「専ら」に該当しないと主張する。
 しかしながら、解釈運用基準第5の3の(2)は、「令(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令のことである。)第2条中『専らこれら各号に規定する興行の用に供するもの』とは、当該興行場において上演される興行『専ら』同条各号に規定する興行であるものをいう。『専ら』とは、他の営業でも同様であるが、おおむね7割ないし8割程度以上をいう。」と解釈及び運用の基準を示しているのであって、その文脈から、「当該興行場において上演される興行」が「おおむね7割ないし8割程度以上」の場合に「専ら」に該当するという解釈を示しているものと解される。このように、解釈運用基準は、「おおむね7割ないし8割程度以上」の対象が店内に陳列するアダルトビデオ等の本数の割合であると明記しているわけではなく、同基準によっても、所論主張のように、陳列されたアダルトビデオ等の本数の割合が「おおむね7割ないし8割程度以上」でなければ、「専ら」に該当しないということはできないのである。また、そもそも、解釈運用基準は、警察庁生活安全局によって作成されたものであり、その性質上、飽くまでも取締りの便宜のための基準に過ぎないのであって、法令の定める「専ら」の解釈として、同基準が唯一絶対のものではないのである。してみると、被告人が、解釈運用基準がアダルトビデオ等の本数の割合を基準にしたものであると自ら解釈し、その解釈に従って、本件個室ビデオ店に陳列するアダルトビデオ等の本数の割合が7割を下回るようにしていたからといって、直ちに刑事責任を免れることになるものではない。そうでなければ、被告人が行ったように、店の営業実態等は何ら変わらないのに、一般ビデオ等の本数を増大させ、それらを客の目に付きにくい店内の奥まった位置に陳列するなどして、とにかくアダルトビデオ等の本数の割合のみを低下させることによって、刑事責任を免れるという脱法的な行為を許すことになるからである。そもそも、本件個室ビデオ店のように、店内に多数の個室が設置され、一般ビデオ等を上回る多数のアダルトビデオ等が陳列され、店外へのビデオ等の借出しができず、店内の個室のみでビデオ等の視聴が可能で、その料金が一般のレンタルビデオ店の料金よりもかなり高額に設定されている個室ビデオ店においては、その性質上、被告人らが述べるように、客は、わざわざ一般ビデオ等を店の個室で見る必要もないので、専らアダルトビデオ等を店の個室で視聴することが来店の目的であり、店側も、専らそのような客にアダルトビデオ等を個室で視聴させることによって営業を成り立たせていることが営業実態として推認されるのであるから、特段の事情がない限り、専ら、性的好奇心をそそるため、衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる興行の用に供する興行場として経営されていることが窺われるということができるのである。そして、実際にも、本件個室ビデオ店が、風営法2条6項3号、同法施行令2条1号の定める「専ら」の要件を充足する店舗型性風俗特殊営業に該当することは、前記3で示したとおりである。
 したがって、本件個室ビデオ店が、店内に陳列してあるアダルトビデオ等の本数の割合を理由に、法令の定める「専ら」に該当しない旨の所論は、採用することができない。
第3 結論
 以上によれば、被告人が、店舗型性風俗特殊営業禁止区域に本件個室ビデオ店を設け、前後2回にわたり、同店内に設置した個室において、客2名に対し、専ら、その性的好奇心をそそるため、衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる興行の用に供する興行場として個室ビデオ店を経営する店舗型性風俗特殊営業を営んだことは十分に認定することができる。
 したがって、被告人に前後2回にわたる営業禁止区域における店舗型性風俗特殊営業の罪を認めた原判決は、正当であって、事実誤認をいう所論は、理由がない(なお、原判決の「罪となるべき事実」において、「衣服を脱いだ人の映像」とあるのは、「衣服を脱いだ人の姿態の映像」の明白な誤記であり、また、「法令の適用」において、「28条1項」とあるのは、「平成17年法律第123号附則121条により同法による改正前の風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律28条1項」の誤りであるが、判決に影響を及ぼすものではない。)。
 よって、刑事訴訟法396条により本件控訴を棄却することとし、主文のとおり判決する。
(裁判長 裁判官 高橋省吾 裁判官 服部 悟 裁判官 中島真一郎)
最高裁判所ホームページ 判例検索システムより引用
受付時間 9:00〜17:00 (日曜・祝日を除く。)
日曜日・祝日でも上記時間内であれば可能な限りご対応いたします。お気軽にお問合せください。また、他のお客様と面談中等で、お電話がつながりにくいことがあります。時間をおいてお掛け直しいただければ幸甚です。
藤田 海事・行政 事務所
海事代理士・行政書士  藤 田  晶
 
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〒799−0101 愛媛県四国中央市川之江町3023番地の4
電話 0896−58−1821
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