風俗営業始めま専科!
性風俗関連特殊営業開始届出
風俗営業許可申請手続代行センター
愛媛県四国中央市 海事代理士・行政書士  藤 田  晶  事務所
海事代理士・行政書士   藤 田   晶  事務所 社団法人 日本海事代理士会 正会員
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 無店舗型性風俗特殊営業:1号営業(デリバリーヘルス)には、売春防止法第2章に規定する罪に当たる違法な行為をする営業を包含すると解される。売春防止法第2章に規定する罪が売春防止法の取締りの対象となるからといって、風営適正化法(風営法)の対象外に置かれるものではないと解される。
売春防止法(昭和31年法律第118号)第2章
(昭和31年 5月24日法律第118号)最終改正:平成26年 6月13日法律第70号

第2章 刑事処分

(勧誘等)
第5条 売春する目的で、次の各号の一に該当する行為をした者は、6月以下の懲役又は1万円以下の罰金に処する。
1 公衆の目にふれるような方法で、人の売春の相手方となるように勧誘すること
2 売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと
3 公衆の目にふれるような方法で客待ちをし、又は広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること

(周旋等)
第6条 売春周旋をした者は、2年以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する。
A 売春周旋する目的で、次の各号の一に該当する行為をした者の処罰も、前項と同様とする。
1 人の売春の相手方となるように勧誘すること
2 売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと
3 広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること

(困惑等による売春)
第7条 人を欺き、若しくは困惑させてこれに売春をさせ、又は親族関係による影響力を利用して人に売春をさせた者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
A 人を脅迫し、又は人に暴行を加えてこれに売春させた者は、3年以下の懲役又は3年以下の懲役及び10万円以下の罰金に処する。
B 前2項の未遂罪は、罰する。

(対償の収受等)
第8条 前条第1項又は第2項の罪を犯した者が、その売春対償の全部又は一部を収受し、又はこれを要求し、若しくは約束したときは、5年以下の懲役及び20万円以下の罰金に処する。
A 売春をした者に対し、親族関係による影響力を利用して売春対償の全部又は一部の提供要求した者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

(前貸等)
第9条 売春させる目的で、前貸その他の方法により人の金品その他の財産上の利益供与した者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

(売春をさせる契約)
第10条 人に売春をさせることを内容とする契約をした者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
A 前項の未遂罪は、罰する。

(場所の提供)
第11条 情を知つて売春を行う場所提供した者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
A 売春を行う場所を提供することを業とした者は、7年以下の懲役及び30万円以下の罰金に処する。

(売春をさせる業)
第12条 人を自己の占有し、若しくは管理する場所又は自己の指定する場所居住させ、これに売春をさせることを業とした者は、10年以下の懲役及び30万円以下の罰金に処する。

(資金等の提供)
第13条 情を知つて第11条第2項の業に供する資金、土地又は建物提供した者は、5年以下の懲役及び20万円以下の罰金に処する。
A 情を知つて前条の業に供する資金、土地又は建物提供した者は、7年以下の懲役及び30万円以下の罰金に処する。

(両罰)
第14条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第9条から前条までの罪を犯したときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

(併科)
第15条 第6条第7条第1項第8条第2項第9条第10条又は第11条第1項の罪を犯した者に対しては、懲役及び罰金刑を併科することができる。第7条第1項に係る同条第3項の罪を犯した者に対しても、同様とする。

(刑の執行猶予の特例)
第16条 第5条の罪を犯した者に対し、その罪のみについて懲役の言渡をするときは、刑法(明治40年法律第45号)第25条第2項ただし書の規定を適用しない。同法第54条第1項の規定により第5条の罪の刑によつて懲役の言渡をするときも、同様とする。

売春防止法 第1章

第1章 総則

(目的)
第1条 この法律は、売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすものであることにかんがみ、売春を助長する行為等を処罰するとともに、性行又は環境に照らして売春を行うおそれのある女子に対する補導処分及び保護更生の措置を講ずることによつて、売春の防止を図ることを目的とする。

(定義)
第2条 この法律において「売春」とは、対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方性交することをいう。

(売春の禁止)
第3条 何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない。

(適用上の注意)
第4条 この法律の適用にあたつては、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。

売春
 売春防止法は、「売春をすること」、「その相手方となること」を違法な行為であることを規定し禁止している〔第3条〕が、これは罰則を伴わない訓示規定であり、単なる売春行為及びその相手方となる行為は、犯罪とはされない。
 しかし、同法の目的〔第1条〕を実現するため、第三者に迷惑をかける行為としての勧誘等〔第5条〕、売春を助長する行為としての周旋等〔第6条〕、困惑等による売春〔第7条〕、対償の収受等〔第8条〕、前貸等〔第9条〕、売春をさせる契約〔第10条〕、場所の提供〔第11条〕、管理売春〔第12条〕、資金等の提供〔第13条〕を処罰する。
 「対償」とは、売春をすることに対する反対給付としての経済的利益をいう。対価・報酬と同義であるが、対価・報酬は本来正当な反対給付の場合に用いられることから、これを避け対償という言葉が用いられた。対償は、必ずしも金銭に限られず、衣服・時計などの物品・有価証券のほか、金銭の貸付け、返済の猶予、債務免除なども対償となり得ると解される。就職の斡旋なども無形の利益と解される余地がある限り、対償となり得ると考えられる。
 売春が成立するためには、「対償を受け、又は受ける約束」がされなければならない。「対償を受け、又は受ける約束」の主体は、売春者とその相手方である。ただし、売春者とその相手方が、直接、「対償を受け、又は受ける約束」をしなければならないということではない。第三者を介し、間接的に「対償を受け、又は受ける約束」をしてもよい。
 「対償を受け、又は受ける約束」は、直接的・間接的とを問わず、売春者とその相手方との間でなされなければならないことから、性交を提供する者に対償を受ける意思が全く無い場合には、たとえ相手方との間に介在した者が相手方から性交を提供したことの対償を受け取ったとしても、その性交提供行為を「売春」とすることができず、また、性交の提供を受ける者に対償を支払う意思が全く無い場合にも、たとえ性交を提供する者との間に介在した者により性交を提供する者に対し対償が支払われても、性交を提供する者の性交提供行為は「売春」とはいえないと解される。また、対償は売春の反対給付であるので、「対償を受け、又は受ける約束」は性交と密接な関係の下でなされる必要がある。
 「不特定の相手方」とは、不特定の中の任意の人という意味であり、この意味からすると、無差別的に性交することが売春になり得る。ただ、必ずしも絶対的に無差別であることを要せず、多少自己の好みを加味し相手方を選択しても相対的に不特定であれば足りると解される。特定の男女間との性交は、売春に含まれないので、いわゆる「妾」等は、一般に売春には該当しない。しかし、「妾」等と称され、ある程度継続的に相手方が特定されている場合でも、当該女性の淫行とその者への利益の提供とが切り離すことのできない相対関係にあるとともに、両者の精神的結合又は場所的恒定性がなく、その相手方との関係が終わればさらに不特定の相手方と同じ関係を結ぶであろうと認められる事情があって、実質的に相手方が不特定の中の一人と認められるような場合には、その名称の如何を問わず、売春である(最高裁昭和32.9.27集11.9.2384)とされる。これは、特定の男女間の性交取引か不特定の男女間の性交取引かは、あくまで両者の実質的関係により決定される旨を明示したものである。また、風紀衛生、人身売買などにつながり得る反社会性を有することから、対償を受けての「不特定の相手方」との性交は、「業として」行わなくても売春となるとするのが判例や通説の立場である。
 売春の行為は「性交」だけを対象とする。いわゆる「性交類似行為(口淫、肛淫、同性愛行為)」を含まない。売春の主体(売春をする者)は、女性に限られていないので、男性が対償を受けて不特定の女性と性交することも売春である。他方、女性が対償を受けて不特定の女性と性交類似行為をしたり、男性が対償を受けて不特定の男性と性交類似行為をすることは、性交足りえないので売春ではない。
公衆の目に触れるような方法で、人を売春の相手方となるように勧誘すること(第5条第1号)
 「公衆の目に触れるような方法」とは、屋内屋外を問わず、不特定の一般人の視覚に触れる可能性のある方法をいう。この意味からすると、刑法第174条の「公然」よりもやや狭く、「道路その他公共の場所で」よりもやや広いと解される。不特定の一般人の視覚に触れる可能性のある方法であれば、現実に公衆に視認されたか否かは問われない。
 「勧誘」とは、特定の人に対して売春の相手方となるよう積極的に働き掛けることをいう。従って、客の方から誘いかけられて、これに応ずる場合は、勧誘とはいえない。勧誘の方法は、言語によるもののほか、身振・動作等によるものでも差し支えないが、積極的な働き掛けがない身振・動作等は、勧誘とはいえないと解される。勧誘は、勧誘の相手方の意思とは無関係な行為であるため、相手方が勧誘に応じ売春の相手方になったか否かは犯罪の成立に影響を及ぼさない。
 街頭で客に声を掛けたり、客の袖を引いたりするのは、「公衆の目に触れるような方法で、人を売春の相手方となるように勧誘すること」の典型的な事例であるが、店内から路上にいる人を勧誘する方法でも、勧誘行為者が不特定の一般人の視覚に触れる可能性があれば、これに該当する。他方、勧誘者の声が公衆の聴覚に触れるときでも、勧誘行為者の姿が公衆の目に触れる可能性がない限り、これに該当しない。また、キャバレー等の店内でダンスをしながら小声で耳打ちすることにより勧誘する場合は、ダンスをする姿は充分に公衆の目に触れるものであるが、身振・動作等が他の客の視覚に触れる可能性がない限り、これに該当しないと解される。
 なお、本号の罪は、原則として1回の勧誘ごとに1罪が成立するものと解される。
刑法第174条
(公然わいせつ)
第174条 公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
公然
 公然とは、不特定または多人数が認識し得る状態をいう。(最決昭和32.5.22集11.5.1526)
 現実にその場の多数人が認識しているとき〔現実的公然〕はいうまでもなく公然といえる。また、不特定または多数人が現実に認識していなくとも、不特定または多数人が認識することができる可能性があったとき〔可能的公然〕も公然といい得る。(東京高裁判決時報8.10.352)
 一方、特定の少数人が一般に開放されていない場所で認識しても、原則として公然とはいえない。しかし、いわゆる「秘密ショウ」のように、その場所にいる者がたとえ特定の少数人であっても、それが偶発的でなく、一定の計画のもとに反覆する意図により不特定、または多数人のうちから偶発に選択された者であるときは公然といえる。(大阪高判昭和30.6.10高刑集8.5.649、最決昭和31.3.6裁判集112.601)
売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと(第5条第2号)
 「道路その他公共の場所」とは、「公共」という言葉によって国や地方公共団体に帰属するものに限定される訳でなく、現に不特定かつ多数の人が利用し、又は利用し得る場所を意味する。この意味から、例示されている道路には、公道のほか、当然に私道も含まれる。公園や広場、映画館、劇場、野球場等の興行場、ぱちんこ店、ゲームセンター、飲食店、デパート、スーパーマーケット、ホテルのロビー、駅、電車・バス等の公共交通機関内などおよそ公衆が利用し得るよう開放されている場所も「道路その他公共の場所」である。また、公衆が利用し得るよう開放されている限り、有料・無料の別は問われない。さらに、常に公衆が利用し得るよう開放されていることを要しないので、学校・神社・寺院・教会等の一般的には必ずしも該当しない場所であっても、臨時的に一般公衆が利用し得るよう開放されるときは、その開放されている間は、「道路その他公共の場所」に含まれ得る。
 「人の身辺に立ちふさがり」とは、人の身辺に立ちはだかり、その通行や行動を妨害することをいい、「つきまとう」とは、人の前後、側方に付き、人が歩けば一緒に歩き、人が止まれば自分も止まって離れないことをいう。人の身辺に立ちふさがり、つきまとう行為をする者が自動車等に乗車している状態でも差し支えない。人の身辺に立ちふさがり、つきまとう行為は、勧誘の準備行為であるが、公衆の迷惑となり、風紀をみだす行為でもあるので、処罰の対象となっている。処罰のためには、客観的に人の身辺に立ちふさがり、つきまとう行為があればよい。また、人の身辺に立ちふさがり、つきまとう行為は、相手方の意思とは無関係であるので、これらの行為によって相手方が不快感や迷惑感を抱くことは犯罪の成立に影響を及ぼさない。
 なお、本号の罪は、原則として1回の人の身辺に立ちふさがり、つきまとう行為ごとに1罪が成立するものと解される。本号の行為をした上で、さらに第1号の行為をした場合は、本号の罪は第1号の罪に吸収され、本号の行為が第1号の行為を伴いながらなされた場合も、第1号の罪のみが成立するとされる。
公衆の目にふれるような方法で客待ちをし、又は広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること(第5条第3号)
 「客待ち」に関する裁判例には、@:「売春防止法5条3号にいう公衆の目にふれるような方法で客待ちをする所為とは、いわゆる「勧誘」のように積極的に人に誘いかけるものでないにしても、自ら売春する意思のあることを多数の人に表示し、相手方となる者の申込みを待つ行為を指称するものと解するのを相当とし、売春をする者自ら何らかの動作(動静乃至姿勢或は表情を含む。)によって、少なくとも売春をする目的のあることを明らかにするような積極的態度の存在することを要し、従ってその態度たるや通常人の街頭に佇む姿、或は前示いわゆるデイト、待ち合わせ等の姿とはおのずから区別さるべきあるものを帯有しなければならず、しかもそのことは客観的に識別し得られる程度のものであることを必要とする。」、A:「売春防止法は、売春を禁止しているけれども、売春行為そのものを処罰することはせず、「売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすものであることにかんがみ、売春を助長する行為等を処罰する」(1条)に止めていること、「この法律の適用にあたつては、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。」(4条)と定めていること、5条の2号がいずれも一般公衆に対し売春の目的があることを明らかにする挙動であって、外形的に、社会の善良の風俗をみだすに足りる行為を処罰していることに徴すれば、同条3号前段にいう「公衆の目にふれるような方法で客待ち」をするとは、単に売春の目的で公共の場所等をうろつき、あるいは立ち止まり、相手方の誘いを待つだけでなく、外形上、売春の目的のあることが、その服装、客待ち行為の場所・時刻等と相まち、一般公衆に明らかとなるような挙動を伴う客待ち行為をいうものと解するのが相当である。けだし、内心では売春の目的を有する者が相手方の誘いを待って公共の場所をうろつき、あるいは立ち止まるなどしていたとしても、右のような売春の目的が明らかとなる挙動のない限り、それは、外見上、単なる待ち合わせや人探しの行為と何ら選ぶところがなく、未だ社会の善良の風俗をみだすものとは認められないからである。もし、このような行為をも同条3号前段に当たるとするならば、売春以外の目的で、外形上同様の行為に出た女子が取締官により容易に誤認逮捕される等不測の人権侵害を受けるおそれがあり、前記4条の法意にも反する結果をもたらすであろう」、B:一見して売春婦とわかるような異様な化粧や服装ではなかったが、頭髪を黒く染め、口紅をつけ、まゆをかいて濃い目の化粧をし、白色ラメ入り半そでサマーセーター、黒色と白色の横しま模様のギャザースカートを着用して、年齢よりも若くみえるような化粧、服装であったこと、午後7時25分ころから午後8時19分ころまで、夕刻になると売春婦が現れる歓楽街といわゆる連れ込みホテルが林立し、「娼婦通り」ともいわれる通まで、終始極めてゆっくりした歩調で歩き、落ち着きなく周囲をきょろきょろ見たり、通り合わせた男性の顔をなれなれしい態度でのぞき込んだり振り返るなどし、口に出して「付き合いませんか。」というのに等しい挙動があった事例につき、「その化粧や服装こそ一見して売春婦とわかるほどの異様なものでなかったとしても、その行為の時刻、場所等を併せ考えると、外形上、売春の目的であることを一般公衆に明らかにするような挙動を伴う客待ち行為であると認めることができる」等がある。
 以上の裁判例からすると、「客待ち」とは、勧誘立ちふさがり・つきまといとは異なり、言語や身振・動作等により積極的に働き掛けるのではないが、公衆の目にふれるような方法で自ら売春する意思があることを不特定または多数の人に表示しながら、相手方の申込みを待つ行為をいうと解され、売春をする目的があるか否かは、その化粧等を含んだ服装、客待ち行為の場所、時刻等とを総合して、売春をする意思が、外形上、一般公衆に明らかとなり得る積極的態度の有無によって判断されるといえる。
 「広告その他これに類似する方法」とは、広告のほか、看板・はり紙・写真の掲示、チラシ・名刺の頒布等、不特定かつ多数の相手方に売春の意思を表示する方法をいう。
 「誘引」とは、相手方に直接的に接することなく、売春する意思のあることを間接的に表示して誘いかけ、相手方となる者の申込みを待つ行為をいう。ただし、「広告その他これに類似する方法」という限定があるため、相手方が不特定多数であることを要すると解される。
 なお、本号前段及び後段の罪は、継続的な行為を予想しているものと解されるので、ある程度連続した多数の行為を包括して一罪とみて差し支えないと考えられる。
 また、本号前段及び後段の罪は、第1号第2号の罪とは別個のものであり、「客待ち」又は「誘引」をした者が第1号の行為をすれば、本号前段又は後段及び第1号の罪が成立し、この両罪は併合罪とされる。「客待ち」又は「誘引」をした者が第2号の行為をした場合も同様とされる。もっとも、本号の罪と第1号又は第2号の罪が連続して行われた場合は、それらを包括して一罪としても問題ないと解される。
周旋(第6条第1項)
 売春の「周旋」とは、売春をしようとする者とその相手方となろうとする者の間に立って、売春が行われるように仲介することをいう。
 周旋は、売春をしようとする者とその相手方となろうとする者の双方から「依頼又は承諾」があることが前提となる。依頼又は承諾は、その順序を問われないので、双方から依頼又は承諾があれば足りる。売春をしようとする者から依頼を受けてその相手方となる者を勧誘したが、勧誘された者が周旋に応じる意思がないときは、双方から依頼又は承諾があったとはいえず、周旋には該当しない。依頼又は承諾は、明示的は勿論、黙示的であっても差し支えない。しかし、裁判例で、売春の取締りに従事していた警察官が、路上を徘徊していた被告人を売春の周旋人と見込みをつけ、馴れ馴れしく話し掛け、売春の相手方となる意思があるかのように装って周旋を求めたため、被告人が予て周旋を依頼されていた売春婦に引き合わせた件につき、「売春防止法第6条第1項所定の周旋とは売春をする者とその相手方となる者との間に売春行為が行われるように仲介することであって、その結果両者の間に売春契約が成立するとか、又は現実に売春行為が行われることを要件としないけれども、売春をする側には売春をする意思があり、その相手方となる者にはその相手方となる意思が必要であって真実その意思がないのにその意思があるように装ってした周旋行為の依頼又は承諾に基づき両者の間を仲介してもかかる場合は同条にいう周旋には当たらないものと解すべきである」と判示していることから、依頼又は承諾は、真意に基づくものでなければならないとされ、揶揄したり犯罪捜査の必要からなされる依頼又は承諾は、依頼又は承諾に該当しないというべきである。
 周旋は売春の成立に向けられたものであることを要する。つまり、既に男女間で売春をすることの合意が成立している場合、両者の間に立って、時間や場所を仲介したとしても周旋には該当しないと解される。
 周旋は仲介行為がなされることを要する。仲介行為がなされれば、如何なる段階、如何なる方法でなされようとも差し支えないし、報酬を得る目的の有無、報酬を得たか否かも問題ではない。現場において直接関与介入する必要がなく、また、公衆の目に触れるような方法であるか否かも問われない。いわゆる「ポン引き」が客を直接勧誘するのが周旋の最も典型的な形態である。これは、売春契約の形成に重きを置くものである。この場合、周旋人が売春婦から相手方の紹介の依頼を受ける。⇒周旋人が街頭等で通行人に声を掛ける等して勧誘する。⇒通行人が勧誘に応じる。⇒周旋人と通行人との間で売春条件について交渉が行われ、売春条件の一致に至る。⇒通行人と売春婦が引き合わされ、売春契約が成立する。⇒売春行為がなされる。という経緯を概ね辿ることになるが、周旋人からの売春条件の提示を以て、周旋の実行の着手があり、売春条件の一致を以て周旋の既遂となると解される。売春条件の一致を以て周旋の既遂と解される以上、売春をする者とその相手方との間で売春契約が成立しなくても、また、現実に売春が行われなくても周旋罪の成立に影響を及ぼさないと解される。裁判例でも、輪タクの運転手が客(甲)から「近くで女のいるところを知らないか。1,500円で遊びたい。」との旨の申出を受け、客(甲)を売春婦(乙)のもとに連れて行き、売春婦(乙)にその意思を伝達し、前記対価で売春する意思決定をさせた件につき、「売春婦(乙)は売春の常習者であり、客(甲)も輪タクに乗ろうとする時点には既にその相手方となろうとする意思を持っていたことが現れる。しかし、両者間において売春の対価について諒解が成立しなければ最終的な売春契約は成立しないのであるから、その対価の決定について斡旋する行為は、売春契約を成立させる上において重要な意義を有するものというべきである。而して、売春防止法6条1項にいわゆる売春の周旋とは、売春をする者とその相手方となる者との間で売春行為が行われるように仲介する一切の行為を指称し、売春をする意思を有する特定の者とその相手方となろうとする特定の者との間に介在して売春の対価の決定について斡旋する行為も売春の周旋に当たるものと解するものを相当とする。従って、被告人の前記所為は売春を周旋した罪を構成するものといわなければならない」と判示している。
 次に、売春をしようとする者とその相手方となろうとする者を引き合わせることに重きを置く仲介形態がある。このような形態の場合、周旋人は、売春をするか否か、売春条件の交渉・一致の場面には、一切介入せず、これらを売春をしようとする者とその相手方となろうとする者の意思に委ねられている点で、いわゆる「ポン引き」とは異なる。このような形態であっても、確定的でないが、売春をする意思を有する者とその相手方になる意思のある者を現実に引き合わせ、又は引き合わせたと同視し得るような行為がある以上、売春の成立を容易にしたことは明らかであるので、周旋罪が成立し、既遂となると解される。引き合わせた後、売春をする意思を有する者とその相手方になる意思のある者との間に売春契約が成立したか否かや引き合わされた後に、真面目な交際をしようと、対価を伴わない性交をしようと周旋罪の成立には影響は及ばないと解される。裁判例でも、数名の女性をガイドとして雇入れ「今晩いかが。お逢いしたいわ。当方未亡人」等と記載したチラシを多数配布し、これを見て電話で申し込んできた遊客のところへ外回りの雇人を赴かせ、入会金等を受け取った上、ガイドを引き合わせて外出させたが、その際周旋人が、遊客のほとんど全部がガイドの肉体を求めて申し込んできた者であり、ガイドも売春するか否かの最終的な意思決定の自由を委ねられているものの、概ね遊客の求めに応じて売春をする意思の持主であることや売春料はガイドと遊客の直接交渉によって決定されそのままガイドの収入となることを知っていた件につき、「売春の周旋とは、売春行為をしようとする意思を有する女性と、その相手方たらんとする男性との間にあって、売春行為が行われるよう仲介する一切の行為をさすと解すべきであり、既に売春をし或はその相手となるべき確定的意思を有する両者を引き合わせる行為は勿論、その男性及び女性の一方又は双方において、直接交渉の上、売春行為の許否を決め或は条件を決めるが如き不確定な意思を有する両者を引き合わせる場合をも含み、且両者の間に最終的な売春契約の成立迄斡旋する必要はないものと解すべきである」と判示している。また、「共に売春を行う意思のあるデート嬢と遊客を引き合わせ、売春が行われることを防止する措置を何もとらなかったときは、男客にデート嬢を紹介する行為は周旋に当たる」とも判示されている。
 さらに、飲食店の経営者がホステスとして売春婦を雇用するが、売春をするか否かはホステスが客と直接交渉して決定し、経営者は相手方を紹介することも、分け前を得ることも、交渉に関与することも一切しない。ホステスと客との間で売春することが決定すれば、何時でもホステスに外出することを認め、売春することができるが、ホステスと来店した客との間で売春契約が一件も成立しなかったときは経営者は日当を支払うが、売春契約が一件でも成立すれば日当を支払わない。経営者は、ホステスが客を相手に売春をすれば、これを目当てに店の売上が上がり、日当の支払を免れる利益を得る形態もある。飲食店に売春婦を求めて来た客にホステスがつき、接客サービスをしている間に売春契約が成立し、外出・売春した件につき、「店外売春のための外出する許可を与えることをもって、確定的に前記システムを通じて引き合わせないし仲介を行い、もって売春の周旋をしたことは明らかである」と判示し、このような形態も周旋に当たるとする裁判例がある。
人の売春の相手方となるように勧誘すること(第6条第2項第1号)、売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと(第6条第2項第2号)、広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること(第6条第2項第3号)
 「勧誘」とは、特定の人に対して売春の相手方となるよう積極的に働き掛けることをいうところ、第5条にいう勧誘と基本的に同じである。客の方から誘いかけられて、これに応ずる場合は、勧誘とはいえないが、客からの誘いが契機であっても、売春の成立に向けて更に必要な働き掛けがなされたときは、勧誘といって差し支えない。裁判例でも、売春婦を求めて徘徊中の男(甲)から「よい女はおかんか」と売春婦の周旋を依頼された被告人が、売春婦を周旋する目的で「大将の気に入る女を世話しましょう。27、8歳位の年増の気にいったのがおりますよ。身代は2、000円です。」といい、「1,500円にまけろ」と言われたことに対し、「まけられません」と答え、被告人を連れて旅館の方へ約10メートル歩いたところで警察官に発見された件につき、「売春防止法第6条第2項第1号にいう「勧誘」とは、売春の意思のない者や売春の意思はあってもこれを表示していない者に売春の相手方となるよう積極的に働きかけることのみではなく、売春の意思をもって売春婦の周旋を依頼する者に対しこれに応じて具体的に売春婦を周旋するためさらに交渉する等これに必要な行為を含むものと解するのが相当であり、前記認定の被告人の行為は右後者の意味において前記法条の勧誘に当たるものであることは明らかである」と判示している。また、これを受けた上告審でも原判決の判断は相当であると肯定されている。
 また、第6条第2項第1号の勧誘は、第5条の勧誘とは異なり、「公衆の目にふれるような方法で」という限定がない。従って、如何なる方法であったとしても、勧誘がなされれば処罰の対象となると解される。ただ、売春の周旋をする目的で客を物色中の被告人が、通りがかった乙に笑い掛けたところ、乙から「誰かいい子はいるか」といわれ、頷いてホテルに行くように指示したり、顎でしゃくったりしただけの件につき、「しかし、本件のように単に笑いかけたというだけでは直ちに「勧誘」とはいえず、また、売春婦の周旋を依頼してきた相手方に対し、単にホテルに行くように指差したり、または、顎でしゃくったりした行為をもって直ちに「勧誘」行為があったとすることも相当ではない」とする裁判例があることから、勧誘とはいい得ないものは除かれる。
 さらに、勧誘は、勧誘の相手方の意思とは無関係な行為であるため、相手方が勧誘に応じ売春の相手方になったか否かは犯罪の成立に影響を及ぼさないのは、第5条第1号の勧誘と同様である。
 第6条第2項第2号の「売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと」の要件は、第5条第2号と同様である。ただ、「公衆の目にふれるような方法で」という限定がない。
 第6条第2項第3号は、「広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること」を処罰の対象とする。「広告その他これに類する方法」とは、第5条第3号後段にいう広告その他これに類似する方法と「誘引」とは、同条同号同段にいう誘引と同様であると解される。本号については、行為者自身が売春の周旋の目的がなくても、他の者が売春の周旋の目的があることを認識しながら、その客寄せのための宣伝チラシ(いわゆる「ピンクチラシ」)の頒布を請け負いこれを実行した者につき、「売春防止法第6条第2項第3号の売春目的の誘引行為が、その実質は周旋罪の幇助行為であるのに、これを独立罪の犯罪形態として処罰することとしたのは、広告その他これに類似する方法による誘引行為は不特定多数の者を相手として頒布等されるため、売春の周旋ひいては売春の助長する程度が高いことのほか町の環境、美観を損い、公衆に迷惑をかけ、ひいては社会の風紀を害するからであることを考えると、行為者自身が周旋目的を有していたか否かによってその違法性が左右されない」として、周旋目的誘引罪の成立を認めた裁判例がある。この場合の宣伝チラシ(いわゆる「ピンクビラ」)には、「売春」を周旋する意思が表示されていることを要すると解されるが、「文言・図柄等の記載内容のほか、貼付等の場所・態様等を総合的に考慮し、社会通念に照らして売春の周旋目的が表示されているとみることができればよく、その文言自体が売春周旋の意思を表示していなくてもよい」とする裁判例がある。
人を欺き、(人を)困惑させて、親族関係による影響力を利用して、売春をさせた(第7条第1項)
 「人を欺き」とは、人に虚偽の事実を摘示し、又は真実を隠蔽して錯誤に陥れることをいう。
 「(人を)困惑させて」とは、「脅迫」に至らない程度に心理的な威迫を加え、又は自由な意思を拘束することによって、自由な判断を失わせることをいう。「脅迫」とは、脅迫罪〔刑法第222条〕における「脅迫」と異なることなく、一般に人を恐怖させるに足りる害悪を告知することをいう。相手方に威力を示す、債権債務関係や雇用関係にあることにつけ込む、相手方を心理的に拘束し得るような問題を持ち出す等し、売春を勧め、唆すことがこれに当たる。暴行・脅迫を手段とした場合であっても、客観的に見て人を恐怖させるに至らない程度のものは、「(人を)困惑させて」に当たる。「(人を)困惑させ」る言動に当たるか否かは、その言動の内容はもとより、その前後の事情、相手方の年齢・性格、置かれている環境等を総合して判断されるべきとされる。雇主が婦女の売春行為に対して特に干渉しない場合であっても、婦女が慣行的な雰囲気において前借金等による心理的拘束を受けているのを利用して、その意に添わない売淫行為をさせた場合に、「(人を)困惑させ」る行為に当たるという裁判例がある。
 「親族関係による影響力を利用して」とは、親族関係に基づく義理、人情、支配関係等を利用して、相手方に売春を決意するように仕向けることをいう。親が娘に対し、一家の困窮を救うため売春するように仕向けるのが、典型的な例である。「親族関係」とは、民法第725条に規定する六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族に限られる。
 「売春をさせた」とは、具体的な売春行為をするについて、これを強制・勧誘・促進・援助する等、何らかの形で関与したことを要すると解される。
 人に売春をさせる目的で「人を欺き」、「(人を)困惑させ」る行為、「親族関係による影響力を利用」する行為を開始したときに実行の着手があり、これらに因り相手方が現に売春行為を行ったときに既遂となると解される。手段としての「人を欺き」、「(人を)困惑させ」る行為、「親族関係による影響力を利用」する行為と現実の売春行為との間には相当因果関係があることを要する。
 本項の各手段を用いて人に売春を仕向けた結果、相手方が複数回にわたり売春を行ったときは、全体を包括して一罪を構成し、本項の前段・後段の各手段を併せて用いたときは、前段・後段の別を問わない本項の一罪を構成し、本項と第2項の各手段を併せて用いたときは、本項の罪は第2項の罪に吸収され第2項の罪のみを構成するとされる。
脅迫、暴行、売春をさせた(第7条第2項)
 「脅迫」とは、脅迫罪〔刑法第222条〕における「脅迫」と異なることなく、一般に人を恐怖させるに足りる害悪を告知することをいう。脅迫の程度は、人の反抗を不能又は著しく困難にする程の強度なものであることを要しないとされるが、脅迫罪における脅迫のように単に人を恐怖させる程度だけでは足りず、客観的に人を恐怖させ売春を行うことを決意させる程度、つまりは、売春をする意思決定に影響を及ぼしたものであることを要すると解される。脅迫の対象は、脅迫罪・強要罪のように「生命、身体、自由、名誉又は財産」という限定がないが、これは刑法におけるのと同様に解釈すべきとされる。
【刑法における解釈:他人(相手方)又はその親族(内縁の妻や恋人等は含まない。)の生命・身体・自由・名誉・財産であり、概ね全ての法益を含むと解される。害悪の告知が人を恐怖させるに足りるものであるか否かは、表示の内容を相手方の性別・年齢・社会的地位等の周囲の事情に照らし解釈させるべきものとされる。告知の方法は、言語や文書のいずれでもよく、また、明示的でも暗示的でもよく、さらには、人を介して間接的に告知してもよい。(最判昭和26.7.24集5.8.1609)害悪の内容が犯罪となることも要しない。害悪を告知される相手方は、自然人に限られ、法人に対してその法益に危害を加える旨を告知しても、法人に対する脅迫罪は成立しない。ただ、法人の法益に対する加害の告知が、その代表者等その告知を受けた自然人自身に対する加害の告知と評価され得る場合には、その自然人に対する脅迫罪の成立が肯定される。(大阪高判昭和61.12.16高刑集39.4.592)】
 「暴行」とは、暴行罪〔刑法第208条〕における「暴行」と異なることなく、人の身体に対して不法な有形力(物理力)の攻撃を加えることをいい、人を傷害するに至らないことをいう。「暴行」は、必ずしも相手方に肉体的苦痛を与えることを要せず、傷害を引き起こす可能性があることも要しない(大判昭和8.4.15集12.427)し、殴打、突き、引き、押す、組み付く等直接的に人の身体に不法な攻撃を加える行為をさすが、有形力(物理力)は必ずしも直接的に人の身体に接触する必要はない。室内で相手方の身辺で、大太鼓・鉦等を連打するのも暴行であるとされる(最判昭和29.8.20集8.8.1277)と判示されているので、「暴行」とは、人の身体に向けられた不法な有形力(物理力)の攻撃を加えることであり、身体に対し、直接加えられるものでも、間接的に加えられるものでも「暴行」であると解して差し支えない。ただ、暴行の程度は、脅迫と同じく、人の反抗を不能又は著しく困難にする程の強度なものであることを要しないとされるが、客観的に人を恐怖させ売春を行うことを決意させる程度、つまりは、売春をする意思決定に影響を及ぼしたものであることを要すると解される。
 「売春をさせた」とは、具体的な売春行為をするについて、これを強制・勧誘・促進・援助する等、何らかの形で関与したことを要すると解される。
 人に売春をさせる目的で脅迫、暴行を開始したときに実行の着手があり、これらに因り相手方が現に売春行為を行ったときに既遂となると解される。手段としての脅迫、暴行と現実の売春行為との間には相当因果関係があることを要する。
 本項の各手段を用いて人に売春を仕向けた結果、相手方が複数回にわたり売春を行ったときは、全体を包括して一罪を構成し、本項と第1項の各手段を併せて用いたときは、第1項の罪は本項の罪に吸収され本項の罪のみを構成するとされる。
 なお、第7条第2項の罪は、強要罪〔刑法第223条〕の特別規定であり、刑法よりも重く処罰される。従って、本項の罪が成立するときは、強要罪を構成しない。 
前2項の未遂罪(第7条第3項)
 人に売春をさせる目的で「人を欺き」、「(人を)困惑させ」る行為、「親族関係による影響力を利用」する行為を開始したとき(第7条第1項)又は人に売春をさせる目的で脅迫、暴行を開始したとき(第7条第2項)という実行の着手があったが、これらの相手方が売春を決意せず、又は決意はしたが現に売春をしなかった場合に、未遂罪として処罰されるものとされる。
前条第1項又は第2項の罪を犯した者、その売春、対償、収受、要求、約束(第8条第1項)
 本項の罪は、第7条の罪を犯した者に関する場合であって、通常は、第7条の罪を犯した者は売春の利益を搾取していることが多いことから、このような搾取を規制するため、第7条の加重犯として定められたものである。
 「前条第1項又は第2項の罪を犯した者」とは、第7条第1項又は第2項の既遂罪を犯した者をいう。
 「その売春」とは、第7条第1項又は第2項に規定する不法な手段に因る圧力を加えられた結果行われた売春をいい、これらの不法な手段に因る圧力と無関係に行われた売春は除かれる。
 「対償」とは、第2条にいう「対償」と同様の意味である。前記本項の趣旨からして、売春の対価として得られた金銭や物品自体に限られず、これを換えた金銭や物品でも差し支えないと解される。
 「収受」とは、占有を取得することをいう。
 「要求」とは、相手方に供与を求める意思表示をすること。
 「約束」とは、相手方との間に対償の授受についての合意があることをいう。なお、本条は、収受、要求、約束をするにつき、売春をした者の自由な意思決定に不法な手段に因る圧力を加えることを要件としていないから、第7条第1項又は第2項の罪が成立している以上は、対償の収受、要求、約束について不法な手段が用いられる必要はないとされる。売春をした者の自由な意思決定に因り交付された対償を受領等しても、本項の罪が成立するとされる。また、収受、要求、約束の相手方は、売春をした者であることが多いが、これに限られず、売春の相手方や売春をした者の雇主等との間で、収受、要求、約束した場合でも、本項の罪が成立するとされる。
 本項の罪は第7条の罪の加重犯として定められたものであるから、本項の罪を構成するときは、第7条第1項又は第2項の罪は本項の罪に吸収され、第7条第1項又は第2項の行為が数回にわたり行われ、その度ごとに対償の収受、要求、約束がされたときは、収受、要求、約束する毎に本項の罪を構成し、これらは併合罪とされる。第7条第1項又は第2項の行為が1回限りで、その対償を分割で収受、要求、約束したときは、包括して一罪を構成するとされる。
売春をした者、親族関係による影響力を利用して、対償、提供、要求(第8条第2項)
 「売春をした者」とは、すべて売春をした者をいい、自由な意思で売春した者も含まれる。ただし、第7条第1項又は第2項の被害者として売春をした者は除かれる。このことから、第7条第1項後段の「親族関係による影響力を利用して」売春をさせた者が、親族関係による影響力を利用してその売春の対償を要求した場合には、前項の罪に該当し、本項の罪を構成しない。第7条第1項又は第2項の罪の被害者として売春をした者が、その後自由な意思で売春をするようになり、これらの売春による対償の提供を親族関係の影響力を利用して引き続き要求している場合は、第7条第1項又は第2項の罪の被害者としての売春行為の対償については前項の、その後の自由な意思による売春行為の対償については本項の罪を構成するとされる。親族関係による影響力を利用して、第7条第1項又は第2項による売春の対償を要求し、引き続きその後の自由な意思による売春の対償を要求した場合は、前項と本項の罪を構成し、これらは併合罪になるものと解される。
 「親族関係による影響力を利用して」とは、第7条第1項にいう「親族関係による影響力を利用して」と同様である。
 「提供」とは、差し出すことをいう。「差し出すこと」であるから、最終的に自己の利益とするためでなくてもよく、一時的な借用のためのものでも差し支えないと解される。
 「対償」、「要求」については、前項と同様である。
 本項の罪は、対償の提供を要求しただけで成立するが、一方、要求行為が要するから、売春をした者が自由な意思で自発的に提供したものを収受しただけの場合は、本項の罪を構成しないと解される。
 本項の罪は、要求する毎に一罪を構成するのを原則とするが、同一の事実関係の下で短期間継続して要求を繰り返したような場合は、接続犯として包括して一罪を構成するとしても差し支えないと解される。
売春をさせる目的、前貸その他の方法により、金品、財産上の利益、供与(第9条)
 「売春をさせる目的」とは、売春が行われることを積極的に希望又は意欲することを意味し、単に財産上の利益を供与すれば売春するかも知れないと考えた程度の、未必的な認識があるだけではこれに当たらないとされる。また、ここでの「売春をさせる目的」とは、財産上の利益の供与を受けた者に対し、他人との間で売春をさせる目的を意味するから、財産上の利益を供与した者自身の相手方となって売春をさせようとする目的は、単純売春であり、これに含まれない。
 「前貸その他の方法により」とは、前貸その他の経済的な利益を供与することによって、相手方の意思に事実上影響力を及ぼし、これにより相手方に売春をする意思を発生させ、又は強めるような方法を用いることをいう。売春をする意思を有する者との間の経済的な取引が、これにすべて該当する訳でもないから、売春をさせる意思を有していたとしても、売買その他通常の経済的取引のように、これを受ける者に対し何らの心理的拘束を及ぼすものでない方法は、「前貸その他の方法により」には該当しない。「前貸」は、身代金、身売金などと称される前借金が典型的なものであるが、いかなる名義であっても差し支えない。
 「金品」とは、現金はもとより、衣服・時計などの物品をいい、「財産上の利益」とは、債務の免除、代位弁済その他金銭に見積ることが可能なあらゆる経済的な利益をいう。
 「供与」とは、有償、無償であるとを問わず、利益を相手方に移転する一切の行為をいい、金銭の貸付のように将来的に返還するという拘束があっても、売買のように対価を受け取ることも、これに該当する。「供与」の相手方は、通常、売春をする者であることが多いが、第三者であっても、その者と売春をする者との間に親族関係その他の密接な関係があり、その第三者に供与することが売春をする者に対してする場合と同視し得る効果が認められるときは、本条に該当すると解される。ただ、売春の相手方が売春をした者に売春の対価を支払うときは、供与には当たらない。
 売春をさせる目的で前記の財産上の利益を前記の方法で供与を行うことで、本条の罪が成立するので、実際に売春が行われたか否かは犯罪の成立には無関係とされる。
 本条の罪は、供与のある毎に一罪を構成するのを原則とするが、同一の相手方に対し短期間同種の利益を繰り返して供与した場合等は、包括して一罪とされる。一方、同一の婦女に売春をさせる目的であっても、例えば、本人とその親それぞれに財産上の利益を供与した場合は、併合罪になると解される。
人に売春をさせることを内容とする契約、前項の未遂罪(第10条第1項、第2項)
 本条の趣旨は、直接、間接に多かれ少なかれ婦女を束縛、強制して売春させる結果を招来するような行為だけでなく、売春を助長する行為を広く処罰するものである。
 「売春をさせることを内容とする契約」たる以上、少なくても契約の当事者の一方が売春をさせようとする者でなければならない。しかし、残る一方の当事者は売春させられる者に限られず、他の者でもよい。本条の趣旨が前記のように売春を助長する行為の処罰、防止にあることから、全く売春させる可能性のない契約は処罰の対象とはならないと解される。それ故、契約の当事者双方が売春をさせられる者以外の者であるときは、相手方は、売春をさせられる者に対し、親、兄弟、雇主等、契約の効力に影響力を及ぼし得る者であると解される。契約当事者の人数には特段の限定はない。売春をする者、裏返すと、売春させられる者は、「人に売春をさせる」者ではないので、本条の処罰の対象外である。また、単純売春は処罰の対象とならないので、売春をする者とその相手方となる者との間の契約は、本条の契約とはいえず、この限りでは、その相手方は「人に売春をさせる」者にも当たらない。ただ、自ら相手方となるだけでなく、他の者をも相手方とするような契約をしたときは、その他の者との関係においては本条の契約に該当し、「人に売春をさせる」者となることは避けられない。契約において保証人や立会人を置いた場合において、これらは契約の当事者でないが、幇助犯とはなり得ると解される。
 前記の本条の趣旨からして、売春をさせることが主たる目的となっていることや契約の条件になっていることに限られず、部分的であっても、売春をさせることが契約の内容となっていれば足りるとされる。また、「売春防止法第10条にいう「人に売春をさせることを内容とする契約」は、他人に売春をさせることを内容とする契約であれば足り、売春が婦女の自由意思による場合をもこれに含むと解すべきである。」とする判例があり、売春そのものが売春をする者の自由な意思に委ねられている場合でもよいとされる。契約自体、有償でも無償でもよく、売春の期間、場所、報酬等売春の条件についての取り決めも、必ずしも要しないとされる。1回限り、売春をさせることに過ぎないときであっても、売春を助長することになることに変わりがないので、必ずしも継続的な契約であることを要しないとされる。
 契約は、書面、口頭の別を問わず、また、明示的、黙示的の別も問われないとされる。
 本条の契約も一般の契約と同様に申込みと承諾の意思表示とが合致した時点で成立するが、本条の罪の実行の着手は、申込みの意思表示又は承諾の意思表示をした時点であり、前記意思表示の合致により契約が成立したことで既遂となると解される。単に契約の申込みをしたに過ぎないときは、未遂とされる。また、一旦契約が成立した以上は、契約の意思表示が無効であったり、その後に取り消されても、犯罪の成立には無関係とされる。
 本条の罪は、契約毎に一罪を構成する。複数の者と契約した場合に、その複数の者が売春をする者であるときは、保護すべき法益は別個と考えられるため、売春をする者毎に併合罪として本条の罪を構成するとされる。
 本条については、「小料理店を経営する雇主が女給との間で、客の要求があった場合には売春をも行うことやその対価の分け前などについて取り決めがなされたが、客との折衝の場面で、売春するかどうかは女給の自由意思に任されていた場合のように、売春が女性の自由意思による場合でも10条の契約ということができ、同条の契約は、女性を強制して売春をさせる場合のみに限定すべきではない。」、「特殊カフェーの経営者が接待婦数名の間でした、表面上は衣装を貸与する等したように仮装し、実際には、その衣装価格相当の債務を負担させ、接待婦が売春した収入によってその債務を償還させる内容の明示もしくは暗黙の契約は「婦女に売淫をさせることを内容とする契約」に外ならない。」、「女性の方から自由に解除できる約定の下で女性をその自宅ないし勤務先に待機させ、客ないし同業者の求めに応じて電話でその女性に連絡し、指定の旅館に赴かせて売春をさせ、その対価の一部を取得する契約をし、その契約に基づいて女性に売春をさせていた場合には、売春が女性の自由意思によるときでも10条の契約に該当する。」と判示する裁判例がある。
情を知つて、売春を行う場所、提供(第11条第1項)
 「情を知つて」とは、売春に利用されることを認識し又は予見しながらという意味である。
 「アベックが旅館を訪れたのが午前1時過ぎであったこと、女性の化粧や服装が派手であったこと、女性は数年前他所で2、3年間売春をしていた実績があること、被告人に同種前科があることから、売春をすることを未必的に知っていたと認めるのが相当である」、従業員が売春婦に客室を貸与していることを知りながらこれを容認していたホテル経営者が場所提供業に該当する件につき、「被告人は個々の売春行為をすべて認識していたものとは認められないけれども、単に、一般的、抽象的に売春の場所として利用される「おそれがある」又は、利用される「かも知れない」という程度の認識にとどまらず、当時、現実に売春婦がホテルにおいて売春を行っていることを認識し、又は予見していたことが認められるから、11条の「情を知つて」いたものと認めるに十分である」とする裁判例があることから、売春が行われるかも知れないという未必の認識で足りるが、売春に利用されるかも知れないと思っている程度では足りないとするのが相当であると解する。
 「売春を行う場所」は、旅館、ホテル、料理店、アパート・マンションの一室等の建物の全部又は一部であるのが、通常であるが、売春を行うことができる場所であれば、自動車や船舶の内部や庭先でもよいとされる。
 「提供」とは、場所を売春に利用し得る状態に置くことをいい、賃貸借契約等が成立したのみで何らの占有移転が伴わない段階は提供とはいえない。他方、提供は、一時的であってもよく、事実上占有を移転したことでもよいとされる。また、提供の相手方は、売春をする者、その相手方、第三者でもよいとされる。さらに、有償でも無償でも差し支えないとされる。
 裁判例で、「(第11条は)行為者について何らの規定もしていないうえに、売春を行う場所を提供する行為は、誰にでもできることで、経営者的立場である者でなければできないというものではない」と判示していることから、提供は、自ら提供する必要はなく、従業員等を使用して提供する場合でもよく、提供について法律上の権限のない者による事実上の占有移転でもよいとされる。
 本項は、「情を知つて」、「売春を行う場所」を「提供」した者を処罰の対象とする。これからすると、「情を知」らないで、「売春を行う場所」を「提供」した場合には、本項の罪は成立しない。しかし、「提供」した後に「情を知つ」た場合には事情が異なる。単に黙認したに過ぎないときは、「情を知つて」、「売春を行う場所」を「提供」したとはいえないが、売春が行われていることを理由に賃料を値上げする、売春することを許して賃貸借契約を更新する等の新たな提供と同視し得る事実があれば、本項の罪が成立すると解される。
 本項の罪の成立には、売春が実際に行われたことは必要とされない。売春を行う場所の提供があれば、既遂であると解される。本項の罪は、売春する場所を提供する行為毎に一罪であるとされる。
売春を行う場所を提供することを業とした(第11条第2項)
 本項の罪は、売春を行う場所を提供することを「業とした」者を処罰の対象とするものである。「売春を行う場所」、「提供」の意義は、前項と同様であると解される。
 「業とする」については、「〜することを業とする」(反覆継続の意思に加えて、業態として行為する)と「業として〜する」(反覆継続の意思があれば、業態として行為することを要しない)という用語の使用方法の違いから、@:「単に反覆継続して行う意思」でなされば足りるのか、A:「業態として行うことを要する」のか、B:「営利を目的として行うことを要する」のか、解釈が分かれるところである。
 「…売春防止法第11条第2項にいう「業とする」とは、反覆継続して行う意思のもとに同条項所定の行為をする場合を指称し、所論のように、売春を行うための特別の設備を持ち、一個の業体として右行為を成すことを必要とするものではない…」とする昭和37年の最高裁決定で、前記Aのように「業態として行う」ことは要しないことが明示された。
 次に、「旅館宿泊の客より支払を受けた宿泊料の中に特に売春の場所を提供したことに対する対価が含まれていないとしても、また、被告人が売春をした芸妓達より売春報酬の一部分を取得した事実がなくても、旅館業等との関連において多数回に亘り反復してその客室を売春のために提供している以上、売春を行う場所を提供することを業とした」に該当すると判示した第2審を是認した昭和39年の最高裁決定がある。この決定では、売春をする場所の提供に係る営利の目的の要否については、直接言及されていない。しかし、「旅館宿泊の客より支払を受けた宿泊料の中に特に売春の場所を提供したことに対する対価が含まれていないとしても、また、被告人が売春をした芸妓達より売春報酬の一部分を取得した事実がなくても、」という文言から前記Bのように必ずしも「営利を目的として行う」ことは要しないと理解してもよいと思われる。
 以上から、「業とする」とは、「反復継続して行う意思を以て売春を行う場所を提供すること」と解して差し支えないと思われる。
 なお、「提供」行為者の権限の有無については、通説によれば、前項と同様と解して差し支えないとされる。
 本項の罪は、もともと、反覆継続して行われることを構成要件としているから、個々の行為は包括されて一罪を構成するとされる。
自己の占有し、若しくは管理する場所、自己の指定する場所、居住させ、売春をさせる、業とした(第12条)
 「自己の占有する…場所」とは、「売春をさせる」行為者が所有権・賃借権その他法律上の権限に基づき占有している場所をいう。必ずしも、「売春をさせる行為者」自ら占有していることを要せず、使用人等により占有させていても、「自己の占有する場所」に該当すると解される。
 「自己の…管理する場所」とは、「売春をさせる」行為者が事実上、支配・管理している状態にある場所をいう。必ずしも、「売春をさせる行為者」がその場所を占有する権限を有していることを要するものでなく、自らは賃借人でなくても、賃借人と特殊な関係にあり、これにより、その場所の使用について指図することができる等相当程度の影響力を行使し得る場合は、「自己の…管理する場所」に該当すると解される。「自己の…管理する場所」と解される以上は、自ら管理せず、使用人等により管理させても差し支えないとされる。
 「自己の指定する場所」とは、「売春をさせる」行為者が居住させる場所として指定した特定の場所をいう。その場所の使用権限については、その有無を問わないとされる。売春をする者にアパートやマンションを指定して、賃貸借契約を結ばれて、そのアパートやマンションに住まわせる場合が、これに該当する。初めは売春をする者がその自由な意思で選択した場所でも、その後有形無形の圧力を加えることにより、売春をする者の転居の自由を拘束したときは、「自己の指定する場所」に居住させたものと解される。
 以上から、「自己の占有し、若しくは管理する場所」、「自己の指定する場所」には、いずれにも「売春をさせる」行為者の支配が及んでいる必要があると解される。
 「居住させ」るとは、「売春をさせる」行為者が売春をする者に対して、日常生活の全部又は相当部分に影響力を行使し得る程度にその所在場所を拘束することをいう。売春をする者を住み込ませるようなときが、「居住させ」ることはいうまでもないが、住み込みの主な目的が売春をすること以外であっても差し支えないとされる。「居住させ」る方法は、特に限定はないと解されるから、「売春をさせる」行為者と売春をする者との間の契約でも、「売春をさせる」行為者の指示でも差し支えないとされる。
 「売春をさせる」とは、拘束して売春に従事させることをいい、売春に対する支配という観念を含むとされる。売春をする者の意思を無視し、直接的・明示的に売春を強要することのほか、売春を勧誘したり援助したりして介入すること、売春しなければ売春をする者の生計が成り立たない状態を仕立てて、売春をする者が売春することを容認し、売春することにより「売春をさせる」行為者が経済的利益を得るように間接的に売春を助長することも含むとされるが、売春をする者の自由な意思による売春を容認又は黙認していたに過ぎないときは、「売春をさせる」には含まれないとされる。
 「業とした」という意味は、「その業が業者の本業であると、副業ないしは従たる業であるとを問わず、たとえ、現実に行われた売春がただの1回に過ぎなかったとするも、反復継続する意思をもって売春させたものである以上同条の「これに売春をさせることを業とした者」ということができる」とする裁判例があり、必ずしも「業態として行う」ことは要しないことが示されている。また、「別の一定の営業を行う者が、その使用の婦女らに売春をさせることによって間接的ないし実質的に経済的利益を取得し、このため売春をさせることがその営業の一部として重要な意義を有していると認められる場合、これを例えば、料亭、バー等の経営者が住込みの従業婦等に継続的売春をさせ、この売春を料亭等の営業の客寄せ等に利用して収益を増加せしめたり、さらには売春の対償はその全部を売春したものに取得せしめる約束のもとに従業婦としての給料を低額に取りきめたり、或は売春の相手方となる客に対しては飲食代を普通の客以上に高くして請求したりして、その実態において料亭等の営業と従業婦に売春をさせることが一体となって行われているような場合には、たとえその婦女らからは売春の対償を全然自己に取得していなくとも、売春防止法第12条の「売春をさせることを業とした者」である」とする裁判例がある。この裁判例では、営利の目的の要否につき、直接言及されていないものの、「たとえその婦女らからは売春の対償を全然自己に取得していなくとも、売春防止法第12条の「売春をさせることを業とした者」である」という文言から、必ずしも売春の対償から利益を得る必要はないと理解してよく、さらに「「売春をさせることを業とした」とは、売春をすることが一個の社会的業態となったことをいう。その際、売春の対償の一部を取得する目的を有しまたは現実にこれを取得したことを要しないと解すべきである」とする裁判例から、営利の目的も必ずしも要しないと理解してもよいと思われる。
 以上から、本条の「業とした」という用語の使用方法は、第11条第2項と同じであり、それ故に同じ意味合いと理解しても差し支えないと思われる。
 本条は、「人を自己の占有し、若しくは管理する場所又は自己の指定する場所に居住させ、これに売春をさせることを業とした」者を処罰する。いわゆる「管理売春」の罪である。
 管理売春の罪の成立には、@:「売春をさせる」行為者の売春をする者の居住に対する支配〔居住に関する支配〕とA:「売春をさせる」行為者の売春行為に関する支配〔売春行為に関する支配〕とが認められなければならないとされる。
 遊郭や娼家等の居住に関する支配と売春行為に関する支配が明白に存在する形態は影を潜め、一方、売春防止法制定当時には予期しなかったような形態のもの、「売春をする者がバー、スナック等に集まって客待ちをし、経営者等から客付けをしてもらってホテルや旅館に赴き売春する」(通い売春)、「ソープランド・マントル・ホテトル」、「電話注文に基づき売春をする者を遊客の自宅やホテル等の滞在先に送迎して売春させる」(派遣型売春)が現れるに及んで、前記の「居住に関する支配」と「売春行為に関する支配」の存在を認め得るか否かが重要になってきている。
 管理売春の態様は複雑多岐に亘り、事案によっては脱法的な方法をとるものもあることから、一概にはいえないが、過去の裁判例からすると、「居住に関する支配」の存在の認定については、「居住させ」る場所に対する「売春をさせる」行為者の支配の有無や程度、通い売春や派遣型売春における売春をする者の待機の場所、その時間帯やその時間といった要素を重視して判断されているようである。さらに、これらから、「居住に関する支配」の程度についても、「売春をさせる」行為者が売春をする者に対して、日常生活の全部又は相当部分に影響力を行使し得る程度にその所在場所を拘束することと判断されているようである。「売春行為に関する支配」の存在の認定についても、過去の裁判例からすると、売春に至る手順、方法、場所、時間、対価の額についての統一的な指示や取決の有無、売春をすることが雇入の条件となっているか否か、雇入の条件となっていない場合、「売春をさせ」る行為者が売春を勧誘や援助する具体的な行為があるか否か、売春しなければ売春をする者の生計が成り立たない状態を仕立てているか否か、直接的であれ、間接的であれ、売春することにより「売春をさせる」行為者が経済的利益を得るようになっているか否か、指示や取決の違反に対する売春をする者に制裁があるか否か等の実態に即して総合的に判断されているようである。
 なお、本条の罪は、売春をする者1人だけでも、売春行為が1回だけでも成立し、また、売春をする者1人に反覆して売春させたときでも、売春をする者複数に反覆して売春をさせたときでも、その全体を包括して一罪が成立するとされる。
情を知つて、資金、土地又は建物、提供(第13条)
 本条に規定する資金、土地又は建物を提供する行為は、売春の場所提供を業とする罪(第11条第2項)又は管理売春の罪(第12条)の罪の幇助犯としても処罰し得るが、本条では幇助犯として刑よりも重い刑罰が定められ、また、幇助犯であれば、売春の場所提供を業とする罪(第11条第2項)又は管理売春の罪(第12条)の罪が成立することを要するが、本条の罪は、これらの罪の成立如何にかかわらず、情を知つて提供されれば、成立するとされる。
 「情を知つて」とは、資金、土地又は建物の提供を受ける者が、売春の場所提供を業とするか、又は管理売春をし、併せて、提供する資金、土地又は建物をその業のために使用するものであることを認識していることをいう。その認識は未必的なもので足りるのか、それとも確定的なものである必要があるのかという点で解釈が分かれるが、「…なお、売春防止法13条1項の「情を知つて」というためには、同項に規定する建物等の提供を受ける者が売春を行う場所を提供することを業とし、かつ、右建物等をその業のために使用するものであることにつき、確定的な認識を有することまでは必要でないと解するのが相当であって、原判示のような本件建物建築の動機、いきさつ、本件建物賃貸借の経緯等に徴すると、個室付浴場業を営もうとする原判示B会社代表取締役乙が、その営業過程で女子従業員に対する売春の場所提供を業とすることを意図し、本件建物をその業のため使用することにつき、被告人甲において少なくとも未必的な認識を有していたとして、右の知情性を肯認した原判断は正当である」と最高裁判所が判示し、確定的な認識は不要であり、未必的な認識で足りることが明らかにされた。この判示は、本条第2項についても妥当する。資金、土地又は建物を提供した時に、前記の認識を有していたことが必要であり、当初はその認識がなかったが、その後認識するに至ったが黙認していたに過ぎないという場合には、「情を知つて」、「提供」したとはいえないと解される。一方、資金、土地又は建物を提供した当初、前記の認識を有していなかったが、その後認識するに至った場合において、資金、土地又は建物の提供を受ける者が、売春の場所提供を業とし、又は管理売春をしていることを理由に賃料を値上げする、賃貸借契約を更新する等の新たな提供と同視し得る事実があれば、「情を知つて」、「提供」したと異ならないと解される。ただ、本条にいう資金、土地又は建物の「提供」は、後記のように社会生活上の通常の取引として行われ得るものを含むので、確定的な認識は不要であり、未必的な認識で足りるとする場合、処罰の範囲が不当に拡大する虞があることも否定し得ない。
 本条は資金、土地又は建物の提供以外の方法による幇助犯を処罰の対象から排除する趣旨ではなく、このような方法による幇助行為は、売春の場所提供を業とする罪(第11条第2項)又は管理売春の罪(第12条)の罪の幇助犯として処罰され得る
 「提供」とは、資金、土地又は建物を利用し得る状態に置く行為をいう。必ずしも、営利も目的ですることを要せず、消費貸借・賃貸借、使用貸借でもよく、贈与や売渡しでもよいとされる。
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