風俗営業始めま専科!
風俗営業許可申請手続代行センター
愛媛県四国中央市 海事代理士・行政書士  藤 田  晶  事務所
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「接待」に関する裁判例
 東京高等裁判所 昭和33年4月17日
 この東京高等裁判所の判決は、旧風俗営業取締法(昭和23年7月10日法律第122号)第1条第1号
(定義)
第1条 この法律で、風俗営業とは、左の各号の一に該当する営業をいう。
1 待合、料理店、カフェーその他客席で客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
2〜3 …(略)…
にいう「客の接待」をしての意義について、
 客の相手をして、その酒食の斡旋、取り持ちをすることと解するのを相当とし、遊興をさせる場合は兎に角、飲食のみをさせる場合は必ずしも享楽的雰囲気を醸し出さなければならないものとは解されない」と判示しているが、「同女等は被告人経営のトリスバー『●●』に従業婦として雇われていたものであるが、原判示日時場所において、被告人の営業に関して2名の客の側に腰を掛け、同人等にビールを注いでやったり、注いでもらったりして、世間話をして、その相手となり酒食の斡旋、取り持ちをした事実及び本件以前にも同種の行為を反復継続していた事実が認められるのであり、従って同女等は反復継続の意思をもって右所為に出たものと推認するに十分であって、…(略)…客席で客の接待をして飲食させる営業をした場合に該当するものと認めるべきである」とも判示している。
 「客の接待」の意義について、「必ずしも享楽的雰囲気を醸し出さなければならないものとは解されない」とし、現行法の「接待」(歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう。)の解釈と相反するように思われるが、他方、反復継続して、「営業主に雇用された2名の女性従業員が2名の客の側に腰掛け、2名の客にビールを注いでやったり、注いでもらったりして、世間話をして、その相手となり酒食の斡旋、取り持ち」をしていた事実を認定し、これらが「接待」に該当するもの結論付けていることから、現行法の「接待」(歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう。)と符合するもの考えられる。
 大阪高等裁判所 昭和46年3月10日
事件番号:昭和45う1219
事件名:風俗営業等取締法違反被告事件
裁判年月日:昭和46年3月10日
裁判所名・支部:大阪高等裁判所
判示事項 風俗営業等取締法1条2号にいう「接待」の意義
裁判要旨 風俗営業等取締法1条2号にいう「接待」とは、客に遊興をさせる営業の場合はもちろん飲食のみをさせる営業の場合であっても、客の慰安歓楽を求める気持を迎えて、その気持に沿うべく積極的にその座の空気をひき立てて歓楽的な雰囲気をかもし出すような言動によりこれをもてなす行為を指称しているものと解するのが相当である。
主   文
原判決を破棄する。
被告人は無罪。
理   由
 本件公訴の趣意は、弁護人●●●●作成の公訴趣意書に記載されているとおりであり、これに対する答弁は、検察官▲▲▲▲作成の答弁書に記載されているとおりであるから、これらを引用する。
 公訴趣意書第一点(ただし(二)の4を除く。)は、要するに、本件事案に対して風俗営業等取締法7条1項、2条1項が適用されているが、その前提をなす同法1条2号
(定義)
第1条 この法律で「風俗営業」とは、次の各号の一に該当する営業をいう。
1 …(略)…
2 待合、料理店、カフェーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)
3〜7 …(略)…
にいう「客の接待」とは、客に遊興をさせる場合はなおさらのこと、客に飲食をさせる場合であっても、日常使われている意味の接待とは趣を異にして、何らかの点で享楽的雰囲気を醸成し、又は射幸心をそそるなど風俗犯罪を誘発させるおそれのあるものでなければならないものと解すべく、したがって本件のように客が子供の補導教育に関して思わずもらい泣きをするようなまじめな世間話をしているさいに、その話相手になってやることが、右法条にいう客の接待にあたらないことは明らかであるにもかかわらず、本件被告人の行為が右にいう客の接待をした場合にあたるとした原判決の判断は、法令の適用解釈を誤った結果、事実を誤認したものであり、なお、原判決は、前記風俗営業等取締法1条2号の構成要件について、客の接待をして客に遊興をさせる行為と客の接待をして客に飲食させる行為に区別して理解すべきところを、この区別をせずに客の接待をして遊興飲食させる行為を対象とした単一の構成要件であるとしている点にも法令の解釈を誤った違法があると主張するものである。
 そこで、所論の点を検討してみるのに、被告人が、兵庫県公安委員会の許可を受けないで、原判示の日時同判示の店舗において、従業婦とともに客であるAを接待し、ビール等を提供して飲食させ、もって設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業を営んだものであるとの起訴状記載の公訴事実に対して、原判決が、被告人において、右公安委員会の許可を受けることなく、右の日時店舗において、飲食客であるAにビール等を提供して飲食させるかたわら、そのそばに腰かけ、同人の相手となって世間話をするとともに、従業員の婦女にも同人のそばに腰をかけて話相手をさせ、もって客に遊興飲食させる営業を営んだものである旨の事実を認定し、これに風俗営業等取締法7条1項、2条1項を適用していることは、訴訟記録によって明らかである。ところで、同法2条1項が所轄県公安委員会の許可にかからしめている風俗営業の種別は、同法1条の各号に列挙されているが、本件のごとき飲食店営業の場合に問題とされるべき同条2号には、「設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」と規定されていることからみて、同号が、「設備を設けて客の接待をして客に遊興をさせる営業」と、「設備を設けて客の接待をして客に飲食をさせる営業」とを区別して規制の対象としているものと解すべきことは所論のとおりと考えられる。この点において、本件起訴状記載の公訴事実ならびにこれに対応する原判決の事実摘示および弁護人の主張に対する説示の部分が、右規制の対象となるべき営業の内容についても的確に構成要件上の把握をしていないきらいがあることは否定しがたいにしても、右が訴因又は認定事実の不特定を招くほどのかしにあたるものとは解されないので、この点はしばらくおき、同号にいう営業の内容として「客の接待」をしたかどうかがいずれの場合にもまず決定されるべき必要不可欠の事項であり、本件の主要な争点もまたこの事項に関する解釈いかんにかかつ<要旨>ていることは、右の規定および事案に徴して明白である。そこで、同号にいう「客の接待」の意義について考</要旨>察してみると、風俗営業等取締法が、その業態において、客の間に過度の享楽的雰囲気を醸成し又は射幸心をそそるおそれのある接客営業について各種の規制を設けている立法趣旨に照らせば、客に遊興をさせる営業の場合は勿論、客に飲食をさせる営業の場合であっても、客の接待をするときは、社会的儀礼としていわれる客の接待と意味合いが異なり、営業の対象としての客に対し、その慰安歓楽を求める気持を迎えて客の気持に沿うべく積極的にこれをもてなす行為を指称しているものとするのが相当といわなければならない。したがって、客とともに歌や踊りに興じ、そのかたわらにあってひき続き酒類の酌をし又は談笑の相手となる行為がこれに該当することはいうまでもなく、また談笑の間に単なる世間話程度の話題が提供された場合においても、客の話相手となることによっておのずから酒食の席に歓楽的な雰囲気がただようようなときには、その話題が世間話であるからといって、いちがいにここにいう接待にあたらないと断じられない点は、検察官が答弁書において陳述しているとおりと解される。しかしながら、酒食を提供した一人の客が、たまたま店主や従業員と顔見知りであって、ほかに相客もいない気安さなどから、普通の世間話をもちかけてきたさいに、これに応じて対話を交わす程度のことは、たとえその客の席に隣り合わせ客席に位置して話相手となっていた場合であっても、特段に客に刺戟を与えて歓楽的な空気をかもし出すごとき言動が他にみられないかぎり、これをしても前記法条にいう客の接待に該当するものとみなすことはできない。以上の考察を経て、本件の事案を調べてみるに、訴訟記録中の各証拠および当審における事実取調の結果を総合すれば、被告人は、所轄保健所の許可をえて、原判示の場所でスタンド形式の飲食店を経営し、従業員の女性一名を使用して客に酒食を提供する営業をしている者であるが、原判示当日の午後9時前後ころ、前に一度連れと一緒に来店したことのある教員Aが一人で同店をおとずれ、カウンターの前の角椅子に腰をかけて清酒とつき出しを注文したので、カウンターの中にいた従業員がその注文にかかる酒食をAの席の前に提供したこと、当時被告人は、数日前に右足膝を打撲したため、立って食事ができなかったので、店舗の座敷風にしつらえてある部分に坐ったままでAと言葉を交わしていたが、やがて同人が非行少年を補導した経験談や子供の教育の問題などを話しはじめ、被告人にカウンターの方へ来て話を聞くように誘うので、これに応じてAの右横の角椅子に坐って、同人の話相手になっていたこと、そして、中学生の男の子をもつ被告人には、Aの話が身につまされて参考になるように思われ、折から同人のほかには店に客がいなかったさいでもあったので、子供をもつ従業員の女性にもその話を聞かせようとして、カウンターの外に出て来てAの話を聞くように招いたこと、まもなく従業員の女性がカウンターの外に出てAの席の左横の客席に着き、被告人と両名でAの話に聞き入っているうちに、被告人は自分の子供のことなどとも思い合わせて涙ぐんだりする場面もあったこと、その間Aに対しては、従業員の女性が注文された清酒を提供したさいに、最初の一杯目をカウンター越しについでやったほかには、同女も被告人もほとんど給仕らしい行為はせず、ことに、被告人らがAの両脇の客席で同人の話を聞いているあいだは、酒の酌は勿論、飲食についてなんらの奉仕とみるべき行為もしていないこと等の諸点が明らかにされている。右の状況を前記法条の意義と照合してみるときには、本件の場合は、客の誘いがあったのを契機に、店主と従業員とが客席に位置して客を中にはさみ、これと話し合うごとき外観を呈していたにしても、客であるAの語る話題は真しな教育の問題に関するものであり、しかも、被告人らは、同人の話をそのかたわらで聞き入っていたというだけのことであって、特に飲食物の提供に関連して同人の意を迎え、積極的にその座の空気をひき立てるような言動に出たわけでもないのであるから、その実態は、およそ歓楽的な雰囲気とは程遠い世間話の場にすぎなかったものとみるべく、したがって、本件被告人らのAに対する応待の経過をもって前記法条にいう客の接待にあたるものと解することは、上記の考察からしても正当な解釈判断ということはできない。かくして、被告人の所為が前記法条に定める客の接待に該当しない以上、被告人が法定の許可なくして風俗営業を営んだことにならず、結局起訴状掲記のいわゆる無許可営業の罪について、被告人の行為は罪とならないものというべきであり、この点において原判決は、法令の解釈適用を誤った結果、罪とならない事実を有罪として認定した事実誤認をおかしているものとみるほかなく、この過誤が判決に影響を及ぼすことは明らかであるから、論旨は理由があり、その余の控訴趣意に対して判断するまでもなく、原判決は破棄を免れない。よって、右以外の控訴趣意に対する判断を省略し、刑事訴訟法397条1項、380条、382条により原判決を破棄し、同法400条ただし書により当裁判所においてさらに判決をすることとし、上記の事由に基づき、同法404条、336条前段により本件について被告人を無罪とし、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 三木良雄 裁判官 木本 繁 裁判官 西川 潔)
最高裁判所の判例検索システムより引用(文中の条文を除く。)
 この大阪高等裁判所の判決は、「営業の対象としての客に対し、その慰安歓楽を求める気持を迎えて客の気持に沿うべく積極的にこれをもてなす行為を指称しているものとするのが相当」とし、1の東京高等裁判所の判決における「必ずしも享楽的雰囲気を醸し出さなければならないものとは解されない」よりも「客の接待」の意義を狭く解していると思われる。しかし、同時に「談笑の間に単なる世間話程度の話題が提供された場合においても、客の話相手となることによっておのずから酒食の席に歓楽的な雰囲気がただようようなときには、その話題が世間話であるからといって、いちがいにここにいう接待にあたらないと断じられない」としている。これを併せ見ると、客観的にその行為が歓楽的雰囲気を醸し出す方法による接待に至っていなかったと判断したものであると思われる。この大阪高等裁判所の判決は、行為の形式だけを捉えて「接待」と判断することはできないということを示したものといえる。
3 東京高等裁判所 昭和46年5月24日
事件番号:昭和45(う)189
事件名:風俗営業等取締法違反被告事件
裁判年月日:昭和46年5月24日
裁判所名・支部:東京高等裁判所
判示事項 風俗営業等取締法1条2号にいう「客の接待」にあたらないとされた事例
裁判要旨 有夫の婦で間口1.76メートル、奥行約3メートル、面積約5.3平方メートルのささやかな店舗を構え、料理人や給仕などを置くことなく、独りで店の一切を切り廻し、客の求めによりおでん類を主として、場合によってはビールや酒などを供与するといった規模の飲食店を経営する者が、顔に化粧を施したり、服装を飾ったりするようなこともなく夜も11時を過ぎた頃、他に客もいない店舗で常連の客である若い男性に対し、幅約0.47メートル、高さ約0.8メートルのカウンター越しに調理場の方から注文のビールをコップ1杯に満たしてやり、自らも同人から別のコップにビールを注いでもらったものの、これを口にするでもなく、ただ同人と世間話をしたに過ぎないときは、未だ風俗営業等取締法1条2号にいう「接待」をしたことにはならない。
主   文
原判決を破棄する。
被告人は無罪。
理   由
 本件控訴の趣旨は、弁護人●●●●●および同▲▲▲▲▲作成名義の控訴趣意書に記載されたとおりであるから、これをここに引用し、これに対して、当裁判所は、次のとおり判断する。
 所論は、第一で本件捜査の違憲・無効を、第二で原判決の法令の解釈・適用の誤りと事実の誤認を、第三にその量刑不当を、それぞれ主張するものであるが、第一の主張は原審で何ら主張判断のなかった事項に関するものであり、第三の主張は甚だ抽象的で、附随的な主張であるとの感じが強く、これらの論調のほか、弁護人の刑事訴訟法第393条第4項に基ずく弁論の要旨をも併わせ考えると、所論の核心をなすものは、一に、右第二の法令違反と事実誤認の主張であるとみることができる。
 そこで、記録を調べ、当審における事実取調べの結果をも加味して、先ず、論旨第二の当否につき、左にこれを検討する。
 (一) 本件控訴事実は、『被告人は、東京都板橋区ab丁目c番d号所在の飲食店「A」の経営者であるが、東京都公安委員会の許可を受けないで、昭和44年4月22日午後11時10分ころ、右営業所において、飲食客Bに対し、被告人自ら接待して、ビールなどを提供して飲食させ、もつて設備を設けて客の接待をして客に遊興飲食をさせる営業を営んだものである。』というにあり、その罰条は、風俗営業等取締法第1条第2号・第2条第1項・第7条第1項である。
(二) 原判決の判断
 原判決は、1被告人の(1)原審第1回及び第2回公判における供述、(2)検察事務官および(3)司法警察員に対する各供述調書、2Bの答申書、3警視庁防犯部保安第一課長の証明書、4原審第2回公判における証人Cの供述並びに5Dの司法警察員に対する供述調書を証拠として、公訴事実と同旨の事実を認定し、これに検察官主張の罰条を適用して、被告人を求刑どおり罰金8,000円に処した。
(三) 問題点
 そこで、問題は、風俗営業等取締法第1条第2号、特に同号のいう「接待」の意義いかんと本件の場合、被告人には果たして同号、殊に同号のいう「接待」に該当するような行為があったか、否かの二点である。
 思うに、風俗営業等取締法は、その名のとおり、風俗上取締りを必要とする営業について、風俗犯罪・その他善良な風俗を乱す行為が行われることを防止し、社会公共の秩序を維持することを目的として制定されたものと解されるところ、同法第一条は特に、同法律にいう「風俗営業」の定義を掲げている。ここに検討すべきは、同法第1条第2号、殊に同号にいう「接待」の意義いかんであるが、この点に関し、同庁昭和32年(う)第1,122号・同33年4月17日第11刑事部判決・高裁刑事裁判特報5巻5号161頁は、同法の前身である風俗営業取締法第1条第1号につき、「ここに客の接待をするということは客の相手をして、その酒食の斡旋、取り持ちをすることと解するのを相当とし、遊興をさせる場合は兎に角、飲食のみをさせる場合は必ずしも享楽的雰囲気を醸し出さなければならないものとは解されない。」と判示しており、この解釈は、現行の風俗営業等取締法第1条第2号
(定義)
第1条 この法律で「風俗営業」とは、次の各号の一に該当する営業をいう。
1 …(略)…
2 待合、料理店、カフェーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)
3〜7 …(略)…
にいう「客の接待をして」にも妥当するものとして、当裁判所もまたこれを支持することができる。そして、当審における事実取調べの結果に徴すれば、行政解釈としても、一般に、このような見解が採られているようである。
 これを本件についてみるに、原判決挙示の証拠である前記1の(1)ないし警察員の捜査報告書並びに当審第6回公判における被告人の供述および8当審第5回公判における証人Eの供述を総合すると、被告人の夫であるEの姉Dは、昭和43年6月24日東京都板橋東保健所の許可を受け、原判示の場所に店舗を設けて、「A」の屋号で、飲食店営業を始めたが、2、3ヶ月でその経営の一切を被告人に譲って自らはその営業から手をひいたこと、爾来被告人は、有夫の婦として、料理人や給仕を置くことなく、独りで同店の一切を切り廻わしてきたことおよび当時被告人は東京都公安委員会の風俗営業(法第1条第2号)の許可は受けていなかったことが明らかであり、前記5および6に、9当審における受命裁判官の検証調書を総合すると、同店は、道路に面して建てられた木造2階建家屋の1階にあり、間口約1.76メートル、奥行き約3メートル、面積約5.3平方メートルの極めて狭い、古ぼけた一杯飲み屋風の、客の求めにより、おでん類を主にして場合によってはビール、酒等も供与する簡素な店で、店内は、幅約0.47メートル、高さ約0.8メートルのカウンターで客席と調理場が区別され、客席には移動可能な丸椅子が6個置かれていたことが窺われるところ、前記1の(1)ないし(3)、24679並びに当審第2回公判調書中における10証人Bおよび11同Cの各供述<要旨>記載によれば、被告人は、原判示の日時右店舗で常連の客B(新聞店員、当時25才)に対しその注文</要旨>に応じてビールとおでんを出し、最初の一杯だけは、カウンター越しに、自らビールを注いでやり、同人から「ママさんも飲めよ」といわれるままに、自らも別にコップを持って来て、同人からビールを注いで貰ったものの、これを口にするでもなく、唯だ同人と世間話をしたに過ぎないことが明らかである。同店の模様や人員は既に見てきたとおりであり、被告人には、化粧を施したり、服装を飾ったというような形跡は毛頭なく、また被告人が右Bに対し前記のようなこと以上の特段のサービスをしたとみるべき証拠は何ら存しない。してみると、被告人としては、顧客に対し、飲食店を経営する者として、極く普通の、そして一般的にもよくあり勝ちな給仕行為をしたに過ぎないものと解するのを相当とし、風俗営業等取締法第1条第2号にいう接待には、享楽的雰囲気を醸し出すことまでは必要でないといっても、被告人が前記のような行為まで同号の接待に当ると解することには、当裁判所は些か躊躇を感ずるところである。
 以上のとおりであって、本件は、飲食店でまま見かける風景の域を出ないものというべく、他に被告人の罪責を認むべき証拠は何もないから、被告人は無罪たるべく、原判決には判決に影響を及ぼすことの明らかな法令の解釈適用の誤りないし事実の誤認があるものといわなければならず、論旨第二は理由があって、更らに他の論旨につき進んで判断を加えるまでもなく、原判決は既にこの点で破棄を免れない。
 それで、刑事訴訟法第397条第1項、第380条、第382条により、原判決を破棄したうえ、同法第400条但に従い、当裁判所において更らに自ら判決をすることにする。
 本件公訴事実は前記のとおりであるが、これを認めるに足りる証拠が十分でないことは、既にみて来たことから明らかであるから、被告人に対しては、同法第336条後段により、ここに無罪の言渡しをするものである。
 よって、主文のとおり判決する。
(裁判長判事 江碕太郎 判事 龍岡資久 判事 桑田連平)
最高裁判所の判例検索システムより引用(文中の条文を除く。)
 この東京高等裁判所の判決は、1の東京高等裁判所の判決を引用し、同判決における「客の接待」の意義を妥当とした上で、本件における行為は、「飲食店でまま見かける風景の域を出ない」ものに過ぎず、「接待」に当らないとしている。
 この東京高等裁判所の判決も、2の大阪高等裁判所の判決と同様に、客観的にその行為が歓楽的雰囲気を醸し出す方法による接待に至っていなかったと判断したものであると思われ、行為の形式だけを捉えて「接待」と判断することはできないということを示したものといえる。
 以上の3つの裁判例は、風俗営業等取締法の一部を改正する法律(昭和59年8月14日法律第76号)により「接待」の定義が「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう」と明記される前のものであるが、概ね現行法の「接待」の定義と符合するものと考えて差し支えない。
 とすれば、「接待」に該当するか否かは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営適正化法)第1条に定める主たる立法趣旨(善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため)を踏まえた上で、客の特定がなされているか(接待は、特定の客に向けられたものでなければならない。)、営業を営む者と接待をする者との関係は如何(営業を営む者と客の接待をする者との間には、必ずしも雇用や契約関係にあることは要しないと解されるところ、営業を営む者と客の接待をする者との間には社会通念上密接な関係があると客観的に認められなければならない。)、単なる給仕行為かこれを超える接客行為か(飲食物の提供とこれに通常付随する、給仕行為は「客の接待」には当らない。)、営業の要素としてなされているか(客の接待がその営業の要素となっていること、つまり、客の接待が営業の常態としてなされていなければならない。)歓楽的雰囲気を醸し出す方法によるものか(「客のもてなし」は、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法」によるものでなければならない。現行法でも「客をもてなす」方法については明示されていないが、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法」という見地から限定されていると解するべきと考えられる。)という観点から総合的に判断されるべきであると思われる。
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藤田 海事・行政 事務所
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