地区共同宣教司牧委員会が設置する三部門

ミシェル・ゴーチエ

1.祈る力を育てる部門

2.信仰を伝える力を育てる部門

3.神の愛を証しする力を育てる部門

 各地区で取り組んでいただく作業の中に、設置すべき三つの部門があります。これらの部門は、建築にたとえるならキリストの教会の基礎づくり″であり、地区の優先課題にするということではありません。勿論、各小教区共同体は、すでにその基礎は築かれていますが、今後の地区レベルでの三つの部門の設置はキリストの教会の土台をより強く、より頑丈にする大事な作業だということなのです。

 その基礎づくりをおろそかにすると、小教区の存在と活動は、授業をおろそかにして部活動にしか力を入れない学校のようになってしまいます。

1.祈る力を育てる部門

 この部門は、一人ひとりが個人的に祈る力を育てるということでもなく、また、数人を集めてさまざまな祈りを教えるということでもありません。この部門は、共同体が共同体として自ら欠かせない祈りを捧げることができる力を育てる部門です。小教区共同体が必要とする祈りに関しては、多くの場合、司祭のみに任されているのが現状です。司祭の高齢化によって、司祭不在の小教区が急速に増えていく現状を考えると、各共同体が共同体として欠かせない祈りを捧げる力がなければ、その小教区は自然消滅してしまうでしょう。そこでこの部門の内容は、次のように考えられると思います。

2.信仰を伝える力を育てる部門

 現代社会は、次の世代に価値観や信念などを伝えることが難しくなっています。現代人は、社会の多様な生き方や考え方の中で、自分の好みでそれを選び、各々が自分の人格を築いていくようです。こういう状況の中で、小教区における従来の信仰育成、教会学校、中高生会、キリスト教入門などは、実際に行き詰っているところが多いと思います。この部門の目的は、キリストの共同体そのものが、次の世代に信仰を伝える力を育てるために、地区の信徒、修道者、司祭が一緒になり、それぞれの立場を生かすことができる、新たな協力体制を作ることです。また、この部門が対象とする方は、子どもや青年、未信者ではありません。むしろ、共同体全体のメンバーを対象とします。つまり、共同体として、どういう福音的な価値観を伝えたらよいのか、それをどのように行ったらよいのかを考え、かつ実践する部門です。たとえば、

3.神の愛を証しする力を育てる部門

 この部門は、単なる福祉活動ではありません。福祉は、日本の憲法によると行政の義務です。福祉をおろそかにする行政を見て、教会がそれを補おうとする活動はよいのですが、神の愛を証しする教会の姿は他にもあると思います。

 イエスは、神の愛が弱い立場に置かれている人々へ優先的に注がれていることを教えてくださいました。そして、イエス自身、その人々との関わりの中で神の愛を証ししました。キリストの共同体は、イエスのように地域社会で弱い立場に置かれている人々との関わりを通して、神の愛を世に告げ知らせることになるでしょう。この部門は、新しい活動を始めることよりも、地域内で、すでに行われているさまざまな市民活動を把握する作業から始めたらよいと思います。そして、その中で、福音的だと判断される活動を選んで、共同体として、それに参加、協力することです。地区ごとに現状は違いますが現代社会におけるいくつかの緊急な課題が浮かびます。野宿者への支援と対日外国人との関わりは特筆されます。また、学校に行っていない、あるいは行けない就学年齢の子どもたちのために教育を受ける場も必要でしょう。DVや自死への対応も緊急性が高いでしょう。この部門では、格差が拡大していく社会の中で、キリストの共同体は、善意の人々とともに後回しにされている人々と関わることによって神の愛を証しし、社会の人々から救いと希望をもたらす共同体と見られることになるでしょう。

終わりに

 この三つの部門の設置は、キリストの教会の基礎を頑丈にすることが目的で、三つとも欠かせない部門です。しかし、優先順位をつけるならば、まず神の愛を証しする力を育てる部門ではないかと思います。なぜなら、共同体に、神の愛を証しする実践がなされれば、信仰を伝える説得力が生まれるし、まことの祈りが湧き出てくるからです。逆に、この部門をおろそかにすると、共同体が伝える信仰は疑われるし、共同体が捧げる祈りは口先だけのものになりかねないと思います。