「仲間の凍死で考えること」

藤沢ホームレス T.N.

みなさんも新聞などの報道でご存じと思いますが、我々の仲間であるKさんが1月21日の夕方なくなられました。死因は飢えと寒さによる凍死であります。

これは何も富士山や日本アルプスの山の中で起こった事故ではありません。日本有数のリゾート地、湘南地区で市勢第1位を誇る藤沢市のまっただ中、藤沢駅前で、しかもサラリーマンの退社時で数千人の人々が往来する通路で起きた出来事であります。わたしがこのことを知ったときには、まるで白金の光で頭の上から突き刺されるような強い衝撃を受けたのであります。

なんと貧困きわまりない福祉国家であろうか。これでは経済大国日本などと北欧などの福祉先進国から皮肉混じりに揶揄されるのは当然であります。

そもそも福祉行政とは、憲法25条に定める生存権を保証する手段として、公的扶助を含めた社会福祉を実施することが根幹であります。しかるに、藤沢市は市の中心街で飢えと寒さに打ちひしがれた一人の人間に、何ら救済の手を差し伸べること無く死に至らしめたのであります。

福祉国家において、このような困窮者の黙認放置は許されるべきものではなく、一時宿泊所などの収容施設に収容するなどの速やかな公的救済措置を講ずべきであったと考えます。

日本経済が世界的なうねりにさらされて、不況はますます深刻化しており、企業におけるリストラの実行や高齢化社会への進展など、雇用状況の悪化は失業率をまもなく5%に押し上げるものと思われます。

そのような労働形態の変革に伴い、ホームレスなどの生活困窮者は今後ますます増え続けるものと推定されます。行政においてもこのような社会構造の変化を察知し、社会政策の改革によって住民のニーズに対応できるきめ細かい福祉の実施により、孤独を余儀なくされている弱者の救済にあたってほしいものであります。

一方、ホームレスの仲間たちにおいても、ともすれば日々の暮らしに追われて、孤独な生活に陥りがちでありますが、パトロールの会の人や仲間たちに自分の所在を明確にしておくとともに、お互いの連携を密にすることによって不時の事故は未然に防げるものと考えます。

Kさんのご冥福を心よりお祈りするものであります。



ホームページに戻る  元のページに戻る