横浜司教区 司教教書

共同宣教司牧に向けた
新たな宣教司牧評議会と地区共同宣教司牧委員会


経緯

宣教司牧評議会では、2004年春から約1年かけて、地区懇談会などをとおして、「共同宣教司牧に向けた地区福音宣教委員会の新たな位置づけ」について検討を進めて来ました。2005年5月に開催された第13回総会をもって答申が出されました(横浜教区報第52号)。その後、同様なかたちで約1年かけ、「共同宣教司牧に向けた宣教司牧評議会のあり方」について見直し作業が進められ、2006年5月に開催された第14回総会において、四つの案およびその審議結果が出されました(横浜教区報第53号参照)。宣教司牧評議会から提出された答申については司祭評議会にも諮ったうえで、新たな宣教司牧評議会を発足させる、また地区福音宣教委員会に代えて地区共同宣教司牧委員会を設置することに決定しました。

宣教司牧評議会

役割

新たな宣教司牧評議会の主な役割は、二つあります。第一は宣教司牧に関する教区長の諮問に対して答申すること、第二は「教区懇談会」を主催することです。教区懇談会は、教区長との対話、教区と各地区相互の情報交換、研修を行う場となります。教区懇談会のメンバー構成は、各地区の事情に応じて共同宣教司牧委員会の代表者2〜3名、そして宣教司牧評議会の全評議員とします。

評議員の構成

メンバー構成は、信徒の評議員として神奈川県から2名、静岡県から1名、山梨県から1名、長野県から1名、また修道者の評議員として2名、さらに司祭の評議員として1名、職務上入る者として司教総代理、そして教区長のあわせて10名とします。この人数に絞ったのは、必要に応じて容易に集まることを可能にし、実質的な討議がしやすいようにとの意図からです。なお、従来の宣教司牧評議会では使徒職団体の代表も評議員として参加していましたが、これらの団体のメンバーもどこかの地区に所属していますので、選出するか否かの判断は地区に任せることにしました。
評議員の選出方法ですが、信徒の評議員については新たに設置する各「地区共同宣教司牧委員会」から1名の推薦を受け、そのなかから県毎に該当人数をもって教区長が任
命します。修道者の評議員については、横浜教区修道女連盟などの意見を聴取したうえで教区長が任命します。司祭の評議員については、司祭評議会が選出し、教区長が任命します。任期は一期3年、二期まで再任可能とします。
審議過程において「宣教司牧評議会のメンバーには専門性、有識性が求められているのか」との質問がありました。洗礼、堅信を受けたキリスト者として応えていただければ十分であると回答しました。専門性や有識性が必要な際には、専門分野の方をもって期限付きの特別委員会を設置して対応することを念頭に置いています。

規約

以上の内容をふまえ、2007年4月1日から施行する新たな「横浜教区宣教司牧評議会規約」を作成しました。

地区共同宣教司牧委員会

日的

地区共同宣教司牧委員会の目的は、地区レベルでの共同宣教司牧を推進することにあります。

ヴィジョンの策定

地区共同宣教司牧委員会に取り組んでいただきたい作業のひとつは、地区の将来を見据えたヴィジョンを描くことです。「交わりとしての教会をめざして」歩んでいる横浜教区にあって地区のめざすべき方向性や展望について、その具体的な内容を教区長に提示していただきたいと希望しています。たとえば、現在の地区の分け方を見直す必要があるのか、地区としての優先課題は何か、地区に拠点となるような教会を置いた方がよいのか、小教区間の協力体制を作るためにはどうすればよいのか、どのような養成が必要なのかなど、さまざまに想定されます。今後の教区全体の歩みのためにも、とても重要な作業です。この作業をとおして、将来の司祭の配置、また教会建設に際してもどういう建物がふさわしいかなどが、より明確に見えてくるでしょう。

三部門の設置

1988年の地区福音宣教委員会発足と同時に、教区として優先的に取り組む課題が三つ設けられました。滞日・在日外国人との関わり、青少年の司牧、信徒の養成です。今後とも教区の重要課題であることには変わりありませんが、
各地区の置かれている状況はさまざまであり、その優先課題も異なります。そこで、司牧書簡『横浜教区における改革の基本方針』で明示した「多様性の中の一致の原則」と「補完性の原理・原則」に従い、今後は教区としての共通の優先課題は設けず、各地区に任せることにします。上述しましたが、地区のヴィジョンを作るときに、地区としての優先課題を検討してください。
しかし、たとえどのような状況に置かれていたとしても、わたしたちの教会がキリストの教会としてあり続けるためには、三つの欠かせない要素があります。すなわち、祈りがささげられ、信仰が伝えられ、愛の証がなされていることです。ですから、小教区としてもまた地区としても、それぞれ自らの力によって、信仰を伝え、祈りをささげ、人々に愛をそそいでいけるような共同体に成長することが期待されているのです。そこで、これらの課題に応えることができるよう各地区に三つの部門を設けてください。すなわち、@祈る力を育てる部門、A信仰を伝える力を育てる部門、B神の愛を証しする力を育てる部門です。
各部門をもって、自らの力で祈ることができる共同体づくり、自らの力で信仰を伝えることができる共同体づくり、自らの力で神の愛を証しすることができる共同体づくりに努めてください。

活動の評価

地区のヴィジョンを描くこと、三部門を設立して活動を促進することとともに、地区共同宣教司牧委員会のもう一つの大切な役割は、三つの部門の活動報告を受けて毎年、評価を行うことです。

組織と運営

新しい組織になりますが、従来の地区福音宣教委員会をふまえ、つぎのように考えられます。構成メンバーは、少なくとも、地区内の小教区に任命された主任司祭(できれば助任司祭、協力司祭も)、地区に関係する外国籍信徒司牧担当司祭(シスターも)、すべての小教区の教会委員長(または副委員長)、地区内の修道会の代表者、地区における三つの部門の代表者です。
そして、各地区のまとめ役となる司祭を委員会で互選し、推薦してください。「○○地区共同宣教司牧推進担当司祭」として教区長が任命します。
地区共同宣教司牧委員会の運営に関しては、それぞれの地区に任せますが、簡単な形であっても、早期にその委員会の運営のための規約を作っていただければと思います。
構成メンバー、委員の任期、集会の回数、会計などについての規定です。

実施に向けて

2007年4月から一年間を移行のための準備期間とし、完全な実施は2008年4月からとします。



主キリストは、まことに復活されたアレルヤ
闇を光に変えてくださる主の栄光がすべての人のうえに
アーメン

2007年4月8日復活の主日

横浜司教区教区長 司教ラファエル梅村昌弘





補遺

横浜教区における共同(協働)宣教司牧について

宣教司牧評議会と地区福音宣教委員会について、今回「共同宣教司牧に向けた」見直しをお願いしました。検討する際の基準となった「共同宣教司牧」については、すでに教区報をとおして「横浜教区における共同宣教司牧をめぐって」(51号巻頭)と題し、解説しました。共同宣教司牧を推進するための一助としていただくために一部修正し再掲します。

1.「交わりとしての教会」という理念から理解される共同(協働)宣教司牧

司牧書簡『横浜教区における改革の基本方針』のなかで教会の交わりと教会の使命である宣教が相互に深く結びついていることを指摘しました(3〜4頁)。「交わりとしての教会」の「交わり」は「宣教」をめざしていることを忘れてはならないのです。「交わりを証しする宣教共同体」に成長して行くことができればと願っています。自らの教会を維持することさえ容易でない状況のなかにある小教区は少なくないでしょう。しかし、自分たちのことだけを考えるのではなく、他者に目を向け、自ら犠牲を払い支援して行く。それはまさにキリストのいのちを証しすることに他なりません。「一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままです。だが、死ねば多くの実を結ぶ」(ヨハネ12:24)。現代社会にあって教会は今、単に教えを伝えるという独りでもでき得るような宣教のかたちから、キリストのいのちの交わりを証しするという共同体をもってしかできない宣教のあり方へと転換が求められているのかも知れません。

横浜教区が推進しようとしている共同宣教司牧に関して、「すべてのキリスト信者の交わりという教会の本質を実現するための制度と考えるべきでしょう」ということを繰り返し述べてきました。すべてのキリスト信者、すなわち信徒・修道者・司祭は、洗礼と堅信の秘跡をとおして聖霊の賜物を受け、共に教会の使命(Missio)に参与しており、その使命を果たすために共同責任を担っています。その意味で、共同宣教司牧とは「信徒・修道者・司祭が共同責任をもって教会の使命を果たす体制」であるといえます。あるいは「それぞれの賜物を活かし合い、協力し合って働く協働体制」を指すともいえましょう。「共同責任」といっても「同等」の責任や役割を持ってというわけではありません。信徒・修道者・司祭にはそれぞれの責任が課せられているのであり、またそれぞれ異なった果たすべき役割があります。その違いが交わるとき教会は豊かになるのです。司牧書簡『横浜教区における改革の基本方針』のなかでは、信徒、修道者、司祭の交わりにおける補完性の原理・原則を取り扱うなかで説明しました(8〜10頁)。教皇ヨハネ・パウロ二世の使徒的勧告『アジアにおける教会』では「参加する教会」と表現されています。

2.発想の転換

共同宣教司牧をもって、かつてのような「一人の司祭を中心とした小教区づくり」から「複数の司祭と共に、聖霊の導きに従い、キリストを中心としたみんなの教会づくり」へと転換を図ろう、「司祭を中心とした司祭依存型の小教区からの脱皮を図ろう」という呼びかけです。

共同宣教司牧については、従来のような「司祭と信徒」という枠組みではなく、「共同体(協働体)と奉仕者」という枠租みのなかで「共同(協働)」を考えて行かねばならないでしょう。かつては叙階の秘跡による奉仕者のみが考えられていましたが、現在では、叙階による奉仕者の他に、任命による奉仕者、洗礼と堅信の秘跡に基づく奉仕者も存在するようになったからです。

3.共同宣教司牧における信徒の役割と役務

第二バチカン公会議が示す信徒の役割は、三つの次元に及んでいます。第一として、信徒も神の民であるキリスト信者全体に委ねられている教会の使命に参与しています。

第二として、一般社会において担っている固有の役割であり、すなわち「信徒によらなければ教会が地の塩となることができない場所と環境において、教会を存在させ活動的なものとすることが、特に信徒に与えられた使命である」(『教会憲章』33項)というものです。現行の教会法典では、「信徒は、各自その立場に応じて、現世的事柄の秩序に福音的精神を浸透させ、それを完成する特別の義務を有する。このようにして、特に現世的事柄及び世俗的任務の実践においてキリストを証しする」(225条第2項)と規定されています。第三の役割として挙げられているのは、教会的職務です。「信徒は種々の方法で聖職位階の使徒職へのより直接的協力に招かれることができる…信徒には、霊的目的のために行なうべき、ある教会的職務に聖職位階から採用される適性がある」(『教会憲章』33項)と明言されています。公会議後、パウロ六世は使徒的勧告『福音宣教』の

なかで「信徒は、自分たちが牧者と協力して教会共同体へ奉仕するよう召されていることに気づきます。彼らは、主が喜んでお与えになる恵みとカリスマによってさまざまな任務を行ない、教会の成長と生命のために尽くすことができるのです」と述べるとともに、さらに進んで「確かに、叙階された奉仕者以外に、特別な方法で共同体に仕える牧者とされている人々がおります。教会は、彼らの役割を認めております。彼らは叙階されてはいなくとも、教会に対して特別な奉仕をささげることができるのです」(73項)とも語っています。同様にヨハネ・パウロ二世教皇も使徒的勧告『信徒の召命と使命』のなかで「司牧者は、洗礼と堅信…の秘跡のうちにその土台をもつ信徒の奉仕職と任務と役割を認め、育てなければなりません。また、司牧者は、教会にとって必要なときは、司牧者固有の奉仕職に結びついたものとして一般に定められているものであっても叙階による資格を必要としないある種の任務と役割を信徒に委ねることができます」(23項)と述べています。

共同宣教司牧を考えるとき、特に第三のレベルにおける信徒の役割と役務が愁眉の問題といえますが、しかし「ミニ司祭」は必要としません。司祭の肩代わりということか、もっぱら典礼における信徒の役割だけを考える嫌いがあります。特に集会祭儀における「集会司式者」あるいは「聖体奉仕者」としての信徒の役割などです。「祈りをささげる」(祭司職)ことも大切ですが、「信仰を伝える」(預言職)、「貧しい人、小さい人々に愛を注ぐ」(王職)という奉仕の務めも忘れてはなりません。「彼らは、使徒の教え、相互の交わり、パンを裂くこと、祈ることに熱心であった」(使徒言行録2:42)。

4.信徒養成の方法

信徒の役割と役務が三つの次元に及んでいることを考えるとき、その養成も三つの次元が考えられます。すなわち、キリスト信者としての基礎的養成、信徒として社会のなかでキリストを証しすることができるための養成、そして共同宣教司牧チーム(teamministry)のメンバーとなり得るための養成です。『横浜教区における改革の基本方針』で示した「補完性の原理」「多様性の中の一致の原則」に基づき、各地区で固有の養成方法を考えていくべきです。

信徒、修道者、司祭が一緒に準備を進め、共に研修することが望まれます。自分だけの狭い考えの中に閉じこもったりしないためにも、また自らの回心のためにも、特に司祭や修道者の参加が望まれます。共に歩むなかで、信仰を

共にして生きているという実感を深め、個人主義的ではない信仰共同体としての信仰を育んでいってほしいと願っています。「心のかよった方法で、急がず、地道に」進めることが肝要です。決して互いに批難し合わないことです。

「信頼関係が損なわれることのないように心がけたいと思います。信頼関係のないところに真の交わりは生まれません。」『横浜教区における改革の基本方針』のなかの「聖霊への信頼」において呼びかけたことを思い出してください。




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