「聖霊の年」と私たち

横浜教区長 濱尾 文郎

1998年は大聖年の準備の段階として、とくに私たち教会にも働いておられる聖霊にささげられる年です。聖霊は、歴史の流れの中で神の国を建設し、イエス・キリストにおける神の国の完全な現れを準備します。私たちは、救いの中心的な働き手である聖霊をより良く理解することが大切です。

◇ 今も働く聖霊

 イエスは最後の晩餐の折、弟子たちに向かって聖霊について詳しく語られ蓋した。「父がわたしの名によってお適わしになる聖霊が、あなたがたにすべてのことを教え、わたしが話したことをことごとく思い起こさせてくださる」(ヨハネ14章26)。このようにイエスは、聖霊を与える約束や働きなどについて何回も言及しています。聖霊は、いつも私たちと一緒にいて、御父や御子が話したことを解らせ、主イエスについて救い主であることを証明してくださいます。

 約二千年前、イスラエルで広められたキリストの福音が、時代、国家、民族、文化、習慣、言語を超えて今もなお、全世界に誤りなく忠実に述べ伝えられていることは、人間の業でも教会という組織の力によるものでもありません。まさに聖霊の働きによるものなのです。

◇ 教会共同体の働き

 98年は「希望」という対神徳の理解を深める年でもあります。教皇ヨハネ・パウロ二世は、教会の種々な役割において信徒の活躍こそ、希望のしるしであると言っています。信徒、修道者、司祭、司教には、それぞれ異なる役割があります。教会共同体はイエスの時代から、羊と羊飼いの姿で表現されてきました。羊である信徒は、共同体の主役です。修道者は、仲間と一緒に祈りと修行をして、ある場合には福祉や教育などの仕事を通して社会に福音の証しをします。羊飼いの役割を果たすのは司教であり、そのアシスタント役が司祭です。それぞれが、自分に課せられた役割と神から与えられた使命に目覚めて積極的に福音宣教に従事する時、聖霊は大いに働いてくださいます。

 今年は、第二バチカン公会議が説いた「教会」について、よく学ぶ良い機会でもあります。「教会憲章」(64年先行)では、教会はキリストにおけるいわば秘跡、すなわち神との親密な交わりと全人類一致のしるしであり道具であると表現しています。神の恵みの目に見えるしるしを秘跡と言います。教会は、それ自体が秘跡ではありませんが、神の恵みの目に見えるしるしとなり、道具となる使命を持っているということです。

 イエスの神の国のたとえには、からし種やパン種が出てきます。これらは神の力、聖霊なのです。それを手にとって土に蒔いたり、パン粉に混ぜるのは人であるので、神と人との共同作品とも言えるでしょう。神の国は、神の望みのままに実現されるものですから、聖霊が主導権をもっておられるのは当然なことです。「御国がきますように」と祈りながら、家庭、職場、地域社会、小教区に実現されるために、私たちが協力者となっていくことが、キリスト者としての使命なのです。

 横浜教区は今年、設立60周年を迎えました。50周年に発行された小冊子「新しい共同体をめざして」に基づいて、教区、宣教司牧評議会、地区福音宣教委員会、16地区の役割などを見直していく作業が、それぞれの場で行われることを期待しています。

◇ 堅信の秘跡について

 教皇は、大聖年の準備の中で、教会の諸秘跡、とりわけ堅信を通して、また、さまざまな賜物や役割や役務を通して働く聖霊について理解を深めることを勧めています。教会の七つの秘跡は、すべて聖霊の働きです。ミサの中で、司祭の言葉によってパンとブドウ酒が御子イエスの御体と御血になるのは、まさに聖霊によるのです。司祭は「聖霊によってこの供え物が」真の捧げものとなるように祈ります。洗礼を受け手神の子どもとなった信者は、堅信の秘跡を受けてキリストの弟子となります。さらにキリストに似た者となって、社会でキリストが救い主であることと神の愛の証しをしていくのです。主イエス・キリストは祭司・預言者・牧者でしたので、信者は三つの役職を受け継ぎます。日曜日のミサは、自分一人だけで参加するのではなく、特に苦しんでいる人たちの悲しみや喜び、祈りを知らない人の祈りも一緒に祭壇に捧げるならば、それはすはらしい祭司職の遂行です。

 預言職(教職)としては、神の国の希望と愛、そして誰もが神に愛されていることを知らせます。救い主イエスの教えを、自分の言葉で、教会の教えに沿って人々に伝えます。職場や地域で、人に対する評価が正当でない場合に、それを是正していく勇気と努力は立派な預言職と言えるでしょう。

 牧職(王職)については、イエスが言われた、羊のために命を捨てる羊飼いがよいモデルとなります。社会で弱い立場にある人々に手を差し伸べて助けることが、イエスの愛の業に協力することになります。

 洗礼と聖体の秘跡と共に入信の秘跡を経た者は、堅信の秘跡によってキリストの弟子となり、神の国建設の協力者に選ばれたことになるのです。この機会に、リーダーと共同体のための準備の手引き書「堅信への道」(横浜教区典礼委員会著)を参考にして、よく学んでください。

◇ おわりに

 私たちは、個人としても教会共同体としても不完全そのものですが、幸いに聖霊が一緒に働いてくださいます。私たちのエゴを強調するのではなく、聖霊の導きに謙虚に従い希望を持つならば、神のみ旨を果たすことが出来ると言えます。「主イエス・キリストの恵み、神の愛、聖霊の交わりが、あなたがた一同と共にあるように」(2コリント13章13)。



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