ホルモンの基礎

Part 1 - 女性ホルモンの働き


貴女は、そもそもホルモンってなに? という質問によどむことなく答えられますか? 
ホルモンとは、血中にほんの微量存在するだけで、各臓器を調整し、その機能を促進/抑制する物質です。人間が分泌する主なホルモンには、甲状腺ホルモン、下垂体ホルモン、副腎皮質ホルモンなどがあり、女性ホルモンは女性特有の器官に作用します。

では、主に卵巣から分泌される女性ホルモンとその働きについておさらいしましょう。女性ホルモンには、

  • エストロゲン(卵胞ホルモン) - 卵胞および子宮、乳腺の成長を促進
  • プロゲステロン(黄体ホルモン) - 子宮内膜を受精卵の着床に適した状態にし、妊娠を可能にする

の2種類があり、さらに、性ステロイドホルモンであるエストロゲンには主に、エストロン(E1)、エストラジオール(E2)、エストリオール(E3)の3つがあります。自然に分泌されるエストロゲンには、エストリオールが80%、エストロン、エストラジオールがそれぞれ10%ずつ含まれています。これら3つの特徴は、ホルモン補充療法と大きく関わっているので、Part 2 で詳しく説明します。

女性ホルモンは、排卵・生理をもたらし、体の丸みや乳房の膨らみといった女性らしさを保つために重要なだけでなく、特にエストロゲンは、体内でもっともっと大切な仕事をしているのです。「強い味方 イソフラボン」でもいくつか述べていますが、

  • カルシウムの骨への沈着を促し骨を作る骨芽細胞の働きを促進し、カルシウムを骨から流出させようとする破骨細胞の作用を阻害する
  • 抗酸化作用により、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の酸化を抑制し、コレステロールが血管壁に蓄積するのを防ぎ、動脈硬化を予防する
  • 皮膚の組織を作り健康な状態を保つ結合組織コラーゲンの生成を支える
  • 一部報告では、痴呆症を防止する(と考えられている)

といった役割を担っているのです。女性ホルモンは副腎からも分泌されていますが、卵巣摘出により女性ホルモンの分泌が急激に減少することで生じる弊害が、この逆であることは自明の理です。すなわち、

  • 骨がもろくなり、骨粗しょう症を引き起こす
  • コレステロールの増加や動脈硬化の発症率が高くなる
  • 皮膚の老化が進む

のです。あれ〜? もっと大切な卵巣欠落症状を忘れていない? とおっしゃる方。世間で一般的に「更年期障害」って呼ばれる不定愁訴でしょう。忘れてませんよぅ。敢えて後回しにしておいたのです。それにしても、この「更年期障害」って言葉、なんか嫌な響き。特に、更年期に達していないけど、運悪く卵巣摘出したことで、若くして卵巣からの女性ホルモンの分泌が止まってしまった者にとっては屈辱的以外のなにものでもない。だから、個人的には「卵巣欠落症状」と呼びたい。いや、絶対そう呼ぶ。私は更年期などではないぃぃぃ!(←30代婦人科がん経験者の虚しいプライド)。

話が大きく逸れてしまいましたが、日々自覚症状として体験する卵巣欠落症状を下記に列挙してみました。

  • 血管運動神経系 - Hot flash、冷え性、のぼせ、動悸
  • 精神神経系 -頭痛、めまい、耳鳴り、イライラ、鬱、不眠・不安
  • 運動神経系 - 肩こり、関節痛、腰痛
  • 泌尿器系 - 尿失禁・頻尿・残尿感
  • 生殖器系 - 膣の乾き、性交痛
  • 消化器系 - 便秘・下痢、吐き気、食欲不振
  • 知覚神経系 - しびれ
  • 皮膚・分泌系 - しみ、しわ、湿疹、発汗、唾液分泌異常

で、後回しにした理由ですが、体内で分泌されるホルモンのうちたったひとつの、しかも本来は女性特有の器官に作用する女性ホルモンが減少しただけで、どうしてこんなにもたくさんの困った症状が起こるんだろうと疑問に思ったことはありませんか? 私は思いました。で、勉強した結果わかったこと。これらの症状は、女性ホルモンの減少そのものが原因というより、減少をなんとか補おうとする自律神経の乱れが原因なんですね。からくりはこうです。

ホルモン分泌の司令塔である視床下部が脳下垂体に信号を送り、卵巣を刺激することで女性ホルモンは分泌されます。で、その信号を受け取った卵巣が首尾よく十分な量の女性ホルモンを分泌すれば、めでたし、めでたしです。けれど、何らかの理由で、女性ホルモンの分泌が低下すると、視床下部はなんとかして分泌を促そうとします。これがいけない。なぜなら、視床下部には自律神経のコントロールという大切な役目もあるため、女性ホルモン分泌の促進にあまりにも一生懸命になりすぎることで、自律神経のお世話がおろそかになり、自律神経が乱れてしまうから。そのため体のバランスを崩してしまい、上記のようなさまざまな不快な症状を引き起こしてしまうというわけです。だから、不定愁訴と呼ばれる卵巣欠落症状は、自律神経失調症と非常によく似ているのです。

なにげに日々生活している人間の体の中で、ひとつひとつの器官・物質が、与えられた役目を果たすべく、ほかと連携して滞りなく生命活動を維持しようとしている。すべての活動がつながっているため、ひとつが崩れれば連鎖反応でほかも崩れていく。人体って、神秘的でありながら、なんて複雑なのでしょう!

自分の体に感謝・感動したことろで、「ホルモンの基礎 Part 1」は終わり。次回 Part 2 はホルモン補充療法についてまとめます。

Copyright © Freya 7/13/2003
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Part 2 - ホルモン補充療法