バードビムフェン近郊の麦畑


 6月なかば過ぎ、麦の穂がきれいな季節だ。

ヴァイツェンといえば今や日本語。これはパンの原料、小麦です。ドイツ国内で消費する小麦と、製粉のすべてが自国で作られている(2001年度の生産量は2283万トン、その殆どが冬小麦)。

 ちなみに日本の場合、平成9年まで原料の9割り以上が輸入物であり、小麦の年間消費量は、約630万トンであった。徐々にではあるが内麦率が伸びてきて、2001年ではようやく全体比率にして11%少しまで回復し、生産量は70万トンとなっている。

 小規模農家は減ってきているが、内麦率が若干伸びているのは稲作転作政策の結果であると思われる。輸入国は量の多いほうからアメリカ、カナダ、オーストラリアとつづく。国内産麦の生産は、その品質と作付け地、生産性で長く問題を残している。

 日本より人口の少ないドイツで、3倍以上の小麦消費があるということだが、その上、現地でローゲンと呼ばれている、黒パンの原料ライ麦を消費する。一人あたまにして1年間に約85kgのパンを食べているという。日本人は1人あたりの米の年間消費量が約65kgであるのでその量はとても多い。

 日本で栽培される麦、内麦といえば、昔は用途が麺類とか蒸かしパンに限っての原料だったが、この頃パンにも用いられる。現在は多段回方式といって、同じ小麦の中から取れる粉の成分を細分して抽出し、用途別に振り分けられる高度な技術を採用しているので、製粉方法によっても上等なパン用小麦粉が取れる。いろんな研究成果が出ており後御期待。


 現地ではハーファーと呼ばれている、カラスムギ。主に飼料にする。これを食べれば、さぞかし牛も大きく育つでしょう。

 実際この国の牛は見るからに立派である。ヨーロッパにおいて狂牛病で騒がれた時、ドイツにいる全部の牛が一頭残らず処分された。人間は万物の霊長だから・・・・・・。01年のドイツでは114頭の狂牛が発生した。内蔵もソーセージなどにして当たり前として食する慣習のあるお国柄、草食動物である牛にも肉骨粉として髄を与えていたらしい。

 牛肉の味は奥深くてとてもおいしい。牛は育つまでに体重の約8倍の飼料を必要とするといわれている。もしも先進国で食べる牛肉を無くし、その代わり発展途上の国に動物性タンパクでなく植物性タンパク摂取としての穀物に置き換えただけで、世界中に飢餓で苦しむ人々がいなくなるという学説も出ている。


 右はゲルステと呼ばれている大麦。大麦には二条大麦と六条大麦があるが、ドイツではごらんの通り二条大麦。ビールの原料にするためだ。ご承知のように、ドイツはビールの消費量がままならないほど多い。このように十分足りる量をしっかりと自国で栽培している。醸造の際、アルコール発酵を促進するために他の穀物デンプンを添加するようなことは絶対にしない。純粋令がある。ベルギーや日本にはあるが、ドイツの発泡酒など聞いたことがない。地方によってはビールカクテルにするところはある。
 原料の麦芽作りから、非常に残念ながら国産ヴァイツェンを使うビールは今のところ日本にない。一部のビール会社がヴァイツェン・ビールを提供しているが、これはドイツなどから煎った小麦やすでに麦汁になっているものを買ってきて日本の地で醸造したもの。
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 小麦が水でぬれると、穂に付いたまま発芽し始めて、デンプンの力が無くなる。日本の気候では、小麦の種類や播種期を間違えたり農家の諸事情によって、収穫時期が少し遅れると梅雨にかかってしまい、この現象が起きてしまうリスクを抱えている。つまり麺は切れやすくなるし、パンは膨らまない。現在は品質管理の徹底で検査内容が厳密になったり、早生種の導入によって国内産小麦の品質も徐々に良くなってきているが、品質が一定しない第一の理由であった。

 しかし、「捨てる神あれば拾う神あり」である。ヴァイツェン・ビール醸造に使う麦芽の場合、この小麦が好んで使われる。発芽は発酵の一過程にすぎないからだ。フルーティーで香りよく、持ち合わせているタンパクの特性から泡立ちもよくなり、若干酸味があって日持ちもよくなるヴァイツェン。日本の地ビールよ、もっとおいしくな〜れ。そして内麦をも〜っと有効利用しよう。これからの国産ヴァイツェンに期待する。
ドイツは一番パンを食べる。1人あたり年間85キログラム
 穀物・市場・食料研究所(GMF)が2002年8月13日発表したところによると、ドイツ国のパンの消費量は、1人あたり年間平均85.4キログラムと、欧州他国を大きく引き離してトップの座にあることが分かった。1日あたりの消費量にすると、ドイツ人はスライスしたパン4枚、ブロートヒェン1個を食べていることになる。
 パンの種類の多さでも欧州1位で、ブロート300種類、ブロートヒェン・菓子パン計1200種類が流通している。ただし、消費量の大部分はライ麦のブロートで占められており、ドイツ人の保守的な食生活がうかがえる。
 同研究所が今回初めて行った調査によると、ライ麦のブロート以外でドイツ人が好んで食べるパンは、1位が普通のブロートヒェン、2位が穀粒入りブロートヒェン(Das Volkornbroetchen)、3位がプレーツェル、玉葱ブロートヒェンとなった。
  北ドイツでは黒い穀粒パンが好まれる一方、南ドイツでは白いパンが好まれることも分かった。連邦穀物研究所のブリュンマー氏は、南ドイツで白いパンが好まれる理由として、フランスパンのバゲットの影響を指摘している。

日本の食料自給率
 農水省は2001年度の日本の食料自給率はカロリーベースで40%となり、4年連続の横ばいだったと発表した。国内産が大半を占めるコメの消費量は減り続け、飼料用穀物などの需要が低迷した。国連食料農業機関(FAO)によると、主要国の自給率(2000年)は米国125%、フランス132%、ドイツ96%、英国74%などとなっている。日本も1960年代中ごろは70%を超えていたが、最近は主要国のなかでも自給率が際だって低い。 (日本経済新聞)