風力発電
 太陽エネルギーを使う。これは機械の老朽化を除外すれば、人間社会に無限の力を手に入れることを意味する。当時の通産省が太陽エネルギーを使おうと提案した、サンシャイン計画からはすでに30年近くの時間が経っている。日本は太陽の恩恵を受けるエネルギーの種類が多すぎて、計画に纏まりがつかなかった。温泉などの地熱利用だとか、潮の干満、太陽光、風、水・・・量は別として、これらすべての種類は幸運にも日本の大地に豊富に与えられている。それに比べてヨーロッパは水力と風の利用だけに絞ってこられたので単純明快で、かつ風車を見るように自然エネルギーに対しての積極的な活用がある。

 私がドイツに最初に訪れた1977年、Atomkraft Nein Danke!(原発反対)のステッカーを至る所で配っていて、学生諸兄を中心に車や荷物などいろんな物にそれを貼っていた。その希望を現実にした、ひとつの答えが風力発電である。

 ほとんどの研究と開発を終えてしまったとさえ思われていた、風力の再開発である。2000年までの統計では発電量としては1363万kw、世界の73.9%がヨーロッパでの発電だ。なかでもデンマーク、ドイツ、スペインの国では国をあげて風車利用を推し進め、巨大な風車を工場生産している。統計では、01年までドイツの総出力は875万kwだったというし、スペイン333万kw、デンマークで241万kwだったという。これらの国では、一般顧客から発電された電気を事業者は強制的に買わなければならないようなしくみになっている。わが国も21世紀に入った年からグリーン電力証書という新しい制度ができ、コスト高の問題を出来るだけ緩和して二酸化炭素発生の削減を目指している。

 ドイツやデンマークは直径70m出力1500キロ・ワットという巨大な風車が次から次へ建設されている。風が生み出す音などの弊害の無い北海、バルト海上に一本一本建設されているのである。何にもまして、この辺一帯は気象条件が非常に良い。2001年にドイツでは直径114mが出来たそうだ。もっと大型化が進みいずれ出力3500キロ・ワットにはなるだろうとの予想がある。大きさを競うにはわけがある。建設単価は下がり発電能力は上がる。羽根が大きくなればトルクが大きくなり、発電機の増速出力が大きくなり、結局発電コストが下がるわけだ。

 羽根の材質もプラスチックに種々の繊維を混ぜたグラスファイバーをより軽くして回転効率をあげ、軽くなるゆえ運搬も容易にするなどのメリットを考え改良を重ねている。軸受け部にかかる強い力に耐えるボルト機構が開発されているそうだ。一定方向の強風はさほど問題ではない。プロペラ回転から前に進む飛行機を想定してみても、ヘリコプターにしても十分にプロペラ強度は持ちこたえられている。問題は気圧変動や地形から起きる巻き風や風速の一定しない脈動にある。風の強さや風向に合わせて羽根の角度を変える技術で微風でも発電を始めたり、風の強弱によって変動してしまう電圧を一定にする技術は実用化している。風の方向へ自動的に本体が向くシステムも実用化されている。それにしても、冬季の日本海側や台風などの突風、そしてそよ風による気象条件は風車にとってはとても辛い。最適となるピンポイントを探しているが、やはり海岸線がいいようだ。

 2003年、日本全国で約160ヶ所地点で約500基の発電用風車が回っている。風が強いとか条件のそろっている場所には、もうすでに風車建設されている。ポールを立て、一年を通して風の状況を事前に調査し風力量を予測している。風車ビジネスでは順調な風であれば、3ヶ月で元が取れるという計算である。台風の強風は捨てがたい。

 日本政府は2010年までの総風車発電目標を300万kwとしている。2002年に入るまで日本の合計出力は約20数万キロ・ワットであった。瞬時に変化する風向にも耐える、つまりはどの方向から風が吹いてきても発電機が回る、プロペラ型以外の風車が日本で開発が進んでいる。研究機関が中心となって一刻も早く独自の風力発電機を製作する必要がある。自動可変増速機能を持たせるとか、色々な人のアイデアが必要で、夢のような話はまだできそうである。非プロペラ型や自動制御となれば、残念ながら製粉史の延長などではないかもしれない。