蕎麦の変色

 蕎麦の実の変色について考えてみよう。蕎麦は言わずと知れた、生きた植物だから、その種実からさまざまなガスが発生される。ここで注目したいのがエチレンガスである。(その発生メカニズムは機構的に解明できたが、ここでは割愛)。エチレンは植物の老化ホルモンであり、蕎麦種実の老化をも促進する。新蕎麦が好まれるように、蕎麦には鮮度がとても重要で、エチレンは蕎麦粉の色に直接作用する葉緑素を分解し、蕎麦の味や、麺を作る上とても重要な役割をするタンパク質をも分解してしまう。

 私が試みた実験の一部分を明かそう。我々が程よく感じる通常気温25℃、湿度65%環境のもと、2000ppmエチレンという高い濃度のガス処理を行った結果、すぐには変色は見られなかった。しかし、これには時間的ファクターが抜けていた。ほっておくと大変に影響力のあることが判明した。それは変色のみならず、分解による微粉の散乱、腐敗臭をも徐々に現れてきたのである。

 長期保存の場合には脱気を施したり、費用が嵩むが、大理石やゼオライトなどの多孔性鉱物や、備長炭などの立体網目構造をもつ物を保存倉庫に使うことも有効と思われる。冷温保存も活性化阻止という意味では有効だが、エネルギーのこともかんがえて、最小限に抑えて保存する方が良い。あくまでも穀物である。実はそれ以上に阻止したい重要な変色要素がある。