ブレッツェル
 これはドイツ特産の8字型をしたブレッツェル(brezel)というパンである。今では海外でも消費があり、英語よみでプレッツェルとかプレーツェル(pretzel)といえ
AREKより
ば型を小さくした塩まぶしのビスケットで、ビールのつまみとして有名である。ミュンヘェンで毎年秋開かれているビール祭り、オクトーバーフェストには南ドイツとビールの象徴のようにして必ずお目見えするパンだ。バイエルン州とバーデン・ヴュッテンベルグ州 そしてシュワーベン地方の特産で、製造方法はかなり前にあるといわれている。

  ブレッツェルのはっきりとした起源はもちろんのこと、その奇妙な形をしている理由を誰もあまり知らない。しかし語り継がれている物語が幾つか残っている。その一つが1500年前後、南部あたりに住んでいた酒飲みのパン屋に関係するという話だ。・・・ある日、彼の飲み癖は法律で裁かれ、刑務所行きを余儀なくされた。しかし心の広い裁判官は彼に1つだけ選択肢を与た。 「もしも小さなパンに太陽の光を3ヶ所通せたならば、おまえの身体を自由にしてあげようじゃないか。」 そうしたら巧妙なパン屋はプレッツェルをひねり出したとさ・・・とまあこんな話だ。

 古代エジプトの時代からビールを液体のパンと見て、この両者を同一視している壁画なども発見されている。ビールの起源にはパンが深く関係してきたからである。パン発酵に使われている酵母、それと醸造に使う酵母菌である。これらは同じアルコール発酵によってできる。作るところも少し前のビール工場と製粉場は、外見から見ると焙煎と麦芽を煮詰める為の、火力に用いる煙突のあるかないかだけで見分けがつかないほどだったという。今でも両者とも良く似た、これが工場かと思われるようなレンガ造りの立派な建築物がヨーロッパには幾つか残っている。

 これは「ヴェルホルツァー」といわれる木製の「延し棒」である。パン博物館に所有してある物なのでだいぶ古そうだが、いつの時代に使われたのかは定かでない。上から順々に見ていくと円形の刃がついており、延す作業で生地を圧しただけで自動的に切れるしくみになっているのがわかる。このようにしてパン生地も整形されていたのだが、シュワーベンで広くブレーツェルを生産しているフオバーがおっしゃるには、この延し棒の名称も古典的となってしまい、現在ではもうヴェルホルツァーは作っていないとの話だった。

 ここで興味深いのは、長さは別とすると日本の麺棒にどこか似ているということだ。食文化の内部に潜む両国の一致を見つけて、シャッターを押すとき少し高揚していた。そして下段の棒の細工をもっと展開すれば、現在の機械製麺の麺切り下ろしカッターの原型を見ているようでした。