車を買う


大都市、とくにパリは便利である。縦横無尽に張り巡らされたメトロは全部で14本。RERと呼ばれる郊外まで伸びる地下鉄が4本。これだけで市内どこからでも交通に不自由しない上にバスはいったい何路線あるかわからないほど。一方、ひとたび郊外に出ると、メトロ圏外、それがRER路線内でも交通はとたんに不便になる。車がおもな移動手段になるのである。

フランスで車を入手するには、新車を買う、中古車を買う、リースなどがある。
新車はそのとおり本当に新車で自動車の販売店で購入できる。新車販売店でも中古車を扱っていたり、新車を月々何フラン、3年後に買い取りまたは乗り換えというプランをあつかっていたりする。後者は新車がかなりお得な条件で手に入るのでうれしいが何年というのがボトルネックになる。
中古車には中古専門の店があるが、フランスでもっぱら主流なのは個人売買であろう。町を走る車に「この車売ります」という張り紙がしてあったりするのを頻繁に見かけることができる。また、役所、商店の掲示板あるいは新聞などのアノンス/annonceにも車を売りますという情報が掲載されている。
リースは、あるにはあるが主に企業向けのようである。

中古車をフランス語ではvoiture d'occasionというが一方レンタカーはvoiture de locationとなる。生半可な文法でvoiture de l'occasionなどといってしまうと訳がわからなくなる。
フランスでは中古車の価値が高く意外と高いものが多い。みんなどんどん走るので結構な走行距離のものばかりで距離の少ない「若い」車は個人売買市場にあまり無い。10万キロメーターをこえる車でも立派な商品となるのである。

個人売買で中古車を買ったときの手続きはすべて自分でやらなければならない。以下にその手続きと必要な書類を紹介する。

「これだ」という車が見つかりそのオーナーと交渉成立となったら、支払いのお金を用意しよう。相手が現金での支払いを要求してくるのならそれに従うであろうが、車一台結構な金額なのでそんな物騒なことはしない。たいていは小切手での支払いになるが、個人の銀行口座からの小切手では信用の有無とは関係無く気持ち悪いものである。知らない相手ならなおのこと。小切手は銀行発行のもの/check de banqueを用意する。銀行の本店、支店が発行するのもなので銀行が無くならない限り不渡りにならない信頼のあるものである。これは口座がある銀行で作ってくれる。もちろん手数料はいくらか取られる。

車を売る側は準備するものが多い。
Certificat d'immatriculation通称Carte griseという登録証に"Vendu le "売った日付、サインを書き込み、右上の一部を切り取る。
Certificat de cession d'un vehicule、車を譲渡しましたとの旨を証明する書類を作成する。書式はPrefectureで入手できる。
Certificat de situation (non-gage)、車が担保、抵当などなど借金のかたになっていないことを証明する書類でこれはPrefectureで作成してもらう。発行から1ヶ月以内でなければならない。
Controle techniqueという日本でいうところの車検を受けなければならない場合がある。車が登録から4年以上たっているときは売買まえ6ヶ月いないのControle techniqueが必要になる。

支払いと引き換えに車とこれらの書類を受け取ったら正式に売買成立となる。

次は所有者の変更手続きである。上記の受け取った書類に加えて以下のものが必要。
Piece d'identite、身分証明証であるが外国人の場合は滞在許可証/Carte de sejourが求められる。
Certificat de domicile、住所を証明するもので手っ取り早いのは電気ガス水道の請求書である。

これらの書類を持ってPrefectureへ行き所有者の変更手続きをおこなう。その旨を窓口で伝えるとDemande de certificat d'immatriculation d'un vehiculeという書類を渡されるのでここに必要なことを記載する。住所、氏名、車の種類と登録番号などである。すべてを提出して登録費用、これは車の種類(排気量など)によって異なるが、を支払えば即日新しい登録証、Carte griseを手に入る。これで名実ともに所有者は変わる。

注意事項としては売買が成立してから、すなわち譲渡証明の日付から15日はそのまま運転することができるが、それ以降は次の所有者変更手続きをしなければ道路を走ることはできない。自動車保険の手配も速やかに行わなければならない。保険は義務である。

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