スコッチ刑事特集

ここではスコッチ刑事について特集しました。
当時の記事などからの抜粋になりますが、今も人気を誇る沖雅也の代表作のひとつ、
「太陽にほえろ!」のスコッチ刑事は永遠に愛され続けるキャラクターでしょう。


☆1976年9月10日スコッチ刑事登場!

■ガイド誌より■
●テキサスのあとは“スコッチ刑事
「太陽にほえろ!」にまた異動の季節が来た。
ファンの助命嘆願もむなしく テキサス刑事こと勝野洋が9月3日 壮絶な死を遂げ、姿を消す。
というものの死にざまは まだ未定。
後ガマはキザだが 三つぞろいできめた沖雅也が、スコッチ刑事で登場。
「早く水になれて、自分なりの刑事を。“太陽…”はとにかく走らされると聞いて」
体力づくりのため、マラソンを早くも開始した。

「ゲスト出演したこともあります(注1)し、『太陽にほえろ!』はよく見ていました。
抱負ですか?長年、いいチームワークでやってきた番組ですから、石原裕次郎さんはじめ、スタッフの間にある程度、落ち着いた雰囲気があります。
だからとにかく早く皆さんになじんで、ぼくなりの役づくりをしていきます」

(中略)沖雅也のニックネームは“スコッチ刑事”。
英国風の三つぞろいの洋服で、さっそうと登場するからだ。
飲みものは紅茶だけ。銃身の短いピストルを持ち、腕前は名人級。
そして、空手は四段という設定だ。
(中略)九月十日『スコッチ刑事登場!!』から、半年間二十六本、暴れ回る予定である。
人間に対して「愛と信頼」を失った、いわば「やりすぎ刑事がほどほど刑事」となり、古傷を七曲署で癒す成長ドラマになるわけ。
一方、レギュラーだった人気者が“殉職”すると、あとがまの刑事が、視聴者に憎まれるのが通例である。
“スコッチ刑事”も例外ではない。
「いい意味でも悪い意味でも強い男だから、七曲スタッフにも反感を買うかも知れない。
テキサスの生きざまを否定する可能性もあるから、全女性にきらわれるかも」(川口晴年プロデューサー)
身長一暖十二造硫雅也扮する“スコッチ刑事”が、新たな「太陽にほえろ!」の話題の中心になることは間違いないようだ。

「恐いんですよ、この番組は。新加入の刑事をシゴクでしょう…」
七曲署へテキサス(勝野洋)の殉職後に加わる沖雅也がこう語った。
六月十八日、国際放映(東京・世田谷区砧)で行われた“スコッチ刑事・登場!」の記者会見席上での話。
「トレーニングに精を出しています。今月一日から早朝マラソンを毎日二十分間やってんですよ。何をさせられるか心配ですからね」。
(中略)
「ボクは、以前に空手とボクシングをやった経験があるんです。運動神経は、まあまあの方だと思ってるんですが、心配で心配で…」

と緊張ぎみにインタビューに答える沖。
「スーツって苦手なんですよ。特に三つぞろいなんて」

■新聞より■
(前略)「視聴率が上がって番組自体にカドがとれ、平和になってしまった。四年前、夢中になったファンももうオトナ。ここで青春のざ折や悲しみを強く出していきたい」
と、岡田氏(注2)は、いま路線の修正を考えているという。
“スコッチ刑事”沖雅也を加えたドラマの展開が、夏以降のお楽しみということだろう。

(前略)沖は
「出演者の皆さんのチームワークが良い番組なので早く慣れて自分なりの刑事を演じてゆきたい。
石原さんは日活の大先輩で“二人の世界”で共演しました(注3)が、雲の上の人で口をきくこともできませんでした。
アクションは好きなので思い切り体を動かしたい」

と抱負を語っています。

平和になってしまった七曲署の起爆剤として投入されることになったスコッチ刑事。沖雅也ファンとしては、従来の「太陽にほえろ!」ファンの反感を買うことが心配になって来た。現に学校では「え〜、沖雅也?なんかイメージ違う」と、新人刑事ではなく沖さんが加入することへの違和感からか、ちょっと不評だったものだ。
ガイド誌には沖ファンからの投書があった。
「突然ですが、読者の皆様、特にNTVの『太陽にほえろ!』のファンの方、そして勝野洋さんのファンの方、どうか、私の願いをきいて下さい。
『太陽にほえろ!』に九月十日から、勝野洋さんのかわりに沖雅也さんがレギュラーとして、出演されます。どうか沖雅也さんをうらまないでください。私は沖雅也さんのファンで、あのすてきな沖雅也さんが視聴者の皆さんに嫌われるのがつらいのです。どうかお願いします」
これは勿論管理人の投稿ではないが、全く同じ思いだったので切り取っておいた。他にもこんな記事がある。

「太陽にほえろ!」新メンバー沖雅也がサイン会。紅茶が好きだというスコッチ刑事 ファンから逆にティーカップをプレゼントされ頭をかく。“ガンバッテ”の黄色い声援にままた感激のテイだった。




☆前期スコッチ − 1976年9月10日〜1977年3月25日まで −

■スコッチ刑事登場の日。読売新聞より■
(前略)滝の人物像は、冷酷無比。
同僚との協調性など眼中になく、上司の命令にそむくことも辞せずに、ただ一人、ひたすら獲物(犯人)を追う。
なんだ、この種のドラマによくある猛烈刑事か。その通り。
変わっているといえば、三つぞろいの背広に身をかため、一分のスキもない身づくろい。
英国紳士風とまではいかなくても、まずはカッコいいというべきか。
ドラマは、そんな彼の過去にもふれる。
本当は気持ちのやさしい、明るい男だった。
それが、自らが凶悪犯を討つのをためらったために、先輩刑事が殺されて…人情話調である。
つまり、人物設定、語り口ともに“凡”の積み重ね。
かつ、劇画調のカッコよさをねらうのか、気恥ずかしさもものかは、ことさらむずかしい表情に終始する沖クン…秘密の一端がみえた。マンガを流し見る調子に徹している。

なんだ〜?NTVは読売グループなのに、こんなに悪意のある解説でいいのか?
当日の朝、私はこれを観て打ちひしがれた。確かに今読み直せばうなづける部分もあるのだが、ファンとしては気がかりでたまらなくなった記事だ。
フン、なんだ「撃つ」を「討つ」にしているくせに!と、漢字の間違いをみつけてわずかな喜びを感じていたのを覚えている。
だが、スコッチ刑事は意外にも太陽ファンの心をとらえて行ったのだった。

■新聞より■
『クールで、すてき』『男らしくって最高!』
といった若い女性からのハガキや手紙がぞくぞくとテレビ局へ。
九月十日からレギュラー入りした“スコッチ刑事”こと、沖雅也の評判が上々だ。
沖の役どころは、城北署から七曲署に配属された刑事、滝隆一。
城北署では、自分が犯人を撃てなかったために、隣にいた先輩を死なせてしまう。
それ以来、非情な刑事としてみんなからきらわれていたが、
そうした彼を藤堂(石原裕次郎)が救って、七曲署に連れて来た。
全員で、彼に愛と信頼を取り戻させるというのが今後の大きなテーマとなっている。

「ぼくの演ずる滝刑事は、心に負い目を持ったむずかしい役ですが、“男の悲しみ”を表現できたらと思います」という。
撮影開始前からマラソンをしたり、トレーニングセンターに通い、夏には毎日三善砲い蚤里鮹辰┐拭
いまでも、家でバーベルを上げたり、週に二、三回はマラソンをしている。
彫りの深い端正な顔が浅黒く一段と引き締まり、いっそう男っぽくなった感じだ。
見かけよりはぐっと若く、いま二十四歳。
だが、結婚については「できれば、したくない」と、もらす。
外で飲んだり遊んだりすることがきらいで、撮影が終わると、まっすぐ家に帰る。
一人でボケッとしたり、好きな盆栽の世話をしているという。

■ガイド誌より■
この番組の新前刑事はよく走らされる。
キチッと背広を着ての全力疾走となると並み大抵ではない。
沖は、撮影が開始された八月から、マラソンをしたり、トレーニングセンターに通って体力作りに余念がない。

「滝(スコッチ)は典型的な一匹狼。
行動的で、スリーピースを着こなし、紅茶を愛する英国スタイルの紳士。
『結婚相手か恋愛の相手、それともボーイフレンドっていわれたら、l恋愛の相手でしょうね』(OL・23歳)
『カッコイイあの人。頼めばどこへでもすぐ連れてってくれる感じがします。恋人?ボーイフレンドでいいです』(テレビ局勤務・21歳)
このロマン型、行動型のファンは十五歳から三十歳ぐらいまでの人で、都会的な女性が多いんです。
行動的で、幾分、自分本位のところがあって、ドラマの中で自分が思った通りを演じてくれると、とてもうれしがるんですね。
ですから、この二つのタイプの役者が演じるものは、子供番組に多いといえます』(阿部進氏)

ロケで各地を移動するにはどうしてもクルマが必要。
露口茂はマツダコスモ、沖雅也はオースチンに乗っている。竜雷太はタクシー愛用者。
〜新宿西口のロケ先〜
一番最初に着いたのが竜雷太。タクシーを降りて小走りに道路を渡る。アレッ!? 足元を見ると、ナント彼は“つっかけ”。
つづいて現れたのは沖雅也。こちらは運転手つき。撮影が始まる間際までクルマから出ず、入念なメイキャップ。
ゴリさんとスコッチ、役柄だけではなく、日常生活も対照的なようです。

スコッチ刑事登場以来、若い女性の間で評判なのが沖雅也の本格的英国調おしゃれ。
なにしろライターや懐中時計の小道具まで、すべてスタッフが苦労して捜しだした年代物だ。
髪型も新たに“スコッチヘア”として考案したという凝りようで早くも町に流行のきざしがチラホラ。もっか二十四歳の沖、若い女性の評判には−−
「うれしいですね。でも、結婚は全然したいと思ってません」
と私生活でもキザに徹している。

年末に中座での舞台「ふりむくな鶴吉」を一ヶ月公演した沖雅也。
二月からはNETで平安期を背景にした「幻花」出演とこのところ時代劇づいてる。
「“ふりむくな−”は私の時代劇での代表作、“太陽−”は現代劇における代表作とそれぞれ気に入っています。
時代劇、現代劇と並行することに抵抗はないですが、時代劇は役が作りやすいですね」

鶴吉の職業は岡っ引き、滝刑事と似たようなもの?

(『すれ違った女』の解説で)
今回は、これまでの「太陽−」の社会派的色彩とうってかわってロマンチックミステリー仕立ての新機軸となった。
外国のテレビでは「署長マクミラン」などこの種の刑事ものも多いが、日本では未知数の分野。
篠ヒロコは「“おとなのオンナ”であること“セクシーであること”が、この犯人に要求される条件ですので大変むずかしい」とひとこと。
篠ヒロコVS.沖雅也でどこまでこの分野を開発しうるか興味深い一作となった。

■週刊誌より■
人気番組「太陽にほえろ!」(NTV)に、9月10日から登場した“スコッチ刑事”がこの人。
人情刑事にかこまれて、ただひとり冷酷非情な刑事を演じる。
製作側は「とつぜん異色な人物を登場させて、視聴者に拒絶反応を起こさせるのでは?」と心配だったというが、彼の参加で、もともと30%をキープしていた視聴率が、さらに5%近くはね上がった。
「そのことはうれしいですが、ボクが出たことでドラマがおもしろくなったといわれる方が、もっとうれしい」
と、本人はいたって謙虚。自分のことを
「いってみればボクはスパイス。味付け役」とも。そして
「スコッチってボクに似てるんですよ。
イイカッコもすれば、夢見るようなところもあり、人知れずセンチなところもある」

と、ちょっと照れた。

両親が離婚したのは、彼が14歳のとき。
まもなく、たった一人の妹が福岡県の親類にあずけられ、フッと気づいたときには、彼は一人ぼっちになっていたという。
「あまりにもあっけない肉親との別離だった。
あれから、オレは、一度会った人間の顔は、けっして忘れないようにしている。」

人間は、愛した人の顔さえ忘れてしまうこともあるのに、なんて哀しいことばではないだろうか。
だが、彼は笑う。
「刑事役にはピッタリだろう」と…。
笑の中に、フッとさびしさがただよう。
「沖さんて、男っぽさがいっぱい。あんな兄貴がいたらいいのにな。」
年下の女の子に見せる笑顔には、いつもやさしさがあふれている。


☆スコッチの転勤

■雑誌より■
「太陽にほえろ!」の人気刑事・スコッチがとつぜん番組から消えることになった!
さては、歴代の若手刑事(萩原健一、松田優作、勝野洋)のように、沖雅也扮するスコッチも殺されるのか?
(中略)「でも、死ぬわけではないので、再度スコッチが登場する可能性もあるんですよ」
そう話すのは、岡田晋吉チーフプロデューサー。
「沖くんとは、彼のデビュー作『さぼてんとマシュマロ』(NTV系)や『はぐれ刑事』(NTV系)以来のつきあいですが、
『太陽にほえろ!』にレギュラー入りしてもらうときに、一応6ヶ月で、という約束があったんです」
今度に限って、どうして死なないのかな?
「3人も死なせているんですから、ヒーローを死なせることもそろそろマンネリ化しているんですよ」
テキサスを殺したとき、実際にご主人が殉職している警官の未亡人などから、
殺されるシーンを見るのはつらい、という投書がかなりあったことも、スコッチが死なずにすんだ理由のひとつ。
「沖くんは、演技者としても100パーセントだし、スタッフへの礼儀も正しい。
4メートル近い2階から飛び降りるシーンのときも、スタントマンなしでやってのけ、足を少しケガしたらしいんですが、沖くんは、そんなことをひとことも口にださない人なんです」

今回で消えるスコッチ刑事の沖雅也にインタビュー。
− 半年間ご苦労さま
「あっという間に過ぎてしまいました。随分勉強になりました」
− 役作りで苦心したことは?
「テキサス、ジーパンは新人刑事として登場したのですが、私の場合は役の設定が中堅刑事でした。いままでの『太陽−』にはない役でしたから、新しい刑事像を作ったと思っています。実験だったんですよ。私の役は」
− これからの予定は?
「TBS『横溝正史シリーズ』に殺される役で出るんです。(注4)『太陽−』ファンの皆さん、ご声援ありがとうございました」

こういった記事が出ていたが、半年で転勤してしまったスコッチ刑事に対する不満も目にした。

■ガイド誌の投書より■
私、頭に来ています。スコッチがやめるなんて…。
別にスコッチのファンじゃありません。
番組制作者の考え方というのが視聴者をバカにしすぎていますし、人気のあったテキサスを殺したから次にどんなのが出て来るのかと思ったら半年でやめるなんて、しかも契約ぎれだからなんてふざけすぎてます。
一匹狼だなんてキャッチフレーズだったのにすぐに仲間になじんで」しまったし、これといった個性も発揮しなかった。俳優自身も不本意だと思わないのでしょうか。
契約が切れたらし直せばいいじゃないですか。(後略)

なるほど、ごもっとも。
管理人自身もこの降板はちょっとガッカリだった。途中で舞台と掛け持ちになって出番が少なくなったりもしたし、これからというところだったのに。
スコッチが番組から離れる当日(1977年3月25日)には後楽園球場で「『太陽にほえろ!』VS『大都会Part供戮量邉綮邱腓行われ、三回裏でスコッチの「引退式」が行われ、花束贈呈という花道はあった。
しかしそれも当日並んで観に行った者としては、三回裏といわず最後まで出場してもらいたかった。 スコッチ転勤の三週間後には、こんな記事が出た。

■ガイド誌より■
「太陽にほえろ!」の“スコッチ刑事”こと沖雅也が、転勤のかたちで姿を消して三週間たつ。
一方、局へは連日、視聴者からの抗議文やら、嘆願書が殺到。
「他の人は一年なのになぜ、彼だけは半年なのか」
「一日も早く七曲署にもどして!」
というのが“スコッチ復帰”を要望する女子高校生たちの声。
これに対し、再度、
「半年レギュラー入りは難しいが単発のゲスト出演は考えています」と、岡田晋吉プロデューサー。
また、沖刑事を歴代の新人刑事同様に殺さなかったのは、
「すでに新人のタレントではなかったから」(岡田さん)。

☆スコッチ刑事のゲスト出演

「視聴者からの要望にこたえるため」(岡田氏)沖さんが「太陽にほえろ!」にゲスト出演したのは、それから七ヵ月後の10月28日『帰ってきたスコッチ刑事』と、一年後の1978年4月28日300回記念『男たちの詩』だ。
『帰ってきたスコッチ刑事』では少し短くなった髪が成長を感じさせ、拳銃嫌いだったロッキー刑事のよき先輩として登場。

■ガイド誌より■
「レギュラーのときはアクションが少なかったけど、今度はたっぷりやる」
と腕をさする。木之元亮とは初対面だが、木之元のヒゲを引っぱって周囲を笑わせるなど、すぐに意気投合。

沖雅也が久しぶりに七曲署へ。
ボスの石原裕次郎らに迎えられた沖雅也、
「ここの空気をすうと、スコッチ刑事のころが思い出されて懐かしい」
といいながら、ロッキーとともにロケ地へ。ロッキーは
「沖さんとは五周年パーティーで会っただけで、一緒に演るのは初めてですから緊張しました。大変疲れました」と語っていた。

☆スコッチ刑事再加入

1980年3月、沖さんはスコッチ刑事として「太陽にほえろ!」に再びレギュラー出演する。
3月21日放送の『廃墟の決闘』ではラストにのみ登場して視聴者をあおり、28日の400回記念に『スコッチ・イン・沖縄』で華々しく復帰。
新聞でも雑誌でも大々的に宣伝されたので、ファンとしては鼻が高かった。
■「太陽にほえろ!」10周年記念号より■
再登場のスコッチこと沖雅也
「前は、役柄の設定上、冷たいとか気取っているとか誤解されて困った。
こんどは愛をテーマに人間味あるスコッチを演じます。
歯車のひとつとしてがんばりたい。
この番組は走らされるので、一ヶ月前から仕事の許す限り週に3〜4回、10キロずつ、近くの青山墓地を走って体を鍛えています」

と意欲を見せていた。

■新聞より■
(前略)今度の復帰は、番組をパワーアップさせるための助っ人の乗り込みである。
親近感のある刑事たちの中でただ一人のクールな異分子的な存在だが、今度はクールな中にも炎を秘めた男。
「以前出ていた時の僕に対する視聴者の印象のデータでは、僕の感じは冷たい、とっつきにくい、気取ってる、でした。僕の表現能力の足りなさです。
今度は脚本の面でもお願いしてクールな中に暖かさを出す努力をします。
例えば、犯人をただ捕まえるだけでなく、その犯人の置かれた事情を考え、捕まえることが愛でもある、というふうに。
どこまでうまくやれるか。
でも、助っ人として迎えてくださるのはうれしいこと。大いにがんばります」

今、二十七歳。
ロッキーの木之元亮やスニーカーの山下真司より一つ若いが、芸暦は十年を越すベテランだけに、静から動へ移るアクションは、二人の参考になることが多い。
「動きをシャープにするには力の“ため”が大事と思うんです。
ためがあってはじめて動きが引き立つでしょ。
僕は格闘だけでなく、すわっていることもたっていることもすべてアクションと考えて、色々な場合の様式美を自分なりにいつも見つけたいんです。
しかしそれ以上に、そこにいるだけでとてもいいというようなキャラクターの魅力を身につけたいです。
つまり普通の人間としての魅力です。
十の様式よりも一つの魅力の方が大事です。
僕はロッキーたち二人よりたまたま経験が長いだけですから、二人の触発剤となればと思っています。」


■ガイド誌より■
沖雅也は
「再登場が決まってから毎週二日は必ずジョギングをして体調を整えてきました。
前回は冷たいイメージだったけれども、今回はホットな感じを出したい」

と抱負を語っている。
ボスの石原裕次郎も「頼もしい部下ができた。頼むぜ」とニッコリ。
スコッチの加入によって刑事は八人になるが、岡田晋吉チーフプロデューサーは「当分八人体制でいきたい」と語っている。

誰も殉職していないのにスコッチが再加入したので、七曲署は定員オーバーになったわけだが、これはTBSに視聴率を奪われかけていた「太陽にほえろ!」の苦肉の策だったようだ。
中学の頃、ひとクラス48人でそれでも超満員だったクラスに転校生が入ってきて、これは親の力によるゴリ押しで転入したのだろうなあと思ったことがあったが、ロッキーやスニーカーにとってはそんな気分だったかも知れない。
それにしても「様式美」という言葉には驚いた。沖さんはそこまで計算して演技していたのかと、ただいつもみとれるばかりだった私は舌を巻いた。

■ガイド誌より − 沖縄ロケこぼれ話 −■
△久米島ロケでは、島の子供たち二百人が見学にやってきた。
撮影そのものが珍しいこともあって、みんな真剣な顔で見学。
したがって撮影に支障をきたすこともなくロケは順調だった。
竜雷太などは「みんな行儀がいいね。あとでサインあげるからもう少し待ってね」とすっかり子供たちを気に入った様子だった。
子供たちの方も「竜さんって先生みたい」と嬉しそうな顔。
△酒
夜の楽しみは酒。それも地酒の久米焼酎が大変な人気だった。
竜雷太や沖雅也は「これは翌日まで残らないからいいんだ」と言いながらピッチの早いこと。
もっとも竜は撮影シーン数も少なく、翌日のことまで考えていたかどうかはさだかでない。
△ジョギング
沖雅也は沖縄にまでジョギングウェアを持参し、撮影が終わると着替えて海辺を「オイチ、ニー…」と快走。
でも一人では面白くないらしく山下真司や木之元亮を誘うのだが、二人とも「かんべんして下さい」と逃げ回っていた。
△守礼の門
那覇市内にある“守礼の門”を刑事たちが見学。
観光案内の沖縄美人に木之元亮や山下真司は「沖縄は酒はうまいし美人が多いし…天国だなぁ」とゴマをすること。
もっとも彼女たちは沖雅也のファンだそうで
「やっぱり“守礼の門”の前では礼儀正しくないときらわれる」とがっくり。
△ネオン
約二週間の沖縄・久米島ロケの最後の方になると、みんな「恋しいね、ネオンが恋しい」とこぼし始めた。
中でも木之元亮は「こんなに長く不在だと子供がオレの顔を忘れちゃうよ」と“父親”らしいひと言。
山下真司は「六本木が呼んでるよ」と“六本木詣”の話ばかり。
△緊張
犯人の妹役でゲスト出演の沢田和美は緊張のしっ放し。
撮影現場でセリフをカットされると「うわぁ、嬉しい」と大喜びで普通の新人とまったく反対。
ロケから帰ってきても「正直私の出てるシーンは誰も見て欲しくないんです」
とテレビドラマ初体験のショック度は相当なもの。
△水着
久米島で沢田和美、木之元亮、山下真司らはカメラマンの注文で水着になった。
気温は20度ぐらいあったがまだ水が冷たく泳げる状態ではない。
山下真司などは「せっかく水着を持ってきたのに」と残念がることしきり。
△燃える男
出番の少なかった竜雷太はもっぱらスタッフの手伝い。
沖雅也と森大河の格闘シーンでは冷たい海の中に入ってカメラマン助手を務め、カットごとによかったぞ」と拍手したり演技指導をしたりで“燃える男・竜”といった感じ。

真偽はともかく、ロッキーとスニーカーがすでに引き立て役に回された感じの文でまとめられているのがお気の毒だ。
それにしても沖さんが「オイチ、ニー…」と言いながら走っていたら笑える。

こうして鳴り物入りでレギュラーに戻ったスコッチ刑事だが、沖さんはTBSに奪われた視聴率を奪還するために岡田プロデューサーに頼まれて復帰したのだから、その重圧もあったころだろう。
亡くなった時はその重圧を原因のひとつに挙げる記事や番組もあったほどだ。

■ガイド誌より■
(400回記念記事)
スコッチ刑事(沖雅也)
「三年ぶりに七曲署に復帰するんですが、ボスに『よっ、出戻り!』って肩たたかれましてね。ブランクなんか全然感じませんでした。」

打倒『金八先生』(TBS)に燃える刑事たちの中でも、スコッチ(沖雅也)の意気込みは大変なもの。
ひまを見つけてはロッキー(木之元亮)やスニーカー(山下真司)に演技指導。
「僕がやらなくては」と沖は言葉数は少ないが闘志満々。

■ファンのサークル誌より■
《神田正輝さんのコメント》
−神田さんから見た沖さんってどんな感じの人なのかなぁ−
「とてもしっかりした役者さんです。
沖さんとは『俺たちは天使だ!』の時もいっしょの仕事だったし今もいっしょでしょ?
とっても仲がいいんです。
ぼくの考え方とにているところがあるのよネッ!
沖さんは仕事に対して考え方はしっかりしているし、男としても、努力はするし、とてもすぐれた人だと思います」
《友直子さんのコメント》
直子さんから見た沖さんてどんな感じの人ですか?おしえて下さい。
「15歳位の時、TVで沖さんを見て素敵な人だなあって思っていました。
まさかいっしょに仕事が出来るとは夢にもって感じ♪
今はとても仕事熱心だと思います。
沖さんの芝居を見てると“スルドイ目”って…。
クールなところが魅力なのでは?
でも、どことなくやさしい気配がただよっている人ですね!」

☆休養

復帰一年後の1981年4月21日に交通事故で457回から462回まで約一ヶ月半番組を休んだ。

ガイド誌より
スコッチ刑事こと沖雅也が過労でダウン。
11日に起こした交通事故も過労による情緒不安定から来たものと言われている。
関係者は沖のダウンに驚きながらも「何事にも慎重な人だったし、相当疲れていたんだろう。交通事故などには一番縁のない人だと思っていたからね。でも、ゆっくり休養を取れば若いんだし回復は早いでしょう」と楽観している。
沖は一応大事をとって4週間休養をとることにし、『太陽−』も5月18日放送分から4回休む予定である。
他の刑事たちも「この際だからスコッチもゆっくりし仕事など考えずに休んだほうがいい。そして一日も早く元気な姿を見せてほしい」と語っている。
ともあれ、身も心もタフになってスコッチ刑事として再登場することを願うばかり。

☆復帰

■新聞■
(前略)交通事故のため約一ヶ月半番組を休んでいたが、今夜の放送から七曲署に復帰する。
ドラマでは、急病で入院という設定になっていた。
精密検査の結果異常なしということで仲間に戻る。
「僕がけがで入院した二週間後にボス(石原裕次郎)が倒れ、びっくりしたんです。
若い僕は少しでも早く復帰出来なければと、すごくあせっちゃう気持ちでした。
正直言って病院生活というのは、退屈で孤独で、もう退院したくて仕方がなかったです。
久しぶりに撮影現場に復帰した日は午後からの出番が待ち切れず、午前中に撮影所に行きました。
長いことみなさんにご迷惑をかけたおわびを早くしたかったんです。
みなさん、花束で迎えて下さいまして、僕は大感激。
日ましに元気を回復しているボスにもこの気分を早く味わってほしいと思います。
休んだせいか体重が八キロ増えちゃって少し太目。これから走り込み、アクションで汗を流して体を引き締めます」

■ガイド誌■
交通事故で約1ヶ月半休んでいたスコッチ刑事こと沖雅也が、
今週放送『六月の鯉のぼり』から元気よくブラウン管に復帰する。
先日、久しぶりに七曲署一係のセットに入った沖雅也は、露口茂や竜雷太らレギュラー陣に
「ご迷惑をおかけしました」と挨拶。
スタッフも加わって花束と拍手で沖を迎えた。
沖は「退院してからハワイで静養していた」と顔も浅黒く、体重も8キロ増えて一段とたくましたを加えた感じ。
ボス(石原裕次郎)入院以来、久しぶりの明るい七曲署一係。



(『スコッチ非情』放映時)
今回はスコッチ編。沖雅也にとっては病気回復後初めての主役編になる。
復帰直後は5キロも増えていた体重も、現在では元に戻って快調そのもの。
「毎日欠かさずジョギングなどをしています。
やはりトレーニングをしていないと体が思うように動かない。
一度太ってそのあと体をしぼってやせて、また少し太り、その意味ではベストに近いコンディションになりました。
これからも少しずつアクションも演っていきたいと思っています」
と絶好調宣言。

☆殉職

1981年10月、477回から翌年1月の490回まで再び番組を休んだ沖さんは、491話で再登場する時にはすでに番組から離れるらしいということが私の耳にも届いていた。確かに見るからに体調は良くなさそうだ。

■後援会報■
皆さま江
既に新聞発表になりましたので(12/18付)ご存知の方も多いと思いますが、「太陽にほえろ!」出演は、来年1月29日(金)放送の『スコッチ刑事よ、静かに眠れ」が最後となり、スコッチはこの番組から姿を消すことになりました。
(1月15日(金)放送分から出演致します)
これは、来年6月の舞台に力を入れたいことと、もう、この辺で脱皮するというか、俳優としての仕事の幅を広げていきたいという本人の意思により決めたことです。
したがって来年前半のスケジュールはTVはスペシャルもの、単発ものなどをやりまして、6月は舞台…という形になります。
スコッチがいなくなってしまうのはファンの皆さまにとっては寂しいことだと思いますが、どうか俳優『沖雅也』としての今後の姿勢をみて頂き、これから一回り大きくはばたこうとしている沖さんを暖かい目で見守って頂きたいと、切にお願い致します。
今、沖さんは燃えています!
来年の舞台、大いに期待しようではありませんか!
そして、いつまでも沖さんを応援していきましょう!
12月21日 事務局より

〜〜 『スコッチよ静かに眠れ』放送時の記事 〜〜
■ガイド誌■
「役者として一つの形をつけたかった。僕も6月で30歳、これからは舞台や映画などでゆとりをもった仕事をしたい」

『太陽六人目の犠牲者 “病死”は沖自らの構想』
(前略)「昨年10月アメリカを旅行中に病死という構想が頭に浮かびました」(沖雅也)という。
彼にとっては『ふりむくな鶴吉』(NHK)以外、これほど長いレギュラー番組は初めてだった。
『沖雅也からファンへ』 《減量》
「死ぬ役はかつて1度だけ演ったことがありますが、今回はやはり大変でした。
(精神的疲労で)入院したり、薬の副作用などが重なって一時期体重が90キロにもなってしまいましてね。
死んでいくのにブクブク太ってたんではみっともないので、年末年始は1日1食にしてやっと80キロを切るところまでこぎつけたんですが、
アクションシーンでは体が動くかなとちょっと不安でしたね。」

《ベッド》
「『太陽−』ではショーケン(萩原健一)に始まってほとんどの刑事が殉職という形で姿を消しているので、
僕は少し違ったパターンで姿を消したいという希望を持ってました。
それが殉職ではあるけれども、ベッドの上で死ぬラストシーンになったわけですが、
僕としてはさわやかに死ぬことができたと思っています。
俳優としても長い間たまっていたストレスがふっきれた感じを持っています。」

《今後》
「当分の間単発番組を中心に仕事をしていきたい。
すぐに『土曜ワイド劇場・死美人シリーズ』(テレビ朝日)(注4)に入りますし、ちょうど30歳になる6月には初めて大阪の新歌舞伎座の舞台に立ちます。
これからは地に足をつけて一つ一つじっくりやりたいと思っています。
ファンの皆様には心配をかけましたが、すっかり元気になりましたのでご安心下さい。


『お疲れさまスコッチ 七曲署一係刑事から贈る言葉』
《石原裕次郎》
行き違いで彼とは話をしていないのですが、元気になってよかった。
まずはゆっくり休んで、あせらずマイペースでやって欲しい。
本当にご苦労さんでした。
《露口茂》
クールな魅力で番組を盛り上げてくれた人ですね。
これからも体を大切にがんばって欲しいですね。
《竜雷太》
元気になって本当に嬉しい。
一緒に仕事をすることもあるでしょう。
またそれを楽しみにしています。
《下川辰平》
あまり入れ込まないでゆっくりやって欲しいね。
真面目で深刻に考えてしまう性格ですからね。
本当にいい青年ですし、役者としてもいままで以上に大きくなっていく人だからあせらずにといいたい。
《木之元亮》
思ったより元気なので安心しました。今後の活躍を期待しています。

《神田正輝》
沖さんとは『俺たちは天使だ!』でも共演しているし、1日も早い回復を願っていました。
姿を消すことよりも元気になったことにおめでとうといいたいです。
『沖雅也が選んだ思い出の場面』
.妊咼紂縞圈 瓠‐赦51年9月10日放送『スコッチ刑事登場』
転勤編   = 52年3月25日『さらば!スコッチ』
再登場編  = 55年3月28日『スコッチ・イン・沖縄』
ど袖ど帰編 = 56年6月26日『六月の鯉のぼり』

■「太陽のほえろ!」10周年記念号■
*不運続きの沖雅也
400回で期待されながら登場した沖雅也だが、1年後の56年4月21日に自動車事故を起こし、457回から462回まで約1ヵ月半番組を休んだ。
退院後しばらくハワイで休養したという沖は8キロも太って、若々しくなって七曲署に帰ってきた。
ちょうど石原裕次郎が入院中のことで、ちょっぴり沈みがちだった七曲署も、沖の復帰で、ひさしぶりに活気をとりもどした。
しかし、467話『スコッチ非情』と474話『ロボは知っていた』に主演したあと、56年10月、477話から翌年1月490話まで約3ヵ月、また姿を消した。
仕事の無理がたたって肝臓炎がひどくなり、休養し、2ヶ月間アメリカを旅行してきた。
このアメリカ旅行で「太陽にほえろ!」から降りる決心をしたのか、491話で七曲署に戻るやすぐ、493回で吐血して死ぬという最期を遂げ、スコッチファンを悲しませた。
*この回が最後の出演とあって、沖雅也は用意された血のりの色、量を自分で指示するほどの入念さ。
本番では、それを大量に飲み込んでしまうほどの熱演ぶり。
*56年交通事故の後、入院したり、薬の副作用で体重が90キロにもなってしまった沖、
「あまりみっともない格好で番組を去りたくないので、お正月は1日1食、おもちも食べませんでした。」
と必死の減量作戦。80キロを切るところまでこぎつけた。
*病院にかつぎこまれたスコッチは、山村と石塚、ふたりの同僚に見守れて絶命する。
マカロニ刑事以来、6人目の殉職だが、病死は初めてのケース。
このアイデアは沖自身のもので、56年10月のアメリカ旅行中に思い浮かんだもの。
「役者として、やる手がなくなったんです。…役にゆきづまってきたんです。
このまま画面に出ないで消える方法もあったのですが、キチッとケジメをつけたいと思って僕の話を作っていただきました。
いろいろありました。
精神的ストレスがたまり、ノイローゼのようになったこともありますが、今は肉体、心とも快調です。
つまっていたものがふっ切れた感じで、すがすがしい気持ちです。


沖さんが亡くなられた3年後の1986年11月14日、「太陽にほえろ!」は最終回を迎えた。
本放送は観なかったが、地井武夫さんがゲスト出演された番組でボスが最終回に独白する長いシーンを初めて観た。
ボスが部下の命は自分の命だと語るところでは、細かい設定などに食い違いはあるものの、明らかにスコッチのことを話していた。
しかも、これは全部石原裕次郎さんご自身が考えて来たセリフだったという。
石原さんはその頃自らも闘病中で、この撮影の頃は歩くことすらままならない状態だったという。
自分の命を考える機会が多かったであろう時期に、自らその大事な命を絶った沖さんのことを思い出し、救えなかったことを悔やんで下さったのだろうか。

注1:第10話『ハマっ子刑事の心意気』のこと。
注2:いわずと知れた岡田晋吉プロデューサー。
注3:「二人の世界」ではなく「男の世界」が正解。
注4:「悪魔が来りて笛を吹く」のことだが、殺される役かは…??
注5;「浴室の死美人」は1985年2月14日に放送された


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