第439話「ボスの告発」1981年1月9日放送

男子高校生が帰宅途中に、三人組の男に襲われる事件が起こった。
被害者は空手部の部員で有段者だが、襲った相手も空手使いで、左腕と肋骨三本が折れる重症。
だが、彼は聞き込みに協力的でなく、付き添っていた女子高生・辻本ミナコ(白石まるみ)も何か嘘をついているとスコッチは直感する。
ミナコの証言をとるために、ボスが自ら出向いて行くが・・・。


まず、高校生がスナックでギターの弾き語りをしている店というのも不思議だが、空手部員の高校生に「行きつけのスナック」があるというのがオヤジ臭くて笑える。
時代がそうだったのかと問われれば、答えはノーだ。本放送当時でも違和感があった。
高校生がスナックに出入りすることをとがめる長さんに、ドックが「今頃は中学生だってスナック行きますよ、ねえ」とスコッチとゴリさんの方を見るが、二人とも「んな、ばかな」と(は言っていない)という顔をするだけだ。
さらなる違和感は、ボスがその店に客を装って行くのだが、ミナコはまるで客をあしらうようにボスと話を盛り上げ、帰りは腕を組んで一緒に帰ることだ。
援助交際じゃないんだから、それはないだろう。ボスなら紳士だからオッケーなのか?
別れ際、ボスがミナコに握手を求めているところも、勘ぐればミョーに怪しい。ボスもただの男だったのか。
あとで「ボスも慣れない女の子に苦戦している」とゴリさんが言った時のスコッチの笑顔は、そんな私の気持ちを代弁しているかのようにとれる。いや、とるな。これは「太陽にほえろ!」なのだ。ボスに限ってそんなことはない。
しかし、「時々ふっと一人ぼっちになるだろう」なんて普通のおっさんに言われたら「キモいんだよ、ジジイ!」とでも言われそうな今日この頃だが、ボスの包容力がそう感じさせないのがさすがだ。
何しろ、空手の有段者三人を相手に、パンチでぶっとばしてしまうのだ。

山さんも肉まん(あんまん?)を持ってミナコに近づくが、さすがの落としの山さんにも警戒心を解かないミナコだが、肉まんは受け取って友人が自殺した現場でパクついている。よっぽどお腹が空いていたのだろうか。

冬になってスコッチの黒のトレンチ・コートが大活躍している。
病院で聞き込みをする時も着たままだし、全員が外へ聞き込みへ出かけるシーンでは、ナーコに彼一人だけがコートを手渡しされている。う〜ん、これも怪しい。いや、怪しくない。しつこいが、これは「太陽にほえろ!」なのだ。二度目はゴリさんから受け取ってるから、これは単にスコッチがお坊ちゃま体質で、人に何かされるのに慣れているからに違いない。

街角の背景にたのきんトリオのポスターがかかっており、裏番組の金八先生が全盛期を迎えていることがわかる回。

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1.小西が着ているジャンパーは、しつこいが沖さんが「クラスメート」で着ていたものじゃないか?ついこの間も暴走族が着ていた。
当時の流行にしては冴えない柄だ。もう一人の犯人はドックのジャンパーを着ているし・・・。
2.スコッチは一緒に誘拐された女子高生だと気づかないのか?
3.いくら父親(根上淳)がお金を払わないからといって、部屋までついて行くか?相手は暴行犯なのに。


第440話「強き者よ、その名は・・・」1981年1月16日放送

資産家の古沢が自宅で撲殺される事件が起きた。
物取りの犯行という線は薄く、遺産相続人である妹と弟に嫌疑がかかるが、そこへ古沢の妻を名乗る子連れの女性・妙子(伊佐山ひろ子)が登場し・・・・。


まず、殺された古沢氏の顔を見れば、あら懐かしや私がエキストラをしていた頃の事務所の人ではないか。大事な役だけど台詞がないからエキストラでいいのね。
それはともかく、伊佐山ひろ子さんを見ると、どうしても「大追跡」の青い水着と「あるわ、男の色気」という台詞を思い出してしまうのだが、沖さんとは他に「北都物語」「早春物語」で共演がある女優さん。飄々とした雰囲気が持ち味だが、彼女もにっかつロマンポルノ出身なので、地味な女性を演じながらも色気と怪しさを醸し出している。主婦なのに毛皮だし。

スコッチは初期から彼女を疑って一人で捜査を進めている。
すっかりメンバーと馴染んで、後輩の育成にも力を注いでいるスコッチだが、一人で調べ出す手腕と推理は、前期スコッチの雰囲気を感じさせる。
「貯金だって彼からもらった二十八万しかないし、もらえるものは、ちゃんといただきます」という彼女だが、スコッチはちゃんと債券が四〜五百万あることを突き止めている。
そんな初歩的な裏も取らずにのんびり食事をしているロッキーとスニーカーに、つめた〜い視線を投げるスコッチもなかなか良い。「やれやれ、こいつらはまだまだ時間がかかるな」という目。
もうひとつの見どころは、かなりのスピードで車と車の間に横付けして駐車するところだろうか。「俺たちは天使だ!」では、ハンドルをやけに小刻みに動かす運転が気になった私だが、実際は上手いのね。当たり前か。

何といっても、最後の令子の台詞「水につけて殺した」が頭から離れない回。
出来ない。私には絶対に出来な〜い。

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1.被害者の妹が着ている服は、『エーデルワイス』でも登場。国際放映の衣装部は予算がよほどなかったらしい。
2.スコッチはロッキーとスニーカーが食事をしているレストランに来て、何も食べないで立ち去る。相変わらずパン?



第441話「カーテン」1981年1月23日放送

OLの三枝ケイコ(高沢順子)が自宅近くの道でひき逃げされるという事件が発生。
彼女の交友関係は広いが、これといった容疑者は挙がらない。そんな時、ゴリさんが聞き込みに廻った先で、挙動不審な浪人生・堤トシユキが浮上。彼は夜になると彼女のアパートを双眼鏡でのぞいていた。


冬は特に孤独が身に沁みる季節だが、ゴリさんが夜中に寒い部屋に帰って来て、まだ温まらないストーブを抱きかかえたり、カーテンを開けて電車の流れる夜の灯りをみつめるシーンは、都会の一人暮らしの寂しさをしみじみと感じさせる。
ゴリさんに「孤独」というのはちょっと似合わないテーマのように思えるが、いつも明るいゴリさんだからこそ、窓の外をみつめる表情に共感してしまう。だからこそ、ケイコもドックではなくゴリさんの連絡先を訊ねたのだろう。ケイコもまた、孤独な女性だったのだ。

そう、あの頃の私もそうだった。
浪人生だった頃の私は、トシユキと同じようだった。無事進学した友達とは次第に疎遠となり、ただぼんやりとバイトと予備校に通う日々。
そんな私にとって、予備校帰りに沖さんのマンションの窓の灯りをみつめてから帰ることは、唯一の慰めだった。
ゴリさんが「窓の中の女性は、多分彼にとってただ一人の友達だったんだ。心の中の話し相手だったんだ」と言う台詞は、そのままその頃の私にあてはまっていた。

この番組が放映された時点では既に就職していたが、それでも夜の灯りがうるむ景色が大嫌いだった。特に団地の灯りが並び、そこから台所の匂いや食器を洗う音が聞こえて来ると、広い世界にたった独りでいるような、魂の芯まで凍える孤独感に襲われた。

そんな中で観た画面の中の沖さんの表情は、いつにも増して生気がなくぼんやりしているように思えた。台詞も歯切れが悪く、いつもの沖さんなら一気に言う台詞も、おかしな間が入っているように気がした。
沖さん、沖さんもひとりぼっちなの?
当時の私は、そんな風に沖さんに語りかけていたように思う。そして、沖さんと私を一体化して考えてしまっていたのかも知れない。

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1.ジェットコースターから降りてきた他のの乗客たちが変。とてもジェットコースターに乗ったとは思えぬ、サラリーマンのような面々。
2.現場に駆けつけたスコッチとロッキーに、スニーカーは「滝さん、あの家です!」、ドックは「滝さん、ゴリさんはあそこです」と声をかける。ロッキーはどうでも良いのだろうか。


第442話「引き金に指はかけない」1981年1月30日放送

非番で銀行に預金に行ったスニーカーは、偶然銀行強盗に遭遇。
犯人は三人組で現金を強奪、行員を一人射殺して逃走。
その後、強盗の一味と思われる松原が車でひき逃げされ、もう一人の田村も刺殺される。
目撃者の証言から、犯人は犬を異様に怖がることが判明。実は犯人はRHマイナスABという、特殊な血液の持ち主・香川(片桐竜次)だった。スニーカーに撃たれて負傷した香川は病院に駆け込むが・・・。


スコッチの出番が著しく少ないが、次回が主演作だからまあいいか。
今回は山さんの十八番である「ドアの外で立ち聞きして途中から会話に加わる」技を、スコッチが横取り(?)している。
「しかしそうなるとボス」と言いながら入って来るというのは、「いいえ私はさそり座の女」といきなり言われるのと同じ位おかしい。いつから聞いてたのだ、スコッチ。
長さんまで今日は立ち聞き入室コースだ。石原七曲軍団では、話のきりが良くなるまで部屋に入ってはいけない掟なのかも知れない。

ぎゅっとこぶしを握りしめて立つ姿に、なぜかスコッチ、いや、沖さんの弱さを感じる。

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1.宝くじ売り場のプードルは、完璧に怒っていた。
2.「身長170センチぐらいで目つきが鋭い男」というだけで、勝手に家の中を捜索するスニーカー。スコッチが鍵のかかった引出しを開けようとしたときには、スニーカーはあんなに非難したのになあ。
3.最後の銃撃戦。ゴリさんは先週ロープに命中させた腕で、香川を撃てなかったのだろうか。


第443話「あなたは一億円欲しくありませんか」1981年2月6日放送

十二億円を運ぶ現金輸送車が路上で車ごと強奪された。
車はすぐに手配されて発見され、パトカーが追跡、スコッチとドックはパトカーと車ではさみ打ちにしたはずだったが、待ち伏せた先に現れたのは、何故かパトカーだけだった。
路地に逃げた可能性を追って探すスコッチだが、手配車は全く逆の方向の廃車置場で発見され、現金はあとかたもなく持ち去られていた。
時間的に奇跡的としか言いようがない犯行。そんなとき、ドックの言った何気ない一言が、スコッチに疑惑を抱かせる・・・。


序盤で一部がタネ明かしされるため詳細は控えるが、犯行の動機や経緯が面白く、推理として観るには面白い。
ただし、スコッチ主演といいながら出番がやや少ないのが残念。
最後のアクション・シーンは通常主演した刑事のものであるはずだが、ここは沖縄同様後輩に華を持たせているのか、あるいは自分が出るまでもないと思っているのか。
その割には、いきなり拳銃をつきつけて「逮捕する」と言っている。

予備校生・中井を見ると潜在意識が不快なことを呼び起こさせた。そうだ、スコッチをつけ狙い、死に追い込んだあの男がこのハーフコートを着ていたのだ。お願いだ、着回しもいい加減にしてくれ国際放映。

シーンによって体調が良いのか悪いのかが、はっきりわかり始める。滑舌も良くなくて、観ていて不安がよぎる。今となればこの頃やこの後の沖さんのことを知っているからかも知れないが、当時も目の力がなくなって行く沖さんに不安を感じ始めていた。

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1.スコッチは達筆だが、「目撃者」の「撃」の略し方が古い。さすがは推定昭和24年生まれ。
2.伝言板を消しに来た人の顔をはっきり覚えていた新聞スタンドのおばさんの記憶力に乾杯!私なんてこの回は何度観たかわからないが、いまだに顔が覚えられない。
3.アクション・シーンをスローモーションにすると、外して殴っているのがかえって目立たない?


第444話「ドック刑事のシアワセな日」1981年2月13日放送

当直を終えて実家に立ち寄ったドックは、「慰安旅行中」の札をみつける。
中には入院患者のために残ったドックの父親がいたが、そこへたまたま負傷した弟を抱えて拳銃強盗の兄(峰竜太)がやって来て・・・。


一応西條外科につながる情報を持って来たのはスコッチだが、泣きたいほど出番は少ない。
医学部を中退して刑事になったドックは父親との間にわだかまりがある。
ロッキーの父親は猟師で、海で死んだというトラウマを持つ。
スニーカーの父親は、沖縄で米軍のトラックにはねられて死んでいる。
山さんは血のつながらない息子との関係に悩み、長さんは仕事熱心なあまり、家族と心の隙間が出来るというエピソードが何度か出て来る。
ボスとスコッチには家族のエピソードが出て来ることはない。
1985年に放送された『殉職刑事たちよ やすらかに』でも、スコッチは身寄りのない者と説明されている。

確かに、スコッチには家族も恋人も似合わない。『さらば、スコッチ!』で、かつての恋人と明るくたわむれるスコッチには、違和感すら感じた。
現実にはあり得ない性格や言動、天涯孤独の身の上に、ここまで血を流させる命を吹き込んだのは沖さんの役者としての力量なのだと思う。
もちろん私は沖さんのファンだからこそ「太陽にほえろ!」を見始めたわけだから、沖さん以外の人間が演じたら滝隆一というキャラクターを大事に思うこともなかっただろう。
私にとっては、どこかに沖さん自身を思わせるところがあるスコッチは時にいとおしく、また時に正視するのが辛くなる時がある存在だ。

くせのある走り方や歩き方すらいとおしい今日のスコッチだが、この頃すでに沖さんの心には、確実に病魔が忍び寄っていた。


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1.アパートに戻るはずが、間違えて実家まで来てしまうなんてことある?
2.手術に立ち会う犯人(峰竜太)が白衣を着ているのが面白い。着る必要あるかなあ?
3.二階のナースセンターに電話はなかったのでしょうか。



第445話「人質を返せ!」1981年2月20日放送

ゴリさんの高校の柔道部の後輩で巡査の平野(五代高之)が、覚せい剤の密造で捕らえられた男・古賀(笹入舟作)を留置場から逃がそうとする。
実は、平野の妹が誘拐され、古賀を逃がすよう要求されていたのだ。
一係が一致団結して人質を取り戻そうとするが・・・。


今回もスコッチが大事なところで手柄をたてている。
古賀の潜伏先の発見、部屋から逃亡した古賀の待ち伏せ。取調室で暴走するゴリさんを羽交い絞めにするスコッチは頼もしい。
ただ、「動いたら撃つ!」と言ったわりには動く前に撃っているし、見ようによっては一瞬スコッチが撃たれたようにも見える。
撃ったのに何故のけぞる、スコッチ?
夜中にメンバー全員に呼び出しがかかって、スコッチはドックを自宅前まで迎えに行っているのは、今となっては有名なシーン。ここからスコッチとドックの家が近かったことや、スコッチだけが自家用車を持っていたことなどがわかるから、「太陽にほえろ!」研究に励むファンには、重要な証拠シーンなのである。

沖さんのドラマを観ていると、当時の世相が見えて面白いということがよくあるが、今回は犯人から平野へビデオテープが送られて来て、それを平野が自宅のデッキで観るというシーンがあるので、家庭用ビデオデッキがすでに普及していたことがわかる。
スコッチが最初に「太陽にほえろ!」に登場したシリーズの1977年放送『すれ違った女』でもビデオが登場しているが、あの頃はまだ家庭にビデオデッキ持てる時代が来ることが予想も出来なかった。最初に出たビデオデッキのお値段はなんと37万円だったのだ。
今回も上からカセットを挿入するのが懐かしいが、スピードサーチ機能があったりするので、そろそろ色々な機種が出始めた頃だろう。



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1.留置場の鍵を持ち出して部屋を出た平野を目撃した同僚は、すばやくゴリさんに電話したのか?それにしてもゴリさんの到着が早すぎない?
2.アドバルーンのある場所を探すのに、全員が新宿駅周辺だけを探してない?
3.電信柱にある町名を「矢追町」と貼り替えるのは分かるが、何もホテルの名前まで「エュー寿」にしなくても。テープ一本で出来る作業だが、そんな名前じゃ言いにくすぎる・・・と思ったら、足場用の釘が飛び出ていただけだった。考えすぎ。



第446話「光る紙幣」1981年2月27日放送

カジノの一斉捜査で、山さんは端が光る紙幣をみつける。
それは、12年前の誘拐殺人事件で奪取された身代金の中に混ぜた二百枚の五千円札である印だった。山さんはその五千円札すべての番号を控えていたのだ。
紙幣についた指紋は十人分。ひとつずつ辿って犯人に迫る一係。果たして真犯人は今どこに?


冒頭のカジノのシーンは、「大追跡」を観た人なら、誰でも矢吹刑事がカジノに潜入してディーラーをしていたシーンを思い出すだろう。
今回はドックが客として潜入しているが、蝶ネクタイやフリルのついたシャツを観ていると、このシーンはスコッチが演じる予定だったのではないか、などと勘ぐりたくなる。
この頃体調が不安定だった沖さんはのために、本来スコッチが演じるはずだったシーンがの多くが他の人に台詞などを変えて振り当てられたと聞くので、このシーンもそうだったのかも・・・などと、勝手にスコッチの出番を増やしたがるのがファン心理。神田さんファン、許してね。

スコッチの台詞は少ないが、落としの山さんの真骨頂ともいえるストーリーで、指紋から少しずつ犯人に迫る方法、そして新たな殺人と、息もつかせぬ展開が面白い。
「一件一件思い出してもらうよ」
ニヤリと笑う山さんの笑い方は、老獪でありながら刑事としての強い意思をも示していて、ああ、やっぱり露口さんはすごい役者だなあと、改めて思う。
ボスの「山さんと付き合って十年になるが・・・」という言葉も重い。
実は、このあたりの回はボスの目の力の弱さも気になる。当時は沖さんのことだけで精いっぱいだったが、この頃すでに病魔は石原裕次郎氏にも忍び寄っているのが、今となればよく分かる。
テレビの画面は、肉眼では見えないものまで映し出してしまうのかも知れない。
きちんと演技しているのに何かが前とは違う沖さんに、当時の私はとまどいと不安を隠せなかった。


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1.喫茶店の店員は、『エーデルワイス』の新婚さん?←別人らしい
2.結婚詐欺師は、わざとスケート場に逃げてコケている。笑いをとりたかったのだろうか。



第447話「侵入者」1981年3月6日放送

お腹の目立って来た妻・令子に安産のお守りをねだられるロッキー。
そんな仲睦まじい二人のアパートに夜、突然矢沢(志賀勝)という男が訪ねて来た。
矢沢は三年前にロッキーに逮捕され、恐喝や傷害の前科がある。家族もいないので頼る人がなく、ロッキーを訪ねて来たという。仕事がみつかるまで居候させてくれという頼みを快諾する二人だが、矢沢は署に何度も電話をして来たり、家を停電にしたりと不審な動きをする。
響組と竜神会の抗争の捜査で多忙を極めていた署内では矢沢の動きを疑い始めるのだが、ロッキーは矢沢は自分を頼って来てくれたのだと最後まで信じる。さて、矢沢の目的は?


ロッキーって何ていい奴なんだと思わせる話。実際は出所した者の住宅や仕事の世話をするのは保護司の仕事じゃないかとか、どうやってロッキーの住所をつきとめたのかなど、警察官ならすぐに疑問に思わなければならないことなのだが、身重の妻が怪我をしても矢沢を信じようとするというところがロッキーの良さ、ひいては「太陽にほえろ!」の良さなのだ。
同じように前科者が訪ねて来る話は前期スコッチ239話『挑発』があるが、このときも殿下が犯人を快く家に泊まらせている。

スコッチは出番は少ないが、髪が伸びているのは美容院に行く暇もないほど忙しかったということだろうか。


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1.暴力団の車の合図の音が暴走族みたいです。
2.警察官は保証人になれないと、ボスは知ってたはずなんですが・・・。



第448話「風船爆弾」1981年3月13日放送

当直をしていたスニーカーの元に、からかったような電話が入る。
「バカなことを」と言ったスニーカーに対して「バカって言ったな」と急に怒り出した電話の主は、かんしゃく玉を道路に投げつけて事故を起こしたり、リモコン飛行機に小型爆弾を取り付けて飛ばしたりと、次々事件を起こしてはスニーカーのせいだという電話をよこす。
ついには爆弾を風船にくくりつけて、東京上空に放した犯人の目的は?犯人の声に聞き覚えがあるというアパートの管理人さんは、彼が誰だか思い出せるのか?


何気ない一言が相手を傷つけることがある。
私も「その一言がきつい」と言われたことがあるのだが、悪意を持って言ったわけではないのに、相手を刺してしまったようだ。
いじめによる自殺のニュースが多いこの頃(2006年11月)だが、沖さんもこの時期は人間関係に悩んでいたらしい。もちろん私はその場にいたわけではないが、神経が過敏になっている時に人から何かを言われれば、言った本人には思いも及ばないような打撃を与えてしまうことを思うと、沖さんが何かを言われて精神的ダメージを受けたとしても無理はない。「蜂の一刺し」と呼ばれたこともある我が身としては、胸が痛む。
本放送当時の私も人間関係に悩んでいたのだが、ボスの「自分の責任だとわめく前に、冷静に相手の気持ち、対応を考える。それが今のお前の仕事だ」の一言にはっとなった。全くその通りだ。

さて、今回のゲストの野瀬哲男さんはスコッチファンなら恨み骨髄怨念時空をかけめぐる犯人なのだが、それはまた後日。今日は東京タワー展望台近くを飛ぶ風船爆弾を肉眼で見て「ダイナマイト三個、風船五十個」と報告するスコッチの視力の良さに驚くにとどめておきましょう。
似顔絵を描いた人がうますぎると思ったアナタ、彼は似顔絵漫談、元漫才の晴乃ピーチクさんです。


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1.「五代は今出ていますが」までは丁寧だったボス。「あんたは誰なんだ」といきなり。犯人じゃなかったらどうするのでしょうか。
2.スニーカーのアパートは「すみれハウス」。421話『ドックとスニーカー』で犯人が住んでいたアパートとは別のようですが、「すみれ」という暗号が出て来た時、どうしてメンバーはスニーカーのアパートのことを考えなかったのでしょう。あの事件の後に引っ越して来たのでしょうか。



第449話「ドック刑事雪山に舞う」1981年3月20日放送

大物フィクサーが海外で暗殺されたのに続いて、響組の殺し屋とみられる男・田島もホテルで射殺される。フィクサーを殺した男を証拠隠滅のために殺すために雇った殺し屋が、逆に殺されてしまったらしい。
犯人・都築(西沢利明)は、どうやらドックが休暇で訪れた志賀高原に向かったらしい。得意のスキーで犯人を追跡するドック。志賀高原へ行った男の狙いは?


スキー板のテスターの仕事をしていたという神田正輝氏の華麗なスキー・テクニックが存分に観られるのだが、スキー場に着いて早々、意味なく延々と繰り広げられるスキーのシーンを観ていると、いかに番組が神田氏を盛り立てて行こうとしているのかが、よくわかる。何しろ前後編にわたる主役なのだ。
沖縄育ちという設定のスニーカーはともかくとして、ロッキー役の木之元亮氏は北海道育ちなので、スキー板もはけずに雪道でずっこけながら進ませられる役には、閉口したかも知れない。これではドックの引き立て役のようで気の毒だ。

スコッチは東京で事件の解明に忙しいが、出番が少ないのがかえって有り難いと思えてしまうほど、沖さんの体調の悪さは明らかだ。
軽やかに雪道を滑るドックを観ていると、都会で顔色も悪く聞き込みに励むスコッチが可哀想に思えてくる。


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1.ミッチー・ラブさんを助け起こす響組の息子の手は、明らかにセクハラ。
2.ホテルの受付嬢は、『誰が彼を殺したか』の時のお手伝いさんだ。今度こそ、間違いない。



第450話「ドック刑事雪山に斗う」1981年3月27日放送

響組に殺しの報酬を反古にされた都築(西沢利明)は、組長の息子を志賀高原の山中で誘拐し、実の娘を使って身代金をせしめることに成功した。
だが、なぜ一緒に誘拐した女をやすやすと解放したのかと山さんは疑問を感じる。
響組をマークしたスコッチは、組長がストリップ劇場に入るのを確認し、金を持って出て来た娘を追跡するが・・・。


1978年に開港した成田空港。沖さんもギリギリ間に合って何度か利用したはずだ。
私は成田空港を利用する時はいつも一人のせいか、空港の景色というのは何故か寂しさを感じる。窓から飛行機を眺めるといつも、北ウィングで容疑者の女性と向かい合うスコッチの寂しそうな姿を思い出してしまう。
空港という場所で、自分と母親を捨てて家を出た父親のことを語る娘。それをみつめるスコッチの顔が美しく、彼の孤独をも際立たせる。


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1.室内でサングラスをかけたまま組長と向かい合うボス。横にゴリさんがいなければ、どちらが組長だかわからない。
2.追跡してきたドックに「刑事さん」と声をかける都築。どうして刑事だとわかったのだ?まあクマさんの帽子が組の者には見えないけどね。



第451話「ゴリ、勝負一発!」1981年4月3日放送

街中で喧嘩の末、三人を射殺した拳銃マニアの男・古川がゴリさんとドックに射殺される。そのことを知った同じ拳銃マニアの有田(古城和孝)は、ゴリさんに勝負を挑むが・・・。


ゴリさんとスコッチのコンビが見られるのが嬉しい回。
だが、ゴリさんの前に車を止め、「乗って下さい」と言ったスコッチの声はまるで少年のようなか弱さだ。あれほど気を遣っていた髪や爪が伸びたまま、まばたきを繰り返すスコッチに、はじめてファンでない友人が私に問いかけた。
「沖雅也って何か変わった?」
それは、私が怖れながらも目をつぶってきたことだったが、ファンでない人から指摘されると腹が立った。言われたくないことを面と向かって言われた気分だったのだ。

それでも、怪我をしながら「ゴリさん、だめですよ」と必死で手をつかむスコッチの目は、ゴリさんを同僚として誰よりも心配するものだった。
七曲署に転勤してきた時、とても紳士とはいえないスコッチに、一番最初にぶつかってきてくれたゴリさん。
戻って来た時に「また会えるかな?キザな二枚目に」と嬉しそうに迎えてくれたゴリさん。
スコッチの病室にサボテンを持ってきてくれたゴリさん。
スコッチの最期を看取ってくれたのもゴリさんだった。スコッチにとって、ゴリさんは大事な同僚なのだ。その信頼関係が浮かび上がる回だ。

それはともかく、今回のゲスト・古城和孝氏は当時東京キッド・ブラザースの所属だったが、テレビ出演は初めてだったのか、台詞が浮きまくる。申し訳ないが友人との間で「有田ごっこ」が流行ってしまったぐらいだ。
「さすがいい耳をしているな、石塚刑事。通称ゴリ!」
『通称ゴリ』という、とってつけたような台詞にも問題があるのだが、思わず笑っちゃったねと翌日話をしながら歩いていたら私が何かにつまずいたので、「さすがいい目をしているな、○○(私の苗字)刑事。通称ドジ!」と言ったことからフレーズがブームになり、「さすが○○をしているな、○○刑事、通称○○!」を一日中言い合って過ごした。他にも「走っているカモシカだって俺の拳銃からは逃げられない」などの台詞が、ことごとく浮きまくる。
おまけに、「そいつで俺に勝てるつもりか」と言った次の瞬間には、あっさりゴリさんに打たれて拳銃が手から落ちている。大仰なわりにはあっけない犯人だった。


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1.あたりを見回しながらサウナから出て来る男二人連れ。かえって怪しい。
2.有田は射撃の達人なのに、マシンガンだと当たらないのね。



第452話「山さんがボスを撃つ!?」1981年4月10日放送

信号待ちをしていたボスが、何者かに突き飛ばされる事故が起きた。
直後に「藤堂係長が車にはねられた」という不審な電話が七曲署にある。電話の主は十年前にボスが車で追跡していた犯人に、妻子をひき逃げされた男・寺田(河原崎建三)だった。
寺田はボスを恨み、当時の状況を説明に行った山さんをも恨んで、山さんの子供・隆(小椋基弘)を誘拐する。
寺田の要求は、山さんがボスを射殺することだった。


前期スコッチの放送後、スコッチが復帰するまで「太陽にほえろ!」をご無沙汰していた沖雅也ファンにとっては、久々に山さんの子供の隆くんに再会できる。
登場した時から同じ子役の小椋基弘くんが赤ちゃんの時から演じているから、前期スコッチでは山さんの義母(赤木春恵)に抱かれて号泣していた隆くんが、今回はきちんと演技をして、しかも山さんに本当になついている様子に感銘を受ける。長寿番組ならではのことだ。

今回のテーマは、大変重い。
本放送当時は沖さんの顔の変化や、やっとそこにいるような状態だけが気になって観ていたものだが、沖さんが亡くなった後で観ると、寺田への気持ちは全く違っていた。
寺田の妻子が車にはねられた後も、犯人を追跡しながら救急車を呼んだボス。理由は犯人がすでに四人も殺した凶悪犯で、次の犯行うを防ぐためには、是が非でもここで逮捕しなければならなかったから。
それはわかる。だが、自分の愛する者を亡くした者にとって、その命が優先されなかったことに、どんな言い訳が通用しよう。
沖さんが亡くなった後、私は恨む相手を探した。周囲にいる人が自殺を100%防ぐことは不可能だったとしても、どうしてなんだと繰り返し考えた後に、恨んで怒りをぶつける相手を探した。
寺田が、自分の子供は死んだのに、山さんの子供が元気にしていることを妬む気持ちもよくわかる。
沖さんが亡くなっても「太陽にほえろ!」は続き、一緒に活躍していた同世代の俳優たちが今も元気にしているだけでも、私には恨みの対象となった。どうして沖さんだけが。私の中で「どうして」はぐるぐると駆け巡り、その勢いが炎となって怨念といっても良い感情が生れていたのだった。
だから、寺田がボスや山さんに怒りをぶつけて
「それじゃあ守はどうなるんだ!あの子は人間じゃないのかよ!」と叫ぶシーンに、逆恨みではないかという反論は出来ない。ボスはあの時、車を止めるべきだったのだ。

スコッチの「山さんには分かるんだ。子供と妻を失った寺田の気持ちが」という言葉が胸に響く。山さんも妻と実の子供を亡くしているのだから。
この放送が4月10日。東名高速での事故は、この二日後に起こる。


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1.ボスの受身は道路側に転がっている。かえって危ない。
2.ボスは丁寧に謝る人に何も言葉を返さず、「ゴリ、長さん、調書を頼む」とだけ言う。せめてお言葉を〜!



第453話「俺を撃て! 山さん」1981年4月17日放送

前回「山さんがボスを撃つ!?」の後編。
メンバーの必死の捜査で逮捕された寺田(河原崎建三)だが、彼は高笑いをする。
彼は自分が逮捕された時のために、時限爆弾を仕掛けておいたのだ。その場所が知りたければ、山さんにボスを射殺させろと、再び要求する寺田。
しかも、今度は射殺する現場をテレビで生中継することが条件だった。


沖さんはこの放送がある六日前に東名高速で事故を起こして入院したというニュースが入っていた。忘れもしない、新聞に「俳優・沖雅也さんけが 横転、東名高速」の文字をみつけた時の心臓の鼓動を。
「軽いけが」とは書いてあるが、詳細はわからないのでパニックになった。確か、後援会に電話をしたが、つながらなかったような気がする。
数日後には週刊誌に「ショック!沖雅也がノイローゼで休養! 自動車事故から謎の入院、面会謝絶」という見出しの記事が出た。
四月十一日、午前九時四十五分ごろ、都夫良野トンネルを出たところで、道路中央のコンクリート側壁に沖さんの車が接触して、横倒しになったという。そんな事故で足首の軽いねんざだけで済んだというのは奇跡だが、その朝、アニメ「ルパン&ホームズ」のアテレコの仕事をすっぽかして下り車線を走っていたことが問題となっていた。しかも、軽傷なのに入院しており、病院名が明かされなかったことから、ノイローゼではないかと書かれていた。
実際には、この事故は自殺だと日景氏は語った。
沖さんは警察の取調べに「死にたかった」と答えたというのだ。
だが、日景氏は同時に、沖さんが事故を起こした現場の先には、沖さんの実父が眠るお墓があり、悩んだ沖さんがお墓に会いに行ったのではないかとも語っている。
沖さん自身は、トンネルを出たところで記憶がポーンと飛んだ、と語っているが、現実には、不眠が続いたり、呼んでも返事をしないようなことが続いていたので、都内の精神科に入院させて治療したのだそうだ。
心の病については二十一世紀になった今でも、誤解と偏見があるのが現状だが、その当時に人気俳優が「精神科に入院」と言えば、かなりの誤解が生じただろうし、沖さんのイメージに打撃が生じたことは想像に難くない。私とて、当時はおそろしいことに、「ノイローゼ」の文字に、『狂』の文字が頭に浮かんでしまい、恐怖と心配で胸が張り裂けそうになった。だから、事務所が詳細を語らなかったのは正解なのだろう。
だが、真相がわからないまま、沖さんは休養に入ってしまったので、ファンとしては胸がはりさけそうな日々が続いた。
問い合わせが殺到したのか、五月になってやっと後援会から葉書が届いた。

「このたび、私の不注意から皆さまに多大な心配をおかけしましたことは、大変申し訳なく、深く反省しております。
幸いにも、外傷は大事に至らずすんだのですが、日頃からの過労が蓄積されていることもあり、これを機会に、完全に健康を取り戻すため、しばらく休養させていただきます。
必ず、又、元気な姿を皆さまにお目にかけますので、どうか、今までどおりの暖かいご声を賜りたいと‥‥心からお願いする次第でございます。
勝手ではございますが、どうか今後ともよろしくお願い申し上げます。」

六月には「お礼と完治のご挨拶」の葉書、十月には再びの休養についての説明と、アメリカ旅行のお知らせ。今見れば溜息が出るばかりだ。

今回のスコッチは、もう顔が別人のように神経が尖った顔をしており、切羽詰まった状況下でも、虚しい表情で車を運転しているし、ラストシーンでは、とうとうサングラスをかけている。顔が変わってしまったことを、沖さんは誰よりも知っていたのだろうと思うと、また胸が痛む。
今回のラストで「わかったよ」と泣き崩れた犯人の台詞は、七曲署の結束と絆の強さと正義がわかったという意味だったのかも知れないが、私には彼が、どんなにあがいても死者は還らないことがわかったように思えた。


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駆けつけて爆弾を素手でつかむゴリさん。素手で爆弾を受け取るスニーカー。素手で装置を外すロッキー。
七曲署には、爆弾処理班はいないのだろうか。




第454話「スコッチ、市民を撃つ」1981年4月24日放送

夜の繁華街で、煙草に火をつけた男(広瀬昌助)がタクシーを拾おうと手を挙げた瞬間、ボクサー犬が飛びかかる。
幸い怪我は大したことはなかったが、犬の行方を追ううちに、ロック歌手の広谷昇(深水三章)が財産目当てに
義母・あや(荒木道子)を、自分の犬・ムサシ(アレックス)に殺させようとしていた疑いが深まる。
そんな中、あやとムサシを連れて河川敷に出かけた広谷。スコッチは手を挙げかけた広谷の手を撃つ。
スコッチに対して警察は査問委員会を開くことになり、スコッチは窮地に陥る。
果たして、ムサシが訓練を受けた“合図”とは?


犬が苦手だと言っていたスコッチとロッキーだが、どちらもムサシを怖がる様子もなく、自然に接しているし、スコッチに至っては犬の心理についてドックに解説している。
沖さんはその頃自宅でも犬を飼っていたせいか、ムサシがなつく仕草をみせている。バターを塗った手袋のせいかも知れないが、門戸の柵ごしにスコッチをみつめるムサシが愛らしい。
「太陽にほえろ!」に参加してから明るく太って行った渡辺徹氏とは随分と印象が違い、沖さんは薬の副作用によるむくみで顔色も悪い。
最後のコミカルなシーンと、メンバーがスコッチを信じて助けようとしているのが救いだ。
特に、査問委員会にかけられることになっても何も弁解しないスコッチに、ゴリさんが「何か理由があるんだろ?じゃなきゃ、お前が拳銃なんて」と言ってくれているのが嬉しい。じゃなくても、スコッチなら発砲していたかも知れないのに。
次のスコッチの主演作は、第474話『ロボは知っていた』。これも犬がらみの事件だ。
「太陽にほえろ!」は困ったときは犬を出演させていたそうだ。スコッチの転勤の後も 警察犬をレギュラー出演させている。体調の悪い沖さんのために、犬を緩衝材として登場させたのだろうか。

余談だが、最初にムサシに襲われた男性役の故・広瀬昌助さんは、沖さんが18歳の時に撮影中の怪我で降板した映画「八月の濡れた砂」に、沖さんの代役で出演した方。
また、沖さんが亡くなられて数年後、とあるコーヒー専門店で、荒木道子さんをお見かけした。
なんと足元には犬。ボクサーではなくシェバードだったが、思わず煙草に火をつけて手を挙げたくなった。もうひとつの合図の「鍵」はなかったが・・・。


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1.スコッチが飲食代を払うことはあるのだろうか。今回もスニーカーが払うのが当然のように、コーヒーを飲み逃げしている。
2.深水三章さんのロック歌手はあまりにも無謀。義母が諦めさせようとしたのも無理はない。
3.河原で人形を拾ったスコッチのズボンのお尻は、もしかして・・・?!



第455話「死ぬなスニーカー」1981年5月1日放送

アパートで爆発が起こり、住人と思われる男・坂本(井上高志)の死体が発見される。
当初は自殺かと思われたが、死因は撲殺と判明。スコッチは現場で不審な外人に注目するが・・・。


殿下の殉職の時は何回か前から「島刑事よ、安らかに」「島刑事よ、さようなら」と、思わせぶりなサブタイトルで視聴者を引っ張ったが、同じ手法なのが今回のサブタイトル。この後460話に「スニーカーよ、どこへゆく」もある。この頃すでにスニーカーが番組を去ることが決まっていたのだろうか。
竹中役の沖田駿一氏は、沖さんの本格的なテレビ・デビュー作「クラスメート」での同級生役だった。沖さんはその後すぐに人気が出始めたことを振り返れば、駆け足の俳優人生ではあったものの、恵まれていたと思う。壮絶な闘病と死のイメージから不幸な人と思われがちだが、彼にしか出来なかった仕事を遺すことも出来たし、今も沢山の人に愛されて、幸せな人生だったのではないだろうか。そう思いたい。


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1.レイはどうみても「東南アジア系」には見えないのですが。
2.ホテルへの尾行は接近しすぎ。しかも、彼女はスニーカーと面識があるのに気がつかないのだろうか。



第456話「ボス、俺が行きます!」1981年5月8日放送

交通課のパトカーが追っていた車を偶然みつけたゴリさんとスニーカーは車を止めるが、相手は政界の黒幕の息子、エジマダイスケだった。
ゴリさんは署に連行してエジマを厳しく追及するが、弁護士の力ですぐに釈放されたエジマはゴリさんを逆恨みして、ある計画を練った。


タイトルからすると、若手刑事の主役回かと思わせるが、今回の「俺」はゴリさん。
刑事ドラマといえば事件の内容からサブタイトルをつけることが多いが、「太陽にほえろ!」はむしろ刑事に焦点をあてたサブタイトルをつけていることが多い。
今回も、2時間ドラマならば「西新宿連続爆破事件 −スピード違反の影に浮かぶ不敵な笑いと無差別殺人!」となるだろう。
「太陽にほえろ!」は、あくまで刑事の生き様がドラマの柱で、今回もゴリさんの「それが俺の仕事だからだ」という台詞に、それが如実に表れている。
スコッチにも同じような台詞があるが、命を賭けて仕事を遂行しようとする男の生き様が、視聴者を惹きつけたのだろう。

随分前の話だが、友人が右寄りの団体に入ったことがあった。
それまで政治に興味がなったのに何故かと訊ねると「命を賭けて国に対抗するっていうのが、なんかカッコイイじゃん」と、頭の悪い返事が返って来たのだが、戦時下でもない平和日本では、良くも悪くも命を賭けられるような仕事はない。熱く命を燃やして生きてみたい。あるいは、命を賭けて誰かに守ってもらいたい。そんな気持ちに「太陽にほえろ!」は訴えるものがあった。
命を賭けて俳優という仕事をまっとうしてくれた沖さんが遺してくれた作品の数々を、私はいつまでも愛して止まない。



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1.どうせ爆発する箱なのに、カワイイ包装をする必要があったのだろうか?
2.ビリヤード・スワンの玄関前の電柱に「児玉外科 入り口」の文字が。そういえば、入り口がなんとなく昔の医院みたいです。



第463話「六月の鯉のぼり」1981年6月26日放送

ひき逃げらしい死体が発見されるが、身元が判明しない。
靴だけが新品なことを不審に思った長さんに、吉野巡査(横谷雄三)から耳寄りな情報が入る。現場にはなかった紙袋を持っていたというのだ。吉野の記憶から長さんの徹底的な捜査が始まり、ついには犯人に辿り着く。警察手帳を見て逃げ出した犯人を捕らえたのは、踏み切りの向こうにいたスコッチだった・・・。


六週間ぶりのスコッチの復帰。
一応は交通事故のための休みということにはなっていたが、週刊誌ではノイローゼで面会謝絶だという記事が出た。
後援会からは、休みに入る時と復帰した時に葉書が届いた。

☆1981年4月付の葉書

 このたび、私の不注意から皆さまに多大なご心配をおかけしましたことは、大変申し訳なく、深く反省しております。
幸いにも、外傷は大事に至らずにすんだのですが、日頃からの過労が蓄積されていることもあり、これを機会に、完全に健康を取り戻すため、しばらく休養させていただきます。
 必ず、又、元気な姿を皆さまにお目にかけますので、どうか、今までどおりの暖かいご声援を賜りたいと‥‥心からお願いする次第でございます。
 勝手ではございますが、どうか今後ともよろしくお願い申し上げます。

☆1981年6月付の葉書

拝啓 初夏の候、益々ご清祥のことと存じます。
さて、この度の事故に際しましては、皆様方に大変ご迷惑とご心配をおかけし、誠に申し訳なく、深くお詫び致します。
また、早速お見舞いと励ましのお言葉をいただき、ほんとうにありがたく心よりお礼申し上げます。
さいわい軽傷でありましたため、完治するのも意外に早く、6月1日より仕事に復帰することが出来ました。
これを機に、すべて初心にかえり再出発します。
今後共一層ご指導、ご鞭撻下さいますよう宜敷くお願い申し上げるとともに、失礼とは存じますが書状をもって、お礼と完治のご挨拶にかえさせていただきます。   敬具

硬い文章の葉書一枚しか情報がなく、週刊誌を読めば更に不安になる日々だったが、当の沖さんはその百倍も千倍も苦しんでいたはずだ。
心身のバランスを崩していた沖さんは、交通事故をきっかけに躁鬱病と診断されたが、当時はうつ病ですら偏見の目があったため、極秘で入院していた。
それが、たった6週間での仕事の復帰なのだから、かなりの無理があったのが画面からもよくわかる。
「精密検査の結果、異常なしと診断されました」という台詞が入るが、その目は空ろだ。
沖雅也という俳優は、こんな表情をする役者ではなかった。力の入らない目と重い体。当時の私は残酷にも「何やってるのよ」と思ったのだが、今思えば、ボスも病に倒れたために苦戦している「太陽にほえろ!」のために、薬を飲みながら復帰を選んだ沖さんを責めていた自分の方を責める。

どうやったら刑事を続けられるかと訊ねるスニーカーに、長さんが言った「何度辞めようかと思ったかわからない」「これしか脳がないから」という台詞が胸に迫る。


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1.矢追ランドって読売ランド?
2.夫が死んだと知らされた妻(左時枝)は、彼とわかる遺品も写真もないのに、すぐに信じる。長さんもどうして確信して話ができたのだろう。



第464話「我がいとしき子よ」1981年7月3日放送

娘がいなくなったという電話で駆けつけたロッキーとスニーカーは、酔いつぶれて階段で寝ている母親のマリ子(すどうかずみ)をみつける。
まもなく子供が男性に車で連れ去られたという情報が入り、認知をしていないが父親である早坂(大門正明)に事情を聞きに行くと、昨夜身代金代わりに一億円のダイヤを要求する電話があったという。早坂は宝飾店を営んでいた。
犯人はダイヤを伝書鳩に結び付けて解き放せと要求。
スニーカーの必死の追跡も虚しく鳩を取り逃がすが、実は・・・。


ボスが不在のため、山さんは一人二役のような活躍だ。ボスの定番「よーし、わかった」も、車の中からの返事となる。
母親役のすどうかずみさんは、当時の人気番組「ウィークエンダー」で泉ピン子さんの後継者として「下品で笑えるネタ」のレポートを担当していた。水洗でないトイレの下で、透明のビニール傘を差してのぞきをしていた男の話が、なぜか鮮明な記憶として残っているのが悲しい。もっと他のことを記憶していたかった。
子役の鈴子ちゃんは西尾まりさん。彼女は今でも女優として活躍されている。
この頃から、沖さんの出番が少ないのが嬉しく思えた。
それほど痛々しい姿なのに、当時の私は事の重大さに気づくこともなく、太り過ぎだなどと言ったりしていた。
実際には、躁鬱病の薬の副作用からくるむくみで、沖さん本人はむくんだ姿をファンに見せたくないと、大変気にしていらしたらしい。
ロッキーの妻・令子の「辛いときに辛い顔する人ばっかりじゃないわよ」という台詞に、今となっては「恐れ入りました。その通りでした」と頭が下がる思いだ。出来れば、スコッチにこの台詞を言ってもらいたかった。


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1.いつものことだが、どうして子供がいなくなったという電話が直通で一係に入ったのだろう。 
2.これもいつものことだが、山さんは「鑑識に回してくれ」というのなら、最初から脅迫文を素手で持たないで欲しい。



第465話「裏の裏」1981年7月10日放送

銀行に二人組の強盗が入って現金が盗まれるが、支店長や次長(北村総一朗)の様子がおかしい。
現金の他に盗まれたものがあると睨んだドックは、次長の河合を追及するが・・・。


今回はドックの一人舞台だが、スコッチは預金通帳のありかを探すヒントをドックに与えている。
高松代議士の秘書がおかしな動きをしているところまで突き止めているのだから、スコッチは自分で調査して逮捕出来たはずだが、あえて後輩に華を持たせようとしている。前期のスコッチでは考えられないことだ。
飛び出して行ったドックを見守る視線が温かい。

行員の女の子は、『カーテン』『ドック刑事雪山で斗う』などにも出演しているので、神田さんの関係者(!)かとも思ったが、犯人役の真田英明氏も太陽の常連。顔を覚えられないと何度でも出演出来るが、役者にとってそれは悲しいことかも知れない。
今回のメインゲストの北村総一朗氏も当時は無名。今のエンターテイナーぶりを知っていると、モンタージュの証言をする部下に「君、確信が持てるのかね」と言うシーンですら、なんとなく笑えてしまう。


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1.署長(平田昭彦)に怒られるドックの横でトボけた山さんの表情が秀逸。
2.スコッチはいつも人が食べているところにやって来るだけで、決して外食をしない。いつもパンとフルーツなのだろうか?!



第466話「ひとりぼっちの死」1981年7月17日放送

雨の夜、銀座のホステス・井上絹代がひき逃げされて死亡する事件が起きた。
目撃者の話から、右肩が少し下がった男(樋浦勉)が瀕死の彼女のそばにいたことがわかるが、そんなとき、別の射殺事件の被害者の車から、彼女の血液が発見される。
二つの事件の間の共通点は?そして、消えた彼女の預金通帳は?


スコッチが休んでいる間に、462話『あなたにその声が聞こえるか』で恋人が出来たゴリさん。
石原裕次郎氏が病欠のため、こんな明るい話題を入れて盛り上げようということなのかも知れない。晴子という名前にも、そんな意図を感じる。ただし、クライマックスのノーブラで走る姿は、確信犯的でいただけない。一時は巨乳アイドル歌手だった水沢アキさんを知る人は少ないが、太陽にお色気サービスはいらないのだ。(きっぱり)

この頃の太陽では、スコッチというより、沖さんの素顔を感じてしまうので、ビルの屋上に立っているだけで、胸がざわざわと音を立てる。
ゴリさんの「どんなに苦しくても、どんなに辛くても、お前と一緒にいたかったんだ。ひとりぼっちで寂しかったんだ」という台詞が、私の心の叫びのように響く。


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1.被害者のアパートの管理人さんは、スニーカーのアパートの管理人さんと同一人物?
2.岩岡が29歳という設定には無理がありすぎ。樋浦さん、この時38歳。



第467話「スコッチ非情」1981年7月24日放送

街角でナイフを持って暴れて女性を人質にした男を「三つ数える間にその人を放せ!」と、前に立ちはだかったスコッチ。
あざやかな逮捕劇を目の当たりにした男・石山(遠藤征慈)は、スコッチが被害者の女性に優しく声をかけるのを見守る。
その石山は、脅迫されて南郷商事の経理課長・安田を轢殺するが、次の犯行も依頼されたことに恐怖を感じ、「人が殺されます。ある人が」と、一係へ電話を入れる。
宿直でその電話に出たスコッチは、数日後に車の暴走で事情聴取されている石山の声にピンと来るものがあった


久々の主演作だが、スコッチは精彩を欠く。これではファンでなくても、沖さんが本調子でないのがわかるはずだ。
今観れば、ただ立ちすくむようなスコッチの表情の中に沖さん自身の苦悩が見え、もういいよと抱きしめて、演じることを止めたくなる気持ちにさせる。
冒頭の「三つ数える間にその人を放せ!」という台詞は、復帰作『スコッチ・イン・沖縄」』で出て来た台詞だが、あの時の颯爽とした感じはなく、石山がスコッチを頼って電話して来たことを説得出来るシーンになっていないのが残念だ。
さらに、石山が閉園した遊園地でジェット・コースターでの自殺を図った時、声ひとつ出さず、身動きひとつせずに見守ったスコッチの行動にも疑問が残る。石山は線路に横たわり、間一髪のところで自分で逃げたのだ。
もし逃げなかったらスコッチはどうしたのだろうという疑問が、どう贔屓目に見ても残る。
もちろんその後で敵が襲って来た時には、石山を逃がして一人で闘うスコッチだが、急な静寂にスコッチの身を心配して戻って来た石山が、すごーくいい奴に見えてしまう。

石山を演じる遠藤征慈さんは、90年代にガンの闘病記事が新聞に連載されていたが、惜しくも故人となられた。太陽ファンには『帰ってきたスコッチ刑事』の狂気の殺人者役も印象に残る。

遊園地の場所が特定できないが、二子玉川園か京王遊園地だろうか。狭いワリには急勾配のジェット・コースターが楽しそうだ。


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1.山さんが机に向かって座っているのに、机の上に座って話しているスニーカー。かなり無礼者。
2.今回初めて気がついたが、無線は提供の三菱電機製なのね。



第468話「殴られたスニーカー」1981年7月31日放送

ロッキーの家に行ったスニーカーは、帰宅途中の公園で不審な人物をみかけて声をかけるが、逆にいきなり襲われて気を失う。
犯人に心当たりがないスニーカーは独自に犯人探しを始め、エリート商社マンの峰元(森田順平)が犯人だと確信する。だが証拠も動機も見当たらない。
彼の人間性を知るために峰元に近づいたスニーカーは、何も興味を示さない彼にお手上げの状態になるが、野鳥観察が趣味だと知り、一緒に一泊でバード・ウォッチングに出かける。だが、そこでスニーカーが見たものは・・・。


ヒッチコックの名作「サイコ」を思わせる心理劇。
冒頭からいいとこなしでコテンパンにやられてしまうスニーカーがお気の毒。一応太陽の刑事なのだから、もう少し反撃させてあげて欲しかったが、翌朝、傷だらけの顔でブーたれている表情が可愛い。

峰元を演じる森田順平さんは「俺たちは天使だ!」でとぼけたトップ屋を演じているが、今回もとぼけて見せたり、平然と心のない笑顔を見せたりと、謎の人物を名演。
当時はすでにライバル番組「三年B組金八先生」に乾先生としてレギュラー出演しているはずだが、同じ時間帯に放映の他局で、こんなサイコな犯人役を演じて問題にならなかったのか、他人事ながら心配してしまう。

ラストのショート・コントっぽいシーンは太陽の名物だが、この頃では、どこかうら寂しい雰囲気が漂う。肝心のツッコミ役のボスがいないことはもちろん、ドックの底冷えのするようなギャグ、そしてかろうじて笑顔を見せているようなスコッチ、そしてゴリさんも妙に深刻な表情をしていることが多い。
和気藹々とした太陽の雰囲気は、殿下のほのぼのした笑顔の存在も大きかったと、しみじみ思った。そして、殿下がいてくれたら、もう少しスコッチもなごんだのではないかなどと、役柄と本人を混同しつつ考えてしまうのだった。


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1.『スコッチ非情』の取調室にいた警官が、今回は医者になっている。エキストラ事務所のおじさん達は、準レギュラーなのだ。
2.バスに走って追いつくスニーカー。いやあ、健脚ですなあ。



第469話「東京・鹿児島・大捜査線」1981年8月7日放送

鹿児島で子供三人の誘拐事件が起き、七曲署内で起きた事件の未決囚三人を鹿児島に護送・釈放を要求するテープが届く。
スニーカー、ロッキー、ドックの三人がその未決囚たちを護送して鹿児島に着くが、鹿児島県警には相馬(倉田保昭)という頑固で強引な刑事がいた。彼は人質の安全確保より、犯人逮捕が先だと主張。だが、誘拐された子供の一人は、彼の息子だった。


次回と二週に亘って鹿児島ロケを敢行したスペシャル・バージョン。
磯庭園、桜島と鹿児島の景色を楽しみながら謎解きも楽しめるという二時間ドラマのような設定。夏休みスペシャルなのだろうか。
スコッチは東京で捜査をするので出番は少ない。相変わらず表情が冴えないが、坂道を降りて来るくせのある走り方に、沖さんがそこにいることを確認した。

『六月の鯉のぼり』から復帰した沖さんのコメント。(新聞掲載)
僕がけがで入院した二週間後にボス(石原裕次郎)が倒れ、びっくりしたんです。
若い僕は少しでも早く復帰出来なければと、すごくあせっちゃう気持ちでした。正直言って病院生活というのは、退屈で孤独で、もう退院したくて仕方がなかったです。
久しぶりに撮影現場に復帰した日は午後からの出番が待ち切れず、午前中に撮影所に行きました。長いことみなさんにご迷惑をかけたおわびを早くしたかったんです。
みなさん、花束で迎えて下さいまして、僕は大感激。日ましに元気を回復しているボスにもこの気分を早く味わってほしいと思います。
休んだせいか体重が八舛佞┐舛磴辰鴇し太目。これから走り込み、アクションで汗を流して体を引き締めます。」


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犯人からの電話が切れた瞬間、「逆探無理でした」と部屋に飛び込んで来るスニーカー。諦めはやっ!




第470話「鹿児島・東京・大捜査線」1981年8月14日放送

釈放された未決囚のうち二人が不審な死を遂げたことから、犯人の目的は釈放ではなく殺害ではないかという意見が出る。
スコッチは未決囚の一人が麻薬と関わっていたことを突き止め、犯人の目的はその男の口を封じることではないかという疑惑が湧くが、犯人と目された男には証拠がない。張り込みを続ける七曲署の前に、相馬が来るまで乗り込み・・・。


先週に続いての鹿児島ロケ。
鹿児島版スコッチといった感じの孤高の男・相馬だが、何故かドックには心を許していて、亀岡に見覚えがあったドックに対して「それがどうかしたの?」という台詞など、コメディ・タッチに聞こえる。「新・江戸の旋風」で沖さんと共演した時は、どちらかといえばダメ男部門担当だった倉田氏なので、そう聞こえてしまうのかも知れない。
倉田氏主演の映画にエキストラ出演したことがあるが、試合のシーンの前に、数十分も一言も口を利かずに三点倒立を続けていた姿も印象的で、今回はそちらの雰囲気。
最後に相馬がスコッチの十八番の「三つ数える」を使うが、後で「これが七曲署作戦か」と言っている。どうやらゴリさんが立てた作戦らしい。
相馬の妻の役で奈美悦子さんも登場。「小さな恋のものがたり」の頃より更に色っぽくなって、素敵なオネエサマだ。

この回はTV番組案内誌にシナリオが掲載されており、沖さんには直接関係がないが、下欄にエピソードが書いてあったので、転記しておく。

*刑事たちが泊まったホテルの前には週日女子中・高生が押しかけ大変な騒ぎ。
ゲストの倉田保昭も「思った以上の人気ですね」とびっくり
*連日30度を越す炎天下の撮影に、神田正輝、木之元亮、山下真司の若手トリオは、10日間で5繕瓩も体重が減った
*ロケ前にボスに会った神田によると、ボスは「帰ってくることには逆立ちできるようになってるよ」と元気そのものだったとか
*鹿児島ロケは6年ぶり。前回はボス(石原裕次郎)も元気に参加。
ホテルのバーで昼の3時から深夜3時まで飲み続けたというエピソードが残っている

なお、シナリオの台詞部分では、スコッチを始め苗字になっているが、ドックは「昭」、ロッキーは「創」、スニーカーは「潤」と名前で表記されているのが面白い。 沖さんはキャリアは長いが、三人より年下なんだけどなあ。


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1.朴念仁のような相馬がゴリさんを呼び出したのは、高層ビルの窓際のレストラン。まるでデートのような場所選びだ。
2.子供の元に走り寄る相馬さんが、ちょっとズッこけてない?
3.電報で離婚回避を知らせる相馬さん。せっかちなのか、時代遅れなのか・・・。



第471話「山さんに任せろ!」1981年8月21日放送

クレー射撃場で銃を乗せた車が盗まれ、それから四日のうちにその銃を使用した銀行強盗事件が二件も起きた。
急いで金が必要だったという推測から、スコッチは自動車修理工場を経営する吉井という男に目をつける。だが、証拠はない。
ボスが不在の七曲署に、他の署から初動捜査のミスを責める声が挙がり、本庁から大沢監理官(神山繁)がやって来るが・・・。


タイトルからも分かるように、ボスの病欠が続いて、さすがに係長の長期不在が不自然になって来たので、山さんの元で団結してその穴を埋めているんだぞ、ということを見せておく必要があったのだろう。
石原裕次郎氏の病気の長期化が判明したものの、他にボスの座に座れる者はいないのが現実。苦肉の策の中で大役を担った露口茂氏のプレッシャーは大変なものだっただろう。
だが、この回を観れば、山さんの采配ぶりは安心感があり、以前よりも団結が増しているようにも見える。若手は山さんを信頼し、長さんはさりげなく山さんを気遣う。ゴリさんとスコッチが少し難しい位置になってしまったのは仕方ないが、中堅として若手を引っ張る役として「俺だって熱くなってるぞ!」と、スコッチが頑張っている。
ゴリさんと車中で交わす会話がいい。
「ゴリさん、今何を考えてますか」
「お前さんは」
「多分ゴリさんとおんなじことを」
二人が共に山さんの進退を案じているシーンだ。
「山さんの確信は我々の確信だ」と言い切って、山さんに全幅の信頼を置くスコッチ。
この時期の沖さんでなければ、この位置は見事にはまったことだろうと思うが、残念ながら沖さんこそ療養が必要な状態だったようで、「この商売に楽な仕事ってありますか」という台詞に、はっと息を呑んでしまう。

石原裕次郎氏は太陽の撮影時には専用のロケバスを常駐させていた。
このロケバスは当時一千万円かけて特別注文されたもので、冷暖房はもちろん、応接セット、シャワー、トイレ、キッチン、電話を完備した豪華版だったそうだ。
お昼休みにはこの車の中で食事をしながら、出演者とチームワークを固めていたという。夏場には、このロケバスがなくて出演者たちも不自由したことだろう。なんだか皆さん汗ばんでいて、俺天のようだ。

犯人役で若き日の村上弘明氏が頭からストッキングをかぶってゲスト出演しているのも、みどころ。

最後に、山さんの主役回なので、私が本物の露口茂さんにお会いした時の思い出を書いてみる。
あれは前期スコッチの頃。
例によってエキストラのバイトとして国際放映にもぐりこんだ私と、大阪から来た沖さんファンのYさんは、当時の狭くて汚い控え室で、出番で呼ばれるのを待っていた。一体なんの番組のエキストラだったのか全く記憶にないが、「太陽にほえろ!」の日ではなかったように思う。自分の洋服のままだった気がするので、時代劇でもない。だが、しつこいようだがその狭くて汚い控え室に、同心の衣装を着た露口茂さんが入っていらした。のちに沖さんも出演することになる「同心部屋御用帳 江戸の旋風」シリーズのひとつに露口さんは出演中だったのだ。沖さん同様、国際放映に毎日通いつめだったのだろう。
『わ、山さんだ!』と心の中では叫んだものの、小心者で人見知りがある私は、チラチラと横目で見る以外に出来ることがない。Yさんと、その日初めて会った、同年代のエキストラでモンチッチ似の女の子と三人で話していたのだが、三人ともいきなり意識は露口さんに集中した。そして、モンチッチが最初に露口さんに声をかけた。
私にとって「落としの山さん」は、愛想がなくて、ちょっと怖いイメージ。だが、「すみません、握手して下さい」といきなり声をかけた彼女に、露口さんは笑顔で「いいよ」と、手を差し伸べた。慌ててYさんと私も手を差し出すと、「わあ、何だか照れちゃうなあ」といいながら、ぎゅっと私の手を握ってくれた。照れるのはこちらだ。
「こんなに女の子に囲まれることなんかないから、どうしていいかわかんないよ」という嘘ばっかりな話に、私たちは喚声をあげた。声をあげればまた「うわ〜、恥ずかしいなあ」「今日はいい日だなあ」と、芸能人が一般人を持ち上げるという逆現象が起こり、私もYさんも沖さんについて質問するのは憚られる状況になった。というより、目の前の露口さんが眩しくてカッコ良くて、ボーッとなってしまったいうのが事実だ。
カメラを持っていた私に、モンチッチが露口さんと一緒に写真を撮ってくれるように頼んだ。まさかOKが出るとは思ってもみなかったが、何とすぐに承諾して下さった。笑顔のツーショットを撮った私は、モンチッチに私もツーショット写真を撮ってくれと頼んだ。急いで横に並んだ私に「もういいよ〜、照れるから」と言いながら、やはり笑顔でカメラに収まって下さった。
高校生の観察ながら、照れると連発するワリには女性の扱いには慣れている印象の露口氏。もちろん、いつだってモテモテに違いない。心優しいリップサービスに私はいたく感激したので、昨日の夕食が何かを忘れても、その思い出は今日まではっきりと胸に刻まれている。

芸能人はサインを頼まれて断ると、それだけで生意気だと言われて困ると、テレビであるタレントが言っていたが、確かにこうして親切に対応していただくと、一生にわたって「露口茂優しくていい男」伝説が、私の中で生き続けている。
沖さんも、接したファンから聞く声は「いつも優しい」「怒った顔は見たことがない」なのだが、なぜか二度も怒鳴られている私。よほどキライなタイプだったのか、私がどんな目に遭っても心変わりすることがないことを見抜かれていたのか。せめて後者であることを祈る。


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本庁から人が来ているのに、七曲署の署長はどちらへ?




第472話「鮫やんの大暴走」1981年8月28日放送

ロスのカジノで770万を当てたファッション・モデルの風間朱美が襲われ、アパートから300万が奪われる事件が起きた。
朱美が所属する事務所の社長、鮫島勘五郎(藤岡琢也)は元・刑事。長さんや山さんとも顔見知りだが、朱美を襲った犯人を自分で突き止めようとして、あれやこれやの大騒ぎに・・・。


ボスの元同僚役で藤岡琢也さんがゲスト出演。
鮫やんの「太陽にほえろ!」出演は今回だけでなく、私立探偵、結婚相談所所長などになって複数回登場していて、今回はボスのいない太陽に、おっとり刀でかけつけて盛り上げてくれている。
長さん、山さんとは顔見知りだが、スコッチは初対面のようで、「社長さん、ですか」と不思議そうな表情だ。
だが、この台詞がうまく前後とつながらずに浮いているのが気になる。
以前撮影の様子を観ていた時、沖さんはひとつの台詞が複数のカットになる時は、カウントダウンが入ると、その前のカットで自分がしゃべった台詞をぶつぶつと口にして、言葉が自然につながるようにしていた。
他の人の台詞を受けるシーンでも、相手の台詞でワンカット、次のカットで沖さんの台詞となる時は、相手の台詞をつぶやいていた。なるほどなあ、と感心したものだが、この頃は、もはやそんなプロらしい技術を使う元気もなかったということだろうか。悲しい。

ドックと鮫島の掛け合いが面白く、「距離をおいてついて来て下さい」とドックに言われて「どのくらいや。いや、言わんでええ」と返す間などは絶妙だ。
前期スコッチの頃にエキストラをしていた私は、前回書いた山さんとお会いしたのと同じ日に、デビュー後間もない神田正輝さんもお見かけしている。まだ俺天のJUNちゃんにもなる前のことだ。
神田さんは他の刑事ドラマに藤岡琢也さんと出演中で、とても親しそうだった。その縁なのか、暴走する鮫やんをフォローしながら慌てて追いかけるドック、という図式がうまくはまっていて、最近暗くなりがちだった太陽を、明るくしてくれている。
スコッチが元気がないのは周知のことだが、なぜだかゴリさんにも以前の豪放磊落な様子が見られず、いつも深刻な表情に見えるのは何故だろう。


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1.水色の服のモデルさんは、RIKAKOさん?
2.何故いつも犯人は、行き先の手がかりになる場所のパンフレットをゴミ箱に残して失踪するのだろう。



第473話「ダーティなゴリ」1981年9月4日放送

半年前、チンピラにからまれて相手を傷つけてしまったことがあるオサム(江藤博利)は、事件にせずに見逃してくれてゴリさんに仲人を頼みに来る。だが、そんな折、街では覚せい剤中毒患者の犯罪が多発、ついには死者が出る。覚せい剤の密売のボスは、若者達に慕われている男・江本(睦五郎)。この街の平和を守るために、ゴリさんはオサムを囮にして江本の元へ送り込むが、覚せい剤を打たれたオサムは・・・。


江藤博利さんは私の世代にはビートルズより親しみがあるアイドルグループ・ずうとるびのメインボーカルで、明るいキャラクターが売り物だったので、その彼がゲストで出演していることが、どっぷり暗いストーリーに救いを持たせてくれる。
それでも、ラストでオサムとゴリさんが和解するシーンもなく、正義の味方であるはずのゴリさんがとった行動にも疑問が残る。ゴリさんは自分を慕って信じていた若者に、こんなことをさせるような刑事ではなかったはずだ。それに対する番組からのメッセージは、山さんの「一番辛いのは山さんだ」というセリフと、ドックの「ゴリさんはこの街が好きなんだよな」という一言であるが、結婚式を控えた若者をシャブ中毒にして良いはずはない。この時期の太陽が道に迷っていたのがよくわかる回だ。
今もあるかどうか知らないが、歌舞伎町の夏のお化け屋敷の宣伝の垂れ幕や、007シリーズの看板が懐かしい。観ていて思い出したのだが、高校生の頃歌舞伎町を歩いていた時に、背後から「おねえさん、はい、ふりむかないでそのまま歩いて」と言われて総毛だったことがあった。無事逃げられたのだが、戸川組や竜神会のようなものがその頃確かに存在していて、虚しさを抱える若者たちを狙っていたのだろう。そういう意味ではリアリティーがある作品だった。
スコッチにも重苦しい雰囲気が流れている。ビルの屋上から下を見下ろしていたりすると、ぞっとする。竜雷太さんが亡くなられた日のインタビューで「こういう日が来なければいいなと思った」と語っておられたが、そう思わせた頃の沖さんなのだろう。
中毒でボロボロになったオサムが救出に来たゴリさんに「オレなんか死んだ方がいいんだろう!」とくってかかるシーンは、今では沖さんの苦しみにすら思える。


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1.覚せい剤中毒で暴れる男の衣装は、あと数回後に登場するラガーが着るものと同じ?
2.あの時点で踏み込むのなら、最初から踏み込んでも大した変わりはなさそうに思える。江本は、自分は知らないとシラを切ったらそれまでなのに、妙に神妙に逮捕されている。



第474話「ロボは知っていた」1981年9月11日放送

東郷建設社長の坂口(仲谷昇)とその夫人の弓子(松本留美)が車のブレーキに細工をされて事故を起こした。幸い二人とも軽症だったが、飼い犬のロボ(ウーサメイジャー号)が夫人の与えたエサをしばらく食べないことをスコッチは不審に思う。そんな時、東郷建設会長の村上も同じ交通事故を起こし、さらには坂口が大量の血痕を残して行方不明になる。夫人は容疑から外れるが、スコッチの追究は続く・・・。


『スコッチ非情』から二ヶ月近く空いた主演作。
「太陽にほえろ!」は犬を出すことが多い。犬を出すと視聴率が上がったのだろうか。
『スコッチ、市民を撃つ』では犬が苦手だとロッキーに話していたスコッチだが、今回は犬の生態にも詳しいし、命令の仕方も堂に入っているのは、犬を訓練した時の杵柄らしい。このロボ役のウーサメイジャー号くんはエアギールテリアという種類だそうで、オスの三歳だそうだが、黙々と役をこなすだけであまり愛想はないワリには可愛い。もう少しスコッチとの絡みが欲しかったぐらいだ。
相変わらず顔色が悪く、以前の沖さんを知っているファンには精彩を欠いて見える沖さんだが、犬との交流は一服の清涼剤となった。

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1.佐倉と聞いただけで「確かめて来ます」と飛び出すスコッチ。スニーカーがお供をするのは当たり前と思ってた?
2.ネタばれになるので誰とは言わないが、川原に呼び出して新たな犯行をうながしてない?



第475話「さらば!スニーカー」1981年9月18日放送

バスの中で拳銃乱射事件が発生。犠牲者の一人は沖縄へ戻って『海の牧場』を設立する夢に燃えていたスニーカーの妹・早苗だった。妹への恨みを晴らすために一人で捜査をするスニーカーに危惧を抱いた七曲署の先輩たちだったが・・・。


「太陽にほえろ!」の新人刑事に選ばれた時から人気者になると予想してサインの練習を始めたという山下真司さんだが、残念ながら番組自体の人気が伸び悩んでいた時期でもあり、急遽応援という形で参入したわれらがスコッチ刑事のために、やや引き立て役に回されていた感のあるスニーカー。早とちりが多く、よく刑事への昇進試験に合格出来たと思われるような単純な推理と、熱血漢というよりは血の気が多すぎて客観的な判断が出来ないとすら思われたキャラクターではあったが、当時はまだ本土復帰後10年にもならない沖縄出身という設定からか、地方出身者への暖かい眼差しが心に残った。スコッチを慕っているというようには見えなかったのが多少残念ではあるが、写真集「沖雅也 IN 太陽にほえろ!」の中での『表面は決して弱音をはかないし、言葉でも干渉されたくないなんていうけど、そのままを受け取らずもう一歩つっこんで話しあえば…。』というコメントに沖ファンの一人として心が温かくなった。あまりキャラクターが生かされなくて気の毒だったスニーカーだが、山下さんはこの後に教師役でブレークして、本当に良かったと思う。

当時は沖さんの変貌ぶりに当惑して観ていたのだが、今観直してみると沖さんはきちんと演技している。画面の端にいても表情は変化を見せて、スコッチ刑事は健在だ。なのに、どうして当時の私は違和感を抱いたのだろう。体重が増えたといっても、それは気になるほどではない。身のこなしもこの回を観る限りは大丈夫だ。とてもあと一回で再び休みに入るような体調には見えない。あえていえば目の光。画面の中からでも人を射抜くような、あるいは引き込むような目線が、この時代の沖さんにはない。竜雷太さんが「沖ちゃんちょっと休んだら」と忠告するほど深刻な状態ではあったのは確かだったようだ。

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1.沖縄出身という設定を生かしたいのはわかるが、最後に「お兄ちゃん、うっちゃびら」「バカ!さよならなんて言うな!」という会話はいくらなんでも・・・。
2.スニーカーが辞表を提出に来た時。お昼ちょっと前だというのに全員揃って雑談とは、七曲署も時々ヒマらしい。
3。何故か気になる「ジャンボな濃さ」の牛乳。



第476話「ラガー刑事登場!」1981年9月25日放送

七曲署の新人刑事として赴任することが決まった竹本淳二(渡辺徹)は、不審な二台の車がカーレースをしているのを目撃する。
帰宅した竹本は、その車の一台に乗っていた男が射殺されたことを知り、意気揚々と一人で事件解決をしようとするが…。


いきなりスニーカーが登場し、ゴリさんと居酒屋らしき場所で「いよいよお別れだな」と話している。考えてみれば今までの新人刑事はすべて殉職しているから仕方ないのかも知れないが、番組を去った刑事が翌週も出演するのが不思議に思える。オープニングのクレジットもゲスト扱いだ。
スコッチが最初に七曲署から転勤といつ形で去った時も、翌週何か言ってくれるかと期待して番組を観たものだが、あっさりしたものだった。スコッチが赴任してきた時はアコが「どうしよう、今日から新しい刑事さんが来るのに」と、供えてあった花を移動しようとしてゴリさんに怒鳴られているのだから、スコッチについてももう少し語ってくれても良かったのになあと思ってしまった。
ただ、この週を最後に沖さんは再び番組を休むことになるのだが、良く週の『俺は誘拐犯だ!』では、スコッチが入院したことについて触れている。“固ゆでの滝さん”だから大丈夫だとは、ドックの弁。
沖さんといえば、髪の先から足の先まで隙なく綺麗にしているイメージだったので、何気ないシーンで爪が深爪になりすぎていることやシャツの袖のボタンが留められていないような様子が気になった。翌週から再び休むことは知らされていたので、そういう細かいところまで不安に思えたものだ。台詞も一気にしゃべれず、おかしな間が空く。
それでも、ラガーの母が署に和菓子を持参して配ったシーンでは、「ども!」と陽気にお菓子をもらったり、キコキコとお菓子を切っているシーンがあってほっとする。ラガーが先走って先輩たちに怒られた時も、スコッチは余裕の笑顔。沖さんの顔に切羽詰ったものは見えないので、山さんの「お前のニックネームは今日からラガーだ!」と言い放つ時の手の動きも、素直に笑える。とても病気が悪い時期には見えないように演技していてくれるのが、今となってはまた寂しく観える。
いずれにせよ、このラガー刑事の登場で、沖さんは七曲署の刑事の中で実年齢が最年少という立場を譲り、番組からも去ることになる。

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1.自宅に戻ったラガーが母親と話していると、突然テレビがつくのはどうしてだろう?
2.大崎ノリコのマンションは三丁目だとスコッチは報告しているけど、電柱を見ると一丁目。ちゃんと目隠ししておきましょう。
3.殺された吉井は血の気の多い暴走族というより気の弱い受験生風。犯人の梶田は暴力団の跡継ぎというより松山英太郎風、またはフォークシンガーくずれ。最後にサングラスが取れるとなかなかの好青年?!


第477話「俺は誘拐犯だ!」1981年10月2日放送

とうとうスコッチは休養に入り、出演はない。スコッチの病状を思いやる長さんにゴリさんは「要するに過労らしいが精密検査を受ける」と説明し、心配な表情。ドックの「大丈夫ですって。すぐ戻って来ますよ。何てったって固ゆでの滝さんですから」(ハードボイルドの意)という慰めの言葉とともに、寒い空気が七曲署を襲う。


第478話「汚れた警察」1981年10月9日放送

スコッチの出演はないが、本来ならスコッチが主演するはずだったという噂の回なので、ゴリさんをスコッチに置き換えて観るのも一興。そういえば、このあたりのゴリさんはハードボイルドだなあ。


第491話「ドックのうわごと」1982年1月15日放送

多摩川土手で無事犯人を逮捕したドックだが、あやうく犯人の撃った弾が子供たちに当たるところだったことを知り、悩むドック。ドックと同期で警察病院医となった白石(岡まゆみ)に悩みを打ち明けるが、今度はドックが派出所から盗まれた銃で撃たれる。

逮捕の際の銃撃戦で死亡した一般人に対して刑事は責任を持つべきかがテーマ。
病院から帰宅許可が出て一日だけ自宅に戻ったスコッチが登場するが、これは殉職への布石。銃弾の古傷が悪くなっていることをゴリさんに打ち明け、「もう普通の体には…」とつぶやくスコッチの脇でけなげに花をつけようとしているさぼてんも映し出される。
前年のクリスマスに一足先に番組復帰したボスだが、やはり出番は少ない。ゴリさんの身を案じるスコッチに山さんが「お前も体大事にしろ」という台詞は本来ボスのものだったのだろうが、493話を知っていると、山さんに言われたことで一層この言葉が響く。

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1.あれだけ銃弾の音が響いているのに、全く気づかずに釣りを続けていた子供たちってどうなんでしょう。
2.受話器を握るスコッチ。結婚線は一本…って、こんなところに注目しちゃダメです。
3.最後にドックが白石と会う警察病院の屋上は七曲署の屋上に酷似。いや、白石が白衣のまま七曲署に駆けつけたのか??



第492話「傷だらけの勲章」1982年1月22日放送

三ヶ月前に警察を退職した仲本(織本順吉)が警備員を勤めるショッピングセンターで仲本の同僚の大木が射殺される事件が発生した。仲本はラガーの元先輩刑事で、名刑事としてラガーが尊敬していた男だったが、捜査を進めるうちにゴリさんが仲本の証言に矛盾があることに気付く。仲本の家を訪ねたラガーがみたのは、父親を軽蔑して荒れていた息子の姿だった。

尊敬していた仲本が臆病者だったと知らされて悩んだラガーが訊ねたのはスコッチの病室。「なんだか滝さんの顔が見たくなって」というラガーに、スコッチは詳細を訊ねず「俺の顔に人生相談の答えが書いてあるか」と微笑む。オトナだなあ。相談したい人というのは、何かを言ってもらいたいのではなく、自分の話をとことん聞いてもらいたいものなのだが、スコッチの笑顔は正にそれ。ラガーはそのスコッチの顔を見て、人間とは臆病なものなのだと気づくのだから、ここは演技者としては難しい表情をしなくてはならない。以前の沖さんなら絶妙な目でラガーを見つめたのだろうが、そこにあったのは本当に具合が悪そうなスコッチの顔だった。まあ次週は殉職回なので具合が悪そうで正解なのだが、ファンとしては沖さんが回復したと言われても違和感を抱いてしまった表情だった。

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1.何度も「太陽にほえろ!」を観ていると、織本順吉さんが『蝶』のお父さん、大村波彦さんが殿下のために証言したチンピラの少年に見えてしまう。
2.足音に敏感になっていたはずのスコッチ(次週放映回参照)なのに、ラガーが来ていたことには気がつかなかったのか?
3.細かいことですが、江戸料理なのに店名が「ながさき」って…。



第493話「スコッチよ静かに眠れ」1982年1月29日放送

昔受けた古傷のため入院中のスコッチを、逮捕時に弟を射殺された強盗犯・井関(野瀬哲夫)が襲撃する。刑事の感で危機を脱したスコッチだが、犯人ともみ合ううちに吐血。自らの死期を悟ったスコッチは、井関が所持していた拳銃の出所を探し出すために病院を抜け出す。

「太陽にほえろ!」ファンには欠かせない殉職回だが、番組のファンというより沖雅也さんのファンである自分には、かなり辛い話となっている。
まずは予告だ。

「明日のない生きざまがある。今振り返る過ぎ去った時…1982年1月、全ての感情を清算し、スコッチ刑事が書き記す自らの生涯のエピローグ」

夕日の中に立ちつくすその横顔を観ながら、「すべての感情を清算」というのは、これまでの事故や病気休養を指すのかと思ってしまった。役柄を超えて沖雅也さん個人が前に出て来てしまったのだ。

ゴリさんが持って来たさぼてんの花が咲くのを楽しみにし、「こいつか咲く頃にお前さんも退院出来るといいな」と言われて、子供のようにこっくりと頷くスコッチ。
長さんの奥さんの手作り弁当を嬉しそうに頬張るスコッチ。
ボスに「このバカモンが!」と怒鳴られてほっとしたような表情のスコッチ。
100回以上観た今なら少しは冷静に観られるが、どれもがスコッチではなく沖さん自身に見えてしまう。

小学生の一時期、私はクラスで一番のいたずらっ子だった。「お前はどうしていつもそうなんだ!」いくら担任に怒られても、さらなる悪戯を考えては困らせた。それは担任の先生に心配してもらいたかったから。学校の旅行で暗くなるまで宿に戻らなかった時も、これは悪戯ではなく迷子だったのだが、玄関の前に先生が立って待っていて、ゴツンとげんこつを頭に落とされて喜んだものだ。ボスの「このバカモンが!」にはこれがある。スコッチは電話ボックスの中で「ボス、久しぶりに聞きました、その怒鳴り声。その声をもう一度聞きたかったんです」と寂しそうにつぶやくのだ。

犯人との格闘シーンは拳骨を振り回すスローモーションと倒れるシーンは個人的にあまり好きではない演出なのだが、それ故に少し冷静に観られる。だが、病院に運び込まれた後はもう涙腺がどうにもならない。
こう書くと他の刑事さんたちには失礼になるかも知れないが、看取ってくれたのが山さんとゴリさんで本当に良かったと思うのは「太陽にほえろ!」というドラマを愛していたからなのだろうが、元々ドラマのファンではなく沖雅也という俳優が好きで観ていた当時の私は、「死にたくない。死にたくない」と、つぶらな瞳に睫毛を震わせながら絶命するスコッチを観ながら、これが現実に沖さんに起こったことのように「沖さん、沖さん」と叫びながら号泣した。私はこの最愛の人に死んでもらっては困るんだ。そう再確認しながらさらに泣き続けていると、突然チャイムがなって母が知人を連れて帰宅した。なんで今なのよ〜。挨拶もそこそこに自室へ入って、更に泣き続けたことまでが蘇る作品だ。
交通事故、休養、ノイローゼ説が週刊誌に出て、セリフのしゃべり方すら変わってしまった沖さんを画面で観ながら、助けるどころかその様子も知り得ないことが私の人生の一番の不幸に思えた。

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1.小島の写真を見て「私、この男知ってますよ」というスコッチ。何度も違う役で出ていらっしゃいますもんね…。
2.飲み屋の女将は前に山さん行きつけの店の女将だった方。そういえば「新・江戸の旋風」でも藤江リカさんは女将。女将顔?
3.何も警察病院前で取り引きしなくても…。


第665話「殉職刑事たちよ やすらかに」1985年10月4日放送

ある朝、ボス宛てに不審な郵便物が届く。中にはスクラップブックが入っていて、殉職刑事たちの写真と記事が貼り付けてあった…。

沖さんが亡くなって2年以上経って放送された2時間のスペシャル版。
殉職刑事たちの映像が出ることは宣伝で事前に分かっていたので、どういった映像が使われるにせよ、久々に本放送で沖さんが観られることに、少し緊張したのを覚えている。

2年といえば長いのか短いのか。
劇中ではゴリさんの婚約者・麻生晴子(水沢アキ)が、ゴリさんが殉職して一年も経たないうちに結婚して子供を儲けていることにドックが憤慨するが、ファン仲間だった女性からも結婚式の案内状が届き、そろそろ世間からも沖さんが亡くなられた当時のどたばたが忘れ去られようとしている頃だった。
しかし私はまだまだ壊れた花瓶を接着剤でつないだような状態だったので、誰か知らない人が花を生けようとして水を入れるたびに、人知れず水が漏れ出していた。

スクラップブックの中の写真や「短銃密造団逮捕」「お手柄の刑事死亡」という切り抜きの文字は沖さんではなくスコッチだと理解出来るのだが、登山洋品店の前で立ち止まってロッキーを想うマミーや、ゴリさんの墓前で「ゴリさん、来たよ」とつぶやく山さんを観ては涙が溢れた。
ゴリさんの父(下條正巳)が「この三年、あいつが死んだことは認めとうなかったので誰にも話していない」といい、山さんとなら話せるからじっくり話したいと懇願する場面は辛く、下條氏と露口氏の名演もあってしみじみと心に沁みたし、マミーの母が「身近な人を恨んだ方が決着がつけやすい」という台詞もよく理解出来た。

その頃になると沖さんの顔を思い出そうとすると写真のように平面的で動かない顔しか浮かばないことが多くなっていたので、殿下の婚約者・三好恵子(香野百合子)が「秋になって木の葉が落ちてゆくみたいに」殿下の記憶が薄れて行くという言葉も、同意はしないが理解出来た。 山さんはそんな彼女に「忘れなさい、殿下のことは」と諭す。殿下は彼女が幸せになるならそれでいいと思う男だと山さんは分かっているのだ。そう、そして彼女も。分かっているからこそ忘れていく自分が許せなくなるのだ。

そんな中、麻生晴子はきっぱりと言い放つ。ゴリさんが亡くなった後で考えたのは「石塚さんに恥ずかしくない生き方をしよう、石塚さんが喜んでくれるような幸せをつかもう」ということだったという。
その通りなのだ。私がいくらここで泣きくれていようとも、ちっとも沖さんのためにはならないし、喜んでもらえるはずもない。私は自分のためにというより、沖さんのために、前に踏み出さねばならなかったのだ。

スコッチに遺族はおらず、マカロニ、テキサス、スコッチの三人はひとりぼっちの殉職者として一気に殉職シーンが流れて、ボスの「三人とも遺族は俺たちだけか」と山さんにポツリというだけでスコッチについてのシーンは終わる。

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