第399話「廃墟の決闘」 1980年3月21日放送


常東銀行の現金輸送車が三人組の男に襲われ、現金が強奪された。
さらに、犯人の一人で沖縄出身の沼沢はすぐに射殺され、彼は初めから利用されるだけの役割だったと知った同郷のスニーカーは激怒する。 
もう一人の犯人も、猟銃の線から身元が判明する。常磐炭鉱出身の佐山という男だった。
みつからない現金の行方を捜して常磐炭鉱に行ったスニーカーとロッキーだが、そこで銃撃戦の上、佐山がもう一人の犯人・手島(森大河)に射殺される。さらに手島は、追いつめらて帰宅途中の小学生たちを車ではねて逃走。
幸いにも子供たちの命に別状はなかったが、犯人の身元を割り出したのがスコッチであり、沼沢が殺された時点ですでにスコッチが手島に狙いをつけていたことを知ったスニーカーは、またもや激怒する。
「スコッチってのは、そういう奴なんだよ」
そういってかばうゴリさんだが、まだ見ぬスコッチのやり方に腹を立てるスニーカー。とにかく、全編にわたって怒りまくっているスニーカーだが、これはクールなスコッチと対照的にさせる作戦だったのか。

そんなスニーカーは、手島らしき男が沖縄行きの飛行機に乗って行ったことを割り出しすと、ボスの話もきかずに次の飛行機に飛び乗って沖縄へ行く。
沼沢の実家で、彼とは似ても似つかぬ美人の妹(沢田和美)と会ったスニーカーは、彼の前に警察と名乗る、背が高くて外国製煙草を吸う人物が彼女を訪ねて来たことを知る。
その男が彼女に泊港への行き方をたずねていたという証言から港へ向かったスニーカーは、そこでトレンチコートを着た背の高い男の後姿をみつけて、城跡に向かう彼を尾行するが、逆に後ろに廻られて「動くな!」と叫ばれる。
おそるおそる振り返ったスニーカーの目に映った人物は・・・。


主題歌が流れる間には紹介されないが、タイトルバックが映る直前に、一瞬顔が映るスコッチ。港での後ろ姿、そして「つづく」になる前にやっと不敵に微笑む姿と、
滝 隆一(スコッチ刑事)
沖 雅也
というテロップが出る。いよいよだよ、来週も必ず観てね!な持って行き方だ。
同じ時間に放映されていた「三年B組金八先生」の人気で、視聴率に陰りが出始めた「太陽にほえろ!」が、起死回生を狙って登場させたスコッチ刑事なのだから、この位気を持たせなくてはいけないのだ。
さて、おひさしぶりのスコッチ刑事だが、その二月前から放送されていた「新・江戸の旋風」で気になった通り、顔色が良くない。スリムになってシャープな印象ではあるが、どことなく以前とは違う。目の下の隈もかなり目立つ。単に過密スケジュールで疲れ気味なのだとその時は思ったが、やがて残念ながらその心配が思い過ごしでないことを知ることになるとまでは、その時点では想像だにしなかった。

さて、暗い話はこの位にして、当時のTV番組紹介誌に載った『沖縄ロケこぼれ話』を残しておこう。

『先生』
久米島ロケでは、島の子供たち二百人が見学にやって来た。撮影そのものが珍しいこともあって、みんな真剣な顔で見学。したがって撮影に支障をきたすこともなくロケは順調だった。竜雷太などは「みんな行儀がいいね。あとでサインをあげるからもう少し待ってね」とすっかり子供たちを気に入った様子だった。子供たちの方も「竜さんって先生みたい」と嬉しそうな顔。

『酒』
夜の楽しみは酒。それも地酒の久米焼酎が大変な人気だった。竜雷太や沖雅也は「これは翌日まで残らないからいいんだ」と言いながらピッチの早いこと。もっとも竜は撮影シーン数も少なく、翌日のことまで考えていたかどうかはさだかでない。

『ジョギング』
沖雅也は沖縄にまでジョギングウェアを持参し、撮影が終わると着替えて海辺を「オイチ、ニー・・・」と快走。でも一人では面白くないらしく山下真司や木之元亮を誘うのだが、二人とも「かんべんしてください」と逃げ回っていた。

『守礼の門』
那覇市内にある“守礼の門”を刑事たちが見学。観光案内の沖縄美人に木之元亮や山下真司は「沖縄や酒がうまいし女性は美人が多いし・・・天国だあ」とゴマをすること。もっとも彼女たちは沖雅也のファンだそうで「やっぱり“守礼の門”の前では礼儀正しくないときらわれる」とがっくり。

『ネオン』
約二週間の沖縄・久米島ロケの最後の方になると、みんな「恋しいね、ネオンが恋しい」とこぼし始めた。中でも木之元亮は「こんなに長く不在だと子供がオレの顔を忘れちゃうよ」と“父親”らしいひと言。山下真司は「六本木が呼んでるよ」と“六本木鮨”の話ばかり。

『緊張』
犯人の妹役でゲスト出演の沢田和美は緊張のしっ放し。撮影現場でセリフをカットされると「うわぁ、嬉しい」と大喜びで普通の新人とまったく反対。ロケから帰ってきても「正直言って私の出てるシーンは誰も見てほしくないんです」とテレビドラマ初体験のショック度は相当なもの。

『水着』
久米島で沢田和美、木之元亮、山下真司らはカメラマンの注文で水着になった。気温が20度ぐらいあったがまだ水が冷たく泳げる状態ではない。山下真司などは「せっかく水着を持ってきたのに」と残念がることしきり。

『燃える男』
出番の少なかった竜雷太はもっぱらスタッフの手伝い。沖雅也と森大河の格闘シーンでは冷たい海の中に入ってカメラマン助手を務め、カットごとに「よかったぞ」と拍手したり演技指導をしたりで“燃える男・竜”といった感じ。

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沖縄の刑事さんはハマっ子刑事の頃には横浜でサラリーマンだったはず。
まあ、そういえば犯人の手島は紘道館四天王の一人なんだけどね。
ゲストの複数出演が多い「太陽にほえろ!」でありました。
でも、この回の一番の疑問は、ゴリさんがスコッチから情報を得た経路ですね。


第400話「スコッチ・イン・沖縄」 1980年3月28日放送

なんでか知らないが、観光名所の城址までスニーカーに尾行させ、海をバックにスニーカーに蹴りを入れるスコッチ。
この回に限らず、スコッチが再加入してからというもの、熱くなりやすい単細胞を演じさせられている山下真司氏がいささか気の毒にもなるが、スコッチをひきたててくれていたことは間違いない。
外で待っていたスニーカーには声をかけずに、ゴリさんとロッキーがホテルに着いた瞬間、中から優雅に出迎えるスコッチ。
上司の許可も得ずに沖縄出張してきて、経過を何も報告していないスコッチだが、さすがにゴリさんに怒られると神妙にしている。そのことに怒るスニーカーに、ロッキーすら「先輩刑事に向かって『あいつ』とは何だ!」とたしなめる。スコッチの勝手な行動に怒る山田署の上司たちに、「スコッチもつらかったろうなあ」と心配顔の長さん、命令違反をしてまで捜査を遂行しようとするスコッチに「おそらく、奴の胸の内は・・」と、心の中まで読んでしまう山さん。このあたりは、スコッチはそういう奴なんだが七曲署の面々とは信頼関係があるんだぞということを示しているのが嬉しい。

スコッチが転勤してから「太陽にほえろ!」を観ていなかったフトドキ者の私は、ここでスニーカーが沖縄出身であることや、両親が米軍のトラックにはねられて死んだこと、ボンに出会って刑事になったことなどを知るのだが、25年経った今観ると、沖縄基地問題は全く進展してことがよくわかって興味深い。このエピソードを語るスニーカーの頭上では、まるで効果音のように飛行機の爆音が響く。

現金輸送ルートを知っており、いまだに現金を握っている第四の犯人が浮上する。それは、当日現金輸送車に同乗していた常東銀行の麻田(佐々木勝彦)だった。どうでも良いことかも知れないが、この佐々木勝彦氏の父親は故・千秋実氏。この頃のご家庭では、似ている・似ていない論がよく起こっていたはずだ(?)。

有名な「三つ数える!」のシーンもいい。
余計な肉を全てそぎ落とした狼のような精悍な表情と立ち姿が、沖縄の青い空によく映える。沖縄の景色にスーツが似合うとは、さすがは我らがスコッチ。
またまたどうでもいいことかも知れないが、久米島で乗り捨てられたボートを発見する警官は、沖さんの付き人だ。この頃の地方ロケではよくあったことだが、沖縄での聞き込みの相手は、限りなくスタッフと地元の人に見える。しかも、潜伏している犯人を探すのに観光名所を探し回る刑事たち。水着や入浴シーン、グルメはないが、一応、400回記念サービスなのだ。
そして、クライマックスのビーチを走るシーン。一体、このシーンだけ何度巻き戻して観たことか。このシーンだけでも、沖雅也ファンになって良かったとしみじみ思える爽快な走りだ。前を走るスニーカーを追い越さない程度に走るスコッチは、無我夢中(に見える)なスニーカーに比べて余裕の走りであり、無駄のない足運びだ。ショートブーツで砂浜をあれだけ軽く走れる人を、私は他に知らない。あ、そんな人は観たことないんですが。
そして、拳銃を取り出して「三つ数える!」と再度叫ぶスコッチ。いつもながら、ホレボレする拳銃の取り出し方。あれれ?オデコどうしました?アザが出来てますよ。本編では使われなかったが、スコッチと手島の格闘シーンは撮影されていたので、その時にオデコにアザをつくってしまったのかも知れない。あるいは、ポイ捨てした煙草が風でオデコに当たったのか??(まったく余計なお世話)
本編では使われなかったといえば、スコッチの「お前もな、運動靴」は台本では単に「鍛え方が違うんだよ」となっていた。沖さんのアドリブか?


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偽名で沖縄に渡る麻田。一度使った偽名をどこでも使うから、足取りがバレるんだよ〜ん。


第401話「紙飛行機」 1980年4月4日放送

金の先物取引詐欺をしていた男が自宅で殺害された。遺されたメモと指紋から犯人は飛行機のマーシャラーの土田と判明する。土田が難病で入院中の息子・守に接触すると踏んだスニーカーは彼に接触するが、守はスニーカーの裏をかいて病院を脱出。スコッチとスニーカーは土田と息子がセスナで飛び立つ寸前に逮捕するが、復讐心を燃やした槌田は拘置所を脱走してスコッチを狙う・・・。


基本的にはスニーカーが主役の回だが、販売ソフトや関連本ではスコッチの主役回とも記されている。
余命いくばくもない子供の夢を壊したことに苦しむスニーカーと、「それが刑事の仕事だ」と、二度もパンチを入れてスニーカーを諭すスコッチ。ボンの時と同じことが繰返されているのだが、スコッチが少し大人になって角がとれたこともあって、「教育的指導」が増えている。また、スニーカーはボンよりも強情者で、今回もボスに辞職願をたたきつけて旅に出てしまうのだが、最後に復職させる役目もスコッチが負う。
前回に続いてスニーカーに見せ場を譲ることになるのだが、子供の難病を気遣いながらも刑事として最善の道を進んだスコッチにも子供への愛情を感じさせる。
山さんの「守君を失った土田にとってただひとつの慰めは、守君を苦しめた相手を憎むことだ」という言葉が子役の名演も光って心に重い回。

☆TVガイドの『短信』より
●打倒『金八先生』(TBS)に燃える刑事たちの中でも、スコッチ(沖雅也)の意気込みは大変なもの。ひまを見つけてはロッキー(木之元亮)やスニーカー(山下真司)に演技指導。「僕らがやらなくては」と沖は言葉数は少ないが闘志満々。
●4月18日放送で殿下(小野寺昭)が危うく死にかける。「小野寺さんに思い切って暴れてもらう」とスタッフ。役者もスタッフも『太陽−』復活に懸命だ。
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守君と同室の女の子は高橋かおりさん?


第402話「島刑事よ、 安らかに」 1980年4月18日放送

突然目の前で起こった強盗犯人を追う殿下。だが、強盗は狂言で、殿下は実録映画の主人公に仕立て上げられていたことがわかる。
映画のタイトルは「島刑事よ 安らかに」だった・・・。


全編にわたってスコッチ・ファンにとっては面食らうシーンが続出する。これはもう、もうひとつの『愛の詩 −島刑事に捧ぐ』ではないか。
殿下が行方不明になった時点では、スコッチは上司の目の前で20分も早い昼食のパンを一人でほおばって平静を装うが、強盗が狂言であったことを知るや否や、狂ったように行方を捜すのだ。

スコッチの愛・その1:殿下がタクシーに乗って去ったことがわかると、電話をしている長さんの横で「タクシー会社の名前は?!」と怒鳴る。
スコッチの愛・その2:タクシーを盗まれて怪我をしている運転手の胸ぐらをつかんで「ちょっとアンタ、これはね!」と怒鳴り、長さんに止められる。
スコッチの愛・その3:容疑者に覚せい剤の中毒症状が出ていることにすら気づかず、殴りまくる。いつもなら、一番初めに気がつくのがスコッチのはずだ。
スコッチの愛・その4:ボスに電話で連絡し、スニーカーに「珍しいですね、滝さんが連絡して来るなんて」と言われてしまう。
そして、かの有名な「頭ナデナデシーン」につながる。
殿下がスコッチの腕をつかみ、みつめ合う二人。スコッチに腕をつかまれた途端、安心したように崩れ落ちる殿下。頭をしっかりと抱きかかえるスコッチ。腕にしがみつく殿下。

一体、いつ二人はこんなに心を通わせる仲になったのだろうか。
第218話『殿下とスコッチ』では全くすれ違ってしまった二人が、239話『挑発』では、スコッチが殿下にあげたと思われるサボテンが登場し、殿下はいいとおしげにサボテンを眺めている。この時点で、他のメンバーの知らない水面下の交流があったことがわかるが、こうなると今回七曲署に戻って来たスコッチを殿下がただ微笑んで迎えたのは、殿下にだけは連絡があったのではないかとすら勘ぐってしまう。

殿下のアクションが堪能出来るが、スコッチの慌てぶりも面白い回。


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無事だった殿下に駆け寄るスニーカーに「なにをボヤボヤしてるんだ!救急車!」と叫ぶスコッチ。
一番に駆け寄るのは自分じゃないとダメ?


第403話「罪と罰」 1980年4月25日放送

不動産詐欺をしていた加川という男が、おなじみの多摩川河岸で撲殺された。
詐欺の被害者の中に、冤罪で10年間も拘置されたことのある『土屋一男』の名をみつけたボスは、自ら捜査に乗り出すが・・・。


ゴリさんの揃い過ぎた前髪が可愛いが、テーマは重い。サブタイトル通り、罪は罪、罰を与えるのが警察の仕事だということを知らせるために、ボス自らが立ち上がった形だ。
いつものことだが、テーマに似合わずボスは派手だ。容疑者の家を訪ねるボスは、日本一団地が似合わない警察官であり、容疑者の弟が家に帰って来ても、あぐらをかいたまま軽く頭を下げるだけ。警察手帳がなかったら、新たな不動産詐欺がやって来たかと思われても不思議はない威圧感だ。
容疑者の故郷を訪ねるボスは、黒いサングラスをかけて田舎道を歩いている。これまた日本一田舎道が似合わない男だ。
しかもストライプのハイネックのシャツだ。
そして朱のネクタイと揃いのスカーフがポケットからのぞくのだ。
さらにダブルのスーツだ。
おまけに金ボタンだ。
決め手はポケットに突っ込んだ手。う〜ん、今にも歌いだしそうだ。役作りを超えた存在感。これはこれでいいのだと、有無を言わせぬのがボスだ。

さて、スコッチはというと、グレーのスーツに紺のワンポイント・タイでシックに決めている。内容によってスーツの色を工夫したと沖さんご自身の説明があったから、毎回色に注意して観るのも楽しい。

今回ロッキーをお供に指名したスコッチは、この後もロッキーを従えることが多くなる。スニーカーより素直だから使いやすいのだろうか。語りかける口調も「先のことはわからんよ」などと、いつもよりくだけた感じだ。
容疑者が逃げると、自分は先回りして路上でニヤリと笑って立っている。いつもながらスコッチは逃走先の予想がうまいのだ。

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ボスが容疑者宅を訪ねると、おじいちゃんが俺天の再放送を観ている。おじいちゃんが俺天好きなのは嬉しいが、この再放送は4時ごろだったはず。
10時40分に自分で行くと宣言したボスは、それから一体どこで道草を食っていたのだろうか?!


第404話「鍵のかかった引出し」 1980年5月2日放送


道路交通法違反で現行犯逮捕した暴走族の一人・久保をスコッチは執拗に追及するが、久保は翌日焼死体となって発見される。
厳しい取調べを苦にしての自殺という報道や、親の訴えを退けても他殺の線で動き出すスコッチに、七曲署のメンバーたちも動き出す。
そしてスコッチが睨んだ通り、そこにはもうひとつの犯罪が・・・。


第400話で再登場してから、すでに3話目の主演作。
何といっても上半身裸のスコッチが、自室でゴリさんからの電話を受けるシーンが沖ファンには気になるところ。ファンへのサービス・カットとも言えるが、以前はパジャマだのガウンだのを着ていたスコッチが、半裸で寝る習慣になったというのは、以前の几帳面さを考えると、ちょっと意外なことだ。シャツも脱いだままたたまずに放り出してある。上半身しか映らないから、もしかすると全裸かも知れない(しつこい)。

それはともかく、一人で捜査を進めようとするスコッチに、スニーカーが信頼を寄せ始めるのが嬉しい。
「滝さんがあれだけ信じてるんだから」と言うスニーカーの目は、沖縄での「キザな奴!」というセリフを言った時の目ではない。
他のメンバーも
山さん「確かに靴を脱ぐなら手袋も取るんじゃないかな」
ボス「俺は滝を信じる」
長さんはいつものようにスコッチを労わるように
「スコッチ、何か隠してるんじゃないか」
と、鋭く見破る。その暖かい視線に一瞬本心を打ち明けようとして黙るスコッチが、私的には半裸シーンより好きだ。いや、半裸ももちろん好きだ。
今回は大好きな殿下に声をかけてもらえないが、ロッキーとは冒頭から楽しそうに談笑しているスコッチ。
有名なラストのボスとの絡みでは、大きなエクボを見せて、大きな体を丸めるように甘えた笑顔を見せるスコッチ。
どれも、以前とは違ったスコッチだ。山田署時代に彼女でも出来たのか、スコッチ(いらぬ詮索)。

撮影時はひどい風邪をひいていたという沖さんは、歩き方こそ颯爽としているが、得意の柵乗り越えがやや重いし、セリフも声が掠れる。そんなことまで心配になるのがファンだが、『風邪をひいていた』という情報が当時すぐに入ったのは、私設ファンクラブの情報誌のおかげだった。ありがたいことだ。

今年の一月、友人の弟が四十三歳で急死した。
友人は、独身だった弟が親にとっていつまでも小さな息子であるように見せるため、Hビデオや怪しい手紙などを処分して、長女と喧嘩になったという。
弟は子供ではない、勝手に処分するのは失礼だという姉と、親にとっては子供は子供でしかないし、死んだ後に色々なものが家族の目に晒されては弟が可哀想だという妹。

鍵のかかった引出しの中は綺麗なものだけではないかも知れないが、色んなガラクタが入っていてこそ、故人が生きていた証とも言える。
沖さんの引出しは当時の報道で随分荒らされてしまったが、その奥にある鍵のかかった引出しの中には、沖さんが生きた証があるに違いない。ファンは沖さんの横顔を観る度に、ひとつづつ鍵を開けて行くのではないだろうか。

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浪人生も高校生も暴走族も、随分老けてるなあ・・・。


第405話「時効」 1980年5月9日放送

金庫破りの容疑で逮捕されたものの、山さんですら落とせなかった男・上原が、突然その山さんを訪ねてやって来る。
事件は既に時効が成立していたが、やがて上原とよく似た手口で金庫破りの事件が起こる。
犯人は上原なのか?事件の解明に奔走する七曲署。やがて意外な事実が浮き彫りになり・・・。


日本のコロンボと呼ばれた山さんが、今やコロンボの声としてもおなじみの石田太郎氏をゲストに迎え、渋い対決を繰り広げる。
金庫のドリル・チャート・ポイントやパチンコの玉が真球でない理由などウンチクも満載で、本格的刑事ドラマとなっているのも、山さん主演回だからか。

しかし、ナーコ以外誰もいない一係の部屋に上原が通されているのが危ない。
いくら山さんを訪ねて来たといっても、ここは受付か待合室で待ってもらいたいものだ。
また、スコッチお得意の待ち伏せも、今回は無理がありすぎる。
スニーカーと手をタッチして新宿駅前で容疑者を追うのだが、まあ目立つこと目立つこと。
周囲の「沖雅也だ、カッコイイ〜」という声が聞こえそうな視線を無視して走る二人だが、見失ったスニーカーに対し、路地裏のそのまた陰に入って、やっと煙草に火をつけようとした容疑者なのに、そこにライターの火を差し出したスコッチ。彼の出て来たところを観てもらいたい。あそこに隠れて容疑者が逃げて来るのを待つのは、無理がありすぎる。
追いついたスニーカーも、よくすんなりみつけたものだ。
それでも、紅茶好きなのに堂々とコーヒーを要求するスコッチに、スニーカーが「俺だって命かけてんだよな!」と言い返すやりとりもあって、後期スコッチらしいジョークが楽しい。

ただ、今回もスニーカーとロッキーは最後にアクション・シーンがあるものの、上原の尾行に二度も失敗しているなど、もうひとつ冴えない。
新人刑事として抜擢された山下真司氏は、当時「これで俺もスターだ!」と、早速サインの練習を始めたそうだが、これではあまりに輝かなくてお気の毒。スコッチの復帰をうらめしく思ったかも知れないなあと、申し訳なくなる。
まあ、山下氏の場合は、この短気なキャラクターがのちに生かされて大ブレイクするのだから、結果的には良かったということか。

沖さんの場合は逆に、「太陽にほえろ!」に復帰したことによって身を切り崩すようなことになるのだが、今回、すでに予兆が見てとれるのが少し悲しい。まだ気にしなければ、見逃すほどの小さな変化ではあるが・・・。

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山さん、上原が毎朝何をしているのか知っていたなら、スニーカーとロッキーに尾行させないで、最初から教えてあげようよ。


第406話「島刑事よ、さようなら」 1980年5月16日放送

喫茶店で女の子の書き込みに不安を感じた殿下は彼女を探しに出かけ、多摩川に浮かぶボートを発見。中には睡眠薬を飲んで倒れている真紀がいたが、殿下のおかげで事なきを得る。
だが、真紀を優しく諭す殿下が救世主のように思えた真紀は、容疑者を追いつめられずに苦しんでいる殿下を助けようと、一計を案じる・・・。


殿下の殉職を盛り上げて、視聴率を伸ばそうという企画の第二弾。
第一弾は402話『島刑事よ 安らかに』で、殉職を予想させるタイトルを続けて視聴者を煽った。
「太陽にほえろ!」ファンは予め殉職の日を知っていたので焦らずに観ていたが、タイトルに踊らされた視聴者からの苦言の感想が、新聞に掲載されたのを憶えている。
さて、物語は今回もツッコミどころが満載。
前期はあれほど紅茶にこだわったスコッチが、前半は皆と一緒に入れられたコーヒーを何の違和感もなく受け取っており、後半では日本茶に煎餅という純和風刑事となっている。これではスコッチどころか「しずおか刑事」か「草加刑事」ではないか。どうでも良いが、前半だけとれば「ブラジリアン刑事」とか「コロンビアン刑事」にもなる。さらにどうでも良いが、そうなると七曲署全員が南米系となり、「キューバン刑事」とか「ジャマイカン刑事」ばかりとなる。もうやめておこう。

『世にも優しい男』の殿下の本領発揮だが、個人的にはこの回の殿下の「君だから助けたんじゃない。これが刑事の仕事なんだ」という言葉を寂しく受け取ってしまった。正論なのはわかるが、突き放された気がするのは私だけだろうか。
それから『すれ違った女』でも書いたが、助けてくれたのが殿下でなく、長さんだったらこの子はどうしただろうと、ついつい考えてしまう。

今回の犯人役の山本紀彦氏は、日テレ俳優とも言える。
沖さんとは「さぼてんとマシュマロ」「気になる嫁さん」「姿三四郎」でも共演していて、我が家では「気になる嫁さん」で沖さんが『体育系』と呼んだことから、山本氏が何かのドラマに登場するたびに、いまだに「あ、体育系だ」と言うのがならわしとなっている。

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1.いくらなんでも、先輩刑事の真後ろで机に上に座ってはいけないよ、スコッチくん。
2.通り魔事件が続発している時に、夜9時に14歳の娘を一人で外出させてはいけないのだ。
3.今回も話をドアの外で聞いていたとしか思えない山さんの部屋への入り方。
「どうやらそのケースになりそうですね」とは、入るタイミングを計るのが大変そうですね。
4.今野係長は自転車に乗る真紀が救出された時に、わざわざ先回りしてのぞいているから捕まるのでは?


第407話「都会の潮騒」 1980年5月23日放送

拳銃強盗殺人事件を追っていたロッキーとスニーカーは、早瀬婦警(長谷直美)が追っていた交通違反の車に気をとられ、容疑者を見失ってしまう。
だが、犯人は早瀬婦警に恨みを持つ男・西山(井上高志)だった。
都会での一人暮らしに馴染めずにいた西山は、妹の上京と同居によって明るさを取り戻していた。だが、彼女の交通事故によって、その暮らしにピリオドが打たれ、裁判で妹が横断歩道を渡っていなかったことを証言した早瀬婦警を逆恨みしていたのだ。


残念ながら、沖さんは復帰七週目にして、すでにむくみが見られる。ということは、既に抗うつ剤の服用があったということか。これから数ヶ月に渡って体重の増減が見られるが、当時の私は目の光が翳って見えることや、声のトーンが落ちていることの方が気になった。それでも、以前からかけもちの仕事が多かった沖さんに慣れていた私は、「ちょっと疲れているのかな」ぐらいにしか思わなかった。私は私で問題を抱えていた時期でもあったのだが、ファンとして情けない。
また、このあたりからボスの体調も崩れているのが見てとれる。「太陽にほえろ!」は視聴率とともに、いよいよ窮地に追い込まれていたのだ。
そんな雰囲気を払拭するかのように、今回はロッキーと早瀬婦警の結婚を予感させる第一弾。
ヒステリックなまでに怒鳴る早瀬婦警を、いつも安定した精神力を持つロッキーが静かに諭す。う〜ん、いい図だ。容疑者を逃してるけど。
「大追跡」「姿三四郎」「俺たちは天使だ!」と、沖さんとの共演が続く長谷直美さんだが、ボーイッシュで元気が良いキャラクターはいつも同じ。これだけ出演しているのだから、おきゃんとヒステリーの演じ分けが出来れば、もう少し人気が出たのではないだろうか。ロッキーの「力強いね」というつぶやきが、アドリブに聞こえる。
「太陽にほえろ!」10周年記念ファンの集いでも、長谷直美さんの扱いはかなり軽い。ロッキーの殉職が迫っていた時で、木之元亮さんに花束が贈られるシーンがあったのだが、花束を渡したのは妻役の長谷さんではなくファン代表。長谷さんには椅子も用意されていなかった。
個人的には好きな女優さんで、顔も可愛いので惜しい。
カーアクションのために空き地へ移動したり、絶対絶命の危機を脱してから登場するメンバーたちというのはお約束で納得出来るが、えっ?!と驚くのは、血まみれで意識を失っているロッキーを見て涙ぐむ早瀬婦警の顔から、いきなり演歌風なイントロが始まること。続いてロッキーの歌声。
猟師の父親を海で亡くしたことを歌っているので、明らかに木之元亮としてではなく、ロッキーというキャラクターのために作られた歌だ。だが、今まで出演者の歌が入るシーンは初期作品のボスしかなかった(はず)ので、違和感がある。まあ、スコッチの歌が入るシーンがなくて良かった(?)。
ちなみに、♪人は誰でも・・・と始まるこの歌のタイトルは「すきま風」ではなく、サブタイトルと同じ「都会の潮騒」。

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1.今回は救急車を自分で呼ぶスコッチ。殿下じゃないと駆け寄らないのか?!
2.車の中で夜通し張り込みをするロッキーに、フランスパンを丸ごと差し入れをするスニーカー。
とりあえずほおばっているロッキーだが、他に何かなかったのか。
3.早瀬婦警を撃とうとする犯人。後ろから追跡するロッキーとスニーカーに見せるかのように、拳銃を横に差し出す。ご親切に・・・というか、どうみても不自然。


第408話「スコッチ誘拐」 1980年5月30日放送

女子高校生(白石まるみ)が誘拐され、スコッチの自宅に呼び出しの電話がかかる。
犯人(石橋蓮司他)の望みは、スコッチに銀行強盗の片棒を担がせることだった。


手錠でつながれたスコッチの手首を心配しながら観ていると、今回はスコッチ研究者にとっては興味深い事実がいくつも浮かぶ。
まず、タバコがすでにラークに変わっている。前主演作『鍵のかかった引出し』の時から、すでに引越しか大胆な模様替えをしている様子も見てとれるし、ベッドサイドにはサボテンではなく蘭の鉢植えが豪華に置いてあって、独身の公務員の部屋には見えない。
前回自宅を公開したスコッチだが、意外にもおかたづけ下手なことが露呈していたので、今回はきっちりと綺麗に片づけてある。さすがにジャケットは脱いでいるが、ベストを着たまま高価そうな器で紅茶をすすり、出来る男をアピール。
また、報告をしないで動くのを信条とするスコッチにしては、すぐにボスの自宅に電話を入れて誘拐犯に呼び出されたことを報告している。署でなく自宅というところにボス個人に対する信頼を見るが、おかげで私服姿のボスも拝める。Tシャツの上にVネックの赤いセーター。金のアクセサリーが胸からのぞくボスは、スコッチ以上に公務員の域を脱している。

七曲署の面々がスコッチの安否を気遣うのが嬉しい。人質だけが開放されたと知ると殿下は「スコッチは?一緒じゃなかったんですか?!」と焦りを見せている。さすがは仲良しだ。嬉しい。
犯人すべてを一人で倒したスコッチは、またまたロッキーとスニーカーを小間使い扱いして「あとの二人はあっちに転がってるぞ!」などと命令するから、スニーカーの横顔が苦々しく見えるが、署に戻ってからはスコッチの処分について心配してくれている。嬉しい。
山さんが女子高校生に聞き込みをするシーンが素晴らしい。混乱する彼女に「うんうん」と優しく理解を示しつつ、少しずつ核心を突いて行く。余談だが、私がお会いした露口茂氏も、やはりこんな風に包み込むような話し方の優しい方だった。こんな方が刑事だったら、「もう、どうにでもして」と、やってもいない犯行を自供してしまいそうだ。

タバコをもらってガソリンを狙うタイミングに、ちょうどトラックが急ブレーキをかけたり、ピンで手錠の鍵が開いたりと偶然なお約束も目立つが、スコッチのアクションが堪能出来ることでは珠玉の一作。スタントなしでトラックや塔の上から飛び降りて、観ている者の胸をスカッとさせてくれる。乱闘で下着まで真っ黒になったというが、なかなかスタントなしでは出来ないシーンを、スタントマンより綺麗にこなしているのは、さすが沖さんだ。

とは言ってみたものの、本放送では満足出来ずに首を傾げたことを覚えている。
これはスコッチらしくない。前期スコッチではキャラクターが冷酷すぎるという批判が多かったため、復帰後はソフトさを出すようにしていたという事だそうだが、人を射抜く剃刀のような鋭さが感じられない。
この後、『ルポライター』(418話)や『拳銃を追え!』(424話)では再び鋭さが感じられるのだが、『誰が彼を殺したか』(431話)では、残念ながら、もう以前のスコッチはいない。

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1.激しい銃撃戦の間を何気なく通り過ぎる貨物列車。銃声が響く中、フツーに仕事している人がいたの?
2.強盗未遂の時、たまたま通りかかったスコッチを標的にしたといいますが、よく当時山田署にいたスコッチの転勤先と自宅の電話番号まで捜し当てたものだ。
3.ラストのボス。その動きはどう見ても「ガチョーン」じゃないですか?


第409話「英雄」 1980年6月6日放送

ラーメン屋に勤める岸本和夫にとって、殉職刑事である父親は英雄だった。
正義感が人一倍強い彼は、父親が殉職した時一緒にいたゴリさんを臆病者だとののしる。だが、彼は父親が命令違反で拳銃密売組織のトラックの前に飛び出して死んだことを知らなかった。
そして自ら密売組織に乗り込んで危険にさらされた和夫の前に、臆病者だったはずのゴリさんが乗り込んで来て・・・。


「青少年を指導」する話が多いのは、大当たりした金八先生に対抗するものだったのかどうかは不明だが、404話『鍵のかかった引出し』406話『島刑事よ、さようなら』、そして今回も血気に走る若者をゴリさんが暖かく見守る話だ。411話『長さんが人を撃った』も、長さんと犯人の若者の心の交流が軸となっている。
今回のスコッチはロッキー、スニーカーと手を合わせて士気を高めたりと兄貴分になろうとしているのが見てとれるのだが、スコッチが取調室で犯人から聞いた情報を聞いたスニーカーは、意外にも「どこまで信用出来るのかな、その話」と半信半疑な表情だ。
スコッチに軽口を叩いているのは珍しいが、スコッチは自信あり気に「賭けるか」と自分のタバコを出す。
スニーカーのの勘の方が正しかったことが後で証明されるのだが、店から出て来たスコッチがタバコをスニーカーに投げてよこすという、声のない聞き込みのシーンで流す手法を使っている。ファンとしてはこういうところを細かく描いて欲しかったのなあ。

最後に援護射撃に登場して仁王立ちになるスコッチは、今回も助けに入ろうとしたスニーカーに「手を出すな!」と高飛車に命令した挙句、スニーカーの方に一瞥さえくれずに指で横を指す。そこには怪我をした和夫が座り込んでいるのだが、何も指差しだけで命令しなくても良いだろう。上司にしたくない刑事ナンバーワンかと思われるが、嫌な顔ひとつせずに言われた通りにするスニーカーは偉い。
冒頭ではスコッチは銀行強盗を大衆の面前で逮捕し、スニーカーに「ついてるなあ。刑事ならたまにああいうスカッとした場面に」とまで言わせているスコッチ。スニーカー、ごめんね。

和夫役の飯山弘章さんは刑事を目指す役ということで新人刑事を目指して張り切っているのかとも思ったが、動きが大きいのは東京キッドブラザーズの俳優さんだからでした。

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1.写真を見てすぐに十年前殉職した刑事だとわかるばかりではなく、岸本という名前まで思い出す響組幹部。すごい記憶力だ。

2.迫ってくるゴリさんの車にあれだけの人数で撃ちまくっても一発も当たらない。ここまではお約束だが、ゴリさんが車を降りて素手で向かって来るや否や、素手で向かって来る響組の面々。意外とフェアなヤクザたちだった。


第410話「捜査だけが人生じゃない」 1980年6月13日放送

拳銃殺人事件の容疑者・秋山は、一匹狼の殺し屋。四年前に城西署の刑事・谷岡を撃った犯人でもある。
今回の事件と同一犯人という線から谷岡が七曲署に派遣されてスニーカーと組むことになるが、スニーカーは谷岡には時折狙撃の後遺症で、ひどい頭痛の発作が出ることを知る。
犯人を逮捕するまで黙っておいてくれとスニーカーに頼む谷岡だが、悩んだ末にボスに全てを報告するスニーカー。そして、七曲署での捜査をはずされた谷岡はスニーカーに殴りかかる・・・。


苦虫を噛み潰したようなスニーカーの顔のアップが多い。
ふくれっ顔がカワイイと年上の女性には好評だったようだが、何でいつもそんなに不機嫌なんだとスコッチ・ファンとしては、やや気になる。スコッチといる時も、スニーカーはいつもつまらなそうなのだ。
スニーカーはドック刑事の参入でやや明るさが出るが、この頃の七曲署のメンバーは、今までになく暗い表情をしている。殿下の殉職が迫っているからだろうか。
竜雷太氏がTV番組で語っておられた話によれば、ゴリさんというキャラクターばかりが定着することに不満を感じたのでこの頃に殉職を申し出たが、既に小野寺昭氏が殉職を申し出て許可を得ていたので、もう少し頑張って番組を支えてくれと言われたという。
それで腹を決めた竜雷太氏は、その後「太陽にほえろ!」一本に仕事を絞って専念したというのだが、番組に欠かせないゴリさんと殿下が同時に番組を離れたいと思っていたことに、太陽が西の空にゆっくり沈んで行く様が見えるようだ。

スコッチの出番は少ないが、気になるのはラスト。
スニーカーがはしゃいで話しているのだが、スコッチは前に座っている山さんの肩に馴れ馴れしく両手をかけて、笑いながら何かこそこそと話をしている。冒頭の聞き込みでは、キャバレーの支配人らしき男に馴れ馴れしく肩に手をかけられて睨んでいたスコッチだが、先輩刑事には自ら肩に手をかけて、甘えているようにすらみえる仕草だ。
ああ気になる。一体何を話していたんだろう。

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1.すぐ後ろにピタリとくっついて追跡しておいて、「気づいたな、秋山」はないでしょう。
2.犯人逮捕の後で手錠をかけるのは、長々と語って去る谷岡刑事を見送ってから。確保は迅速にしましょう。


第411話「長さんが人を撃った」 1980年6月20日放送

郵便局にたてこもって放火・発砲した男・中山(氏家修)を咄嗟に撃った長さん。
彼には前科もあり、撃たなければ人質の命も危うかったと慰めるスニーカーをよそに、自分の腎臓を中山に移植するよう願い出た長さんは、辞職すら覚悟していた。
黙秘を決め込んで長さんを逆恨みする言葉を連ねる中山だが、長さんが腎臓を自分に提供しようとしていたことを知った彼は、病院を脱走して長さんを救いに向かう。
だが、既に中山の仲間の黒田(またあなたですか内田勝正)は、長さん自ら運転する現金輸送車を襲撃し・・・。


長さんとくれば人情モノだが、今回は銃撃戦やカー・アクションもこなして、いつもと違った面を見せてくれる。
なんとなーく不協和音が画面から感じられる七曲署にあって、安定した包容力で皆の心をまとめさせる長さんの主演回は、いつも変わらぬ山さんと共に、ほっとなごませるものがある。
「銃で撃ってもいい人間なんて、どこにもいないと信じてるんだ」という言葉も、殺伐とした事件が世間を騒がせる昨今において、しみじみと心にしみる。これこそが「太陽にほえろ!」の魅力ではないだろうか。

今回もスコッチの出番は少ないが、長さんとは素直にコンビを組んでいる。
長さんの「大きな音がしただろうな」のひと言だけで、外へ聞き込みに出るスコッチだが、これがスニーカーとのコンビだったら指をさして「スニーカー、外!」のひと言なんだろうなぁ。

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1.トラックを乗り捨てた男を追跡しているのかと思いきや、走って長さんの車に追いついたロッキー。さすがの上腕振り上げ走法だ。
2.転倒した車を飛び越えてトラックの運転席に自分の乗っている車を激突させる中山。こんな技術があれば、強盗や殺人よりいい仕事があったのではないだろうか。
3.でも、そのトラックも車も無人に見えるんですが・・・。


第412話「似顔絵」 1980年6月27日放送

独り暮らしのお年寄りが殺害されて現金を奪われる事件があり、犯行時刻に被害者の家の裏木戸の前に腰を下ろしていたとされる若者・寺岡(峰竜太)の目撃証言が期待される。だが、予想に反して寺岡は協力的でなく、彼の描いた似顔絵は捜査線上に浮かんで来た男とは似ても似つかなかった・・・。


言わずと知れたスコッチの主演作だが、私はこの作品が467話「スコッチ非情」と並んで、どうしても好きになれない。
上司をあんた呼ばわりしたり、容疑者に10往復ビンタをくらわせるのとは訳が違う不条理が存在する。
寺岡の似顔絵が容疑者と似ていないから起訴に持ち込めない。だからといって、何も彼が仕事を得ようとしている会社の編集長の前で実験する必要はないではないか。検事に診断書を提出してもらえば済むことで、これなら仕事先へ彼の目の病気は知られることはなく手術が出来るはずで、寺岡がここまで依怙地になる必要もなかったのではないか。
一応、言い訳はある。
医師が寺岡の緑内障は重症で、一刻も早く眼圧を下げて手術に備えなければならないと説明するシーンは出て来るし、張り込みから逃れた皆川は第三の犯行に向かっていることでスコッチの強硬すぎる捜査を正当化させてはいるが、こんなやり方をするのでは、スコッチがお茶の間に愛されないのではないかと、心配になってしまう。
確かに捜査は人の命がかかっているものだから、寺岡が仕事を得るかどうかとは比べものにならないことかも知れないが、それでもなお、他に方法はあったはずだという気持ちがぬぐえない。実験に協力した医師ですら「刑事さん、何もここでそんな・・」と、止めに入ろうとしている。いい人だ。
最後に寺岡は「自分が恥ずかしい」と反省しているのに対し、スコッチは手術が成功したときいても、別の事件の捜査に廻ると言うだけだ。

スニーカーがスコッチを見る目も気になる。
強引に寺岡から証言をとろうとするスコッチがスニーカーに指示を出すと、スニーカーは一応「はい」と答えながらも、目が批判的だ。
もっとも、このあたりのスニーカーは頭にすぐ血がのぼる単細胞キャラを与えられていて、ボスにも「わめくな、スニーカー」と言われてムスッとしている。うーん、これではスコッチ同様、スニーカーもお茶の間に愛されないではないか。
もっとも、スニーカーの場合は、単にまぶしそうな顔が不機嫌そうに見えるのかも知れない。エキストラをして初めて知ったことだが、光を集めるための銀板はかなり目にまぶしく、まともに目を開けていられないほどだった。ベテランはそのまぶしさの中でも難なく目が開けられるのかも知れないが、山下真司氏はほとんど新人だし、ひょっとしたら目が悪かったのは彼だったのかも知れない?!

さて、最近黄色いシャツを着始めたスコッチだが、男性が半袖のYシャツを着こなすのは難しいのに、さすがに決めている。
捜査会議でも以前なら発言もしなかったのに、今回は自説を唱えても「余計なことを気にしてすみません」と頭を下げる素直さを見せている。
そして、恐怖で座り込んだお年寄りを抱きかかえて立たせ、座り込んでサンダルを目の前にそろえてあげる優しさ、そのあたりが救いだ。

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1.いつもながら「いや、それにしてもちょっと・・」と話の途中で部屋に入って来る山さん。ドアの外に席があるんでしょうか?
2.いくら石原軍団だからといって、峰さんの「太陽にほえろ!」は出演が多すぎません?


第413話「エーデルワイス」 1980年7月4日放送

車が海へ飛び込み、運転していた男・岩田(平泉征)は無事だったが、妻は死亡。
岩田は海へ飛び込む直前からの記憶がないと主張するが、事故は未必か、故意か。
刑法三十九条「心神喪失者の行為は、これを罰せず」が捜査の焦点となる。


いよいよ来週は殿下殉職ということもあり、夫婦の愛情についてをテーマにしながらも、あちこちにその伏線が張られている。だから殿下をずっと見守っていた山さんが、彼に夫婦の愛について教えているのが涙を誘う。
妻の亡骸にしがみついて泣いた岩田を見た殿下は、岩田の妻に対する愛情を信じたいと主張するが、山さんに
「愛しているからこそ殺すということもある。人の心ってものは、一部を理解することは出来ても、決して全部をつかむことは出来ない」
と言われて
「やっぱり甘いんだな俺は。つい信じたい気持ちが先に立って」
と反省する。だが、山さんは
「殿下、お前さんはそれでいいんだよ」と優しく微笑み、
「徹底的に疑るのは難しいが、徹底的に信じることも決して易しくない。右から行こうが左から行こうが、答えはひとつだ」と諭すのだ。
現実の世界で、こんな言葉をかけてくれる上司がいるだろうか。
最後に岩田が「誰にもわからないはずのことが解ってもらえることがあるんですね」と言い、殿下が
「それが我々の仕事なんです。そうですね、山さん」と笑うシーンがあるが、これこそが「太陽にほえろ!」の仕事だったのだな、と改めて思う。
現実には人は『自分の理解者不足』に悩むのだが、TVの中で七曲署のメンバーが視聴者に微笑みかける。解ってあげられる人がいるんだよ、と。

残念ながら無理して涙を出そうとしている(ようにしか見えない)岩田に比べて、山さんが妻の亡骸に対面した時の涙は、何と素晴らしいのだろう。
露口茂氏の名演が光ってまぶしい位だが、我らがスコッチも、今回はいい表情をしている。
岩田の無実を信じたい面々の前に、スコッチは「夢は終りました」と不渡手形を差し出すのだが、それでも追いつめられた岩田に
「否定しないということは、認めたことになる。それでいいのか、岩田」
と、優しく問いかける。優しく、だ。その顔にはちゃんと『早く真実を言って欲しい』と描いてある。簡単なようだが、台詞にしないで表情に出すのは難しいはずだ。
また、「ひとつだけわからないことがあってな」と取調室に入る山さんを見送るスコッチの表情も、きちんと山さんへの信頼を語っている。
脅迫者からの呼び出しで出かけた岩田を車で追跡する時に、無線で「ボス」とだけ言うシーンがあるが、これもたった一言の呼びかけで、「あいつ、怪しいです。出かけましたよ」という感じを出している。すごい。
久米島以来初めて「青春のテーマ」に乗って全力疾走するスコッチが観られるのも嬉しい。だが・・・

1981年4月11日、あの交通事故は起きた。朝、その事故を新聞記事を知った瞬間に思い出したのは、この『エーデルワイス』の話だった。

「11日午前9時45分ごろ、神奈川県足柄上郡山北町の東名高速道路下り線で、タレント沖雅也さん(28)=本名日景城児、東京・杉並区○○○・・・(住所)の運転するキャディラックがハンドルを取られ、だ行しながらコンクリート側壁にぶつかり走行車線にストップした。
沖さんは病院で手当てを受けたが軽いけが。神奈川県警東名交通警察隊の調べだと、沖さんが高速百キロ以上のスピードを出し、カーブを曲がり切れなかったという。
沖さんは日本テレビ「太陽にほえろ!」の滝刑事で活躍中。この日は午前中、仕事が休みで一人でドライブしていた」(新聞記事より)

テレビで「トンネルを抜けてからの記憶がぽーんと飛んじゃってる」と説明していた沖さんだが、自分が出演したドラマの話を忘れるはずはない。
その時私は『沖さんは事故に見せかけて死のうとしていたのでないか』という恐ろしい想像に全身を震わせた。
勿論、予知していたなどということではない。ただ、私はずっと沖さんが死んじゃったらどうしようと、いつも思っていたような気がする。「相手のために自分の命を捨てること、それよりも大きい愛はない」などとよく言われるし聖書にもそう書いてあるが、私にとって沖さんのために命を捨てることは簡単なことだった。苦しいのは、そう出来ない環境にある自分だ。そして沖さんの亡くなられた後は、沖さんの名誉のために生き続けなくてはならない自分が辛かった。
沖さん自身がこの世からいなくなってしまうことを、私は極端に恐れていた。沖さんがいない地球に立っている自信などあるわけがない。だから、事故の記事を見た時に、恐怖で全身の震えが止まらなくなったのを覚えている。
沖さんは事務所のため、家族のため、そしてファンのために「沖雅也」という名前を傷つけないように事故を装って死のうとしたのではないだろうかという私のささやかな疑問には、もう誰も答えてはくれない。
『エーデルワイス』の中で事故が起こったのは1980年6月29日。この三年と一日後、沖さんは事故にみせかけることなく故人となった。

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1.あの電話の訛りは、あまりにもわざとらしくないかい?直後のスコッチの「訛りのある男」という台詞が笑えます。
2.わ、山さんたら病院の廊下で喫煙。この頃はこんなことが許されたのか?


第414話「島刑事よ、永遠に」 1980年7月11日放送

いよいよ11日にアメリカで脚の手術をした殿下の恋人が帰国することになった。
沸き立つ七曲署だが、「矢追町に爆弾をしかけた」という一本の電話で事態は一変する。
当初は愉快犯かと思われた爆弾事件だったが、亡くなった被害者の一人が黒姫興業の密輸を調べていたルポライターだったことから、計画殺人の疑いがもたれる。
黒姫興業の線から爆弾製造犯人が沼田という男だと突き止めた殿下は、逃亡寸前に沼田を発見。だが、沼田はもうひとつ爆弾を抱えており、逆に殿下を脅してマンションの屋上に爆弾と共に閉じ込めてしまう。


今更解説するまでもない、「太陽にほえろ!」において一、二を争う悲劇。島刑事の殉職回だ。
帰国する恋人を迎えに行く当日に交通事故死をするという悲劇は勿論だが、殿下の殉職は「太陽にほえろ!」という番組にとっても大きな悲劇だったと言うしかない。
殉職して番組を離れるのは小野寺氏ご本人の希望だったと聞くが、殿下一人が欠けたことで、ここまで「太陽にほえろ!」が変わってしまうのかと、翌週の放送を観て愕然とした記憶がある。後任が軽いタッチを売り物にするドック刑事だったからかも知れないが、面々と伝えられてきたオーソドックスでどこか家庭的な刑事ドラマは、時代に合わせようとして方向性を変えはじめるのだ。
それはスコッチ刑事のキャラクターにも影響したし、沖さんがこの後どんどん具合が悪くなって行くのを観た者としては、殿下の殉職が俳優・沖雅也の転機であるとさえ今では思えるのだ。

殿下の心根の優しさに触れて悔恨の涙を流す青年を見て、嬉しそうにスコッチに微笑みかける殿下。微笑み返すスコッチ。
だが、こんなスコッチの苦しそうな笑顔を、私は初めて観た。それはどこかぎこちなく、今まで沖雅也が演じていたどの「笑顔」とも違う。
1984年の再放送でこの回を観た時は、私はまだ狂乱の最中にあった。殿下の死に涙するスコッチに、「ほら、わかってるじゃない!遺された者が悲しむのを知ってるじゃない!」と画面に向かって叫んでいた。
だが、苦しむ沖さんをわかっていなかったのは、そう叫んだ当の私の方だった・・・。

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沼田と目が合うと、どうしても名前を叫んでしまう殿下。だから逃げようとするんだってば。


第415話「ドクター刑事登場」 1980年7月18日放送

本庁捜査一課から希望して七曲署に転勤してきた西条昭刑事は、たまたま通りかかった交番で、腹を撃たれて息も絶え絶えの男・常田に遭遇する。まもなく常田は死亡し、死因は他殺と判明した。
その後、城南大学で職員の給与3800万円が二人組の若い男に強奪される。犯人が使用した拳銃は、常田が売買していたブローニング銃だった。
新入刑事・ドックとともに七曲署の捜査が始まる。


始まりこそボスが辞職願いを提出し、殉職して行った刑事たちの姿が流れるが、ドクター刑事の参入によってギャグの嵐とテンポの速い会話が始まる。
七曲署の生真面目すぎる面に新風を吹き込ませようという意図があるのはわかるが、ずっと「太陽にほえろ!」を観てきたファンには、当初は戸惑いがあったことだろう。
ロッキーがアルプス、スニーカーがスパイク、ゴリさんはゴロー、スコッチはバーボンとドックのギャグが炸裂するが、先週殿下の死に涙した身には、寂しい気持ちが残る。唯一の救いはスコッチやスニーカーが今までにない明るい表情を見せるところか。
スコッチが犬嫌いを告白する回。

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どうして七曲署の面々は、容疑が固まってもいない者の名前をいつも呼び捨てにするのだろう。


第416話「ゴリさんが殺人犯?」 1980年7月25日放送

ゴリさん行きつけの居酒屋のママ・尾沢明子が何者かに撲殺される。
長さんとスニーカーが彼女の部屋に入ると、そこには額に入れて飾られたゴリさんの写真と、ゴリさんを受取人にした三千万円の生命保険証書があった。
真犯人は何故ゴリさんを犯人に仕立てようとしたのか?怨恨か、それとも別の理由か。
ゴリさんの汚名を晴らすため、七曲署の捜査が始まる。


ゴリさんに当夜のアリバイを尋ねたり、ゴリさんのYシャツが証拠品として出て来たことを重視するスコッチ。
自分を疑うのかと食ってかかるゴリさんに、「ゴリさんが犯人だなんて言ってませんよ」とさらりと言ってのけるスコッチは、ゴリさんに大きな信頼を置いているのがわかる。
半袖シャツが続くスコッチだが、古式ゆかしい国際放映のスタジオでも「太陽にほえろ!」だけは石原裕次郎氏のために簡易冷暖房が設置されていたので、沖さんに「俺たちは天使だ!」の時のような汗はない。ただし、いつも背筋を伸ばして颯爽としていたスコッチが、この回はちょっと猫背。夏バテだろうか。

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1.お約束のカーチェイス。ペンキを積んだバイクと道端に盛られたスイカはあまりにも来る来る感を誘う。
スイカ屋さんに至っては、車がまだそちらに向かってもいないのに焦っている。
2.「こちらスコッチ」。自分でニックネームを呼ぶとは、よっぽど気に入ってたのね。


第417話「ボスの誕生日」 1980年8月1日放送

ボスの誕生日プレゼントを買いに行ったナーコが何者かに誘拐され、七曲署に三千万円の身代金が要求される。
だが、犯人の真の狙いはは金ではなく、怨恨からだった。犯人が「あいつ」と呼んで復讐を誓ったのはどの刑事か。メンバーたちの捜査が始まる。


冒頭から、メンバーの関係が面白く描かれたシーンが展開される。
ボスの誕生日のプレゼントを買うためにお金を集めるナーコだが、まず山さんが4千円を渡す。続いて長さんが三千円。
ここでゴリさんがスコッチに「オレたちはどの位?」と尋ね、スコッチが「これぐらいでしょう」と指三本を立てる。
続いて実年齢は沖さんより年上の若手三人組。小銭をジャラジャラと数え始めるロッキーと出しそうで出さないスニーカーの間で、医者の息子のボンボンであるドックが一括して6千円を出している。つまり、一人二千円勘定だ。
そこにナーコが自分の千円を足して合計2万円。これでナーコはネクタイを買うのだが、いつもネクタイと共布のチーフや裏地を誂え、高級品を身につけているボスには、これでも足りないかも知れない。
それはともかく、ここにいるスコッチはもう一匹狼ではない。お金を渡す時に「スコッチだけど」とダジャレを言ってナーコに「フフッ」と鼻で笑われる、どこにでもいる刑事だ。スコッチ登場時に、冷たすぎるという投書が多かったことから、今回はソフトな面を強調したというスコッチのキャラクターだが、そろそろ体調が崩れ始め、シーンごとに顔が微妙に違う沖さんには、この明るいキャラクターはかえって演じにくかったかも知れない。
だが次回は、そのスコッチの「暗」の面が強調された『ルポライター』。こちらの方がスコッチらしいと思うのは、私だけだろうか。

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1.「ヨットのプラモデルなんていいじゃない」は伏線?
2.山さんの回想シーンは有名人だらけ。
3.ボスの胸に飛び込むナーコ。スニーカーの方が近くないか?


第418話「ルポライター」 1980年8月8日放送

出版社に東郷建設をめぐる談合についての告発書が匿名で届けられた。
汚職の事件が明るみに出る度に死者が出ることに危惧を抱いた出版社が七曲署に報告し、スコッチたちは捜査に乗り出す。だが、事件の中心人物とみられる東郷建設の岩田剛造に脅威を抱いた各建設会社は、決して口を割ろうとはしない。
そんな中、東郷建設の奥座敷と言われるクラブ「ちせん」に乗り込もうとしたスコッチは、タクシーの扉が開いても疲れきった表情で眠り続けるホステス・山崎博子をみつける。
彼女がルポライターとにらんで捜査を続ける七曲署だが、その矢先に彼女が不審な死を遂げる。自殺か他殺か。土木省側の情報提供者は誰か。スコッチの厳しい捜査が続く。

建設会社を巡る談合事件を扱っていて、現在も(2006年4月)通用するタイムリーな話だ。
命を賭けてルポを書く女と、命を賭けて悪に対峙する刑事の会話が、「太陽にほえろ!」には珍しく大人の雰囲気。
山崎博子をじっとみつめるスコッチに、博子が誰かに似ているのかと尋ねるシーン。

スコッチ「似てます、何となく」
博子「どなたかしら。奥様?それとも昔の恋人?」
スコッチ「ある場合のオレにね」
博子「あなたに?」
スコッチ「そう、疲れきってへとへとなのに、必死に何かを貫こうとしている。もしかすると命がけで」

こんな粋な男女の会話が繰り広げられ、スコッチの顔が博子に異常接近(!)して行くところで、ドックの「先輩、お先に!」という声が響き、雰囲気がぶち壊しになる。

この回はスニーカーとのコンビが絶妙になり、ドックとも和むシーンが織り込まれているのが特徴。
博子をルポライターとにらんで張り込みを続けていると、窓に現れた博子が倒れるのが見える。車から飛び出たスコッチが「スニーカー!」と叫ぶと、同時に飛び出た「鍵でしょ!」と走り出す。いいじゃないの。スニーカーもやっとスコッチのやり方がわかって来たようだ。
『鍵のかかった引出し」ではスコッチの他殺説に異議を唱えたスニーカーだが、博子が死んだ時は「他殺じゃないでしょうか」と、スコッチの説に同調しているし、証拠のイヤリングを探す時も、目が「滝さん、尊敬しています」と言っている(と勝手に信じる)。
ルポの第二部が出版社に届いたという知らせを聞いたスニーカーが興奮して大声で話すと、スコッチが「静かにしろ」というシーンも、息が合って来た雰囲気だ。
ドックはスコッチの他殺説に異議を唱えるが、スコッチの説が正しいと知るとスコッチに協力を始める。運転席側に回ろうとするスコッチをさえぎって「運転します」というところなど、やっと後輩としての自覚が出て来た様子だ。
「滝さん、あんたも相当ね」と、あんたよばわりなのが多少気になるが、顔を見合わせて笑いあっているし、「運転中は前を見て」という「俺たちは天使だ!」を彷彿とさせる台詞も出て来る。

「ルポは彼女の夢だ。だが、あと僅かしか生きられない彼女にとっては、命を賭けて男を愛することも、最後の夢だったんだ」
という、薄幸の女性に対するスコッチの優しさが光る一作。

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1.響組に乗り込んだスコッチだが、最初に腕を振り上げて棚から落とした置物は、何も落とさなくてもいいものだったんじゃないでしょうか。
2.山さんったら「その通りかも知れん」と入って来るなんて、またもやドアの外から紙コップをあてて盗み聞きでしょうか。


第419話「禁じられた怒り」 1980年8月15日放送

ドックの大学時代のボランティア仲間で、今は養護施設の保母をする坂上ミツコ(水原ゆう紀)が何者かに殺された。
正義に燃えていたはずの彼女は、現在はコンパニオンをして施設の資金を稼いでおり、更に恐喝のようなことをして稼いでいたことも判明する。
彼女は刑事であるドックと会っていたことで口封じをされたのか?傷つくドックのために七曲署のメンバーの徹底調査が始まる。


終戦記念日の放送なので、撮影は7月頃か。
刑事も容疑者も証人も玉のような汗が吹き出ていて、観ている方も暑くなる。まるで「俺たちは天使だ!」だ。
ドックの主演回なのでスコッチの見せ場には期待していなかったが、自分のせいでミツコが死んだのではないかと悩むドックに、他の可能性を示してポンと両肩をたたく仕草は、スコッチが立派な社会人として先輩ヅラが出来る刑事になったことを示しているようで嬉しい。
容疑者がスコッチとロッキーに挟まれ、ロッキーが手錠をかけると
「お前の方が怖かったんだ、なあ」と冗談を言ったりもする。そう、復帰後のスコッチは冗談が多い。ソフトな面を強調するということだったが、少し硬派の前期スコッチが懐かしくなったりもする。
それから、スコッチ以外のシーンで『スコッチ刑事のテーマ』が使われていると、何故か頭に来る。今回はドックがゴリさんに証拠の品を渡すシーンで流れるが、他の刑事のテーマはあちこちで使われても違和感がないのに、『スコッチ刑事のテーマ』だけは、何故か特別な感じがする。
あのイントロから登場するのは、あくまでスコッチただ一人なのだ!
今回は意外にもツッコミどころが満載。

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1.殺されたミツコを見た長さんの最初の一言「美人だなあ」がなかなか。長さんといえども、美人には弱いのね。
2.後から来たスニーカーの言い訳「すいません、こそ泥おっかけてたもんで遅れました」も何故かツボ。
3.ボスが「銀行に坂上ミツコの預金をおろしに来た奴がいある」と言っただけで「行って来ます」と飛び出すスコッチ。どの銀行のどの支店か聞かなくていいのか?
4.殺人までして盗んだ預金通帳は、フツー燃やすかシュレッダーにかけないか?ドブに捨ててどうする。
5.ドックよ、署まで来てもらわないと容疑者の顔写真のコピーは見せられなかったのか?他の刑事は携帯してたぞ。
6.取調室に入ったスコッチは、何故自分で言わないで山さんに耳打ちしたのか?そんなおとなしい人だったっけ?
7.二階から飛び降りたドック、一度バウンドしてない?トランポリンが置いてあったのね。


第420話「あなたは早瀬婦警を妻としますか」 1980年8月22日放送

ロッキーと早瀬婦警の結婚を待ちわびる七曲署だが、押し入り強盗事件が起きた。たかが三十万円の被害と思われた事件だったが、実は犯人の目的は東南アジアから密輸入した拳銃だった。拳銃の行方は?そして犯人の本当の目的は?

七曲署初の「結婚」に湧くメンバーの中で、スコッチも嬉しそうに「仲人は長さんしかいませんねえ」などと言っている。しかもこの台詞、事件が解決した後にも言っているのだ。よほど結婚式に出たかったと見える。
スニーカーに至ってはフランス料理のフルコースを食べる夢まで見ているのだから、どれだけこの一係に結婚がなかったかがうかがえる。
皆の興奮をよそに、ちょっと戸惑い気味のロッキー。それもそのはずだ。
長さんは「人間の生死は神のみぞ知る」などと説得するが、あまりにも高すぎる七曲署の殉職率。事実、ロッキーも妻と子を残して逝くこととなる・・・。

長さんと組んで取調べをするスコッチは、いつになくリラックスムードだ。
容疑者に声を荒立てるが、それも長さんと仕組んだ芝居で、焦って告白する男の頭を張り倒して「単純だな、お前って男は」などと言うスコッチは、中堅としての落ち着きを感じさせる。いまだにメンバーの中では最年少の沖さんなのだが、与えられているのはベテランの枠のようだった。
そして今日もスコッチが堂々と飲んでいるのは麦茶。紅茶はどうした、スコッチ!

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1.犯人役の深水三章さんは、「スコッチ市民を撃つ」で再登場。意外と早くシャバに復帰している。
2.犯人は出発予定日の紙を部屋に残して高飛び。好都合だったねえ。


第421話「ドックとスニーカー」 1980年8月29日放送

銀行に強盗が入り八千万が奪われる事件が発生したが、犯人の一人は改造銃の暴発で負傷する。
医者を探していた一味の女は、街で「ドック」と呼ばれる男を発見、一緒にいた眼科の五代先生(スニーカー)と共にアジトへと招き入れる。
怪我人の生命を優先して手出しをしないドックと、隙をみては逮捕を試みるスニーカー。
実家の医院に忍び込んで医療器具を盗み出し、そこに手がかりを残したドックだが、メンバーにこのサインは届くのか?!

しょっぱなから堂々と麦茶を飲むスコッチ。
こう暑くては紅茶どころではないのか、それとも最初から紅茶好きはポーズだったのか、あるいは分不相応なマンションの賃貸料のため、自腹で紅茶を購入できないほど困窮していたのか。
スニーカーとドックという若手を対照的に描くことによって、より二人のキャラクターを鮮明にしようと試みているのだが、実際には二人とも不機嫌な印象が際立ってしまった。
ドックは怪我人の治療を優先させている人情派の割には目が据わっているし、スニーカーはドックのやり方に腹を立ててむくれているように見える。オフの日もたびたび一緒に「ガールハント」(死語?)に出かけている二人なので仲が良い設定なのだろうが、私には何だかそう見えないのは、スコッチを仲間はずれにしているからか?!
いずれにせよ、『殿下とスコッチ』のように二人のキャラクターが引き立つことはなかった。
ドックもスニーカーも等身大の若者としてキャラクター設定がなされているので、スニーカーが検問で窓ガラスを蹴破って飛び出したり、ドックが時間通りに戻らないなんていうことは起こらない。
むしろスニーカーが冷静で、咄嗟に医師になりすましてボスに電話、「頭痛」というキーワードで頭文字をつないでアパートの名前を示唆している。
もちろんこの謎を解いたのは我らがスコッチだ。

このあたりから、なぜか沖さんが文と文の間を必要以上に切って話すようになる。

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1.ゲストの森大河さんは、ほんの数ヶ月前に久米島で逮捕されたはず。
2.共犯役の河津佐衛子さんは、第233話『狙撃』で、同じく森大河さんと留学生役で登場していて女性と同一人物?
3.スニーカーが眼科医という設定は、犯人たちのみならず七曲署ですら無理があると思ってしまう。かわいそうなスニーカー。
4.いつも「はい一係」といつも電話に出るボスが「もしもし」とだけ言うのは気になる。先にスニーカーから電話があったから、警戒してのことなんだとは分かってるけどね。


第422話「令子、俺を思い出せ!!」 1980年9月5日放送

結婚の記念写真を撮りに行ったロッキーと令子は、ヘロイン中毒患者が銃を持って喫茶店に立てこもった現場に遭遇する。
犯人は無事逮捕されたが、同じ俗悪品のヘロインの中毒症状でショック死をしたり、中毒症状で暴れる者が続出し、売人と卸元の特定が急がれた。
スコッチが早々と売人を割り出し、その写真を見ていた令子は、駐車違反の車の中に、そっくりの男・高岡(沖田駿一)を発見する。
慌てて逃げた車を追って逆に襲われた令子は、一時的に記憶喪失となって・・・。

今回は短いショットの中で見せ場を生かすスコッチが嬉しい。
まずは車のドアの飛び越え、そして鮮やかな蹴り(二度)、「ロッキー!」と叫んで指差し命令(二度)。
相変わらずスピーディーにヘロインの売人を特定したスコッチだが、すでに七曲署の中堅刑事として落ち着きを見せているスコッチは以前のように単独捜査に走らず、すぐに電話でボスに連絡している。大人になったなのね、スコッチ。
今回何と言っても目につくのは、一係と交通課の親善旅行。
何ゆえ一係のみと交通課が旅行するのだ。まるで合コンだ・・・・と思っていたら、長さんもちゃっかり写真に納まっているではないか。
『刑事の娘が嫁ぐとき』では久々の家族旅行ですらキャンセルして仕事に駆けつけた長さんが、交通課のお姉ちゃんに混じって嬉しそうに鼻の下を伸ばしているとはオドロキだ。(鼻の下は元々長いという噂あり)
スコッチが親善旅行に参加しているのもオドロキだが、ボスと山さんだけが署に残っていたという事実に、真面目に各事件の行方を案じていた視聴者はさぞ驚いただろう。上司を残して若手が全員親善旅行に参加してどうする!
沖雅也ファンとしては、写真の中のスコッチとナーコの接近度が、令子の記憶喪失より気になる回。

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1.令子のパトカーはすごい煙。オイル交換を怠ったのか?
2.倒れた令子はパンチラ。スローモーションになっているのはわざと?
3.証拠品のナイフを素手で握りまわすスコッチ。いつからそんな刑事に?!
4.あまりに警備が手薄な矢追警察病院。一体何人忍び込ませるんだ?



第423話「心優しき戦士たち」 1980年9月12日放送

休暇をとって法事に行く途中だった長さんは、ひき逃げ事件のニュースを観て急いで署へとって返す。
参考人のアリバイを調査するため、芸能プロダクションのマネージャー・森田(頭師孝雄)に話を聞きに行くと、売り出し中のアイドル・堀川陽子(池田信子)が少年二人に誘拐された直後だった。
誘拐の目的は何か。ひき逃げ事件との関連は。
ひき逃げ事件はライターの村上(西田健)が自首したことで一件落着するが・・・。

今回は長さんが主役で、またもスコッチの出番は少ないが、その分アクションで魅せる。
ハードルの選手になってもオリンピックを目指せたのではないかと思うような連続跳躍は何度観ても爽快。しかも、皮のショート・ブーツで新宿のロータリーでの跳躍。その場でたまたまバスを待っていて目撃した人が羨ましい。
放送が9月になったこともあってか、スコッチのYシャツが長袖に戻っている。細かいオシャレだ。なぜかドックとスニーカーは8月にジャンパー姿で、9月になってから半袖だ。
芸能界の裏が物語のキーワードになっているので、苗字に「ちゃん」をつけて呼ぶ人物が登場するのだが、これは私がエキストラをしていてとても奇異に感じた芸能界独特の言葉だ。大の大人を「ちゃん」づけで呼ぶのは変だし、しかも苗字につけるのだから、一般人には違和感がある。
だが、沖さんもこの業界用語を使っていた。
沖さんがテレビデビューした頃からエキストラを本業とするNさんは沖さんと顔見知りだが、明らかに40歳を過ぎていると思われるNさんを、沖さんは私の目の前で「Nちゃん」と呼んだ。 沖さん自身も多くの人から「沖ちゃん」と呼ばれていた。
1982年、周りからどう呼ばれているのかと対談番組で質問された沖さんは「沖マサですね」と答えていたが、そんな呼び方をされているのを、少なくとも前期スコッチの頃には耳にしたことはなかった。
誰だ、そんな日本酒みたいな名前をつけたのは?!
裏番組の「○年○組○八先生」の高視聴率を意識してか、青少年を扱った内容が多くなるこの頃だが、長さんもいつになく熱血刑事として少年たちと向かい合う。ただし、ちょっぴり空回りしている感じがするのは、太陽らしくない、しかも長さんらしくない感じからだろうか。

最後にアイドルの歌が流れるテレビのボリュームを上げるスコッチだが、楽しそうにリズムをとるシーンとは裏腹に、目が腫れていて笑顔が冴えないのが印象的。

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1.いくらスポンサーだからって「グリ○牛乳」をあんなに大写しにしなくっても。
2.長さんに発見されて「仕度をしなさい」と言われた陽子は、長さんの奥さんのドレッサーで優雅に髪をとかし始めた。誘拐されてたんだから、早くしようよ。
3.「大事な生放送の特番」と言って穴を開けることを心配していたマネージャーだが、放送されたのは夕方の情報番組にしか見えないチープな背景なんですけど・・・。


第424話「拳銃を追え!」1980年9月19日放送

密売された拳銃を所持していた男をつかまえたスコッチだが、山さんの聞き込み捜査の結果、同じ拳銃があと三丁も町に出回っていることが判明。
ひとつは彼女を取られた男が復讐のために購入していたことがわかって未然に逮捕出来たが、もうひとつは売り出し中の俳優が購入していた疑いがあるものの証拠がない。
そして、もうひとつの拳銃で殺人事件が発生した。
犯人はまだ少年。だが、スコッチは「だが人は殺せる」と言い放ち、横浜に逃げた彼を徹底的に追いつめる。
タレコミ屋の情報だけを頼りに、横浜で張り込みを続けるスコッチ。果たして犯人は現れるのか。


←今回の横浜ロケ。下は『ハマっ子刑事の心意気』でゲスト出演した時の浜崎署。どうやら別の所轄?

復帰後のスコッチ主演第七作。主演作もあと七作。
スコッチの復帰で「三年B組金八先生」に流れた視聴率を回復しようと企んだ制作側だが、島刑事殉職後は視聴率が伸び悩んでいた。
そんな中でドック刑事が投入されたのは、硬派な刑事ドラマから若者にも受けるドラマ作りを目指した結果なのだろうか。
ドック刑事はひたすらダジャレを連発するが、神田正輝氏には「俺たちは天使だ!」の時のような軽快さが消えていた。ジュンちゃんが皆に可愛がられる後輩という設定だったのに対し、ドック刑事はスニーカーやロッキーの先輩格としてエラソーに接するからかも知れないし、俺天を見慣れてしまっている沖ファンとしては「カワイくないんだから」とスコッチに対して言ったりするところが逆にカワイくないのかも知れない。
スコッチにもその明るさが要求されたのは、『孤高の男』というキャラクターにプラスに働いたとは、私には思えない。
プロデューサーが「俺たちは天使だ!」と同じだったから、キャップと似た部分を出すことで新味を出そうと試みたのかも知れないが、スコッチはスコッチの良さがあるのは勿論のこと、残念ながら沖さんの状態は俺天の頃と同じではなかったようだ。同じ表情をしても、やや吊り上り気味の目が空しく映る。
その時はお病気でお気の毒というより、どうしたんだ、しっかりしろという気持ちがあり、変わって行く沖さんに戸惑いを覚えるばかりだったというのが正直なところで、この回では登場時には既に目がむくんでいることに気がついても、お仕事が忙しくて寝不足なのかなあなどと単純に思っていた。

泣き崩れる被疑者の母親には厳しい態度で接するスコッチだが、年をとったタレコミ屋たちには「ありがとう、風邪ひくな」「酒はほどほどにした方がいいよ」などと、優しい目を向けるスコッチ。こちらは正統派「太陽にほえろ!」の刑事としての人間味だと思う。
アクション・シーンも、横浜ということで「大追跡」ばりに用意されている。
残念なのは逃げる役の俳優さんが意外にも健脚で身のこなしが軽いので、スコッチのアクションがいつものように軽快に見えないのだが、彼は逮捕された時に大げさにみっともない表情を作ってくれているから、許すことにする(笑)。
差し入れを中華まんやシュウマイにしたり、海のシーンを増やしたりして横浜らしさを出そうとしているが、食べ物にうるさい視聴者としては、包装紙が変だなあとかスポンサーの製品だなあとか余計なことに目が行ってしまったりする。それでもさすがは主演作なので、靴を脱いだまま高所から飛び降りる技を見せたり、梨をかじる仕草がハードボイルドだったりして、見せ場は多い。

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1.「こいつの腕だったら5メートルまで近づいても当たらない」と言うスコッチだが、どう見ても5メートル以内に近づいている。犯人の腕が悪すぎ。
2.犯人を逮捕したら、立たせて肩を抱いて歩くのではなく、手錠をかけないと危ないと思います。脱いだブーツも探さなくちゃいけないんだから。
3.一係の部屋に入ろうとしてふと振り向くスコッチだが、どう見ても振り向いた後で角を曲がって姿を現している山さんご一行。
足音で誰だかわかるのは、さすがはスコッチ。(『スコッチよ 静かに眠れ』参照)
4.今日も山さんは「いや、どうやら・・・」と、話の続きにドアを開けてからすぐに加わる。ドアの外で耳をすまして聞いていて、ここぞという時に飛び込む癖は抜けない?!


第425話「愛の詩 −島刑事に捧ぐ」1980年9月26日放送

ひょっこり一係の部屋へ島刑事を訪ねて来た少女・野口ユミ(星野真弓)。
島刑事の死を知らされて動揺したユミをゴリさんが家まで送るのだが、送り届けた瞬間、部屋からユミの悲鳴が聞こえる。
飛び込んだゴリさんは、シルバーのブレスレットをした若い男がユミにつかみかかっているのを目撃したが、男は窓から逃走。追おうとするゴリさんに、何故かユミがしがみつく。
ユミは補導歴八回の少年課常連で、ゴリさんが街で偶然みかけた彼女は、一係を訪れた時とは別人のような不良ぶりだった。
そんな折、日舞の会場で拳銃強盗事件が発生。犯人はシルバーのブレスレットをした若い男だった。
ユミはどうやらその男・三郎(三景啓司)と共犯で、元の狙いは島刑事の拳銃だったらしい。
彼女の心に殿下はいるのかと悩みながら、ユミに手を差し出すゴリさんだが・・・。

視聴率が伸び悩んだ「太陽にほえろ!」が殿下人気でつないだシリーズは、『島刑事よ、安らかに』(402回)『島刑事よ、さようなら』(406回)『島刑事よ、永遠に』(414回 殉職)だけでは飽き足らず、この回までタイトルで視聴者を引っ張る。
冒頭から殿下の事故のシーンを流して太陽ファンの胸を痛めさせ、婚約者の三好恵子(香野百合子)に殿下の魅力を語らせる。
だが、この回はゴリさんの朴訥で優しいキャラクターが際立つ回でもある。
私は紛れもなく沖雅也という人のファンだが、「太陽にほえろ!」で一番好きな刑事はと問われれば、迷いなくゴリさんを挙げる。それは、この回で決定的になったのだ。
この回は放映された頃、いや、子供の頃から私は、どんなに反発しても逃げても追って来てくれる人を求めて反抗を続けていたような気がする。
悪いことも沢山したし、親や教師に逆らった態度をとったりもした。だが、誰も追って来てくれることもないまま、私はただ都会の人の波に投げ出されていた。
私の唯一の心の支えであった沖さんは、冒頭の登場からむくんだ顔でまばたきを続けている。
それを私は単に“変わってしまった沖さん”とだけ感じ、いつもは画面から飛び出て来るようなオーラが感じられないのは、私も沖さんも変わってしまったためだと信じていた。ファンとして心が少し離れた時期と言っても良いかも知れない。だからこそ今回観直した時、スコッチの台詞が耳に残ってならなかった。

「ねえ、ゴリさん。島さんが彼女の心の中に遺して行ったものを、俺だって信じたいですよ」

沖さんの体調が崩れて行くのを不安と心配、そしていくばくかの失望をもって「太陽にほえろ!」を観ていたあの頃だったが、それも含めて私はやはり沖さんに支えられていたのだと思う。逃げても逃げても追って来てくれる人を求める代わりに、私がどこまでも追う決心をしただけのことだ。

スコッチの出番は少ないが、殿下を通して一係の結束が見えて嬉しい回ではある。
殿下と面識がないドックは「島刑事っていう人も随分・・」などと否定的な意見を述べようとするが、ゴリさんの「殿下のことはもう言うな」の一言が胸に刺さるし、山さんが女心をゴリさんに解説しているシーンは、山さんはさすがの考察力と女性経験!とうならせてもらえる。
唯一残念なのは、男性でブレスレットをしているのは珍しいという話になった時、スコッチが自分の手首を見せるが、誰もそれに対して突っ込まないことだ。
ユミ役の星野真弓さんは化粧品のキャンペーン・ガールの印象が強いが、不良娘をカワイく演じていて、アロハシャツにオーバーオール、ピンヒールのサンダルというファッションが印象的。
犯人役の三景啓司さんが沖さんとの共演が多いのは、沖さんの事務所に所属していたからであり、パリに同行していた時期もある。沖さんが亡くなった後、「日景忠男が沖雅也似の美男子と養子縁組」と報じられたのは、この三景さんのこと(のちに解消)。似てないと思うんですけど。

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1.お昼を食べようとしてユミをみつけたゴリさんは、新宿から浜松町近辺(羽田行きのモノレールが見える)まで彼女を追跡。そんなに七曲署はヒマなんでしょうか。
2.島刑事の悪口を言われてカッとして立ち上がるゴリさんだが、ぶたれる準備をしているかのように前に立つユミ。髪までよけて頬を出しているように見えるのだが・・・。
3.七曲署に並ぶ殉職刑事の写真。一係に殉職が集中しているのも不気味だが、こういう写真は普通、証明書用写真を使うでしょう。マカロニのおまぬけな表情の写真が笑える。
4.一係に電話して来たユミは電話帳を持っている風でもないから、番号を暗記していたようだ。それなら最初に訪問する前に電話しようよ。電話して来たゆみがボスに「野口ユミだな」と、犯人でもないのに呼び捨てにされるのもお気の毒。


第426話「愛の終曲」1980年10月3日放送

四年前に妹の婚約者を殺した男・沖田(潮哲也)が二度目の殺人を犯したらしいという連絡が七曲署の面々に入る。被害者は今度も妹の恋人。
逮捕された沖田はカッとなって殺してしまったと繰り返すが、供述に不自然なものを感じる山さんとゴリさん。
罪の意識から自殺を計った妹のキョウコ(佳那晃子)に同情し、少しずつ心惹かれていくスニーカーだが、ふとしたことから彼女に疑惑を抱き、身を呈して彼女を試す。
その時彼女は・・・。

スニーカー vs, サイコ シリーズ第一弾とでもいうべき、異色の作品。
スコッチの出番は極端に少ないが、この先の七曲署でのスコッチの表情を思えば、まだまだメンバーに馴染んでいるし、反応も素早い。
そこに座っているのがやっとという、この後のスコッチの様子を知る由もなかった本放送当時だが、今観ればそろそろ体重の増加がみられる。シャツや上着がきつそうだ。
抗うつ剤の副作用でむくみと体重増加、不眠などの症状に悩まされたという話なので、この時は既に薬の服用を始めていた、つまり躁鬱の症状が出始めていたということになる。
うつ病や躁鬱病に対する認知度が高まった今でも、症状に苦しむ人につい「頑張れ」と言ってしまう話をよく聞くのだから、当時の沖さんは家でも事務所でも仕事場でも「頑張れ」と言われ続けていたことだと思う。ファンからの励ましもあったことだろう。

「真面目」と誰もが評する沖さんだが、もっといい加減に生きていてくれたらと思うことが今でもある。でも、そうやって「とことん生きた」沖さんだからこそ、今でも私の心をガッチリ捉えて離さないのだということもわかっている。
今、この苦しそうな沖さんを画面で観ていると、「ありがとう」という感謝の言葉が浮かぶ。本当にいつもありがとう。これからもよろしくね、と。

スニーカー vs, サイコ シリーズはこの後も続き、『東京大追跡』(430回)『風船爆弾』(448回)『殴られたスニーカー』(468回)も異色。

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1.他人の家のガラスが割れた時間を、しっかり覚えている人なんているかなあ。
2.急にキョウコの目に青い光が当たると、ホラー・ムービーみたいです。太陽には珍しい演出。
3.鑑識は証拠品を返却する時は、ビニール袋か何かに入れてよね。



第427話「小さな目撃者」1980年10月10日放送

母親が強盗に殺害される現場を目撃してしまった四歳の少女・まゆみ。ショックで失語症になって街を彷徨っているたが、その日防犯講習会で講義をしていたボスをみつけるや否や、彼の手を引いて歩き出す。
オートバイの音に異常な恐怖を示しながらも犯人の似顔絵を描くまゆみに、七曲署のメンバーは懸命の捜査を続ける。
だが、タンカー船で遠洋に出ている父親が戻るまで施設に預けられたまゆみは、こっそりそこを抜け出し、まゆみが目撃者であることを知った犯人は・・・。

何故だかわからないが、沖さんは子供が似合う俳優だ。
三十一歳で亡くなった沖さんは、子供はおろか家庭がある役ですら稀だったが、子供に見せる優しさがネックとなった話は多い。
施設の子供たちに笑顔を見せるハヤト王子、自分のクラスの生徒たちを叱ったり励ましたりする長島先生、両親を失った子供をひきとって育てようとする市松、強盗で生計をたてる子供達を諭す唐十郎。
スコッチにしても、元先輩の子供と遊び、不治の病に冒された子供の命を救おうとするなど、子供に対する想いは熱い男だ。
今回も、母親が殺害されるところを目撃した少女のために洋服まで買って着替えさせているが、ゴリさんにからかわれると盛んに照れている。
まゆみに犯人の似顔絵を描かせるという案を最初に出しておきながら、ボスに却下されるとあっさり引き下がり、同じ案を出したロスドトリオ(ロッキー、スニーカー、ドック)を「お前達は子供の証言をあてにしなければ捜査が出来ないって言うのか!」と一喝する。ずるいのだが、これも子供のために必死な様子が出ていて面白い。
まゆみが似顔絵を描いて持って来れば「そうですが、あの子が自発的に」と、感慨深い様子でもある。
犯人をつかまえたボスへの信頼のこもった眼差しが暖かく感じられるし、今日は冒頭のネクタイ談義の時に見せる笑顔のぎこちなさ以外は、いつもより柔らかいスコッチが堪能出来る。カーチェイスの末つかまえた男とも、ちょっとコミカルな場面を展開させている。

子供を一晩自宅で預かったボスに、山さん、長さん、ロッキーが次々と電話してくるのがほのぼのとした雰囲気。
昔から子供と動物をもって来ると視聴率が上がるといわれているが、今回もまゆみ役の少女の健気な眼差しについホロリとさせられてしまう。内股の歩き方も可愛い。
そして次回は「動物」の登場。十月三日から復帰した金八先生の脅威に対抗するため、太陽も必死であの手この手を出していたようだ。

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1.まゆみに手をひかれてどこまでも歩くボス。車が路上駐車したままなのが気になる。
2.まゆみをドックに預けて犯人と目されるオートバイを追跡するボス。ここは部下のドックにやらせるべきじゃないのか?
3.河原の小屋に車ごと突っ込むボス。中は空き箱ばかりだったからいいようなものの、人がいたら間違いなくひき殺してますぜ。


第428話「ドック対ドッグ」1980年10月17日放送

本のセールスマン・西川が河川敷で射殺され、そばには捜査の行方を見守るシェパード犬・アープがいた。
家宅捜索をすると、西川は多額の貯金と株を所有していることがわかる。
麻薬捜査官によれば、その犬は覚せい剤の運び屋としてマークされていたが、逃げ方を心得ていたたて卸元が特定できずに手を焼いていたという。
ドックとコンビを組んだアープは、いつも同じファミレスにドックを導いた。レストランの裏には「香辛料」と書かれた箱が大量に積まれており、アープの姿に焦る支配人(西岡徳馬)。
ドックに数字を教えられたアープが犯人逮捕に活躍するという、ありえな〜い物語だが、アープが名演技を見せる。

子供と動物を出せば視聴率が稼げると今でも言われているようだが、前回が子供で今回が動物となると、かえって「太陽にほえろ!」が苦戦していることがわかる。
最初にスコッチが山田署に転勤した後は適当な新人が発掘できなかったのか、やはりシェパード犬でしのいでいた時期がある。その時の視聴率はなかなか良かったようなので、今回も苦肉の策で犬に登場してもらった感がある。
それでも、この犬はなかなかの名犬で、バカ犬っぽい落ち着かない態度を見せたかと思えば、警察官募集の張り紙をじっとみつめたりする。もちろん指導が良いのだろう。ドックが指示を出しているようでありながら、どこか他の人がやっているのが目の動きでわかる。ただし、ドックフードを食べたがらないシーンでは、明らかに食べそうになっている。「どうして食べないんだ」と言いながら、何とか食べないように止めているドックの手の動きがおかしい。
犬好きの人というのは何となくわかるものだが、今回はロッキー、スニーカー、山さんあたりが犬好きだと推理してみた。スコッチは犬に触らないので不明。推理は『スコッチ、市民を撃つ』に持ち越そう。

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1.スナックのトイレの屋根裏に隠された覚せい剤。伸ばしたスコッチの手は、わざと置いてある場所を飛ばして探していない?
2.本放送当時は違和感なく観ていたが、車の無線が受話器状だ。しかもデカイ。
3.車のナンバーぐらい犬より刑事の方が覚えようよ。


第429話「不良少年」1980年10月24日放送

少年院に送致される途中で脱走した中北進(長谷川諭)が窃盗や傷害を繰り返す事件が発生。
進はバイクを盗んで暴走していたが、ロッキーにみつかってビルの屋上へ逃げ込む。だが、もつれあった挙句、二人とも排水溝に転落してしまう。
折悪しく外では道路工事中で、助けを求める声も響かない。
令子が妊娠していることを知ったばかりのロッキーの運命はいかに?

ロッキー夫妻に子供が出来たことを軸に、家族の存在が子供にいかに大切かを語るストーリー。
職場恋愛→結婚→妊娠という、「太陽にほえろ!」らしくない流れを引き受けたロッキーは、この後は家族をテーマにした物語を背負うことになる。
かたや相変わらず家庭的な匂いを排除されたスコッチは、今回はとりわけ無機質な表情。出番も台詞も少なくて、ファンには物足りない回ではある。

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1.ロッキーに子供が出来たことを知った時の山さんの「良かったなあ」は、指差し確認にしかみえない動き。
2.ヘルメットをかぶったまま走って犯人を追うロッキー。ほーら、人にぶつかったじゃないの。
3.進はビルの屋上に逃げ込むまで、ヘルメットをかぶったまま。
下に落ちた時にラッキーだったかも知れないが・・・。


第430話「東京大追跡」1980年10月31日放送

アパートの隣人を殴って指名手配されていた角田(真田英明)を逮捕したスニーカーは、所轄に護送する途中で拳銃強盗事件に介入、その間に角田は所轄の刑事を撃って逃走してしまう。
追跡中にとんでもない東京の人たちに振り回されたスニーカーは、地方出身者である角田の境遇に同情するが、都会の人々の裏切りから人間を信用しなくなった角田は、故郷・青森の港に似た景色の隅田川を走る水上バスに乗るが、警察に手配されていること知って逆上、船を乗っ取って乗客を人質にする。
角田にこれ以上罪を犯させないためにスニーカーは船に飛び乗るが・・・。

スニーカーが隅田川の堤防の上を疾走するシーンが有名なこの回。
落ちても下は水だと信じないと出来なかったと山下真司さんが回想しておられたが、水までは10メートルほどある。正に体を張った演技。
山下氏は今もご健在なのに、何度観てもドキドキしてしまう。

今回もスコッチの出番は少ないが、細長い煙草をくわえたり、飴(?)を素早く口に入れたりと、小道具を使いこなしている。
浅草近辺で隅田川を見下ろすスコッチを見ても、退廃的な表情で隅田川をながめていた「はぐれ刑事」の影山とは別人になっている。
同じ背景と同じようにスーツ姿で、しかも刑事という役柄であっても、沖雅也という俳優はきちんと演じ分ける。年齢を重ねたスコッチは、すでに初期のスコッチとすら見事に違うのだ。
沖さんが亡くなって数年後、この隅田川沿岸は再開発計画が進み、私も仕事で何度か訪れたことがある。水上バスにも乗ったのだが、その時はなぜか「はぐれ刑事」より、この『東京大追跡』を思い浮かべた。
私は地方出身者ではないが、それでも都会の無機質さを虚しく感じることはあるし、上滑りな人間関係に孤独感を強めたことも多々あった。
スニーカーは「もし七曲署に入ってなかったら、どうなっていたかわかりませんよ」とドックに言った。「もし俺みたいにいい仲間に恵まれていたら、あいつだってこんなことにはならなかった」。

「もし沖さんが七曲署に復帰していなかったら」「いい仲間に恵まれていたら」
そんな皮肉なことを考えてしまう回でもある。

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1.今日は無線に受話器を使わないのね。
2.浅草の水上バスの「乗船口」の『乗』に線が一本多いのが、どうしても気になる。


第431話「誰が彼を殺したか」1980年11月7日放送

薬品会社の社長の息子・雑賀(井上高志)が毒殺され、薬物は社内から盗まれたものだと判明する。
当初は雑賀の婚約者・すみ子(瞳順子)に容疑がかかるが、捜査の末、一年前に別れた恋人・やす子の犯行という説が濃厚になる。
だが、ボーリング中の彼にどうやって毒を盛ったのか。七曲署の捜査が続く中、スコッチは・・・。

待ってましたのスコッチ主演回。
容疑者の部屋にあがり本棚をチェックしたり、ありもしない証拠で自白させるところなど『すれ違った女』を思い出させる展開だが、今回は色っぽいシーンはなく、被害者がゴキブリを手でつぶしたり、ボールを投げる前に指をなめる癖があることばかりが印象に残ってしまう。
確かにやめて欲しい癖だ。お坊ちゃまなのにどうしたんだ雑賀。
ロッキーとスニーカーは「引き立て役」が定着しつつあり、今回もスニーカーは犯人を「人を殺すような女性にはみえません」と、当初から推理をすべっているし、実地検証ではスコッチに被害者役を割り当てられて「どうして僕ばっかり・・」とスネている。
ロッキーはガータを出してテヘヘと笑う役だ。気の毒に。
この二人は『あなたは一億円欲しくありませんか』でも損な役回りをスコッチに申し付けられて、不満を爆発させている。
ドックもお手伝いの娘への聞き込みで泣かれ、「あの子が犯人だったら、俺、刑事辞めます」と断言している。いいのか、泣いたぐらいで断言して。
しかも、今回は「虫も殺さない男」とダジャレを言ったのに、皆に無視されている(これはダジャレじゃありません)。
スコッチも当初は婚約者を疑って厳しく追及しておきながら、泣かれたらすぐに「彼女はシロでした」とボスに報告している。すみ子さん、号泣しているけど涙出てないじゃ〜ん。七曲署は意外と女の涙に弱いのだ。

明らかに沖さんが神経を張っているのが見えるのだが、きっとこんなことに気がつくのはファンだけなのだろう。よく見れば、ボスも目が腫れているし、ロッキーのヒゲがちょっと短くなっているのだが、ファンでないとそこまでは見ないものなのだなあと、今更ながらに沖さんばかり観ている自分に気がつく。慢性の視野狭窄だ。

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1.スコッチ一人で夜勤の電話番をしているようなのに、病院へ駆けつけちゃって大丈夫?
2.とうとう冴えない湯呑みでお茶をすすっているし、トレードマークの懐中時計も腕時計っぽく見えるのだが?
3.この勧進帳だと、公判で一転して犯行を否認されそうだなあ。


第432話「スリ学入門」1980年11月14日放送

婦警と待ち合わせをして浮かれるドックとスニーカーは、道端で財布を掏られる。
刑事の面目にかけて犯人を探し出した二人だが、相手はプロのスリ・菅井(浜村純)で、現行犯逮捕をしようと罠をかけたところ、逆に警察手帳を掏られてしまう。
意地で休暇をとって菅井に弟子入りをしたドックだが、菅井の過去を知ることによって、小さな気持ちの交流が芽生え始める。

主演回の後は出番が減るというのは「太陽にほえろ!」の鉄則だが、今回は事件というより、ドックのキャラクターを光らせようとした企画のようで、ハラハラするようなシーンはないし、全体的にほのぼのとした話だ。
『ハコ師』『吸い取り』『太郎さん』など、当時のスリ専門用語が色々出て来て楽しいし、浜村純氏の好演もあって、なかなか面白い。確かな演技というのは、こういう人のことを言うんだろうなと、改めて感心してしまう。
沖さんに不確かなものを感じ始めていた頃なので、放送順に観て行くと、この回は休憩したような気分になる。
一係ものんびりしたもので、菅井がわざと警察手帳を届けに来た時も全員おそろいでお茶などをすすっている。後ろを見れば『卓次君誘拐事件』『柏木町交番爆破事件』『山手町バラバラ死体遺棄事件』等、七件もの事件の看板が立っているのに、いいのか一係。しかも、大事件ばかりではないか。

もうここまで来れば青い湯飲みでスコッチがお茶をすすっても気にもしないが、ラストで前回に続いてドックとおちゃらけてみせるのはどうだろうか。「俺たちは天使だ!」のような雰囲気を出すようにしたのだろうか。
全然そうならないのは、ジュンちゃんがドックになってしまい、キャップがスコッチに戻ったから。きっとそれだけだ。

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1.スニーカーはともかく、ロッキーは身重の妻がいるのに、ドックに協力している場合か?
2.レストランの後ろの写真、ポール牧さん?
3.蝶ネクタイでデートに行く若者なんて、当時も今もいないのだ。スニーカーがオシャレにみえる。


第433話「金髪のジェニー」1980年11月21日放送

空き巣の常習者・ゲンジ(梅津栄)が、ゴリさんと飲んだ翌日に水死体となって発見される。
自分が娘のことばかり言ったので悪酔いしたのではないかと心配したゴリさんだったが、検死の結果他殺であることが判明。ゴリさんは娘のユミ(竹田かほり)に会いに行くが、目の前で彼女が誘拐されそうになる。父親が暴力団の事務所から何か金目のものを盗んだと確信したユミは、暴力団に電話をかけるが・・・。

金髪とくれば、異人さんに連れられて青い目になっちゃった女の子もいた横浜が舞台。
残念ながら、スコッチは横浜に足を伸ばすことはないが、「大追跡」で遊撃捜査班があれほど摘発したバー・カプリアイランドが登場するので、両方観ている沖ファンとしては、スコッチに横浜に行ってもらいたかった気がする。
「世にも優しい刑事」として長く女性被害者相手として君臨した殿下亡き後、ゴリさんがその役を担っているようだ。今回も、彼女の悲鳴と共にゴリさんが駆けつける。
余談だが、タイトルの『金髪のジェニー』は、あのフォスターの曲で、ジェニーは妻の名前だそうだ。原作は『Jeanie with the light brown hair』。金髪じゃなくて茶髪じゃん!(横浜弁にて)

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1.ゲスト出演者欄の『木下藤吉郎』って誰?
2.ヘロインの値段を安くつけすぎたから嘘をついているとバレるユミだが、普通の女の子がヘロインの単価を知ってるか?
3.ほーら、お約束通りなかなか撃たないから、ゴリさんが間に合っちゃったじゃないの。
4.七曲署のメンバーたちが駆けつけたのに、もう一人の犯人は怪我をしながら放置されてます。


第434話「ある誘拐」1980年11月28日放送

ドックと一緒に脅迫事件の張り込みをしていた長さんは、街頭で不安そうに道に立っている一人の男(角野卓造)に注目する。
犯人を逮捕したあと長さんはその男に声をかけるが、警察と名乗った瞬間、彼の態度が硬化する。
翌日、車のナンバーからその男の家を探し出して訪ねる長さんだが、慌ててドアを閉める彼の態度に、ますます不信感を強める。
実は彼の息子は誘拐されているのだが、本人からの要請がないので正式に捜査も出来ず・・・。

混雑する街角に立っていた挙動不審な人物というだけで事件の匂いを嗅ぎ取ってしまう長さんの嗅覚には舌を巻くが、いきなり「何か心配ごとがおありのようで」と声をかけてくれる警察官がいるだろうか。
捜査を要請されてもいないのに家まで探し出して訪ねて「私を避けたように思われたんですが」とまで言うと、親切というよりはしつこい感じがする。そんなに七曲署は暇だったのか。

スコッチの出番は少なく、毎回「調子が悪そうだ」と書くのもどうかと思うので、とりあえず、「朝、長さんと一緒に出勤していた」ことだけがこの回の観どころか。

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1.子供に握手をするのはスターのすることで、刑事じゃないでしょう。
2.ちょっと盗品のことを聞かれただけで、内藤に脅迫されて二千万取られたことまで説明してしまう大場(小野武彦)。一時間ドラマでは時間がなかったのね。
3.最後の逮捕劇の間、車の中で待たされていた大場が気の毒。普通は先に護送しない?


第435話「スター」1980年12月5日放送

芸能レポーターの前川が刺殺され、モデルの市川キョウコ(中島ゆたか)が自首して来る。
マリファナを所持していたことから脅迫されていたというのだ。
捜査を進めるうち、彼女の交際相手である人気歌手の西田史郎(西田健)に疑惑を持つ七曲署の面々だが、捜査は二転三転し・・・。

『スコッチ刑事登場!』を何十回、何百回と観た身には、殺人犯が4年余りで出所して保険会社に勤めていることに違和感をおぼえる。
「太陽にほえろ!」にはありがちなキャスティングだが、スコッチファンには忘れられない顔である。
ちなみに、この役者さんは北条清嗣さんとおっしゃるのだが、遊園地で男二人づれでパイレーツに乗っていること自体がおかしいのに、背広姿、しかもかなり振幅しているのに、全く平気な顔なのがビックリだ。
コースター系は大丈夫だったのか、それとも役者根性を見せて素知らぬフリで演技を続けたのかと、余計な心配をしてしまう。
西田健さん演じるシンガー・ソングライターは人気絶頂だそうだが、一体どんなジャンルなのかも気になるところだ。
失礼だがこの年齢の西田さんが人気絶頂になるとは、かなりの遅咲きだ。「夢捨人」というタイトルからすると演歌っぽい気もする。
ただし、西田さんはアメリカ帰りという設定なので、演歌じゃないのかも知れないなどと悶々と考えていると、内容がわからなくなる一作。

今回はスニーカーに「滝さん!」と止められて、犯人に手錠をはめずに去る。スニーカーの意見を聞くことになった記念すべき一作かも知れない。

私も、沖さんのためなら何でもしてあげたい。当時は顔色の悪い沖さんを観て、そんなことを考えさせられた。

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1.いきなり一係へ来て自首した市川キョウコ。一係が殺人課だって一般的に知られてるの?警察ってこんなに内部へ入るのが簡単なの?
2.「何人かの女性を踏み台にして」と、意外と芸能ゴシップに詳しいボス。
3.一日経った翌朝、誰もが同じ服で同じ立ち位置でボスの話をきく。並び順まで決まっているようだ。


第436話「父親」1980年12月12日放送

ドックの父親の患者である男性が、頭に重症を負って運び込まれた。
スコッチの聞き込みで、男性の息子・ケンイチが事件発生時刻にラケットを持って走り去ったことがわかる。ケンイチはドックとテニスのダブルスを組んだこともある知り合い。事情を聞こうとケンイチを自宅に訪ねたドックだが、姿を現したケンイチはいきなりドックを殴打して再び逃走する。

またもや少年問題、それも家庭内暴力を扱った作品だが、世相をえぐるというよりは、あくまで刑事たちが犯人と一般人は紙一重であるという基本を変えないのが「太陽にほえろ!」のポリシーなのだろうか。今回も、ドックがケンイチの心に体当たりして行きながら、親に反抗して刑事になった自分の心とリンクさせている。

スコッチの出番は少ないが、沖さんの事務所の三景啓司さんを登場させていることが目を引く。426話『愛の詩 −島刑事に捧ぐ』の殺人犯が、三ヶ月足らずで出所していて、しかもドックの弟だったとは衝撃的だ。まあ、島刑事の元恋人が生き返ってボギーの姉になっていることに比べれば小さなことかも知れないが、当時のキャスティングは大らかだったのだなあとしみじみ感じる。

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1.ドックがテニスの球を撃った直後「ジャーン!」という効果音と共に血まみれの死体が登場するので、一瞬ドックの打った球が当たったのかと思ってしまった。
2.暴走族の一人が着ていた赤いジャンパーは、「クラスメート」で沖さんが着ていた衣装じゃないっすか?しかも、あとの話でこのジャンパー、ドックが着てます。
3.消火器の煙が出る前に顔を隠す暴走族。反射神経が良すぎ。


第437話「ニセモノ・ほんもの」1980年12月19日放送

三年前と同じナンバーの精巧な偽札が発見された。だが、同じ原版で違う者が印刷したものと思われる。
スコッチは三年前の容疑者・若林(佐野浅夫)の犯行と確信するが、彼にはその紙幣が使われた時間にアリバイがあり、証拠も出ない。三年前には彼を逮捕出来なかったスコッチだが・・・。

待ってましたのスコッチ主演作。この冬は黒のトレンチ・コートで決めちゃうぞとばかりに襟を立てて歩く姿が美しいし、終盤に見せる雨に濡れた髪は、カールした黒髪が一層映える。
スコッチの尋問に若林がキレた瞬間、ふふん、わかったぞという目の演技も冴えているし、この頃若手では唯一の理解者とも見えるロッキーとのコンビも面白い。小料理屋を出てすぐにロッキーに「そのへんでパンでも食おう」というシーンで、息の合ったところを見せてくれる。
容疑者の一人として登場する田代は、沖さんが本格的にテレビ出演した頃に同級生として共演した沖田駿一さんだが、沖田さんが役柄も雰囲気もほとんど同じなのを観ると、隣に並んだ沖さんの成長はオドロキともいえる。

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1.スコッチ〜、感情が激したからといってパンを握りつぶしてはいけません。
2.殿下の殉職回に登場した犯人が、もうシャバに出ている。だからスコッチが「見逃すとは言ってない!」と厳しいのか?
3.またニセの証拠で自白に持ち込むスコッチ。公判で否定されるゾ〜。


第438話「取調室」1980年12月26日放送

皆でのんきにカツ丼の値段が上がったことに文句を言っているところに、殺人事件の一報が入る。
被害者は元弁護士秘書の江原杏子(風祭ゆき)で、彼女と深い仲だったと元雇用主の草野弁護士(原田大二郎)が容疑者として浮上する。
彼は法曹界の有力者の娘との結婚が決まっており、動機もある。だが、彼には完璧すぎるほどのアリバイが・・・。

“落としの山さん”の魅力が堪能出来る作品。独特の手の動きも冴えていて、容疑者を追い詰めたところでは手の動きが命令調になっているのがすごい。
余裕綽々の草野に対し、「こいつは痛いところを突かれましたな」などといいながら、心理作戦で追い詰めて行く時の笑顔が、さすが。
この頃には“和製コロンボ”とも言われた山さんだが、番組開始当初の作品を観てみると、山さんは短髪にべらんめえ口調の粋のいい刑事として活躍している。いつごろからあの手の動きと不敵な笑みが定着したのだろう。

死体を湯船につけ、水温の調整でアリバイを作るという話は、沖さんの出演作だけでも三つ(「俺たちは天使だ!」第一話、「浴室の死美人」、そして本作)もある。
ちなみに、被害者役を演じているのは、この頃にっかつのロマンポルノで活躍されていた風祭ゆきさん。死体の演技がうますぎ。

個人的には実地検証で車に乗り込むシーンで、スコッチがスニーカーと車に分乗する直前に、別の車に乗り込もうとするゴリさんに声をかけるシーンが、何となく好きな管理人である。

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1.写真を見ながら近眼について山さんが指摘するシーンで初めて気がついたが、山さんにしろ長さんにしろ、老眼鏡をかけているのを見たことがない。案外見栄坊?
2.また証拠が偽造だ〜。
3.冒頭は音だけ聞くと、怪しいビデオを観ていると勘違いされそうだ。

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