第三回「沖雅也研究会」兼「『沖雅也よ 永遠に』第9回オフ会」

2014年4月19日、映画監督・脚本家の柏原寛司氏のご協力により、
人形町三日月座「Base KOM」にて
「第三回沖雅也研究会」を開催することが出来ました。
今回も参加出来なかった皆さまのために、貴重な内容を報告します。















さて、午後3時から研究開始。
本日の研究テーマは

1978年放送「大追跡」から『ご不要な亭主始末します』
1980年放送「太陽にほえろ!」から『鍵のかかった引き出し』

『ご不要な…』は、柏原寛司さんの脚本です。
そして、今回のスペシャルゲストは、この両作を監督された櫻井一孝さん!
櫻井監督はとてもダンディで、両監督の並びはそれだけで絵になります。












まず、柏原監督が櫻井監督に、沖さんとの思い出について質問して下さいました。

柏原:沖さんは撮影中はどんな風だったか。
櫻井:撮影に入る時はすでにしっかり役が作ってあった。
だらしないところを見せたりしない人だった。
孤高の人で、あまり話さないし笑ったりしなかったね。
お酒を飲むのかわからないが、一緒に飲みに行ったりすることもなかった。

柏原:他の出演者で仲が良かった人は。
櫻井:よくは知らないが、裕次郎さんはとても気遣いのある人なので、
我々の知らない所で色々なフォローをきっとしてあげていたと思う。
裕次郎さんはそういう人だったから。

柏原:沖さんはアクションは完璧だったが、アクション俳優ではなく演技派を目指していたところはあったのだろうか。
櫻井:アクションはとても良かったね。
ビルの4階から別のビルに飛び移るシーンなども、嫌がる俳優もいるのだが、
沖さんは負けず嫌いなところがあり、張り合ってやっていた。
俳優が嫌がる時は「じゃあ自分がやる」と言えば、やるんだよ(笑)。
演技派へということでは、優作さんや恭兵さんら個性派の若手の台頭で、
いくぶん焦るところもあったようだ。

そして櫻井監督と参加者の質疑応答。

Q:『ご不要な亭主始末します』の仕切り場のロケ地は。
A:今のフジテレビのあたり。冷凍室はセット。
冷凍室の撮影の時は40度ほどの暑さの中、俳優たちは口にドライアイス(の煙?)を入れて寒さを演出した。

Q:撮影について覚えていらっしゃるのか。
A:大変だった撮影は記憶にある。
ラストの丹古母鬼馬二さんと横森久さんを追い詰めたアクションシーンは、あの場面だけでも撮影に一日掛けた。

Q:藤竜也さんが中庸介さんにカージャックされて坂道を走り降りるシーンは何処で。
A:実際に横浜でロケをして撮影をした。

Q:軽トラックの新聞紙等が銃弾で弾ける演出は。
A:あれは自分(桜井監督)のこだわりで、
小道具の人に弾着の綿密な仕掛けをお願いして作った。
当時は専門のガンアドバイザーが少なく、
小道具係が担当して苦労して作っていた。

Q:加山雄三さんが外のロケに参加するのは少なかったが、
加山さんが来ると他の出演者たちは緊張したりしていたか。
A:緊張はなかったと思う。彼はいい人なので皆が慕っていたね。

Q:「ペッ!」という仕草が流行った時、加山さんが「お前らそのペッっていうの汚いからやめろ」というシーンがあるが、
あれはセリフでなく本音という噂も(笑)。
A:いや、あれは藤さんのアイディアで採用されていたので、それはなかった。
「大追跡」はほとんどアドリブだった。(脚本家を前にして!)
毎日藤さんがアイディアを持って来て、他の人が「それいいんじゃない」と言うと採用されて。

Q:この『ご不要な亭主〜』には、にっかつロマンポルノの女優さんたちが大挙出演しているが、
これは何故。監督の女だったとか(笑)。
A:あれは自分が頼んで出演してもらった。ロマンポルノの女優さんたちは、みんな真面目だったよ。

Q:『鍵のかかった引き出し』のようなアクション・シーンは何回ぐらいリハーサルがあるのか。
A:だいたいリハーサルなしで一発で決めた。
もちろん段取りの取り決めはあるが、ほとんど一回で決めた。
監督としては役者をかっこよく見せるよう撮影するという仕事があるので、
この回も高低差をつけたりと工夫している。 沖さんは演技について指示する必要はなかった。
よほど「こんなふうにして欲しい」という要望がない限り、指示はしなかった。
昔はカースタント専門の人がいなくて、居ても飛んだりひっくりがえったり出来なかったので、
ラリーの人を呼んでやっていた。
あの人達はひっくり返る練習をしてるから。
それからセキトラに頼むようになった。

Q:足場の悪いところでの撮影は、最初にADなどが安全を確認するのか。
A:一応していたが、怖がって確認を嫌がるスタッフもいたので、最初に自分(櫻井監督)が行くと、仕方なくついて来た(笑)。
沖さんは他の役者が嫌がるような危険なシーンでも、進んでやっていた。
暴走族との格闘場面は、沖さん始め当時のスタッフ・スタントマンは今と比べ物にならない大変な技術があった。
現在のテレビの現場では無理だろう。
だいたい、アクションに時間をかけると金がかかるので、制作に嫌がられる。
『日の丸愚連隊』の屋根の上を走るシーンは大変だった。
屋根瓦が40枚ぐらい壊れてクレームが来て、謝りに行って修理した。
(柏原監督)櫻井監督の作品はリズムが良い。

Q:そういえば、「太陽〜」はよくアクション・シーンがスローモーションになったりするが、今回はスローが一度もない。
A:自分はスローはやらない。
(柏原監督)だいたい、スローモーションにするのは、アクションが出来ない役者の時か尺が余った時(笑)。
昔、ホームドラマで著名な脚本家のH先生に
「ピストル持ってバンバン打ってりゃドラマになるってもんじゃない」
と言われた名高達郎が悩んで片桐竜次に相談したところ、
「じゃあ箸と茶碗持って飯食ってたらドラマになるのかって言ってやれ」
と言ったというエピソードがあった。(爆笑)

Q:「太陽〜」でゲストの人選について指示したことは。
A:『東京上空17時00分』での風間杜夫は自分で直々に交渉した。

Q:スコッチの寝起きのシーンは、どうして裸なのか。サービスカットなのか(笑)。
A:そんなことはなく(笑)、普通男は寝る時服を脱いで裸で寝るだろう。

Q:前期スコッチの時はパジャマを着ていたし、部屋も片付いていたのに、
今回は裸で部屋もちらかっていたので対照的だ。
(取り調べで疲れて家に帰って疲れて何もかも放り出したという演出なのかと思ったとか、
靴がベッドの横に並べて置いてあったのが不思議だったとか、マニアな意見続出)
A:あれは単に「寝る時に服着て寝るか?」と自分が言ったので、沖さんが脱いだ。

Q:下は穿いていたのか(笑)。
A:覚えてないよ(爆)。
(柏原監督)そのあたりが女性の視点との違いかな。
まあ、見せてもカッコイイ人は裸。オレはたくさん着込んで寝る(笑)。

Q:最近の刑事ドラマや二時間もの、映画は観ますか。
A:全く観ない。今はドキュメンタリーを観たり撮ったりしている。
内戦があるような所に行き、2回ほど死にかけた。

Q:「俺たちは天使だ!」という作品をご存知か。
「太陽〜」の『デイト・ヨコハマ』で、俺天で使われたキャプテンのカマロが出て来るし、
『罪と罰』では後ろのテレビに俺天が映っている。
もしかして、櫻井監督は俺天がお好きで、そのオマージュだったとか。

A:ああいう車両は制作会社が持って来るものなので、偶然重なったのだろう。
(柏原監督)『デイト・ヨコハマ』は俺のホンだよな。あれはいい作品だった。

Q:じゃあ監督からのオマージュ…
A:(柏原監督)いや(笑)。


その後、2階の三日月座で、恒例の懇親会。
柏原監督の奥様でもある女将によると、監督のお好きなものばかりというメニューは、
ホットドッグ、ナポリタンと、ハードボイルドとは遠いお子ちゃま風。
初参加のユミさんとたいぞうさんのご挨拶の後、それぞれ歓談。
今回も徳島や三重から新幹線で駆けつけて下さった方がいらして、管理人の感激もひとしおです。
中には、遅刻しそうになって新横浜から新幹線で駆けつけて下さった方もいらっしゃいました(笑)。
沖ファンからは「大追跡」Tシャツを両監督に寄贈。











ちゃんと「沖雅也研究会贈」と書かれたものです。
横浜のお菓子はどうだったかな〜。自分用も買えば良かったと後悔するような可愛い最中などの詰め合わせです。

そしてミルキーさんからは、この日もはずれくじ無しのくじ引きで、ポスターやプロマイド、ボールペンなどのプレゼントがありました。
ミルキーさん、いつもありがとうございます。
ミルキーさん作のプレゼント

柏原監督は、この日のために「大追跡」のソフト販売時特典だったという水さんの赤ジャケットを着て下さっていました。
これがまたクールで似合っていらっしゃるのですが、
写真を撮らせて下さいとお願いすると可愛く「いいよ〜♪」
このギャップがまた参加者の心をわしづかみです。











あっという間の4時間強。
今回も柏原監督のおかげで素敵な研究会となりました。
櫻井監督も、こんなマニアたちに囲まれて困惑されたことでしょうが、丁寧に質問に答えていただき、本当に感激しました。
沖さんと一緒にお仕事をされていた方のお話しは、
当時を知らない私たちに、沖さんの職場をぐぐいとそばに引き寄せて下さいました。
ロケ現場を駆けまわる沖さんの姿を、それぞれが想像したに違いありません。

櫻井監督は最後に「どうも今日は貴重な体験をさせていただきまして」と笑いをとって帰られましたが、
私たちこそ貴重な体験をさせていただきました。

柏原監督と櫻井監督に、この場を借りて改めてお礼を申し上げます。


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