映画出演 1977〜1980年

「白熱−デッドヒート−」 東宝・1977年5月28日公開


爆発するカーアクションの魅力!
親友を殺した四輪の野獣
追いつめる時速180キロの戦い
このふるえ
この叫びはあいつのものか・・・
愛さえ割り込めぬ
復讐の青春!
(公開当時の広告より)

出演:江藤潤 長門裕之 風吹ジュン 潮哲也 古手川祐子 ほか
沖さんの役名:沢木正雄(ファントム)

親友をカーレースの末に殺した男を追うという話。人気を誇り2003年日産が復活させたスカイラインGTが通称ファントムと呼ばれていたというのは有名な話なのか物語の中だけなのかはわからないが、主人公が改造セリカに乗って恋人も職も捨てて宿敵を追うというカー・アクション映画ということらしい。
「冒険と復讐の旅を続ける主人公は現代の若者のアイドルです。全編を通じて出てくる青春スターによる壮烈なカーアクションは若い観客の共感を呼ぶことでしょう」と解説に出て来るので、一応沖さんも若者のアイドルということか。ただ、ファントムの正体は不明という設定なので、沖さんの顔が映ることは少ない。最後の最後にセリフがひとつあるだけだ。つまり、「太陽にほえろ!」で人気の出た沖さんが東宝にご恩返しで特別出演していると言って良い。義理があったのかも知れない。この後1980年まで出演する映画はひとつを除いて全て東宝作品であり、沖さんの出演はごく少ないものばかりなのだ。
この作品で印象に残ったのは沖さん演じるファントムが登場する時のトランペット音。軽すぎる。これではコメディーだ。
それから、ステーキを注文した卓(江藤潤)と真木(風吹ジュン)がミディアムとこたえてミディアムの種類をきかれるシーン。そうか、ミディアムにも色々あるのだ、とビンボー人の高校生はここで初めてステーキの注文の仕方にも色々あるのだと知ったのだった。
原作は田中光二の同名小説で、劇画化もされている。

併映は「俺の空」で、こちらはちょっと「高校生無頼控」に似た剣道の達人の高校生(星正人)が主人公で、お色気シーンもふんだんにあった。どちらかといえばこちらがメイン上映だったらしく、主題歌のレコードがプレゼントされた。新人として夏目雅子さんが少しだけ登場し、一人だけ耳が裂けるほどの大声だったのが記憶に残る。
映画館の看板に「CAR&SEXの炎燃えさかる青春2大作!」とあったせいか、映画を観ている途中で痴漢に耳を触わられてしまった想い出もある一作。

「北村透谷・わが冬の歌」 ATG・1977年12月10日公開


いまひとたびの白い肌

出演:みなみらんぼう 田中真理 石橋蓮司 萩尾みどり 藤真利子 ほか
沖さんの役名:石坂公歴

ATGとはアート・シアター・ギルドの略で、当時商業映画に対して芸術面を主においた実験的映画を制作していた会社。この映画が公開される前に草刈正雄氏主演の同会社の映画を観にいった友人から「難しくてわかりにくいよ」といわれていたが、正しくその通りだった。北村透谷という実在の人物を、想像と仮定を混在させて幻想的に描いているのだが、北村透谷という人物について勉強して行かなかった私は当時の時代背景もよくわからないこともあいまって、「ん????」と首を突き出した状態で観ていただけだった。
主演の透谷を演じたみなみらんぼう氏はフォーク歌手で、おそらくこれが役者として初めての仕事だったのであろう。申し訳ないがセリフが学芸会だ。パンフレットに寄稿した佐藤忠男氏が『セリフに力が乏しい。石橋蓮司(大矢蒼海)や沖雅也(石坂公歴)のようなオクターブの高い発声をする俳優たちとのやりとりとなると、かなり、頼りない感じになってくる』とはっきりと書いている。普通の商業映画のように全面的礼讃になっていないのもATGらしいといえばそうなのかも知れないが、私にすれば沖さんの発音が褒められたようで嬉しく思ったものだ。
沖さんの役は透谷の義弟であり、透谷と同じ運動にかかわっていた石坂公歴なので、後半の討論のシーンで長く出演はしている。だが、画面が全体的に暗いので、沖さんの表情を読むのがなかなか大変だ。

当時この映画を観に来たのは、この映画を透谷に心酔しているとかATGの映画に関心があるという観客が多かったのかどうか。観客のほとんどが男性だった。新聞の広告文字も上記の通りで、にっかつロマンポルノで猥褻物陳列罪で摘発された山口清一郎監督と、その人気スターだった田中真理さんの復帰作品だったので、『お色気シーン?ええそうですとも当然ありますとも』なのは観る前から何となく予期できたが、当日上映館の階段を下るとなーんかエッチな巨大ポスターが目に入ったので、場所を間違えたかと思った。併映は正ににっかつロマンポルノの「女教師」という映画だったのだ。
中に入ると何となくどよーんとした雰囲気と若い男性の一人客ばかりなことにたじろいだが、とりあえず何事があった場合に備えて通路側の席を確保した。 だが、先に「女教師」が上映されたのは私にとっては不運としたいいようがなかった。
最初からいきなり女教師が犯されるシーン。おおっ、んん?!え、そこまで?と唖然として観ていると、隣の席に私を越えて座った男性がいた。他にも通路側の席はいくつも空いていたのに、わざわざ私に膝をよけさせて隣に座るとは怪しい奴だとは思ったが、スクリーンではものすごいシーンが既に次々と展開されていたため、注意力が100%そちらに行ってしまった。暫くして職員室で教師たちが会議をするシーンになった時、ふと太腿のあたりに暖かいものを感じた。その隣に座っていた男の手が私の腿にしっかり乗せられていたのだ。え?!一体いつから?!次の瞬間、私は静かな館内で折り椅子をバターンと跳ね上げる音をたてて立ち上がり、一列後ろにに移動した。前に移動すると相手の動きが見えなくなるからだ。(おお、このあたり冷静だった)観客の何人かがこちらを見たので、そいつは立ち上がって映画館を出て行ってしまった。
そんなミソはついてしまったが、何と「女教師」は「北村透谷」よりはるかに内容が充実していた。確かにエッチシーンは多いが、物語もおろそかにしていないし、俳優もうまいのだ。故・古尾谷雅人氏のデビュー作だったそうだし、主人公の永島瑛子さんも演技派女優として今も活躍している。ただし、清潔感のないエッチシーンを演じた俳優がCMをしていたカニカマボコを、その後食べられなくなるという後遺症は残った。

「惑星大戦争」 東宝・1977年12月17日公開


THE WAR IN SPACE

1988年 − 太陽系から金星が消滅した。
暗黒の宇宙に浮かぶ緑の真珠・地球の滅亡か?
人類の未来と希望をのせた“轟天”の戦い!
驚異のSF超大作!!

出演:森田健作 浅野ゆう子 池部良 宮内洋 新克利 平田昭彦 ほか
沖さんの役名:室井礼介

その昔は世界的に有名だった東宝映画が、当時爆発的にヒットしたハリウッド映画「スター・ウォーズ」人気に対抗して、いや、あやかって製作したSF特撮映画。沖さんが特撮に出演したのは後にも先にもこれ一本だ。
今やカルト映画としてマニアに人気があるということでもわかる、何ともスットコドッコイな特撮技術。これでは子供の頃に観た怪獣映画の方がまだ優れていたのではないかと思ってしまう。内容も底が浅く、映画製作のわずか10年後にこのような宇宙開発も戦争も起こり得ると設定したこと自体に無理があった。いくらだか忘れたが、莫大な制作費をかけたというふれ込みだったが、それは豪華な出演者のギャラと消えたのか。
それでも当時、惑星大戦争チョコレートなるものが販売され、一個に一枚映画のカードがついているというので、何度かおいしくもないチョコレートを購入した。沖さんの顔があるカードはたった一枚しか当たらなかったが、唯一のみどころである黄色い制服姿がいかにも特撮という感じで何となく嬉しかった。変身してヒーローになってくれないのが残念だったくらいだ。
それにしても、公開前のチラシの沖さんは「高校生無頼控」の写真だし、顔が緑色だったはずのヘル司令官役の睦五郎氏は普通の地球人の写真だというのは何ともお粗末だ。
併映(いや、こっちがメインか)は百恵友和コンビの「霧の旗」。

「女王蜂」 東宝・1977年2月11日公開


くちびるにミステリー

出演:石坂浩二 仲代達矢 中井貴恵 高峰三枝子 岸恵子 加藤武 ほか
沖さんの役名:多聞連太郎

角川書店が横溝正史を大々的に売り出したために出来た一連の金田一耕助ものは、テレビでは古谷一行氏が、映画では本編の石坂浩二氏が有名だが、他にも多数の俳優と複数の映画会社とテレビ局で製作された。これは東宝の市川昆監督によるシリーズ第4作で、中井貴恵さんのデビュー作。
一応ミステリーなので内容については触れずにおくが、沖さん演じる多聞連太郎は、いきなり主人公の大道寺智子(中井貴恵)の唇を奪うという大胆な男。これも出番は少ないが、内容が面白いので何度かビデオを手にとってしまう。 この映画はカネボウ化粧品と提携しており、作品中に登場する二重構造の部屋と口紅とグロスが二重構造をひっかけて、上の『くちびるにミステリー』となったわけである。『女王蜂のくちびる』と題されたその口紅は、確かに普通の口紅よりよく光ったが、とれやすくて使えなかったのをよく覚えている(しっかり買っている)。映画の中に出て来る口紅のデザインが懐かしい。

「火の鳥 −第一部黎明編」東宝・1978年8月19日公開


はばたけ!永遠の火の鳥よ
燃える炎の中に愛の宇宙が見えるまで
出演: 草刈正雄 若山富三郎 江守徹 由美かおる 尾美としのり 高峰三枝子 ほか
沖さんの役名:ウラジ

手塚治虫の長編漫画が原作で、連作の第一部として制作されたこの映画は、実写とアニメーションと特撮を合体させた実験的な作品。実写とアニメの合体は、同じく手塚治虫原作の「バンパイア」をテレビで観て知っていたのでそれほど目新しくは思わなかったが、劇中で手塚漫画特有の不思議キャラが何度も登場して短いギャグをするのが、映画としては不思議な感じがした。
総指揮は手塚氏自身がとり、市川昆監督に加えて特撮は中野昭慶監督、テーマ音楽はアカデミー賞やグラミー賞を受賞しているミシェル・ルグラン(しかもロンドン交響楽団の演奏)、衣装デザインはコシノ・ジュンコという懲りようだ。衣装も天然素材と天然染色、一着が四十万円から八十万円、沖さんの衣装も1メーターが四万八千円もしたものだという。しかし、映画の舞台は古代耶麻大国なので、出演者の衣装はボロきれを纏ったような姿。しかし衣装だけで三千万円もかけたときくと、「どことなく重みがあるような・・・」と思えてしまう。目で見る値段の効果か私が洗脳されやすいのか。主題歌を歌っているのは松崎しげる。歌い上げてマス。
役者陣も豪華で、上記の他にも草笛光子、加藤武、大滝秀治、仲代達矢・・と第一線の俳優が、こんな役でいいのか?とこちらが悩んでしまうマンガチックな演技を披露してくれる。
気になる沖さんの役だが、妻ヒナク(大原麗子)の病を治すために火の鳥を捕獲しようとして、逆に殺されてしまう男。まばたきをしていると見逃してしまうかも知れないぜ。

「ブルークリスマス」東宝・1978年11月23日公開

私、血が青いの 真っ青なの・・・
あの日から、急にそうなったの
やさしい心と美しい愛を持ちながら
青い血に恐怖の季節がおとずれる

出演:勝野洋 竹下景子 仲代達矢 岡田英次 大谷直子 八千草薫 ほか
沖さんの役名:原田

「映画演劇陣総出演」とわざわざパンフレットに書いたほどなので、こちらも豪華キャストだ。上記の他、小沢栄太郎、芦田伸介、田中邦衛、岸田森、島田正吾と、当時の重鎮が並ぶ。脚本は倉本聡の書き下ろし、監督は岡本喜八というのも豪華だ。主題歌を歌っていたのは、首が長くて色が真っ白という、この映画にぴったりのみかけを持った男、チャーだった。
主役の勝野さんの役名が「沖」だったので、「沖」という言葉に異常反応を示す私としては、気になって上演中は眠る暇もなかった(それがなかったら寝てたのか?!)。

謎のUFOを目撃した人々の血が青くなる事件が続出する。血の色の他は何も変わらないその人々に、赤い血を持った人間はどう対処するのかという「差別」を問いかけたSF映画。多少難解なところもあり映画全体が暗いのだが、テーマとしては面白く、問題提起とSFの娯楽性を備えた映画だと思う。 だが、気になるお値段・・ではなく、沖さんの出番だが、「火の鳥」は冒頭だけだったのに対して、最後の方にも少し写っている(出演していると書かないところがミソ)とだけお教えしよう。

「乱れからくり」 東宝・1979年4月28日公開

愛が生まれるとき
また、血が流れる−
三百年の怨念が呼ぶ連続惨劇!
今夜も人形が襲ってくる。

出演:松田優作 篠ひろ子 野際陽子 岸田森 田中邦衛 ほか
沖さんの役名:馬割朋浩

泡坂妻夫の原作の推理小説が映画化されたもの。泡坂氏もやきとり屋のおやじとして出演している。ちなみに、そのシーンで松田優作氏扮する探偵・勝敏夫に話しかけているのは、何と沖さんの付き人。この丸山秀典氏は元々俳優志望だったので、「俺たちは天使だ!」の山田ベーカリー、「太陽にほえろ!」では警官など、ちょこちょこと沖さんの出演作品に登場している。

からくり人形の伝統がある玩具会社の自宅「ねじ屋敷」が事件の舞台。三代目 の甥・朋浩(沖さん)が謎の交通事故死をしたことに始まり、次々と馬割家の者が何者かに殺害される・・・そう書くと「また冒頭のみの出演なのか?!」と思われるかも知れないが、後半にも沖さんは写っている(またもや「出演している」とは書かないのがミソ)。松田優作氏と沖さんは「太陽にほえろ!」つながりなのか、若くして亡くなったので惜しいつながりなのか、日本テレビご用達俳優つながりなのかわからないが、ファンの間で比較されることが多いので、もう少し二人のからみのシーンが欲しかったという意見がよく出るが、松田氏は主役、沖さんは「ゲスト出演」(by沖さん)なので、役柄の差は仕方ないか。最後に二度のどんでん返しが待っているので、とりあえずは気を抜かないで観ておきたい。

ちなみに、私は併映の「黄金のパートナー」に感動してしまった。映画が終った時にふーっとため息をついてしまう充足感といえばわかるだろうか。とにかく楽しくて、最初から最後まで夢中になって観た。この映画は「大追跡」の翌年の製作で、アウトローな警官役の藤竜也氏は「水さん」を彷彿とさせる。男の友情と冒険を描いているところも、テンポの良いギャグの応酬も、そして国内の舞台は横浜であることもその一因かも知れない。「大追跡」で何度か登場した「ポールスター」が彼らの打ち合わせ場所になっている。三浦友和氏主演だが、出来れば沖さんにこの役をやってもらいたかったくらいだ。上映館でオマケとしてレコードが配られたが、その主題歌「そして、昼下がり」を何度も聴きながら映画の世界に浸った。

「トラブルマン・笑うと殺すゾ」 東宝・1979年8月4日公開

出演:河島英五 財津一郎 多岐川裕美 金子信雄 田中邦衛 ほか
沖さんの役名:西園寺英彦

主役の名前から何じゃい?と言いたくなる。「岩岩岩岩」で「いわいわ・がんがん」と読むのだそうだ。コンピュータシステムによって選ばれて一流コンピュータ会社に入社した岩岩は、仕事はしないし上司は殴るし、一目惚れした秘書課のマサコ(多岐川裕美)をつけまわす・・・と傍若無人の数々。
この当時はまだストーカーという言葉も日本には普及しておらず、一方的に好きになった相手をつけまわす行為が犯罪として世間の注目を浴びていなかったから映画として許されたのかも知れないが、病院に入院したマサコに会うため梯子を使って窓から侵入したり、結婚式場に車ごと突っ込む主人公の行動は、立派なストーカーだ。純粋無垢で憎めない天真爛漫な男という設定なのだろうが、どう贔屓目に見ても行き過ぎた行動が「笑うと殺すゾ」と言われても、全く笑えない。「コント提供 はかま満緒」とあるので、六十年代のコントの色合いが濃い。

さて、沖さんの出番だが、まずは財津一郎氏とのツーショットで英語の会話がある。長曽我部(ちょうそかべ)部長を「ミスター・超スケベ」と呼ぶスチュワーデスに長曽我部部長が「I am not a Sukebe」というと、沖さん演じる西園寺が「I don't think so」と横でつぶやく。よく考えると「私はスケベではない」に対して「そうは思いません」と答えているわけで、意味不明な会話だが、沖さんが英語を話すという場面は、15年の芸能生活でも数えるほどなので、ある意味貴重かも知れない。
その後は、多岐川裕美さんとの三三九度のシーン。「俺たちは天使だ!」の夢のシーンでCAPとユーコの結婚式があるが、そのついでに撮影されたのではないのかと勘ぐってしまう。
結婚式をメチャメチャにされた西園寺はケーキナイフをかざして新婦をかばい、なぜか財津一郎、河原崎長一郎、小松方正トリオの上に乗って騎馬戦よろしく岩岩と戦う。何もこんなシーンでこんなに真剣な表情をしなくたってと思うほど、沖さんは眉間に皺を寄せて熱演する。マサコに背中を叩かれて我に返った岩岩は、押し倒していた西園寺から離れるのだが、その時ファンとしては沖さんの細かい手の演技に注目したい。手持ちぶさたになったぞ、と手で演じているのだ。ファンには前にいる主人公も涙を流すヒロインも見えないのだゾ。

「地球(テラ)へ・・・」 東宝・1980年4月26日公開


THE ROARING TIDE OD SPACE
A SEA OF STARS WITH DEPTH LIKE SORROW,
AND IN IT'S MIDST,A SOLITARY PEARL....
TERRA, OH TERRA,
THE NOSTALGIA OF HOME,
TO BE REBORN ON THE SWEET SOIL OF EARTH.

声の出演:志垣太郎 井上純一 秋吉久美子 薬師丸ひろ子 岸田今日子 ほか
沖さんの役名:キース・アニアン

はるかな未来、地球は環境汚染や天然資源の枯渇によって、絶滅の危機にさらされていた。人口調節のために子供は14歳まで人口惑星で育ち、成人検査に合格した者だけが地球に送られて生活することが出来るシステムで合理化を図ったが、その検査で複数の異分子・「ミュウ」が発見される。「ミュウ」は超能力を持つ新人類で、その「ミュウ」が結集して人類と対決することになる・・・。

竹宮恵子原作の漫画をアニメーション映画化したもの。竹宮氏はこの物語をエネルギーを爆発させる若者と保守的で差別的な大人の世界との対立や、それらを超えたもっと深いテーマ、母なる地球への愛を描いていると語っている。 沖さんにとっては最初で最後の声優としての仕事だが、コンピュータによって創造された超エリートで、愛情を渇望しながら冷静沈着を貫く男というのは俳優・沖雅也の得意分野で、正にはまり役だった。

「『未知との遭遇』とか『スター・ウォーズ』とか、一種の夢物語と言いますか、近い将来そうなるかもしれない話=SFが、もともと僕は大好きだったんです。ですから、そういう映画に出演の依頼があれば、ぜひ出たいと思っていたところです。加えて、TVで仕事を御一緒して以来、すっかり好きになった恩地監督の演出ですので、積極的に出させて頂いたわけです」(パンフレットより)

原作を読んでおかないとちょっとストーリーがわかりにくい映画だったが、沖雅也の俳優としての地位を映画館で実感出来た。エンドロールに「キース・アニアン 沖雅也」の文字が出た瞬間、あちこちで「沖雅也だ!」という驚きの声が上がったのだ。あの沖雅也がアニメの声を・・・そんな感嘆の声がファン側である私には心地よく響いた。「ほーほっほっほ・・どうざます?」と手の甲を口に当てて白鳥麗子よろしく高笑いしたい気分だった。

「古都」 東宝・1980年12月20日公開

百恵・フィナーレ

出演: 山口百恵 三浦友和 岸恵子 加藤武 實川延若 ほか
沖さんの役名:水木 竜助


言わずと知れた山口百恵ちゃんの引退記念映画。沖さんは相手役といっても、百恵ちゃんは二役で、本命はモモカズコンビとして一世を風靡し、本当に夫となった三浦友和氏だし、そもそも恋愛はこの映画のテーマではなかった。
市川昆監督は川端康成原作の古都・京都の味わいを見事に映像化しているし、百恵ちゃんはただのアイドルではなく大女優だったことを実感させられる一作。とにかく彼女のために作られ映画であり、好青年である竜助を演じる沖さんも心なしか舞い上がっているように見えてしまう。もっとも、百恵ちゃん演じる千恵子に求婚する明るい青年という役柄だから仕方ないか。
後援会報に掲載された百恵ちゃんとのツーショット写真は、堂々と微笑む百恵ちゃんに対して、遠慮がちに顔を寄せてはにかむ沖さんの表情が可愛い。こういうどっしりと地に足がついた賢い女性と結婚してもらいたいとその頃は思ったものだ。

これで沖さんの映画出演もフィナーレとなる。海外でも話題を呼んだ大島渚監督の「戦場のメリー・クリスマス」のヨノイ少尉役の話もあったが、沖さんの体調不良により実現しなかった。
「純潔」で幸運なデビューを果たしたはずの沖さんだったが、日活の衰退、怪我による「八月の濡れた砂」の降板、そしてこの「戦場のメリー・クリスマス」と映画での代表作に恵まれることがなかった沖さんだが、その代わりテレビでは「沖雅也にしか演じられない役」を沢山残してくれたと思う。


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