映画出演 1972〜1974年

「高校生無頼控」 東宝・1972年11月26日公開

アイドル時代の沖さんを紹介した時に少し書いたが、その頃ファンの大半を占めていた少女たちには、この映画はかなり過激だった。全裸こそ少ないが、内容としてはポルノ映画といっても過言ではない。九州から兄を探して三千里の村木正人、通称ムラマサは、東京への道中でとにかく「経験」しまくるというのがストーリー。相手は剣道の師範(宍戸錠)の娘(夏純子)、質屋の店員、モデル、トラックの運転手、婦人警官、基地の外人・・・と多彩なメンバーが取り揃えられ、お調子者だが剣道の達人であるムラマサが初心貫徹なんだかちゃっかりひとり旅なんだかわからぬまま東京へ到達して、話は尻切れトンボに終る。
沖さんとしてはアイドルを脱却するための賭けとして、この仕事をふたつ返事で引き受けてしまったらしい。事務所へは事後報告だったという。
確かにアイドルからは脱却したが、学生服にピンクの唇が初々しく、どこか顔に品のある沖さんにはワイルドなムラマサは難役でもあった。第二弾もあったが、主演は大門正明氏に替わっていたので当時はかなり安心した。これが映画出演への意欲を常に語っていた沖さんの唯一の主演作というのは、かなり残念な話だ。

「男じゃないか闘志満々」 松竹・1973年2月20日公開

その頃の松竹はその頃のアイドルを主演に起用した「アイドル映画」ともいえる作品を沢山作っていたが、これはその頃のトップアイドル・森田健作を主演に据え、沖さんも花を飾る形で出演している。実年齢では森田氏の方が年上だが、沖さんは画学生の兄・町田清を演じている。父親役にフランキー堺、沖さんの相手役にはこれまた年上の新藤恵美。当時売り出し中だった新人歌手の森昌子も歌手の役で登場する。アイドル映画の特徴は、歌手が歌手の役で出演して持ち歌を歌うことにあった。
この映画では、沖さんも歌を披露する。といっても合唱なのだが、ちあきなおみの「喝采」を歌っているのが時代を感じさせる。

「ときめき」 東宝・1972年11月26日公開

これもアイドル映画。主演は当時グラビアアイドルで歌手デビューした栗田ひろみで、彼女の他に浅田美代子や桜田淳子も歌手として登場して歌を披露する。沖さんの役は栗田ひろみが所属する高校の水泳部の監督だが、出番はほとんどない。「必殺仕置人」に出演した関係で、松竹へのお義理出演というところか。話が脱線するが、劇中は録音した音声だったので無難にきこえる栗田ひろみの歌声だが、生放送で聴いた彼女の歌唱力は浅田美代子をして「私は栗田ひろみには勝ってた!」と言わせたスゴイものだった。テレビの前で目がテンになったのを覚えている。

「恋は放課後」 松竹・1973年9月15日公開

恋は放課後 (松竹作品・1973年9月15日公開)

美人教師(松坂慶子)が田舎の高校へ赴任したことからはじまる騒動を描いた作品。沖さんは彼女にほのかな恋心を抱く地元のヤクザ・田所祐吉を演じている。みどころは、歓迎の儀式として船から突き落とされた女性教師を助けに海に飛び込む沖さん。ヤクザにしては見事なクロールだ。いや、ヤクザだって歌って泳げなくてはいけないのか。
この映画もアイドル映画としての体裁を保っていて、スナックの前座歌手として西城秀樹が熱唱、桜田淳子は明るく生きる車椅子の少女としてクッククックと歌っている。
この番宣で松坂さんと沖さんは揃って「スター千一夜」に出演し、息の合ったところを見せていたが、その後の二人にロマンスは芽生えなかったらしい。残念なようなほっとしたような・・?

「ザ・ゴキブリ」 東宝・1973年12月1日公開

東宝作品とはいえ、日活の匂いを漂わせた内容。主演が渡哲也氏であるせいかも知れないが、地方都市のヤクザと警察の汚染、男の友情などのテーマがいかにも日活映画の二番煎じだ。ただ、そこから漂って来る雰囲気が微妙に違って見えるのは、沖さんの役柄が出世したからか。一応刑事として活躍し、最後まで殺されることもなく渡氏とのラストシーンを飾っている。

「あした輝く」 松竹・1974年11月2日公開

里中満智子原作の漫画の映画化。原作は大河ドラマのように長いのだが、この映画では浅田美代子と志垣太郎の主演で、二人が終戦後の満州から引き揚げ、恩師の子供を育てて行くまでを描いている。
沖さんの役は加賀中尉。今日子(浅田美代子)に結婚を申し込むが、香(志垣太郎)に奪われてしまう。それでも二人を添い遂げさせるため、銃殺したことにして香を逃がす。中尉の制服が似合うかと思いきや、短髪のカツラがもうひとつ似合っていないのが残念だ。

翌1975年には「愛と誠」に岩清水宏の役で出演しているはずだが、この資料がどこへ行っても見当たらない。松竹へ問い合わせても「仲雅美の間違いでしょう」と言われる。確かに仲雅美氏も同じ役で出演しているが、「愛と誠」は何作か作られているので混同されているようだ。唯一の手がかりは数年前放送された「あなたの青春ベスト100」という番組で岩清水君が出演するシーンを流していることだ。雨の中学生服で「早乙女君、僕は君のためなら死ねる!」という(マニアには)有名な台詞を言っているのは間違いなく沖さんで、「沖雅也」という字幕もきちんと出ている。
− この作品についてご存知の方がいたら、管理人までご一報いただければ幸いです。

この後約2年もの間、映画出演の機会はなくなる。その後は東宝作品にいくつか出演することになるが、これは日テレの東宝系作品(いわずと知れた「太陽にほえろ!」「大追跡」など)に出演しているため、お義理出演といった程度の出演しかない。残念だ。

また、昭和47〜8年頃に、当時爆発的にヒットした英映画「小さな恋のメロディー」で可憐な少女を好演し人気を博したトレイシー・ハイドと「美しい旅」という映画制作の企画があったが、実現しなかった。沖さんは来日したトレイシーと顔合わせまでしているのだが・・・。


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