ゲスト・単発ドラマ3


<< 俺たちの明日 >> 日本テレビ

木曜ゴールデンドラマ

放送日: 1980年5月4日
共演者: 中村雅俊 勝野洋 石原裕次郎 梅宮辰夫 多岐川裕美 森下愛子他
沖さんの役名: 沖田総司

沖さんの作品としては珍しい幕末ものだが、2シーンのみの友情出演。
誰に対しての友情かといえばもちろん岡田晋吉プロデューサーで、脚本の柏原寛司氏によれば、当時俺たちシリーズや「ゆうひが丘の総理大臣」が終わって青春ものの出演に一区切りついた中村雅俊さんと勝野洋さんに仕事をあげたいと考えたための企画ものだそうで、石原裕次郎さんまで勝海舟として特別出演してバックアップしており、沖さんも岡田さんヘルプのために多忙なスケジュールを縫っての、正に友情出演となったらしい。
当時の沖さんはCXの「同心部屋御用帳 新・江戸の旋風」「江戸の朝焼け」の他、「太陽にほえろ!」にも復帰したばかり。
すでに目の下に隈が出来ており体調の悪さがうかがえるが、沖田総司なら具合が悪く見えれば良いじゃないかといえば、そうでもない。
本来の沖雅也ではないのは、ファンなら分るはずだ。
大上段に振りかざしたようなクサイ芝居は、テレビならではの芝居が出来る沖さんのものではない。
主役のお二人が幕末ものでありながら日テレの青春ものをそのままに自由に走り回り笑顔を振りまいているのに対し、血を吐いて倒れた時のセリフなどは、まるで戦前の時代劇だ。
珍しく辛口のコメントになってしまうが、『沖田総司 20歳』と出ているので、さらに無理が生じる。坂本竜馬役の中村雅俊さんと対峙すると、沖田総司の方が年上に見えてしまう。実際には中村さんの方が一歳年上なのだが、毎度おなじみ「年より老けてみえる沖雅也」なのでそれは仕方ない。
「姿三四郎」と同じく、まずはキャスティングありきでスタートしている企画なのだから。
それにしても、「俺たちは天使だ!」は、当初新撰組を舞台とした幕末ものの企画だったものが変更になったと聞くが、その時の沖さんの役は近藤勇だったのだが、その1年後に沖田総司とは、かなり友情がゴリ押ししていたと思える。

基本は坂本竜馬(中村雅俊)と中岡慎太郎(勝野洋)の友情物語で、いつもと変わらぬお二人と比べて、沖さんはきちんと演じ分けているから、もっと若い時に本格的に沖田総司を演じてもらいたかったと残念に思える。


<< 北帰行殺人事件 >> テレビ朝日

土曜ワイド劇場

放送日: 1982年4月17日
共演者: 三橋達也 樋口可南子 綿引勝彦 垂水悟朗 佐藤仁哉 他
沖さんの役名: 橋本豊
原作:「北帰行殺人事件」西村京太郎 著

恋人をレイプして自殺に追い込んだ男たちに復讐を図る橋本・元刑事(沖さん)と、元部下を信じようとする十津川警部(三橋達也)と亀井刑事(綿引勝彦)。実は殺人者は意外な人物で、意外な動機を持っていた。
橋本を探す刑事たちが差し出す写真がマル○ル堂のプロマイドだったのがちょっとだけ笑えたが、体調不良の沖さんを観るのがちょっと辛い作品。

1980年の暮れから心身の不調を訴えていたと日景忠男氏の著書・「真相・沖雅也」には書かれている。さらに81年4月12日には東名高速三島インター付近で沖さんは交通事故を起こしているため、81年はレギュラーの「太陽にほえろ!」と「江戸の朝焼け」のみの出演となった。
年が明けて82年のこの作品は、今となっては観るのが辛いような沖さんが画面の中でもがいている。自律神経失調症の薬の副作用でむくんだ体と肝機能障害で黒ずんだ顔。目は乱視のために焦点が合わないので、大きなサングラスを終始かけている。そして何より台詞の言い回しが、以前の沖さんと同じ人とは思えないような棒読みだ。心ここにあらず、といった雰囲気だ。ファンに太った体をさらしたくない、と出演を渋っていたというが、長年のファンにとってはどんな沖雅也でも大事な沖さんだ。日景氏の著書で沖さんが「沖雅也で生きるのはもうゴメンなんだよ」と言っていたと知って、ファンとして何よりも彼の幸福を願っていたことを伝えられる立場になかったことにまた地団駄を踏んだ。


<< 殺意の家 >> 日本テレビ

木曜ゴールデンドラマ

放送日: 1982年11月17日
共演者: 片平なぎさ 宮園純子 高橋昌也 佐々木すみ江 永島暎子 他
沖さんの役名: 大池隆
原作:久生十蘭

TVレポーターの久美子(片平なぎさ)の周囲で次々と起こる不可解な死。まず友人が彼女の部屋で自殺し、婚約者・隆(沖さん)の母親(佐々木すみ江)に薬を渡すと、母親は薬を大量服薬して死んでしまう。婚約者にまで疑惑を持たれた久美子は警察でも刑事(中尾彬)の厳しい責めに合い、おまけに自室には死体が。そして一人で真相を突き止めようとした久美子の身には危険が迫っていた。

婚約者がいながらお手伝いのきよ(永島暎子)とも関係を持っていた隆は、献身的に母親の介護をしてくれた婚約者をかばうどころか疑ってしまう。もうひとつシャキッとしない男の役だが、後半可愛がっていた犬が死んだことから犯人探しに奔走し、容疑者に迫る激しい男に変身する。
「北帰行殺人事件」と同じく、室内でサングラスをかけて登場した沖さん。美容院に行くことも出来なかったのか、髪が伸び放題でトサカのように盛り上がっている。天然パーマは伸びると大変なことになるというのは本当のようだ。急に体重が増えたので背広を新調する暇もなかったのか、あるいは現実は外出までままならない状態だったのか。後半はサングラスを外すが、別に焦点が合わない風でもないし、犯人に迫る表情はさすがだ。この頃「自分はもう通用しないのではないか」と悩んでいたというエピソードが「真相・沖雅也」に出ているが、通用しないのではなく、余裕がない演技は仕事どころではない体調を物語っている。仕事がしたいと言うのでとって来ると、当日になって行かれないということが何度も続いたという。そんな沖さんの葛藤が垣間見える一作。


<< 寛永御前試合 >> フジテレビ

新春ワイド時代劇
放送日: 1983年1月1日
共演者: 鹿賀丈史 天知茂 山村聡 松方弘樹 勝野洋 他
沖さんの役名: 由比 正雪

講談で有名な寛永御前試合を、元日らしくアクションや陰謀などを絡めて描いた娯楽時代劇。
将軍家光(三田明)の時代、紀州の紀伊頼宣は鎖国を巡って家光と対立していた。その家光は御前試合を計画。幕府に対して陰謀を図る由比正雪(沖さん)は、幕府を守ろうとする松平伊豆守(天知茂)や柳生十兵衛(鹿賀丈史)と対立するが、この十兵衛、女好きでだらしなく、人を食ったようなひょうきん者だった。一体十兵衛の狙いは何か。他に荒木又右衛門(勝野洋)や宮本武蔵(松方弘樹)なども登場し、明国王女(小野みゆき)の誘拐なども絡めて華やかなお正月特番として仕上がっている。その二年前には「江戸の朝焼け」で沖さんのサポート的な役だった鹿賀丈史氏(後半は沖さんの体調不良のためか沖さんより出番が多い)がここでは主役に廻っている。とはいえ、沖さんの由比はそう悪くない。軽い雰囲気を出した鹿賀版柳生十兵衛に、重厚な台詞廻しでうまい対比を見せる。あ、これは演出のうまさか。
“ボディービル界の百恵ちゃん”と呼ばれて話題になった西脇美智子も話題作りに出演している。


<< 素浪人罷り通る・去るも地獄生きるも地獄 >> フジテレビ

時代劇スペシャル

放送日: 1983年2月18日
共演者: 三船敏郎 小池朝雄 夏木マリ かとうかずこ 丹古母鬼馬二 他
沖さんの役名: 藤川壬十郎

風来坊の浪人(三船敏郎)がふとしたきっかけで投宿することになった村で、村人を苦しめる名主(小池朝雄)と闘う物語。一服盛られた風来坊の三船敏郎氏が体の自由がきかないままドブの中にかくまわれ、みつかりそうになった時に熱湯をまかれてアチチ・・・となるシーンが笑える。村人が一致団結する時、要になる三船氏の存在感でまとめられている。さっすが。飲み屋の女将・おもん役の夏木マリもいい味を出している。名主の雇われ用心棒・藤川(沖さん)との決戦がクライマックスだが、「世界のミフネ」と一対一で対決する役者となった沖さんは、懐手で風を切って歩く姿もなかなか堂々としている。前年(1982)に大阪新歌舞伎座での座長公演があったこともあり、時代劇スターとしての道も開きかけていたように当時の私には見えた。敵役ではあるが、雇い主の名主に怒鳴りつけるシーンもあり、悪人ではない。刀さばきも三船氏ほどではないが、綺麗にキマッている。最近の時代劇は刀を鞘に納めることすら出来ない役者さんがいて、特に時代劇マニアという訳でもない私が観ていても気になることがあるが、沖さんのお陰でしっかりした時代劇を見慣れているせいらしい。


<< 大奥犯科帳 >> フジテレビ

時代劇スペシャル

放送日: 1983年5月16日
共演者: 星野知子 野際陽子 高見知佳 早坂あきよ 小池朝雄 他
沖さんの役名: 桂木小四郎

お世継ぎである竹千代君が何者かに殺される事件が起きた。松平守の密偵として働く音羽(田島令子)の下、美和(星野知子)、お春(高見知佳)、お里(早坂あきよ)の三人が真相究明のために活躍する。
沖さんの役は美和の幼なじみで小石川で療養所を開く医師。出番は少ないが、減量に成功した時期(出演者の吐く息が白い時があるので、撮影は冬か)であり、かなりすっきりとしている。顔も明るいし、「おいおい、どうしたんだ」という台詞では、久しぶりの笑顔を見せてくれる。
この年の5月から亡くなる6月まで、沖さんは「大奥」で将軍・家光を演じているが、「お針あらため」や「お宿下がり」など、大奥の様子を伝えるシーンは似ている。個人的には子供の死体が池に浮いているシーンが気分を悪くさせる作品だが、キャストの順列で沖さんは出番が少ないにもかかわらず最後になっているので許す。


<< 天使の復讐 >> 日本テレビ

火曜サスペンス劇場

放送日: 1983年6月21日
共演者: 志穂美悦子 北村総一朗 橋爪功 新橋耐子 梅津栄 渥美国泰 他
沖さんの役名: 松村徹夫
原作:「神は裁かない」清水一行 著

夜間の診療拒否から一人息子を亡くした浅川久江(志穂美悦子)は、その医師達に復讐を決意し、看護師として各々の病院へもぐりこむ。だが久江は偶然急患の時に居合わせた医師・松村徹夫(沖さん)の迅速な対応と手術を見て、想いを寄せるようになる。徹夫もまた久江に心惹かれるが、同時に周囲で起こる不可解な事件の犯人が彼女だと気づいて行く。
志穂美悦子さんとの激しいキスシーンと手術着の沖さんが見もの。だが、ベッドでの沖さんの顔と背中には大きなニキビがいくつも出来ている。ニキビはストレスや環境の変化でも起こるというが、額に深く刻まれた皺と色濃く塗られたドーランからも闘病の様子がうかがえる。亡くなる一週間前に放映された作品。
私生活では子供を持たない志穂美悦子さんが熱演している。しかし、それゆえにこのドラマを見直すことは、私にとってはしんどい作業だった。
ラストシーンで子犬が無視されているのが気になる(笑)。


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