ゲスト・単発ドラマ2


<< 天皇の世紀 ドキュメンタリー版 >> 朝日放送(当時TBS系)

第1回 「福井の夜」

放送日: 1973年10月7日
共演者: 高橋昌也(ナレーション) 伊丹十三監督
沖さんの役名: 坂本龍馬

大佛次郎原作の幕末の物語を、ドラマ版とドキュメンタリー版に分けて制作したもので、沖さんが出演したのはドキュメンタリー版の第一話のみ。
監督は当時まだ俳優としても活躍していた伊丹十三氏で、ドラマ版との違いを出しながら、ただのドキュメンタリーとは違う味を出そうと苦心しているのがうかがえる。

沖さんの坂本龍馬は颯爽と登場。大きな夢を抱いて山道を進むその姿に、維新への野望がきちんと感じられる。
だが、坂本龍馬はのちに原田剛さん(「太陽にほえろ!」ファンには殿下殉職回に登場した犯人といえば分かりやすいか)、中尾彬さんとキャストが変わる。セリフも一言もない。
渡辺文雄、金田龍之介、岸田森、横光克彦、織本順吉、南原宏治、観世栄夫、山本麟一、中谷昇 各氏の再現ドラマ出演もあり、沖ファンには「うむ!」という豪華なキャスト。

途中から伊丹氏本人も役に扮して登場しはじめたり、最近までTBS系で放映されていた時代もののバラエティーショーで使われていた、現代のキャスターが過去の世界に入ってインタビューをする形式なども、40年前にすでに使われていたことがわかる。
錚々たるメンバーを揃えたドラマ版に対抗するために、さまざまな工夫を凝らしていたようだ。
脚本が蔵原惟繕氏だったり、朝日放送系列だったこともあるので、もしかしたら「必殺仕置人」撮影中だったため依頼があった仕事なのかも知れない。
2012年9月に時代劇専門チャンネルで40年ぶりの再放送があったので、初めて沖さんが出演されていたことを知った作品。



<< 剣と風と子守歌 >> 日本テレビ

第22話 「鬼が惚れた鬼」

放送日: 1975年8月26日
共演者: 三船敏郎 中村敦夫 竹下景子 他
沖さんの役名: 辰蔵

腕は立つが無表情。だが心の奥底は優しさが流れている・・・そんな男ばかりを演じていたような気がする三船敏郎の時代劇のひとつ。当時の名子役・斎藤こずえちゃんが出ており、可愛い歌声を披露している。
顔じゅう髭だらけで、お風呂に入っていないから臭く、おまけに酔っ払い。気性が荒いから「鬼辰」と呼ばれる馬方の辰蔵が沖さんの役どころ。渋面を作りながらも彼を気遣ってくれる砦十三郎(三船敏郎)に、まだ見ぬ父の姿を追う。
沖雅也という俳優をスターに押し上げた作品「さぼてんとマシュマロ」の長富忠裕氏がプロデューサーをつとめ、「ふりむくな鶴吉」の杉山義法氏の脚本。

恋心を抱く名主の娘・おりんに竹下景子さん、母親に野村昭子さん、悪漢に穂積隆信さん、阿藤海さん、高城淳一さん、と共演者もおなじみの顔が揃う。
「おねげえでごぜえます」「おとっつあん!」「おめえさんも相当なワルだぜ」と、絵に描いたような台詞が続く娯楽時代劇だが、演じようによってはおかしな運びとなりそうな台詞を、沖さんをはじめ名優たちが自然に見せる。まだ無名だった竹下景子さんも「八州様を殺して」と迫る目が、後年のブレイクを予感させる。ラストに「御用」のちょうちんをバックに歩く三船敏郎氏はさすが。だが、一番のみどころは、三船敏郎氏のほっぺにチューする沖さんだ。時代劇、しかも三船敏郎氏に対して、これは予期せぬ展開だった。もうひとつ、実は名主の息子と分かってこざっぱりした姿で登場する辰蔵には「鶴さん!」と声をかけたくなる。沖さんの豪快な笑いが気持ち良い作品。


<< 伝七捕物帳 >> 日本テレビ

第107話 「裏通りの鼠たち」

放送日: 1976年3月30日
共演者: 中村梅之助 瀬川新蔵 和田幾子 今村民治 他
沖さんの役名: 狐の芳造

「ふりむくな鶴吉」33話『市村座女形地獄』で縁が出来た前進座の制作。同年の10月には大阪中座での前進座舞台公演「ふりむくな鶴吉」、78年には「達磨大助事件帖」(後述)にも沖さんがゲスト出演している。

芳造(沖さん)は、ゆすりたかりの方法を長屋の子供たちに教えて「兄貴」と慕われるやくざな男。彼に恋する娘・おひな(沙川露里)を女にしてしまうが、おひなを密かに愛していた金太(雷門ケン坊)は彼女を手込めにした男を刺し、自分も殺されてしまう。百叩きの刑になった芳造だが、伝七に諭されて、お仕置きの最中に子供たちの目の前でわざと転げまわって醜態を見せる。がっかりする街の者達に、伝七は「少なくともあいつは男一匹よ」と言うのだった。

「必殺仕置屋稼業」のすぐ後なので、見た目は市松とよく似ている。少し肉付きもよくなって、着流し姿が色気たっぷりの沖さんが堪能出来る作品。黒地に白模様の着物が実によく似合う。その頃入院していた友人は病院のロビーでこの作品を観たそうだが、着物からみえる首筋と肩の線の色気に悩殺されて入院が延びたと言っていた。
色気はともかく、ねんごろになった娘はどうみても14〜5歳。あかんのとちゃうか?


<< 必殺仕業人 >> 朝日放送

第24話 「あんたこの替玉どう思う」

放送日: 1976年3月30日
共演者: 藤田まこと 渡辺篤史 中村敦夫 大出俊 他
沖さんの役名: しじみ売り

必殺シリーズ200回記念で、これまでの殺し屋たちが大挙ゲスト出演している。沖さんの他、石坂浩二さん、緒方拳さん、大塚吾郎さん、草笛光子さん、田村高廣さん、中村玉緒さん、中谷一郎さん、野川由美子さん、三島ゆり子さん。どれも一瞬の出演で、沖さんの出番はサブタイトルの後最初の事件が起こった直後に約5秒。台詞は「あさり〜、しじみっ!」を2回のみ。

この必殺シリーズは「必殺仕置屋稼業」の後番組なので、仕置屋稼業の最終回で市松を逃がしたことから降格された中村主水のその後が見られる。暮らし向きは更に厳しくなっており、せんりつコンビは傘張りの内職をしていることに驚かされる。捨三は風呂屋の釜炊きから洗濯屋になってはいるが、相変わらず主水の子分として情報屋をつとめている。ちなみに、この回でストーリーに関係がある真のゲストはスコッチの元恋人・トコを演じた夏純子さんと、またなの?!と言いたくなるほど悪役で登場する穂積隆信さん。


<< 静かに…幕 >> 中部日本放送(CBC)

東芝日曜劇場

放送日: 1976年7月18日
共演者: フランキー堺 中村翫右衛門 和田幾子 他
沖さんの役名: 相馬良介

失われゆく芝居小屋をモチーフにしながら、父と子の愛情をしっとりと描いた佳作。フランキー堺さんとは映画「男じゃないか闘志満々」「恋は放課後」でも親子を演じているし、「恋は放課後」ではフランキーさんがこのドラマと同じく地方の芝居小屋の小屋主の設定だ。フランキーさんが持ち込んだ企画だというから、原案はこの映画かも知れない。
息子の良介(沖さん)の助言に従ってさびれた下町の芝居小屋を閉じることにした金作(フランキー堺)のところに、旅役者の章二郎(中村翫右衛門)がやってきた。最終公演の後で酒に酔った章二郎は、自分が良介の実の父親であることを口走ってしまう。驚いた良介は・・・。

中村翫右衛門さんとはこの年の10月に大阪中座・前進座公演で「神門辰五郎」でも共演している。伊藤松朗プロデューサーが「沖君がすばらしい演技をみせてくれました」と語っているのが嬉しい。


<< 依頼人 >> NHK

土曜ドラマ・松本清張シリーズ

放送日: 1977年10月29日
共演者: 太地喜和子 小沢栄太郎 二木てるみ 松本清張 他
沖さんの役名: 河村弁護士

美容院を経営する伊佐子(太地喜和子)は幼い頃川に溺れた時手を差し伸べてくれた男との間にある想い出があった。スポンサーが死んだことにより土地の権利を巡るトラブルに巻き込まれた伊佐子は、沼田弁護士(小沢栄太郎)の魔の手から逃れるため、若い河村弁護士(沖さん)に助けを求める。沼田弁護士と対決する姿勢を見せる強さに、伊佐子は幼い頃に差し伸べられた手を思い出し、彼と一夜を共にするが・・・・。主人公が男に頼りろうとする時に、必ず川の流れが画面をよぎる演出が心憎い作品。原作者の松本清張氏も花屋の主人の役でゲスト出演している。


<< 涙・あいつは今夜もいない >> テレビ朝日

土曜ワイド劇場

放送日: 1978年4月1日
共演者: 和泉雅子 月丘夢路 板東正之助 栗田ひろみ 織本順吉 草薙幸二郎 他
沖さんの役名: 石川一郎

スーパーに連続強盗事件が起こり、事件の夜になると姿を消す弟・二郎(板東正之助)の反抗と確信した刑事(沖さん)は、自分だけでカタをつけようとして、次の犯行現場となる場所で一人で待ち伏せをする。

一介の警察官でありながら、バーバリーのコートに身を包む沖さん。父親が殉職警官だったので、恩給が良いのか。タバコの代わりに禁煙パ○ポのようなものをいつもくわえているのは、「赤かぶ検事奮戦記」の法眼弁護士と同じだ。家庭持ちという設定では姉さん女房が多い沖さんだが、和泉雅子さんとの夫婦役にはさすがに無理がある。水の江滝子プロデューサーが日活がらみだったからだろうか。「太陽にほえろ!」出演以来多くなった刑事役の第一弾。原作はウィリアム・アイリッシュで、最後におもいがけないどんでん返しがある。


<< 達磨大助事帳 >> テレビ朝日

第27話 若いのろし

放送日: 1978年4月27日
共演者: 中村梅之助 池波志乃 和田幾子 穂積隆信 岡まゆみ 他
沖さんの役名: 啓次

「ケイジさん」と呼ばれてはいるが、今回は腰のひくーい花火職人。とはいえ、自分が老中になりたいばかりに農民を苦しめる藩主を拉致して自爆テロをしようとする血気溢れる若者だ。お糸(池波志乃)が相手役で、またもかなり姉さん女房な印象。最後に見栄を切る中村梅之助に、娯楽時代劇の神髄を見ることが出来る。キマッテるのだ。


<< 早筆右三郎 >> NHK

第18話 夢の超特急えれんじゃー

放送日: 1978年8月9日
共演者: 江守徹 浅茅陽子 穂積隆信 他
沖さんの役名: 矢吉

東海道五十三次を一日半で走るという早飛脚の矢吉(沖さん)は、五郎八(穂積隆信)の陰謀で飛脚問屋に高く売られようとしていた。矢吉の走りっぷりを見ることにした右三郎(江守徹)だが・・・。
ビューン!という高速音と共に「新幹線より速く走る」エレンジャーは、まるで特撮ヒーローだった。上半身裸にさらしを巻いた飛脚姿が似合う。


<< 復讐・ある女教師の告白 >> テレビ朝日

土曜ワイド劇場

放送日: 1978年11月25日
共演者: 香山美子 木村功 岸本加代子 他
沖さんの役名: 松下刑事

予備校生の修(長谷川諭)が投身自殺をした。母親の証言で教師の英子(香山美子)を呼び出して事情聴取をするが、英子は修の父親の子を宿した身で、息子の修とも関係があったことが明るみに出る。
土曜ワイド劇場が「三分に一回はエロ・グロ・ヌード」になっていた頃の作品なので、むむむなシーンが多いが、刑事役の沖さんはとりあえず堅気。女優さんがヌードになることが話題になる時代でもあった(今でもそうか)ので、ラストに香山美子さんのヌードシーンもあった。


<< 京都殺人案内・花の棺 >> テレビ朝日

土曜ワイド劇場

放送日: 1979年4月21日
共演者: 藤田まこと いしだあゆみ 二宮さよ子 シェリー 青木義朗 他
沖さんの役名: 西川和彦

華道界に起こる連続殺人事件を京都府警の狩矢刑事(藤田まこと)と米国副大統領の令嬢・キャサリン(シェリー)が追う話。原作は山村美沙。<
東流の異才・小川麻衣子(二宮さよ子)に続いて京流の家元が殺される。西川和彦(沖さん)は京流の家元の第三夫人に産ませた子だが、京流の後継者。だが和彦は商業デザイナーの道を選び、東流の小川麻衣子と恋仲だったことから容疑者となる。以前は自分の流派の久条麗子(いしだあゆみ)が恋人だったが、彼女が自分の父親である家元と関係したことからニューヨークへ旅立ち、そこで麻衣子と出会ったのだった。
中盤で和彦が狩矢刑事に告白するシーンがある。必殺ファンには何となくもっと絡んで欲しいツーショットだが、この話での沖さんはあくまでも脇役で、背中を丸めて狩矢刑事に言い訳をするばかりだ。敢えていえば、京都の名所をバックに佇む姿や、パーティーで着ているピンクのシャツがよく似合うところがみどころか。それにしても、この話でも相手役はいしだあゆみさんと二宮さよ子さん。またしても大分年上だ。沖さんは一般的にみて、そこまで老けて見えたのだろうか。それとも、おネエサマ方に愛されるタイプだったのだろうか??


<< 江戸の激斗 >> フジテレビ

第18話 復讐の狼・猛火の決闘!

放送日: 1979年10月25日
共演者: 小林桂樹 地井武男 永島暎子 川地民夫 他
沖さんの役名: 竜次郎

5年前島流しにあっていた元親分の竜次郎が御赦免になって帰って来た。竜次郎元恋人(永島暎子)が、自分に代わって島を治めている男の女房になっていることを知った長兵衛(小林桂樹)は、竜次郎の復讐心を心配し、江藤(地井武男)に尾行を命ずる。地元・藤井宿に帰った竜次郎が見たものは・・・。無宿人の扮装をする沖さんを見たければこれ。


<< 江戸の波涛 >> フジテレビ



放送日: 1979年12月22日
共演者: いしだあゆみ 田村高廣 奈良岡朋子 早乙女愛 他
沖さんの役名: 花房律之助

山本周五郎原作「しじみ河岸」のドラマ化。ドラマ、それも時代劇が土曜の昼間に本放送されたのは珍しかった。
同心・花房律之助(沖さん)は殺人を告白して刑が確定した後も、まるで取り乱した様子がないお絹という女が気になり、詮議のやり直しを始める。しじみ河岸で事情聴取をする律之助は、農民たちの貧しい暮らしと侍への敵視に直面しながらも、真実を追究して行く。
山本周五郎の「善意の世界」に沖さんは合うのではないかと思っていたが、その期待にばっちり応えてくれている。清廉潔白な同心の佇まいと、弱者への思いやりに満ちた眼差しは、役者・沖雅也の魅力を十分に発揮してくれている。髷がほんの少しほつれているのが気になるが、客観的に観ても佳作だと言いたい。デートしたい女性に挙げた奈良岡朋子さんが母親役。


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