「だから大好き!」1972年4月1日〜7月1日放送 全14話

出演:岡崎友紀 小松政夫 有吉ひとみ 九里みのる 深江章喜 他
沖さんの役名:伊集院隼人


世界一小さな国である南の島のパール王国の王女・サヤカ(岡崎友紀)は、クーデターで国王になったダイヤ王国のブザマ国王(金子信雄)と結婚させられそうになり、日本へ逃げる。
サヤカは父であるサラバヤ国王(下条正巳)が日本へ留学していた頃に、日本女性との間に出来た子供だった。
世間知らずの王女だが、持ち前の天真爛漫さとガッツで、日本で冒険を続ける。彼女には父と先代のダイヤ国王が決めた婚約者・ハヤト王子がいるのだが、彼女はそれが誰なのか気がつかず・・・。

少女漫画(「少女フレンド」)が原作なので、おとぎ話のような展開で、なんでパール王国は日本語が公用語なのだとかいう基本的疑問はともかく、荒唐無稽な展開に子供だった当時ですら、ついて行かれなかった。
案の定ついて行かれる人はごく少数だったらしく、「コケるだけコケて」(岡崎友紀さん談)三ヶ月で「小さな恋のものがたり」にリニューアルする。
同じ枠でこの前に放送されていた「さぼてんとマシュマロ」は大変評判が良く、沖さんんの人気もうなぎのぼりだったし、主役に人気絶頂だった岡崎友紀さんを据えることで、さらなる視聴率アップを願ったものであろうが、企画が安易だったのは否めない。
この後に急遽制作された「小さな恋のものがたり」が佳作なだけに、最初からそちらにして半年放送してもらいかったというのが正直な感想だが、サヤカ王女が危機に陥りそうになると、白馬ならぬフェアレディZを飛ばしてやって来る王子様がやって来てくれたらなあ、と妄想したのも事実。王子様は少女の永遠の憧れなのだ。

沖さんはこの放送が始まった1972年4月の番組改編で、この番組の他「1・2・3と4・5・ロク!」「キイハンター」「未婚・結婚・未再婚」の計四本のドラマにレギュラー出演が決まっていた。実際にはそんなことが出来るわけはなく、どれも出番は少なめで、「キイハンター」に至っては、ほんの数回出演しただけで、自然消滅している。
事務所は急に人気が出た沖さんを「旬」とみて、稼げるだけ稼がせようと考えたのだろう。
雑誌への露出も多く、とても全部は買えずに友達に「この記事だけちょうだい」と頼んで廻らなくてはならないほどだった。
髪が伸びてきたところに脱色までしているので、「さぼてんとマシュマロ」の仁君とは、正しく毛色が違う雰囲気だ。

この「だから大好き!」では、多忙なスケジュールの中で紀伊半島のロケにも出かけており、ハヤト王子は出て来ないのかとおもいきや、ちゃんと参加している。キイハンターにはいなくても、紀伊半島にはいたのだ。

毎回岡崎友紀ちゃんが歌を歌う。
本放送当時は沖さんの出番を心待ちにしていたので、この歌の時間が長く感じたのだが、今聴くとどれも名曲。岡崎友紀さんの歌声には、人を楽しくさせるものがあることがわかった。
今見れば、お二人のファッションもキュート。







各話のエピソードは以下の通り。

話数 放送日  サブタイトル           ゲスト
1. 4/1   駆け出した王女様      下條正巳 金子信雄 今村良樹
*ダイヤ王国のブザマ国王(金子)と結婚させられそうになったサヤカ王女が、日本へ密航する。日本へ着くなりダイヤ王国の秘密警察につかまりそうになるサヤカだが、伊集院隼人(沖さん)が現れて撃退してくれる。
パール王国は逗子○リーナだったのか。

2. 4/8   ハーイ!さやかです     塩沢とき 柳谷寛 千葉裕
*母の墓参りをしているサヤカを見て、驚く隼人。
隼人はサヤカの母に「お世話になった恩返しに、どんなことをしても彼女を守ります」と誓う。
花屋の店員・『汐見さやか』として住み込みの仕事を得たサヤカだが、息子・一郎(千葉)と仲が良いのを快く思わない母親は、彼女が王女だと知って新聞社に密告する。
またもつかまりそうになるサヤカの前に、隼人が現れれて車に乗せる。

3. 4/15  お金ないんだモン      木田三千雄
*公園で出会った少年に連れられて施設で働くことになったサヤカ。
園の窮乏を知り、賞金をもらおうと歌手のオーディションに出る。
その頃、ダイヤ国秘密警察さそり隊のゴーマン長官(深江章喜)は、ハヤト王子がサヤカに接触するとみて、エミ子(有吉)を送り込む。
ハヤト王子の目印は、左胸の大きなホクロだというのだが・・・。

4. 4/22  悪い人なんかじゃな〜い   二瓶康一(現・火野正平)
*施設に石本(二瓶)という男が訪ねて来る。
彼はこの施設の出身で、今はビルの掃除係をしているというが、実は怪盗十三号。
彼が警察に追われていることを知ったサヤカは石本を逃がそうとするが、サヤカまでが警察につかまりそうになる。
ここまで来ればお約束がわかって来て、フェアレディのご登場を待ってしまうのだが、この日のハヤト王子はバイクで参上。彼女を後ろに乗せて警察の追跡をかわす。
なお、この二年前に撮影中のバイクの事故で肩の骨を折っている沖さんは、このシーンだけスタントマンを頼んだという。ここでまた骨折してチャンスを逃がしたくなかっただろうし、皆に迷惑をかけたくないという配慮だったらしい。

5. 4/29  ズッコケ名コーチ?!    西川鯉之丞 赤塚真人 里見潤
*サヤカを追って来た召使のウスラ(小松政夫)とサブ(九里みのる)に、国へ帰るように説得されるサヤカだが、隼人に近くの日輪高校で管理人を募集していると知らされ、ウスラとサブと共に、住み込みで働くことになる。
野球部の合宿で知り合った片山(西川鯉之丞)をレギュラーにするために、他の選手たちの弁当にヒマシ油で揚げた天ぷらを混ぜるが、片山だけが無事だったことに他の選手が激怒。あわてて隼人が登場して罪をかぶる。
後番組「小さな恋のものがたり」にも登場する赤塚真人さんと里見潤さんがゲスト出演。
赤塚さんが豪腕のピッチャーという設定にも無理があるが、パール王国の国歌がすごい。
♪パパイヤしげれる バナナの国へ・・・

6. 5/6   コートで恋のキューピッド! 小林麻美 沢田勝美 丹下キヨ子 人見明
*あすなろ寮で合宿しているテニス部員から、試合で知り合ったジロウ(沢田)とミカ(小林)がかけおちをして上京するので、かくまってくれないかと頼まれるサヤカ。
何とか二人を泊めたものの、ミカの父(人見)とジロウの母(丹下)が上京して、てんやわんやの大騒動となる。
親たちの若い時の素行を調べるため、北海道と九州まで飛んでいた隼人。う〜ん、おぼっちゃまのすることはすごい。
ブレイクする前の小林麻美さんのスカートが超ミニ。時代を感じる。

7. 5/13  ゴーゴー大混戦!      東三千
*今度は茶道部が合宿にやって来て、タイトル通りの大混戦になる。
昭和47年にはこんなゴーゴー喫茶や踊りがあったのか。さすがに知らない世界だ。
見どころは、夜の公園。隼人を王子ではないかと疑ったエミ子は、隼人のジープ(何台車を持ってるんだ)で公園へ行くのだが、胸のホクロを確認するために、寒いふりをする。
上着、そしてTシャツまで脱いでエミ子の肩にかける隼人。脱ぎすぎだ。サービスカットだろうか。
このシーンは雑誌によれば夜の新宿中央公園で撮影したそうだが、カップルにひやかされた沖さんが脱ぐのを嫌がって、なかなか撮影が進まなかったとか。
また、このシーンで隼人の乳首が一瞬アップになるのだが、当初はオヘソが予定されていたらしい。だが、沖さんの「オヘソだけはかんべんして下さい」の一声で、乳首に変更されたらしい。その記事のサブタイトルは「沖雅也は出ベソ?」だった。

8. 5/20  飛んで火に入る恋の虫   津村秀裕 桂高丸・菊丸 泉アキ
*サヤカがハヤト王子を探していると知った男(津村秀裕)が、ハヤトに扮してあすなろ寮を訪ねてくる。
だが、彼が本物のハヤト王子だと勘違いしたダイヤ王国の殺し屋(桂高丸・菊丸、泉アキ)は、彼を暗殺しようとする。一緒にいたサヤカも危険にさらされるが、今日も来た来たハヤト王子。まるで月光仮面かスーパーマンだ(一応沖さんの年代に合わせてヒーロー選出)。

9. 5/27  フンサーイ!スパルタ学園  草野大悟 江戸家子猫 三城康裕
*日論高校の寮なのに、なぜか静岡のスパルタ塾が合宿にやって来る。
規則違反で模擬試験に参加出来なかった三人を隼人が会場まで送り届けたのだが、結果は塾の誰よりも成績が良かったというお話。
野原の真ん中を疾走するフェアレディを観ていると、あすなろ寮はとてつもない田舎のように感じられるが、昭和47年当時は世田谷にもこんなところがいくらもあった。

10.6/3   任侠さやか仁義       沖田駿一 中村俊男(現・中村ブン) 五月晴子
*「クラスメート」で沖さんとクラスメートだった沖田駿一さんが、月光学園の番長として登場。深刻だった「クラスメート」に比べ、楽しそうに演じている。
サヤカの父が十年前に罹ったものと同じ病に倒れた番長のために、サヤカは父の手術をした関根教授(見明凡太朗)に頼みに行くのだが、王女であることを明かしてしまったために、マスコミに追われることになる。
「河原の五本松で待ってるぜ」という台詞が時代劇のようで大笑いしてしまったが、隼人も助っ人として駆け付け、棺桶の錠目前スペシャルとでも言うような、キレのいいアクションを見せてくれる。

11.私もあなたも逃亡者?          田坂都 うえずみのる
*マスコミに追われてあすなろ寮にいられなくなったサヤカは、流れ流れて南紀・勝浦のホテルで働いていた。サヤカが客寄せをしているところへ、隼人が美人の女性と一緒に現れて宿泊。実は彼女は、売り出し中の新人歌手・美風ハルミだった。
孤児として育ったハルミは、たった一人の肉親である小児麻痺の弟のために歌手になったのだが、その弟が亡くなったため、失意のあまり仕事を放り出して失踪中だったのだった。
ケーブルカー、那智の滝、観光船と、風光明媚な南紀の景色が楽しめるが、高所恐怖症の人はめまいが起こるかも知れない。
サヤカが人形を使ってハルミを慰めた時の「君の歌は僕たちの心の中にいつまで生きて行くんだ」という言葉が印象的。
岡崎友紀さんのファンは大きくうなずいたことだろう。そして、沖さんのファンも・・・。

12.マル秘(○の中に「秘」)恋の冒険    関敬六 野村昭子 酒井修
*舞台は南紀・白浜。
ハマブランカ植物園内のレストランで踊り子として踊っているサヤカだが、脱ぐわけでもフラガールになるわけでもない。
踊りに参加した中年の女性(野村)が、わざとバナナの皮にすべって転倒。実は彼女とその息子・健一(酒井)は、全国行脚をしている詐欺師の親子だった。健一にヤキモチを焼いた隼人はウスラとサブに探らせて、そのウソを見破る。事実を知ったサヤカは、健一を諭して詐欺を止めさせる。
今回、隼人がやっとタクシーの運転手として働いている。今まで一体生活はどうしていたのだろう、国から沢山お金を持って来たのだろうか、などと下世話な心配をしていたのだが、とりあえず仕事に就いたようで何よりだ。だが、どこに行っても現れる隼人にサヤカはとうとう「あなたはどうしてそう流れ歩いてるの」と、質問をぶつける。
もしかして自分を追いかけて来たのか、そうとしか思えないというサヤカに、隼人は親が決めた婚約者を探していると答える。月光仮面は誰でしょう。伊集院隼人は誰でしょう。
沖さんが着ている白のサファリ・ジャケットがとても素敵なので、私も同じようなものを探した。ジャケットではなかったが似たようなワンピースをみつけて購入、ピアノの発表会に着て行ったら、当時一緒に「小さな恋のものがたり」のロケを探して学校に行っていた友人も、同じようなツーピースの服を着てきた。はっと立ち止まってお互いを上から下まで眺めてしまった。
「友達だと洋服の趣味まで似ちゃうのねえ」とお互いの母親は話し合っていたが、本当の理由はとてもじゃないが話せなかった。

13.富士山、サクラ・・・?!        清川新吾 小野千春 石川博
タイトルの意味をしばらく考えてしまったが、外国人が知っている三大日本語を並べ、わざと「ゲイシャ」を外してみました、ということなのだろうか。
断崖から飛び降りるふりをして客を招いていたタミコ(小野)は、隼人にもお座敷をかけてくれるよう頼む。
一部始終を見ていたサヤカは彼女を責めるが、タミコは悪ぶれる風もなく、一文無しのサヤカを家に泊める。
お座敷が重なったためにサヤカもにわか芸者としてお座敷に出る(そのわりに何故か日本舞踊がお上手)が、無銭飲食をたくらんでいたウスラとサブと鉢合わせする。
ホテルに泊まっていた隼人は、サヤカが芸者になっていることに激怒し、ビールをつごうとした彼女から瓶を奪って「よせよ!」と諌める。女はこういうのに弱いのだ。隼人だから良いが、この手で女性を騙している輩もいるに違いない。爪も染めずにいてくれと女が後から泣けるよな、冷たいうそのつけるひ〜いとぉ〜
案の定、タミコも悪い客(清川)にひっかかりそうになるが、隼人に撃退される。その後、デートする隼人とサヤカが羨ましい。岡崎さんと沖さんは、この後番組「小さな恋のものがたり」のオープニングでも海でたわむれていて、女の子の夢が凝縮されたようなシーンが多い。
ラスト・シーンの沖さんのアシカの声が必聴。

14.こんにちは!!フィアンセ。         丘寵児 木島一郎
タイトルの最後に「。」がついていて、まるでモーニング娘。のようだ。最終回だよってことなのだろうか。
和歌山市に移動したサヤカは、ハヤト王子の父と親交があった謎の英語を話す中国訛りの男・グエン高野(丘)という男から呼び出されて彼の元へ行くが、そこにはサヤカ王女に扮したエミコがいた。
サヤカ王女に面会するため、やっとハヤト王子が登場。ハヤト王子はなんと、伊集院隼人だったのだ!(誰も驚かない)。
ゴーモンたちの罠にかかったサヤカとサブは拘束され、ハヤト王子の暗殺計画を知る。
一方、ハヤト王子はエミコがニセモノだとグエンに告げる。
「ヘンな男とヘンな女」が来たというグエンに、ハヤト王子が「それだ!」と言うのががツボだった。失礼だぞ、ハヤト王子。
ハヤトはグエンと共にゴーモンにつかまって閉じ込められるが、彼に淡い恋心を抱いていたエミコは彼らを逃がす。
また、見張りをくすぐって(!)脱出したサヤカは、隼人の胸に受け止められる。
グエンから隼人こそハヤト王子と知らされるサヤカ。
「僕がハヤト王子じゃ嫌かい?」
海辺で不自然にたわむれる二人。いいなあ、いいなあ。わざとらしいとは思うが、沖さんとこんなことをしてみたいと、当時の私は本気で願っていた。いや、今でも願っているかも知れない。


1972年5月 「週刊セブンティーン」より

人気TVドラマ(秘)エピソード集 沖くんは出ベソ?!
「アベックにひやかされたラブシーン」

真紅のブーゲンビリアが咲き乱れる、南海の楽園、バール王国から逃げ出し、日本にやってきたサヤカ王女(岡崎友紀)。
その王女が危険におちいるたびに、伊集院隼人(沖雅也)と名乗る青年が、助けてくれる。
実はこの隼人青年こそ、ダイヤ王国の皇太子だったのだ‥。

♥はじめこのドラマはグァム島ロケが予定されていたのだが、沖雅也のスケジュールの都合がつかないために逗子マリーナでロケすることになった。
「グァムに行けないで、グァムかり」
と岡崎友紀だけが、ひとりしょんぼりしていた。

♥撮影をはじめたのは、2月だから、フェニックスという木に、寒さよけのコモがまいてあった。
「あんなコモがまいてあったんじゃ、南の島の感じがでない、とってください」と、監督が申しこんだら、「コモをとるのに、1本につき4万円かかります」といわれ、数百本もある木をみて目をパチクリ。
政府の費用でコモがとれる、3月15日まで、木の入るシーンの撮影を延期した。

♥ドラマのなかで、沖雅也がオートバイに岡崎友紀をのせて逃げるシーンがあった。以前、映画のオートバイ撮影で鎖骨を折る大けがをしたことがある沖(注1)は、
「このシーンだけ、スタント・マンを使ってください。またケガをして迷惑をかけるといけませんから」
と申しで、スタッフ一同大感激。

紀伊ロケが楽しみ!
♥沖雅也と女スパイ役の有吉ひとみがラブシーン(注2)をする場面を、新宿の中央公園で撮影したときのこと。
有吉が、沖が王子さまだという証拠である、胸のホクロを調べるために「寒いから洋服を貸して」といって、沖の服をぬがせるところがあった。
撮影が夜だったから、公園のなかはアベックでいっぱい。沖がはだかになるとアベックがひやかすので、沖がいやがって、撮影がなかなか進まなかった。

♥このとき、有吉はホクロと沖の乳首をまちがえるのだが、撮影の予定では沖のおヘソとまちがえることになっていた。ところが沖が、
「おヘソはかんべんしてください」
とたのんだので、急に乳首に変更された。彼は出ベソかも‥!??

♥沖も岡崎も、たいへんスタッフ思いで、ふたりとも必ずさしいれをもってくるので、スタッフ・ルームはいつもくだものやお菓子でいっぱい。

♥5月20日から10日間、そろって紀伊半島にロケに出かける。4本も仕事をもって(注3)いそがしい沖は、いまから楽しみにしている。

注1:この前年、日活映画「八月の濡れた砂」の撮影中の事故のこと。このケガ 注2:子供も観る番組なので、正確にはラブシーンではないのだ。
注3:この「だから大好き!」の他に「未婚・結婚・未再婚」1・2・3と4・5・ロク!」にレギュラー、「キイハンター」に準レギュラー出演。

「沖雅也よ 永遠に」トップへ