「もうひとりの乗客」 1978年1月7日〜2月25日 全8話

出演:島田陽子 江守徹 清水章吾 蜷川幸雄 松尾嘉代 三橋達也 他
沖さんの役名:戸田

  放送日  サブタイトル
1.1月07日 殺人の罠
2.1月14日 最後の絆
3.1月21日 死者の脅迫
4.1月28日 夜の稲妻
5.2月04日 悪夢の街
6.2月11日 狼の挽歌
7.2月18日 怒りの報酬
8.2月25日 愛の絶叫

  沖さんの出演作には、亡くなった後でファンになった方には、観たことも聞いたこともないという作品が数々あるだろうが、これもそのひとつかも知れない。
新聞で大々的に犯人探しドラマとして広告を出し、正解者には抽選で商品まで出た、当時としては新しい試みのドラマだったのだが、これが何といつまで放送されても怪しい人物が怪しげな目つきをして登場するだけで、視聴者に手がかりが与えられない。これでは推理のしようがないではないか。おまけに全編に渡って暗い雰囲気が漂っていた。決して推理ドラマとしての闇ではなく、ただ単に出演者が過剰演技を謹んでいるような、思い切りの悪い展開だったし、顔の見えない犯人が出て来る大雨の夜のシーンが何度も流れたのも暗さを増長させた。

香原由美(島田陽子)はエリート社員との結婚を控えたある日、興信所の所長と名乗る男から電話で自宅に呼び出される。
由美の父親は殺人事件の犯人であり、彼女が一家心中の生き残りであることをつきとめたその男は、過去を隠して結婚をしようとしている由美を脅迫する。だが、その時誰かが彼の部屋のチャイムを押した。別室に閉じ込められた由美が混乱の中で異変を感じて部屋を出ると、男は何者かに殺害されていた。
ここにいたことが明るみに出てはまずい、そう判断した由美は、転がるように外へ出てタクシーを拾う。だが、豪雨のために通りがかりの男と相乗りするよう運転手に頼まれてしまう。
コートの襟で隠した男の顔は、夜の闇と雨で確認出来なかったが、由美がその場にいたことは警察の調査ですぐに明らかになり、鬼頭刑事(江守徹)と戸田刑事(沖さん)が彼女のところへ聞き込みに来る。婚約者・佐浪信(清水章吾)にその日の行動がばれて責められた由美は、タクシーで相乗りした「もうひとりの乗客」の証言を求めて、一人調査を始める・・。

許されないことに、犯人を当てる手がかりは最終回まで与えられない。目つきで「コイツが怪しい」とは思ったが、動機は何か。それは最後の最後に明らかになる。そしてその動機は、推理だけではどうにもわからない新事実の登場で初めて明らかになるという、推理ファンには何とも後味の悪いドラマだった。
注:これも一応推理ドラマでありCS未放送なので、ネタばれになる発言を掲示板に書き込まないようご注意下さいネ。

沖さんはスコッチ刑事以後、刑事の役が多くなった。時代劇への出演が増えたが、現代劇だけに絞っても、連続ドラマでは三作の刑事役(「太陽にほえろ!」は除く)、単発ものでは四作で刑事を演じているが、これらは全て太陽以降の作品である。「俺たちは天使だ!」のCAPはこの数字には含まれていないが、元刑事という設定だ。時代劇の同心とて、現代に置き換えれば刑事なので、「法の正義を守る役」と限定すれば、数はもっと多くなる。

<<連続ドラマでの刑事役>>

「太陽にほえろ!」
「もうひとりの乗客」
「大追跡」
「甦る日日」


<<単発ドラマでの刑事役>>

「涙・あいつは今夜もいない」
「復讐・ある女教師の告白」
「北帰行殺人事件」
「幻の結婚式・ウェディング・マーチ鳴らない」


当たり役というのは、役者の役の幅を狭めることがあるというが、沖さんにとってスコッチ刑事は、代表作でありながら、ある意味本格的演技派として脱皮するための足かせとなったように沖さんは思ったかも知れない。映画への出演を最後まで希望していたことや、カッコイイだけの役はやりたくないという発言が、それを感じさせる。
だが、そのスコッチ刑事こそが沖さんの代表作となり、沖雅也でしか演じられない役であったことが認知されつつあるのは、何だか皮肉な話だ。

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