文玉珠さん

『「だまされてきたんだなあ、かわいそうに、お前たちは間違ったよ、ここはピー屋(慰安所)なんだ。」娘達は天地がひっくりかえるほどに仰天した。ピー屋が何をするところか、知らない娘もたくさんいる。 でも私は少し違った。驚くには驚いたけど、その瞬間、ああ、やはりそうか、と妙に納得したのを憶えている。ここまでの道中、マツモトの様子が何か変だったし、軍人たちは私達に対する言動が憐れみとも蔑みともつかない複雑なものだったのをみて、何か直感するものがあった。  わたしはもちろん食堂で働くものだと思ってきた。だけど、トウアンショウでの経験がある私やヒトミたちが、慰安婦がどういう仕事をするのか知らない娘たちと受け止め方が違っているのは当然だ。はじめての娘たちの受けた衝撃は、それは言葉では言い尽くせない。  17人はいっせいに大声で泣いた。「アイゴー、騙された私が悪かった」「悪いこともしてないのに、なぜこんな目にあわなければならないのか」「罰に当たったのか」と。騙したマツモトにくってかかる娘もいた』(文玉珠著『ビルマ戦線盾師団「慰安婦」だった私』)

『2、3年間は爆弾が落ちる夢をみることがよくあって、「空襲だ!」と叫んで家の外へ飛び出すこともあった。(中略)また、肉や魚を焼く匂いを嗅ぐと、そのたびにアキミ(彼女の慰安婦仲間)の死体をガソリンをかけて焼いた時の記憶がよみがえってきて、もうそれだけで焼肉を食べたくなくなった。一緒にあの時の悲しみがよみがえってきたのだ。91年12月に「慰安婦」の名乗りをあげてはじめての聞き取りに応じた時、彼女は、「人間は何年間も寝なくても死なないものなんですね」と、不眠を訴えているし、今も夜通し泣き明かすことがある』『キム・ヨンホン(彼女の夫)との間で彼女は妊娠しなかった。不妊症になっていたのだ』

河順女さん

『最初の2週間ほど、1日に軍人が1人か2人やって来ましたが、しまいには群がって押しかけてきたので、「アイゴー、殺すなら殺せ。そんな真似はできない」とそこの経営者に言いました。軍人達に酒を飲ませたりしましたが、酒を飲んだ軍人達はますます我慢ができないほどしつこくしました。経営者に「軍人をとるかわりに食事の世話とみんなの洗濯をします」と言いました。しかし軍人をとらないと言って殴ったり蹴ったりしました。経営者は私の名前を「オトマル」とつけました。他の女性の名前で覚えているのは、私と同じ「オトマル」がもう一人と「タケコ」という名前です。その家に来る軍人は陸軍でしたが、兵士も将校もいました。民間人は入れませんでした。海軍の軍人が来ると入れないようにして、「おまえたちはおまえたちの専用の所へ行け』と軍人同士が喧嘩していました。  朝4時に起床して掃除をしなければなりませんでした。日曜は軍人たちが朝九時から夜六時までひっきりなしに集まってきました。一日に20人、30人、40人・・・。一体誰が数えられるだろうでしょうか。入ってすぐ出て行く軍人も入れば、ダニのようにくっついていく軍人もいて、とても言葉では言えません。  ほとんどの軍人達はサックを着用しました。たまに軍人たちが来ない日があると、経営者は「おまえたちが客を不愉快にするから来ないのだ」と言って私達をひどく殴りました。』

『父は私の手紙を見て悶死したそうです。(中略)殴られた傷が完全に治ったころ、軍人が頻繁に訪ねてきて私が断ろうとすると、経営者は棍棒で頭を殴りました。頭からひどく出血したため、私はそのまま気絶してしまいました。』(「証言 強制連行された朝鮮人慰安婦たち」)

金学順のさん

将校が部屋に入ってきて、私を布で仕切った隣の部屋に連れて行きました。 ・・・・行くまいともがきましたが、力づくで引っ張られて隣の部屋に連れて行かれました。その将校は、私を抱きかかえながら、服を脱がせようとしました。抵抗しましたが、服はみな引き裂かれてしまい。結局その将校に私は処女を奪われてしまったのです。その夜、私はその将校に二回も犯されました。 (「証言 強制連行された朝鮮人慰安婦たち」)

李得南のさん

『私に「私達はお金がもっと儲かる所に移るけど、あんたも一緒に来て、今のように洗濯やお掃除やお手伝いをしてくれたらお給料をたくさんあげるから」と言って誘うのでした。』 (中略)『私は少々不安になってきました。叔母に何も言わず来たのが心にひっかかったので、彼が戻ってきた時に、返して欲しいと頼みました。すると「お前にどれだけのお金を使ったと思っているんだ。汽車賃や旅行の費用をみな返せ」と言って拳骨で顔を殴られて気絶してしまいました。』 (中略) 『「私は金山に、家に返してくれるように頼んでみたのですが、「お前にかかった金を返せば帰してやる」と言うのです。そして「どうせこんなことになったのだから、腹を決めて熱心に金儲けをすることを考えてみろ」と言われました。』(証言) (「証言 強制連行された朝鮮人慰安婦たち」)