簡易型FM放送受信用アンテナ徹底比較!

2005/5/8(発案、シミュレーション、資材購入、実測、webページ作成)
2005/5/9(maaファイルをlzhでupload、誤字修正)
2005/5/10(Tantデータ修正)
2005/5/11(細部修正)
2005/5/14(細部修正)
2005/6/8(rmファイル追加)


このページでは、シミュレーション、実測を通して、3つのアンテナの特性を比較します。
快適なFM放送リスニングのための参考となれば幸いです。

なお、今回の実験ですが、静岡市で行ないました。
地元(日本平送信所)のK-MIX(79.2MHz),NHK-FM(88.8MHz),NHK教育TV(97.25MHz)を信号源としています。


比較する3つのアンテナ

今回は「簡易型」ということで、以下の3つを比較対象としました。

1.T字アンテナ

安価に手に入るT字アンテナです。今回はこれを屋外に設置したと想定して実験しました。
屋外用T字アンテナの作り方はこちら

2.FM放送受信用3エレヤギアンテナ

少し本格的にFM放送受信用3エレヤギアンテナを用意してみました。マスプロ製のFM3です。3500円ほどで購入できると思います。
簡易型ということで、本当はFM2が欲しかったのですが、売られていませんでした。(昔は良く見かけたのに。)

3.VHF-TV放送受信用8エレヤギアンテナ

屋外にアンテナを設置するのは面倒・・・ということで既に屋根の上に上がっているTVアンテナを分配することがあるようです。
そこで、これも実験対象としました。マスプロ製の112C8です。VHF low-hi共用です。
8エレですが、VHF-lowチャンネル用には3エレとみなして良いでしょう。

上から順に
FM放送受信用3エレヤギアンテナ
TV放送受信用8エレヤギアンテナ
T字アンテナ

まずはシミュレーション

アンテナシミュレーターというソフトをご存知でしょうか? パソコンでアンテナのシミュレーションができてしまうのです。
ただ、あくまでもシミュレーションはシミュレーション。
実測結果こそが「現実」ですが、指針にはなります。
今回はMMANAを使用しました。フリーウェアですので、試してみると良いかと思います。
MMANTはこちらからダウンロードしてみましょう。
屋根からあまり高さがないことを想定し、地上高3mとしてシミュレーションを行いました。高さが変われば特性は変化します。

1.T字アンテナ

MMANA定義ファイルはこちら
(MMANAの定義ファイルの拡張子は.mmaです。なぜかそのままだとuploadされなかったので、lha圧縮を掛けています。容量そのものは小さいのですが)
各種周波数特性シミュレーションはこちら。(pdf)
79.2MHzにおけるビームバターンはこちら。(pdf)
88.8MHzにおけるビームバターンはこちら。(pdf)
97.25MHzにおけるビームバターンはこちら。(pdf)

シミュレーションにも限界があって、上記データではSWRがかなり高くなっています。
フォールデッドダイポールですが、2線の間隔が狭すぎて、うまくシミュレーションできないようです。
また、2線の間にある絶縁体の樹脂の影響を無視しています。
ただ、傾向はつかめます。

2.FM放送受信用3エレヤギアンテナ

MMANA定義ファイルはこちら
各種周波数特性シミュレーションはこちら。(pdf)
79.2MHzにおけるビームバターンはこちら。(pdf)
88.8MHzにおけるビームバターンはこちら。(pdf)
97.25MHzにおけるビームバターンはこちら。(pdf)

さすが、FM放送受信用アンテナで、各特性はすばらしいものです。

3.VHF-TV放送受信用8エレヤギアンテナ

MMANA定義ファイルはこちら
各種周波数特性シミュレーションはこちら。(pdf)
79.2MHzにおけるビームバターンはこちら。(pdf)
88.8MHzにおけるビームバターンはこちら。(pdf)
97.25MHzにおけるビームバターンはこちら。(pdf)

TV放送用ですので、TV2chではちゃんと指向性もゲインも出ています。
しかし、88.8MHzでは前後比がなくなり、79.2MHzでは指向性が逆転するようです。

以上をまとめると以下のようになります。

Gain(dBi) 79.2MHz 88.8MHz 97.25MHz
T字アンテナ 6.42 6.43 7.05
FM放送受信用3エレヤギアンテナ 10.77 11.76 11.31
VHF-TV放送受信用8エレヤギアンテナ 8.36 10.75 10.63

FM放送用にはやはりFM用3エレヤギが最も利得があります。

F/B(dB) 79.2MHz 88.8MHz 97.25MHz
T字アンテナ 0.00 0.00 0.00
FM放送受信用3エレヤギアンテナ 12.59 15.88 -2.23
VHF-TV放送受信用8エレヤギアンテナ -6.07 3.14 12.40

受信用アンテナでは、利得よりもきれいなビームパターンが受信性能に影響するって知ってました?
話すと長くなりますけど、NF、GT比なんてのがキーワードです。
周波数特性に沿ったシミュレーション結果となりました。


以上から予測できるのは、

FM放送受信用アンテナはやはり良いが、TV用アンテナでも実用になるかも。
ただし、TVアンテナ流用では指向性が逆になる。
T字アンテナだと、それなり。


ということです。


実測

以下が実測結果です。周囲の影響を減らすため、安倍川の河原で測定を行いました。高さは3m。

1.T字アンテナ

電界強度(dB) 79.2MHz 88.8MHz 97.25MHz
フロント=バック 61.0 66.5 65.0

証拠写真はこちら



2.FM放送受信用3エレヤギアンテナ

電界強度(dB) 79.2MHz 88.8MHz 97.25MHz
フロント 76.0 78.5 66.5
バック 66.5 51.5 61.0

証拠写真はこちら



3.VHF-TV放送受信用8エレヤギアンテナ

電界強度(dB) 79.2MHz 88.8MHz 97.25MHz
フロント 57.5 68.5 73.5
パック 68.5 68.5 63.0

証拠写真はこちら



以上をまとめると以下のようになります。(79.2MHzで比較)

Gain(dB)
T字アンテナを基準として
プラスマイナスで表示
79.2MHz 88.8MHz 97.25MHz
T字アンテナ 0.0 0.0 0.0
FM放送受信用3エレヤギアンテナ 15.0 12.0 1.5
VHF-TV放送受信用8エレヤギアンテナ -3.5 2.0 8.5

FM用3エレヤギはやはり専用アンテナだけあってすばらしいです。シミュレーション結果よりも、ゲインがあります。
シミュレーション結果よりも良い結果の出た理由として考えられるのは、大地の影響が大きいのではないかということです。
垂直面の指向性について考察するとこの謎が解けると思います。

F/B(dB) 79.2MHz 88.8MHz 97.25MHz
T字アンテナ 0.0 0.0 0.0
FM放送受信用3エレヤギアンテナ 9.5 27.0 5.5
VHF-TV放送受信用8エレヤギアンテナ -11.0 0.0 10.5

T字アンテナはF/B比ゼロで、背後に山を背負っているような環境ではマルチパスの影響が避けられないでしょう。
シミュレーション結果とは違いますが、やはりFM放送受信用3エレヤギアンテナは優秀です。
VHF-TV放送受信用8エレヤギアンテナは79.2MHzで逆向きに指向性が出ています。
背後に山を背負っているような環境では、マルチパスがひどいと思います。

数値的にはかなり違いますが、シミュレーションで予測したことは実測においても的外れな結論になっていないと思います。


聴感テスト

ゲインで何dB違う、と言われても、普通の人はピンと来ませんよね。そこで、3つのアンテナで遠距離受信をしてみました。
80.0MHzのTFM(送信所は東京タワー 直線距離 約150km)を受信してみました。
実際に聞けるようにしてみましたので、ダウンロードして聞いてみてください。(wavファイルの方が音質は良い。)
急遽、この作業を行うことにしたので、スピーカーに携帯電話をくっつけて録音するというとんでもない方法です。(ガサガサ聞こえるのは風切り音です。)
でも、違いは明らかに分かります。

フロント バック
T字アンテナ wavファイルで聞くにはここをクリック
rmファイルで聞くにはここをクリック
FM放送受信用3エレヤギアンテナ wavファイルで聞くにはここをクリック
rmファイルで聞くにはここをクリック
wavファイルで聞くにはここをクリック
rmファイルで聞くにはここをクリック
VHF-TV放送受信用8エレヤギアンテナ wavファイルで聞くにはここをクリック
rmファイルで聞くにはここをクリック
wavファイルで聞くにはここをクリック
rmファイルで聞くにはここをクリック

FM放送受信用3エレヤギアンテナの圧勝です。
VHF-TV放送受信用8エレヤギアンテナを使用した時、フロントに向けるとノイズだけしか聞こえないのが、バックに向けるとうっすらと聞こえるのが確認できます。


おしまい。