アメリカの陰謀に関する検証

ホームへ 目次の分離 更新情報 (最終更新日:2012/04/16 )


 巷に流布する無責任なアメリカ陰謀論を検証、批評する。
  1. 開閉 陰謀論の総括
    どのような人たちがどの様な理由や内容で展開しているのだろうか。
    1. 開閉 陰謀論の矛盾
    2. 開閉 陰謀論者の背景
    3. 開閉 容易に騙される理由
  2. 開閉 トヨタ自動車レクサス事故陰謀説の検証
    2009年アメリカで頻発したとされるトヨタ・レクサスの事故報道を巡り渦巻く陰謀論の真偽を検討する。
    1. 開閉 様々な陰謀説
    2. 開閉 遂に発見された欠陥
    3. 開閉 論点をぼかす陰謀論者
  3. 開閉 9.11同時多発テロ陰謀説の嘘
    嘘と勘違いで固められた9.11同時多発テロ陰謀説を論破する。
    1. 開閉 嘘と勘違いの塊
    2. 開閉 被害状況の科学的検証
    3. 開閉 単純な勘違い
    4. 開閉 NHK主幹の死とユダヤの陰謀
    5. 開閉 陰謀だとすれば
      ここでは視点を変えて仮に陰謀があったとして首謀者側の立場から考察する。
    6. 開閉 陰謀論者への質問
      一方的に説明責任を求めるだけで自分たちは何も説明しようとしない陰謀論者に対して逆に質問をする。
  4. 開閉 真珠湾陰謀論の嘘
    真珠湾陰謀論の嘘を暴く。
    1. 開閉 情報面からの考察
    2. 開閉 戦術面からの考察
    3. 開閉 動機についての考察
    4. 下層無 贔屓の引き倒し
  5. 開閉 地震兵器HAARPを巡る陰謀説
    1. 下層無 地震兵器HAARPの噂
    2. 下層無 東北地方太平洋沖地震で地震兵器HAARPが使われた?
    3. 開閉 陰謀論者の示す根拠
      1. 下層無 緊急地震速報が「はずれ」るワケ (リチャード・コシミズ)
      2. 下層無 勉強不足による勘違い
      3. 下層無 震源深さ10キロの謎
      4. 下層無 YOU TUBEで暴露された地震兵器HAARP使用の証拠?
    4. 開閉 地震兵器の難点
      1. 下層無 使える場所が限定される
      2. 下層無 秘匿する難しさ
      3. 下層無 誘発に要する技術とエネルギー(後日追加予定)
      4. 下層無 指向性(後日追加予定)
  6. 開閉 アポロ計画陰謀説
    まことしやかに語られる、この噂の真偽を検証する。
    1. 下層無 人類は月に行っていない?
    2. 下層無 星が見えないのはなぜ?
    3. 下層無 2度目がないのはなぜ?

陰謀論の総括

陰謀論の矛盾

多過ぎる証拠

 9.11同時多発テロ陰謀論やアポロ計画陰謀論などの様々な陰謀論に共通する点は「陰謀の証拠」なるものが実にたくさんある点だ。
 Wikipediaの「アポロ計画陰謀論」で紹介だけでも捏造派が掲げる24もの証拠なるものが紹介されている。
 陰謀の証拠と称するものの多くは素人でも簡単に答えられるようなものだ。
 個々の具体例に関しては当ページの後の項目において詳しく説明するが、証拠と称するものの殆どが嘘と勘違いのオンパレードだ。
 嘘の具体例としては、「崩壊時の映像記録によれば第1ビル、第2ビル、第7ビルの崩壊速度は真空での自由落下速度に匹敵する」というものがあるが、これの嘘は当ページの落下速度の嘘で解説した。
 WTCビルの崩壊について「融点より遥かに低い温度にしかなっていない筈なのに鉄骨が崩壊してしまったのはおかしい」という主張が小学生でも分かる初歩的科学を理解していないだけという事は融点以下で崩壊の謎で紹介した。
 ビル崩壊前に「たった今WTC7ビルが崩壊しました」と報道してしまったBBCについては単なる誤報と考えれば何ら不自然ではないのに陰謀派の一味とされてしまった事についてはBBCのWTC7崩壊フライング報道で述べた。

 しかし、私のように陰謀論を疑う者にとってみると「こんなに証拠がある」という事自体が如何わしく感じる。
 そもそも9.11同時多発テロがアメリカ政府の自作自演だとかアポロ計画がアメリカによる捏造であった事が明らかにされればアメリカの根幹を揺るがす大事件になるので必死で巧妙に隠蔽する筈だ。仮にアメリカによる陰謀があったとして、「どこかに陰謀の証拠は無いか」という素人の思い付きで簡単に見抜ける筈が無いと考えるのは不自然なのだろうか。

「まともな反論が無い」という嘘

 陰謀論者からは「まともな反論が無い」、「納得できる答えが返ってこない」などの不満が聞かれるが、私が見た限りでは陰謀論者からの全ての質問に対して明快な答えが出されているように見える。
 これから解説する例には当ページの多過ぎる証拠の繰り返しの様になる部分もあるが、多少我慢して頂きたい。
 例えばWTCビル崩壊に関する物理的な疑惑の一つとして融点に達していない筈の鉄骨が崩れた事が強調されているが、これについては融点以下で崩壊の謎で説明した様に融点以下でも金属は軟化するので不自然ではない。明らかに正しく分かり易い反論をしているにも関わらず、「まともな反論が無い」、「納得できる答えが返ってこない」と言われても反証する側の責任ではなく陰謀論者の無知によるものだ。
「航空機の衝突だけであんな壊れ方をする筈がない」という疑問は熱で鉄骨が崩壊した話と比べると科学的にかなり難しい問題となっているが、大学の建築工学科で構造力学を専攻した私としては何ら不自然に感じなかった。なぜ有り得ないのかさっぱり分からないが、説明に納得できないのであれば大学で授業でも受けて学んでみてはどうか。
 WTC7ビルが崩壊する前に「崩壊した」と報道したBBCについては(BBCのWTC7崩壊フライング報道)単なる誤報という言い訳に何ら不自然は無いのに納得できないと執拗に食い下がる姿勢は奇異に感じる。

 反証する側としては陰謀論者からあまりにも低次元な質問攻めにあった時に何と答えて良いか迷う事がしばしばある。「一見ふざけているようにしか見えないが、もしかして本気で言っているのか。馬鹿馬鹿しくて答える気にならん」という気になるが、答えないと「何かを隠している」とされてしまう。
 しかも陰謀論者に対して誠実に詳しく答えてもまともに理解される事は殆どなく「まともな答えが何一つ返ってこない」と吼えるだけだ。
 馬鹿みたいな質問がやたらと多いのでいちいち答えてられないし、答えても理解されないの繰り返しだ。

証拠同士の矛盾

 ボーイング707が衝突した世界貿易センタービルの破壊について陰謀論者から「爆破解体されたに違いない」という説や「ミサイルで破壊された」という説もある。それらのいずれも正しいとすれば、ビル旅客機の衝突と爆破とミサイルによる攻撃をほぼ同時に受けて崩壊した事になる。
 ビルを破壊するだけなら、その内の一つの方法だけで十分可能であり何でわざわざ3通りの方法で建物を破壊しなければならないのだろうか。証拠が残りやすくなるだけだろう。
「旅客機の衝突だけではあのビルは崩壊しない筈だ」という人がいるかもしれないが、例え完全に崩壊させる事が出来なかったとしても火災を発生させて中にいる殆どの人を焼死させる事は十分可能であり何ら不自然さは無いので複合的な方法を使う必要は全く無い。

 情報を事前に知っていたのではないかと疑われている人たちについても矛盾が見られる。
 事前にビルの保険に入っていたために疑われたビルのオーナーや倒壊していないビルを「倒壊した」と報道してしまったBBCなどが陰謀との関与を疑われているが、もし、それらの人たちが事前に情報を知っていたのだとすれば一体何の陰謀だったというのだろうか。
 軍事主導のブッシュ政権が戦争をするために仕組んだ計画ではなかったのか。不動産屋が金儲けのために仕組んだ陰謀なのか。或いはBBCにスクープを提供するために仕組まれた陰謀なのだろうか。

 陰謀の証拠なるものは単に素人の幼稚で無責任な思い付きを羅列したものに過ぎないので、どう考えても全てが成り立つ事は有り得ない。その殆どが嘘や間抜けな勘違いである事は間違いない。

陰謀論者の背景

極左陰謀論者

 陰謀論者の思想や背景は様々だが、代表的な勢力の一つに左翼系の陰謀論者がいる。
「こんなにアメリカに対して強くものが言えるんだぞ」的な態度が強く感じられる。基本的に反米思想に基づくものであるが独特な思想的背景が絡んでいる事が多く、反日思想の延長としての反米という風に見ると陰謀論を展開する分野が右翼とは明快に別れる事も少なくない。左翼系論者が積極的にアメリカ陰謀論を唱えている分野としては9.11同時多発テロがある。真珠湾攻撃陰謀論やアポロ計画陰謀論などについては掲示板などでも明確に左翼らしき人物から主張されたと感じさせる事例はあまりない。左翼にとっては第二次世界大戦は日本による侵略戦争であり仕掛けたのは日本だからだろう。
 9.11同時多発テロのアメリカ陰謀説を強く主張する左翼側急先鋒としては社会派雑誌を標榜する週刊金曜日が代表的な存在だ。きくちゆみ氏や成澤宗男氏といった人たちによる疑惑解明なるものが週刊金曜日誌上にたびたび登場する。
「アメリカ政府の言いなりになって事実を解明しようとしない日本政府に成り代わり自分たちが真相究明に努めている」つもりらしいのだが、思い込みが激しく非科学的な論拠が目立つ。

 但し、週刊金曜日による9.11同時多発テロ陰謀説については「天皇制の是非を問う」というような予定調的テーマに読者が飽き始めたために刺激的な話題を提供したという面もあるような気がするので単に思想的な確固たる信念があってやっているわけではない人たちもかなり含まれる可能性がある。

極右陰謀論者

 反日思想に基づく左翼による陰謀論に対して右翼の陰謀論は愛国的思想に基づく反米思想が根本にある。
 但し、非科学的で思い込みが激しいという点では左翼と大差なく、9.11同時多発テロに関する陰謀論だけを見ているとどちらが左翼でどちらが右翼か分かり難い場合も少なくない。
 左翼との大きな違いとしては陰謀論を唱える事で歴史的に日本を正当化していく方向に持って行きたがる点だ。真珠湾攻撃陰謀論を唱えるのは右翼思想の持ち主が比較的多い。真珠湾攻撃陰謀論の矛盾については当ページの真珠湾陰謀論の嘘に詳述したのでそちらを読んで頂きたいが、「真珠湾攻撃は日本がアメリカの陰謀に引っかかってやった事なのだ」として仕掛けられた戦争だと強調する。
 掲示板の投稿などを見ると9.11同時多発テロの根拠について「真珠湾攻撃で日本に罠を仕掛けた前科があるからアメリカならやりかねない」という方向に持っていく者も少なくない。そもそも真珠湾攻撃が陰謀であるという根拠自体が薄弱であり、仮に真珠湾攻撃がアメリカの陰謀によるものだとしても同時多発テロとは全く関係ないので根拠にならない。この様に真珠湾攻撃と9.11同時多発テロをセットにしてしまう者が比較的多いのも右翼陰謀論者の特徴だ。

 あくまで親日的、愛国的感情がそういう極端な方向の主張に向かっているのだが、逆に自国を貶めている事に気付いていない人も少なくない。例えば、真珠湾攻撃に関しては戦艦からも航空機からも攻撃が難しい難攻不落と思われたハワイ群島を当時世界最高レベルにあった日本海軍が見事に攻略したと素直に考えられないのだろうか。
 陰謀論が本当だとすれば、それだけアメリカに余裕があり作戦が見事であったという事だ。逆に言うと引っ掛かった日本側は「黄色い猿」と呼ばれても仕方ないくらい頭が悪過ぎるという事になる。
 贔屓の引き倒しをしている事に全く気付いていない点は左翼の陰謀論者に負けず劣らず愚かと言えよう。

野次馬的陰謀論者(川下陰謀論者)

 特別な政治的・思想的背景は無く刺激を求めて煽り立てて楽しむ事自体が目的の者もいる。
 テレビや週刊誌などのマスコミがその代表だ。「たかじんのそこまで言って委員会」をはじめとしてTV番組や週刊誌などで興味本位に取り上げられた。衝突した旅客機にミサイルの様に見えるような物が写った写真を掲載してミサイル攻撃が行われたかのように記述した週刊誌もあった。
 刺激を求めている一般大衆に対して定説や通説は大して楽しいものではなく、奇想天外な陰謀論というのは大衆受けするものだ。
 そこには真実を追究しようという姿勢など無く大衆が満足して視聴率や購買数が上がりさえすればよいという安直な姿勢しかない。

 マスコミの様に利益を追い求める場合だけでなく、話のネタに使うとか知ったかぶって喜ぶなど個人が快楽追求に使う場合も少なくない。そういう連中は「専門家が言った」などと如何にも真実らしく噂話を垂れ流す事が多いが、そういうガセネタに引っ掛かる人は案外少なくない。
 政治・思想や利権など強固な背景を持ち直接的な利害の基に強い意思で陰謀論を垂れ流す者を「川上陰謀論者」と呼ぶなら、その陰謀を安易に信じ付和雷同する者を「川下陰謀論者」と分類する事も出来る。

 既に極左陰謀論者の背景については述べたが、そういう連中の中にも興味本位でガセネタを垂れ流している者も少なからず存在するので、極左陰謀論者など政治的な思想に基づいてやっている者と野次馬的陰謀論者の間に必ずしも明確な境界線が引けない場合も少なくない。

容易に騙される理由

立証責任の所在

 陰謀派のからくりとしてあげられる卑怯な理論の典型としては「アメリカは説明責任を果たしていない」というものがある。しかし、疑惑に関わる事実の有無を立証する義務は疑われた方ではなく疑う方にある。近代的な民主主義の裁判においては「何人も有罪と宣告されるまでは無罪と推定される」という推定無罪の考え方が鉄則となっている。要するに「疑わしきは罰せず」だ。しかし、陰謀論者は「アメリカ政府が無罪を証明すべきだ」と強硬に主張している。これは暴論以外の何者でもない。
 疑っていたら切りが無い。もしかすると日本政府の仕組んだ陰謀かもしれないし、北朝鮮の陰謀かもしれない。或いはアメリカの不動産屋のたくらみかもしれないし、イギリスのBBCの陰謀かもしれない。或いは日本の極左団体や極右団体の陰謀かもしれない。「自分が犯罪者でない事を証明しなければならない」というのであれば殆ど全ての人が陰謀の実行犯とされてしまうだろう。

 私自身が2chで「連続レイプ魔」というありもしない噂を執拗に垂れ流された事がある。「無実ならなぜ自分の潔癖を証明しようとしないのか。疑惑に対して答えてみろ」などと書かれた事があるが、自分がそういう犯罪を絶対に犯していない事は、その期間中にずっと刑務所にでも入っていない限り証明は不可能で、そんな噂でレイプ魔と決め付けられるのであれば殆どの男性がレイプ魔という事になってしまう。大体どこの馬の骨か分からないような人物が名を名乗らないでゲリラ的にこそこそと様々な掲示板に書き込んでいるので訴えようが無い。

 アメリカ政府が仕組んだという確かな証拠があるのなら、裁判に訴えればよい事で、それが出来ずにこそこそと「これだけ陰謀の証拠が揃っている。アメリカは潔白を証明せよ」というのは筋違いで卑怯な態度だ。

人間の脆い意識

 陰謀派がよく使う言葉に「専門家がおかしいと言った」など専門家の指摘であると主張する事例が少なくない。大して根拠がなくても自信を持って断言されたり「専門家が言った」などと言われると素人は案外単純に信じてしまうものだ。
 これに関しては例えば9.11同時多発テロ陰謀説の嘘落下速度の嘘不自然ではない破壊状況を読んで頂けば分かり易いと思うが、建築の素人が「専門家があんな崩壊の仕方は通常ではあり得ないと言っている」と聞かされたら「ああそうなのか」と思い込んでしまうものだ。素人に判断しろと言われても無理がある。

私自身も西暦2000年を目前としていた頃に「早く原発を止めなければ、西暦2000年問題に対応していない原発のソフトが暴走し第三次を引き起こす」と週刊金曜日読者会で何度も聞かされ、信じ込んでいたものだ。
結局何も起こらなかった。しかも得意になってその噂を垂れ流していた男はパソコンすら使った事のない人物であった。
 現実に陰謀論を支持している専門家がどれだけいるか考えるとよさそうなものだが、なぜか大して名も知られていない一部の専門家(とされる人)の意見が信憑性があると思い込まれてしまうのだ。
 根拠の無い事でも自信を持って断言されると聞いている人間は実に簡単にだまされてしまうものだ。

実例が乏しい

 陰謀派がWTCビル崩壊の不可解さを強調する際に「飛行機の衝突だけで高層ビルが崩壊した例は無い」とか「火災の熱だけで建物が崩壊した例は無い」などの台詞をよく使う。
 実際、旅客機の衝突で大規模な建物が崩壊したという話は恐らく他に無いだろうし、火災で大規模な建物が崩壊した話もあまり聞かない。
 もともと工学の多くが経験則の積み重ねの部分も少なくないので、過去の実例に基づく判断というのは決して無視できないし必ずしも間違いではないが、大きな落とし穴がある。

「過去に崩壊例が無かった」という話だけ聞くと崩壊の仕方がいかにも不自然に感じるかもしれないが、逆に言うと燃料を満載して100tを超えるジェット旅客機が全速力で高層ビルに衝突して建物が持ちこたえた例は一つもない。

 そもそも史上初の例について過去に「崩壊した例」も「持ちこたえた例」もある筈がないのに「崩壊した例」が無い事だけをやたらと強調するのが陰謀派の手口だ。


トヨタ自動車レクサス事故陰謀説の検証

様々な陰謀説

囁かれる陰謀説

 2009年8月28日、サンディエゴ市郊外の高速道路125号でレクサス「ES350」が時速約190キロで道路の策に衝突した。これが大問題の発端であった。
 運転手がカリフォルニア州高速警察隊員マーク・セイラーさんで高速運転と危機回避に慣れている筈である事が一つと、同乗者の一人が衝突前に緊急電話をかけて「アクセルが戻らず暴走している」と現状を実況中継している事だ。
 この事が発端となり他にも事故報告が多かったレクサスについてアメリカのマスコミが連日報道する様になった。

 ただ、素朴な疑問として、これだけアメリカで騒がれている大事件が日本では殆ど問題にされない事と日本でレクサスの事故や欠陥に関する報告が殆ど聞かれないのはなぜか(週刊現代11/14号では6ページも使った大々的な報道が行われているが)。
 2chなどの掲示板では「アメリカによる陰謀ではないのか」という噂がまことしやかに語られている。
 これとは全く逆の説としてトヨタ陰謀説なるものも一部に見受けられる。
 果たして陰謀派あるのか、あるとすれば誰の陰謀なのか何が真実なのか検証を進めようと思う。

アメリカ陰謀説

 この件に関して掲示板などでやたらと多い意見が「アメリカによる陰謀だ」という意見だ。
 こういう意見の根拠については前項で触れた様にアメリカで騒がれている大事件が日本では殆ど問題にされない事と日本でレクサスの事故や欠陥に関する報告が殆ど聞かれていないという事も一つあるのかもしれない。
 ご存知のように比較的最近、GM(ゼネラル・モータース)、フォード、クライスラーというビッグ3と呼ばれた自動車メーカーが全て経営破綻している事がそういう想像を掻き立てる要因の一つになっているようだ。
 また、アメリカが過剰な訴訟社会である事を強調する投稿も見られたが、クレーマーの類がブームに便乗して難癖をつけているといった見方もある。

 ただ、陰謀論の多くがアメリカの自動車メーカーの衰退やアメリカの消費者などに見られる国民性などを根拠にしているだけであって科学的・客観的意見というのが殆ど見られなかった。

 また国粋主義的で差別と思われても仕方ないような偏狭な意見も見られた。その代表が韓国人オーナーによる訴訟に対する非難だ。「韓人の陰謀だ」などという意見も見られたが、その場合はアメリカの陰謀ではなく韓国人の陰謀という事にならないか。また、その韓国人オーナーが日本の自動車メーカーを陥れるためにやっているとは思いにくい。そんなに日本メーカーが嫌ならそもそもトヨタ車など買わないと思うのだが。
 その韓国人のレクサス・オーナーだけを非難するならともかくとして韓国人の下手な運転の例を出し如何に韓国人が馬鹿な民族であるかを強調しているサイトまであった。

 ちなみに週刊現代11/14号ではアメリカ陰謀説については否定的でトヨタの問題ではないかという指摘がある。

 仮に陰謀があったとして誰がどのような目的でどういう陰謀を仕掛けたのか、その点を明確にする必要がある。アメリカ自動車メーカーの陰謀か、政府の陰謀か、マスコミの陰謀なのか。例えばマスコミがありもしない事実を報道したとか他車でも似たような頻度で事故が発生しているのにレクサスだけ特別多いかのように見せかけているのだ、など。
 ただ、「陰謀だ」では、9.11同時多発テロ陰謀論真珠湾攻撃陰謀論のように「また陰謀論か・・・」と陰謀好きの妄想と捉えられかねない。

トヨタ陰謀説

 アメリカ陰謀説とは逆に日本ではトヨタによる揉み消し工作によって表沙汰になっていないのではないかという意見もある。これも掲示板などで盛んに指摘されている。
 ご存知のようにトヨタは日本を代表する大企業で超優良企業とされている。発展途上国一国を凌ぐ巨大な経済力を背景にマスコミで大規模な宣伝を展開している。「そういう事情があり大手マスコミはトヨタに対する大っぴらな批判が出来ない」という事が週刊金曜日などでよく言われる。実際、マスコミによるトヨタ批判は殆ど行われない。
 トヨタの隠蔽体質やトヨタに迎合する日本のマスコミの不健全さにこそ問題があるとする見方もある。
 これだけ問題になっているにも拘らず日本での報道が本当に少ない。
 但し、これについても、そういう風潮があったとしても、レクサスの事故に関してはトヨタが何らかの工作を行ったとされる明確な証拠が示された例はあまり見かけない。
 これも「アメリカ陰謀説」同様に仮説の域を出ていない。

陰謀不在説

 前述のようにトヨタ自動車のレクサスがアメリカで事故が大騒ぎされているが、日本ではヨーロッパでは事故があまり問題視されていない点について陰謀に頼らずとも十分納得できる説明は付く。
 様々な状況が違うのに同じ件数で事故が発生するというのはまずあり得ない。
 そもそもレクサスはトヨタが作った車ではあるがアメリカが発祥の地であると言っても過言ではない。ヨーロッパでは高級車市場はベンツ、BMWをはじめとする強力なライバルがひしめいており高級車市場において後発のトヨタがなかなか入り込む余地が無い。日本でもベンツやBMWの人気は根強く街中で見かける高級車にはこれらの車種の方が多いような機がする。なかなか高級車市場でのシェアが高まっていないように思われる。このように日欧でのレクサスのシェアが低く大量に出回っていないという事が一因ではないか。事故が百件単位で発生しているという事は逆に言うとかなりの数が売れているという事でもある。
 また、道路や交通法規、運転手の気質などの日米の差異が事故の発生件数に影響を与えている可能性もある。詳しい事情は分からないが、アメリカのドライバーの方が高速運転をする機械が多いのであれば当然、事故の確率は高いものになるだろう。
 それらの点で大きな差が出ているのではないだろうか。そう考えると日米での差異はさほど不自然でもないような気もするのだが。

 そもそもアメリカ側が陰謀を企画しなければならない理由は何なのだろうか。落ち目になった自動車産業の救済策だろうか。しかし救済するなら幾らでも方法はあるだろう。自動車産業は最先端の花形産業ではとっくになくなっている。もう既に大して重要でもない産業だと思ったからこそビッグ・スリーが経営破たんしても政府は救済しなかったのだろう。

 繰り返しになるがレクサスは日本やヨーロッパではアメリカほど売れていない。自国の産業のために日本製品に門戸を閉ざしている国はたくさんある。アメリカは良い物は積極的に受け入れる国であり、おかげでレクサスは高級車としての地位を確立できたのだ。それを安易に「陰謀だ」と決め付けるのは失礼を通り越して人間失格ではないだろうか。これでは「日本車を買うな」と言っている様なものだ。

遂に発見された欠陥

トヨタ車の世界的大リコール

 これまでレクサス事故は殆どアメリカだけで騒がれていたので一部に「アメリカの陰謀ではないか」という噂もあったが、大きく進展する事態があった。
 最近、世界中でトヨタ車の大規模なリコールが続出している。トヨタは2010年1月21日(米国時間)に米国で販売されたカローラなどのアクセルペダルの戻り方に問題があるとして約230万台を対象にリコールを実施すると発表したが、同じ部品がヨーロッパでも使われていたためヨーロッパにおいてもリコールが必要となることを明らかにした。また中国でも2009年から2010年にかけて大量のリコールが発生している。
 こうなるとアメリカの陰謀と考えるのはかなり無理があるのではないだろうか。リコールは品質に問題がなければ当然する必要がない訳で問題があるからこそリコールが必要と表明しているのだろう。トヨタ自身が品質に問題を認めているわけだし、アメリカのみならず世界中でトヨタ車の欠陥が問題になっているというのがアメリカの陰謀なのだとすればアメリカは実に恐るべき凄い大きな力を持った国という事になる。そんな国が、そこまでしてたかが一企業を叩く必要があるのだろうか。
 また欠陥の多くがアクセルペダルに関する問題でありアメリカで当初騒がれた問題とも条件が一致する。そう考えるとやはりGM、フォード、クライスラー関係者による陰謀とするよりトヨタ自身の問題点と判断するの自然ではないだろうか。

プリウスのブレーキ異常

 トヨタが2009年に発売した新型プリウスに対する苦情が日米で190件以上に上る事が分かった。「ブレーキが一時的に利かなくなる」或いは「一瞬ブレーキが利きづらくなった」などの症状があるらしい。の
 アメリカだけで騒がれているのならともかく、日本でも同様の報告が多数寄せられているというのであればアメリカの陰謀とは考えにくいのではないか。
 しかもアメリカでのレクサス事故から始まる一連のトラブルはいずれもアクセルやブレーキなど制動に関するトラブルという点で共通している。
 これもアメリカの陰謀なのか? だとすればアメリカの工作員が日本国内にまで入り込んでいる事になり、証拠を残さず工作を行ったのであれば、これまたアメリカがいかに凄い国であるかを示す証拠という事になる。

 ここまで来るとアメリカの陰謀ではなくトヨタの欠陥という事で疑いがないような気がするが、陰謀論者の方はまだ異論があるのだろうか。

フォードのブレーキ異常も陰謀か

 プリウスのブレーキ問題はハイブリッド車に二系統あるブレーキ内の低速において主力となる回生ブレーキが利きにくいというものだが、フォード社のハイブリッド車についても同様な問題が発見されアメリカで話題になっている。
 フォード車のブレーキ異常がアメリカで明るみになった事についてもやはり陰謀の一環なのだろうか。これは「トヨタ車だけを叩くと疑われるからアメリカ車の欠陥も適度に暴いて見せて公平を装う」という事なのだろうか。
 そうなってくると結局、何が起きても陰謀とされてしまう事になってしまわないだろうか。アメリカ車の異常を公表してもしなくても陰謀とされてしまうのであれば、アメリカ人としてはたまったものではない。
 もういい加減、陰謀論者は自分の非を認めてはどうだろうか。

論点をぼかす陰謀論者

あくまでアメリカのせい

 今やアメリカだけでなくヨーロッパや中国など世界中でトヨタ車の安全性が問題となり大リコールが行われている。更に本拠地である日本のマスコミや消費者からもブレーキ問題が騒がれている。こうなるともはやアメリカの言い掛かりではなくトヨタ車の品質に問題がある事は明らかな気がする。そもそもリコールしているという事はトヨタ自身が品質に問題ありと認めたという事だろう。
 しかしインターネット上などでは未だにアメリカの陰謀としてトヨタの非を認めたがらずアメリカに責任転嫁する意見が少なからず見受けられる。
 未だにアメリカの陰謀説を唱える人が多いが、論点が今一つはっきりしない。と言うより意図的にぼかしている感がある。かつては「欠陥自体が存在しない」という意見が主流であったのが微妙に変化している。
 陰謀論者の意見自体がはっきりしないので趣旨を説明するのが難しいが、最近の陰謀論なるものの考え方を強引に分けると次の様になりそうだ。

@トヨタ車の品質自体に大して欠陥は無いのにアメリカの陰謀で世界的に大騒ぎされている。
A確かに欠陥はあったが、アメリカの工作により欠陥車を作らされた。

 これらの意見について後日それぞれ検証をしてみようと思う。

ユーザーの妄想?

 トヨタ車の品質自体に大して欠陥は無いのにアメリカの陰謀で世界的に大騒ぎされているという意見で解せない点がある。
 まず、それならなぜトヨタは大規模なリコールをしたのかという点。
 更にアメリカ国内だけで悪い噂があるならともかく世界中で非難が沸き起こっている。しかも日本国内でさえマスコミやユーザーが非難の声を上げている。これは一体どういう事なのだろうか。

 最近盛んに不具合で抗議している日本のトヨタ車ユーザーの意見をどう見るべきか。本当はトヨタ車のブレーキの利きは悪くないのにアメリカの陰謀で洗脳されたユーザーが、「自分はブレーキが利かない事に今まで全く気づかなかったが、皆が欠陥と言っているから欠陥車に違いないんだ。悔しい!」と思い込んでいるという事なのだろうか。
 だとすれば日本人は馬鹿すぎる国民という事にならないか。

 もし世界中に張り巡らしたアメリカの陰謀網によって実際にトヨタ車に乗っている日本のユーザーさえも妄想に陥らせる事ができるのならアメリカは本当に凄過ぎる力を持った国という事になる。
 そんな凄い国の自動車メーカーがなぜトヨタに惨敗したのだろうか。既に花形産業と言えなくなった自動車産業のたかが一メーカーを追い落とす必要があるのだろうか。
 陰謀論者はその点をよく考える必要があるのではないだろうか。

ABSの挙動

 ブレーキの利きに関するユーザーの勘違い説を更に突き詰めて考える。陰謀論者の中には「ユーザーがABSの何たるかを理解していない事に問題がある」という意見がある。
 まず、ABSとは何なのか説明しよう。

 ABSとはアンチロック・ブレーキ・システムの略だ。大雑把に言うとブレーキが踏まれた場合にコンピューターが状況を判断して自動的にブレーキのロックを適当なタイミングと間隔で外すシステムだ。
 この説明だけだと分かり難いので雪道の例で説明する。ブレーキをかけるとタイヤの回転が止まり固定される。ハンドル操作も利かなくなる。もちろんブレーキは制動に必要不可欠だが、タイヤが固定されハンドル操作が利かないという事は運転手の意図しない方向に滑り易い要因となる。
 当然、ブレーキは踏まなければならないが、急激に強く踏み過ぎると上記のような理由で変な方向に滑り易くなり酷い場合はスピンしたり最悪の場合は横転する。
 従来のブレーキでは横滑りを防ぐためにブレーキの踏み込みを強めたり弱めたりする加減やタイミングを人間の勘で行っていたが、これをコンピューターに判断させる様にしたのがABSだ。
 凍結路面などで比較的低速走行をしている時に急減速したい場合は迷わず強く踏み込めばよくなったので、かつてはベテランのドライバーでも難しかった凍結路面における制動が、初心者のユーザーにとっても簡単に行えるようになり、格段に操作性がよくなった。

 この様に画期的システムと言えるABSだが、問題としては初めてABSの作動を経験した運転手はブレーキから受ける妙な感覚に戸惑い易い事だ。私が父の外車に乗って雪道でブレーキをかけた時に「ぼこぼこぼこっ」というような妙な感覚で断続的に足がブレーキから押し戻された。後で父から「それはABSがちゃんと作動しているという事だ」と聞いて欠陥ではないと気付いた。

 トヨタ自動車の社長が記者会見で「ユーザーの感性の問題」とか「ふっと抜けるような感覚」と言っているのは「ABSの独特な挙動をユーザーが勘違いしている」と言いたいのかと思った。それなら理解できる。
 しかし、そういう単なる感性の問題であればなぜ後になって社長が謝罪し大量リコールをしたのだろうか。分かり易く説明すればよいだけなのに。
 また、ABSが作動したにせよ1秒間も間が空くというのはどう考えても不自然だ。私の経験ではもっと遥かに短い間隔でブレーキが入ったり切れたりしていたが、作動までに1秒間も間が空くのであればABSの意味が果たしてあるのかどうか疑問だ。それならば従来の様に勘でロックを外した方が制動効果が高いのではないか。

 今ネット上で盛んに陰謀論者によって指摘されているABSに対する消費者の無知説も結局はトヨタを正当化するまでには至らない。実際には回生ブレーキの不具合をABSと混同しているだけだ。意図的にごまかしているのではなくABSと回生ブレーキの機構について勘違いしているだけなのかもしれないが、いずれにせよABSの問題はアメリカの陰謀とは関係なさそうだ。

不良ユーザー

 トヨタ車の品質自体に大して欠陥は無いのにアメリカの陰謀で世界的に大騒ぎされているとしてもう一つ考え得る事例を挙げてみる。
 殆どのトヨタ車ユーザーは本当は自分の車に欠陥などなくブレーキがしっかり利く事に気付いている。しかし、世界的にトヨタ車の品質が大騒ぎになっていて日本のマスコミも大騒ぎしトヨタも弱気になっている。
本当は自分の車になんら問題はない事は分かっているが、ここでディーラーを脅してみれば何らかの便宜を図ってくれるかもしれないので文句をつけてみよう
 という事なのだろうか。だとすれば日本のユーザーは本当にろくでもない。
 インターネットではアメリカの消費者について「詰まらない事で言い掛かりをつけて、やたらと訴訟に持ち込む程度の低い連中」と盛んに書かれているが、日本も同じか或いはもっと酷いという事にならないか。

欠陥のアメリカ工作説

 トヨタ車に使われていたアメリカCTS社製のアクセルペダルに欠陥があった事を受け、日本の陰謀論者がにわかに活気付き、下記の様な意見が聞かれる。
アメリカが圧力をかけて無理やり買わせた欠陥部品が悪い。これはアメリカ製品の品質の問題だ。意図的に欠陥部品を供給したアメリカの陰謀だ!
 しかし、アメリカのメーカーが欠陥部品を作ったにせよ採用したのはトヨタなのだから当然、トヨタの責任を免れる事はできない。
 そもそもアメリカは日本を陥れるために意図的にアメリカ製欠陥部品を無理やり売りつけたりするだろうか。欠陥が表面化すればアメリカにとっても信頼を失う可能性が高く、「肉を切らせて骨で断つ」ような極めてリスクの高い謀略を使ってまでトヨタを陥れようとするだろうか。
 また、同じ部品を使っている他社の車で必ずしも不具合が発生していない事からCTSの部品に欠陥があったとしてもトヨタ車の不具合が果たして米国製部品のせいなのかどうかも疑問が持たれている。専門家によると「部品ではなくソフトに問題がある可能性が高い」という指摘もある。ソフトウェア関連の欠陥の可能性については三菱車の欠陥問題の際にも同じ様な指摘がされていた。

 更に大きな疑問として、最近トヨタ車で問題視されているのは大部分がブレーキの利きが悪いという事だ。もちろんアクセルは制動に関わる重要な部品ではあるが、低速で回生ブレーキが利き難いのは「ソフトウェアに問題があるらしい」事はトヨタも認めている。
 アクセルとブレーキの問題を意図的に混同させたのか単なる勘違いなのか分からないが、いずれにせよアメリカが悪意を持って欠陥部品をトヨタに供給したのであれば極めて悪質だが、大した証拠もなくアメリカの陰謀と決め付ける態度は異常としか言いようが無い


9.11同時多発テロ陰謀説の嘘

嘘と勘違いの塊

落下速度の嘘

 9.11同時多発テロ陰謀説ではアメリカ政府の陰謀である事実の証拠と称するものがこれでもかと嫌というほど提示されるのだが、よく見ると平気で嘘を言っているものがたくさんある(本人は本気なのかもしれないが)。
 その中の一つに世界貿易センタービルの崩壊についての指摘がある。崩壊のメカニズムは当初「パンケーキクラッシュ」と呼ばれ、上の階が落下することで下の階が圧迫されながら崩壊したというような説明であった。
 しかし、これに対してイチャモンをつけた陰謀論者がいた。「各階の落下速度が自由落下の速度を越えない筈だ」という主張だ。フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によるとRick Segalは、「崩壊時の映像記録によれば第1ビル、第2ビル、第7ビルの崩壊速度は真空での自由落下速度に匹敵する」と述べたそうだが、実際の落下速度は自由落下の2倍近くかかっている。
 嘘なのか単に馬鹿なのか分からないが、陰謀説の中にはこのように事実と大きく異なる間違いが平気で登場する。ろくに科学的検証もせず、多くの証言の中なら都合の良いものを恣意的に選別しているだけなのだ。

爆破で垂直に崩れるか?

 ビルの崩壊理由については仕掛けられた爆弾による制御解体説がある。制御解体とはあまり一般的ではない言葉だが、陰謀派は好んで使う。いかにも専門的に聞こえるからだろうか。

 制御解体説を主張する陰謀派は「飛行機の衝突ではあの様にきれいに垂直方向に崩壊する事はあり得ない。あれはビルの爆破解体にそっくりだ。制御解体以外にあり得ない」と主張する。

 要するに見た目が爆破解体に似ていたからという極めて単純な理由らしい。
 一応それ以外にも「爆発音を聞いた」とか「鉄が溶けていた」という証言も根拠として挙げられてはいるが、それらの証言は後付の理由ではないのか。
 最初に「制御解体に違いない」という信念を持ち、たくさんあるあやふやな証言のうち少しでも裏付けになりそうなものを強引にこじつけているに過ぎないのではないか。

 なぜ飛行機の衝突や火災による燃焼では垂直方向に崩壊し得ないと思うのか分からないのだが、そもそも爆発による破壊自体に指向性はなく垂直に破壊させるのはむしろ難しい。
 爆破解体は必ずしも垂直方向に倒す訳ではなく、十分に広い敷地のある場所では横倒しにする場合も少なくない。その方が爆薬の量が少なくて合理的に破壊できる。

 私はWTCビルが爆弾によって破壊された可能性を全否定はしない。テロリストが飛行機の衝突だけでは不安に感じ建物に爆弾を仕掛けて誘爆させた可能性はある。
 アメリカ政府の自作自演にせよテロリストの仕業にせよ、誰かが爆弾を仕掛けたとして何のために垂直にきれいに壊す必要があるのか。そこが制御解体論の難点だ。
 どんな形であれビルを破壊すればよいのなら爆弾を仕掛けるのは決して不可能ではないが、古いビルの解体の様に上から順にほぼ垂直方向にきれいに破壊するには、既に多くの人から指摘されているように爆弾の設置や配線など多人数で人目に触れず膨大な手間をかけて実施しなければならず、しかも飛行機による誘爆を防がなければならないので実施は極めて困難だ。

 爆破解体自体は決して建物をほぼ垂直に上から順に規則的に建物を崩壊させ易い訳ではない。それは街中などで横倒しになったり破片が吹っ飛んだりするのは危険なので極めて綿密に処理を施しているから可能なのだ。また、単に爆弾の設置や電気配線だけでなく所々鉄骨に切り込みを入れるなど本当に綿密な処理が必要だ。

 爆破解体はきれいに破壊し易いからしている訳ではなく、コストと早さの点でメリットがあるから使われているに過ぎない。きれいに倒壊する建物の映像を見て「あれは制御解体しかあり得ない」と思い込むのは大きな勘違いだ。

アメリカ人の7割が自作自演を信じる?

『憎まれ愚痴』というサイトの一ページに「アメリカ人の71%がWTC破壊の黒幕世論調査に大統領府ら新世界秩序派と回答」という衝撃的なタイトルのページがあったので一部を抜粋する。
ほんの概略だけを訳すと、NASAにも関係する調査会社、ラングレイが、5,682人を対象として行った世論調査の結果が、改竄された。しかし、最初の結果は確認されているのである。
設問は:
「911の惨劇から6ヶ月以上過ぎた。貴方は、正直なところ、世界貿易センター破壊の背後にいて、あの事件を起こした勢力の中心は、誰だと思うか」(More than six months has passed since the 9-11 disaster. Whom do you honestly believe actually caused and was the major force behind the destruction of the World Trade Center? )
最初に発表された結果:
アラブ人:26.5%
シオニスト/新世界秩序派/ユダヤ=クリスチャン反乱分子:71%
(Arabs, 26.5%; Zionist/ NWO/Judeo-Christian Putschists, 71%.)
大統領府:21.9 %
(The White House (21.9 %) 1243 votes
 このページの日付が2002/07/11になっているので、調査は少なくもそれ以前に行われていたという事になる。
 この手の訴えはインターネット上でよく見かける。他にも「韓国人の58.6パーセントが米同時多発テロ事件は米国政府の陰謀だったと考えていることが、韓国の世論調査機関の調査により分かった」というのも見かけたし、ドイツ人についても割合は忘れたが多くのドイツ人が陰謀論を信じているという説を見かけた記憶がある。
 しかし、韓国人やドイツ人はともかくとしてアメリカ人のそんなに多くがアメリカ関係者などによる自作自演の陰謀論を信じているというのはどう考えても眉唾物だ。
 この時期に7割近くのアメリカ人がブッシュ大統領に絡む陰謀論を信じていたのであればそもそも選挙で再選などされない筈だ。
 しかも上記のデータをよく見ると「アラブ人:26.5%」と「シオニスト/新世界秩序派/ユダヤ=クリスチャン反乱分子:71%」と「大統領府:21.9 %」を足しただけでも120%近い数字になってしまう。
 これはデータが間違いたったか、或いはむしろ改竄されたデータを正しく訂正した、などの理由によって結果が改められたとする方が自然だろう。

 仮にアメリカ人の7割が本当に陰謀論を信じていたとしても陰謀論の正しさを証明することにはならない。アメリカ国民の考える事が必ず正しいのか? 正しいとするならば常日頃から反米を唱えておきながら、それこそ矛盾していないか?
 仮にそういう結果が本当に出ていたとしてもアンケートなんて公平を期したところで必ずしも当てにならないものだし、誘導尋問的な設問によって陰謀論を信じ込ませるような方向に持っていった結果としてなっている可能性も十分考えられる。

思い込みと勘違い(後日追加予定)

小学生並みの学力(後日追加予定)

悪質な噂話(ユダヤの陰謀論)

イスラエル機関の報告を受け同時多発テロの日にWTCビルに勤務していたユダヤ人4000人が出社せず、ユダヤ人の犠牲者はいなかった」 という噂話が2chなどインターネットなどで盛んに語られたことがあった。冷静に考えるとどう考えても嘘だという事が分かる。どんなにユダヤ人が結束していようと情報伝達をそこまで徹底するのは殆ど不可能だ。
 これは中東辺りのマスコミが流した情報らしく間違いだということに一旦気付かれて噂は下火になったが、また最近「同時多発テロでユダヤ人の死者がいなかった」という噂話がインターネットの掲示板などにしばしば見かけるようになった。

 ユダヤ人4000人が出社せずユダヤ人の犠牲者が出なかったという話は根拠のない単なる噂話に過ぎない事は分かり切っているが、一応NHK主幹の死とユダヤの陰謀で詳しい検証をしているので興味がある方はそちらをご覧頂きたい。

被害状況の科学的検証

不自然ではない破壊状況

 世界貿易センタービルがあっけなく全壊し、ペンタゴンが比較的軽微な損傷で済んだ事に対する疑問の声をよく聞く。これが陰謀説の根拠の一つにされている。
 私は大学の建築工学科卒で構造力学を専攻し大手ゼネコン鴻池組に9年間勤務した。建築構造力学の権威というほどのものではないが、私なりにコメントする。
 私が大学で学んだ知識と鴻池組で得た経験からすると、この現象は何の不思議も無く、むしろ教科書通りだったというのが率直な感想だ。 なぜあのような破壊の結果になったか簡単に言うと 「世界貿易センタービルは脆くてペンタゴンは頑丈だった」、それだけだ。
 日本でもアメリカでもそうだが、高層ビルというのはもともと脆い。ビルを木に例えると、低層ビルは木の切り株で高層ビルは切っていない木、という感じだ。
 どちらが強いか素人でも分かるだろう。
 強度を計算する際に通常、設計者が最も重視するのが水平力だ。一般的に想定しうる状況の中では水平力が最大の応力である場合が殆どだからだ。特に高層ビルは水平力に弱い。これは先ほどあげた木の例を考えれば分かると思うのが、てこの原理が働くから同じ力が働けば根元にかかる曲げ応力は高層ビルの方が当然高い。
 しつこいようだが「高層ビルは脆い」。だからこそ、不安を払拭するために高層ビルの安全性がやたらと強調されてきた。
 特に今回かかった力はまさしく水平力の典型だ。あの様な巨大な物体が高速で衝突すれば高層ビルにおいては凄まじい曲げ応力が発生するだろう。
 更に爆発により多量の航空機燃料が燃えたことで高熱が発生し鉄の強度が著しく落ちるという通常考えられない悪条件が重なれば崩壊しても特に不思議ではない。
 更に付け加えるとビルとしては珍しいトラス構造であった。トラス構造というのは部材の節点をピン接合(自由に回転する支点)とし、三角形を基本にして組んだ構造である。体育館や東京タワーなど鉄骨を三角形の形状に組んだ建物を目にする事はよくあると思う。特徴としては通常の鉄筋コンクリート高層ビルはラーメン構造といって接点の剛性が高いが、トラス構造では接点にかかる曲げ応力が理論的にゼロになる(あくまで理論上であって現実にはゼロにはならない)。東京タワーや鋼橋を見て分かる通り少ない部材で早く建設する事が可能だ。その反面、一箇所崩壊すると全体の構造に大きな影響を与える可能性がある工法である。
 つまり既に感想を述べた通り正に教科書通りの崩壊をしたに過ぎない。
 複合的な条件が働いた場合には単純な足し算だけで言い表せるもの ではなく、簡単に限界に達してしまう場合も少なくない。
現実問題として異常な力が加わった場合に建物がどの程度で破壊するかの予想は極めて困難だ。研究者が最も重視し長年研究を重ねている耐震性についてすら大地震のたびに予想が外れる事が少なからずあるし、その都度法令が改正になっている。まして航空機の衝突など通常は想定しない。被害の程度を正確に予想できる人など殆どいない。
また、飛行機の操縦に関しては私は全くの素人だが、パイロットの立場としては超高層ビルである世界貿易センタービルの方が正確に命中させ易い気がする。
 それから世界貿易センタービルが商業施設でペンタゴンが軍事施設という事も世界貿易センタービルが破壊されやすくペンタゴンが破壊されにくい要因の一つであると思われる。

衝突の条件設定

世界貿易センタービルはボーイング707型機の衝突に耐えられる設計になっていた筈なのに崩壊したのはおかしい」という主張があるが、これについて解説する。

 通常は建築物の破壊に関して考えうる外力の中で最も強力に働くと考えられるのが地震力で次が風だ。しかし、地震については長年に渡り世界中の関係者が研究を重ねてきたにも関わらず大地震の際には起こる筈がないとされてきた破壊が何度も起こっている。代表的な例が阪神淡路大震災だ。まして衝突時の例が少なくデータも殆ど無い航空機の衝突で計算間違いが生じるのは特に不思議ではない。

 更にもう一点、この点に関する陰謀論者の前提において完全に欠落している重要な観点を説明する。建築技術者としての意見を述べさせて頂くと「衝突に耐えられる」と言っても「あらゆる条件に耐えられる」という意味で言ったとはとても思えない。
 殆ど起こりもしないような可能性に対して備えてもあまり意味が無いからだ。例えば高度1万mから旅客機が急降下して激突する可能性は極めて低い。
 物理の授業で習ったと思うが、衝突の破壊力は重量に比例し速度の2乗に比例する。速度が5倍になれば破壊力は25倍になる。この様にまず一つは、速度の設定が重要な意味を持つ。もう一つ大事なのは燃料をどれだけ搭載しているかだ。燃料が残り少なければ重量もかなり軽くなるし火災を起こす可能性も減る。
 離陸時は無理な条件で発進を許可する事は無いだろうし余程変な飛び方をしない限り超高層ビルの方角に飛んでいく可能性も低い。
 恐らく設計者は濃霧の中で付近の空港(JFK空港辺りか)に着陸しようとして誤って衝突する可能性を考慮したのではないか。
 着陸時は燃料も少なくなって火災の危険性が低く重量も減り速度もかなり遅い。設計者も恐らく離陸直後にエンジン全開で最も効果的な場所を狙って体当たりを敢行するテロリズムを想定などしていないだろう。
 衝突時の時速が何キロで燃料をどれだけ積んだ状態で重量が幾らになって飛んでいたか全く示さずに、ただ「怪しい」というのは全く素人臭い意見であり、それこそ怪し過ぎる。

融点以下で崩壊の謎

 鉄の融点は約2700度(華氏)だがジェット燃料の火は最適条件下でも1800度(華氏)だそうだ。これを根拠ににWTCの崩壊の仕方に疑問を呈する人もいる。
 つまり、「融点より遥かに低い温度にしかなっていない筈なのに鉄骨が崩壊してしまったのはおかしい」と。

 答えは既に多くの人から出ているが実に簡単だ。金属というのは(それ以外の物質でも成り立つ場合もたくさんあるが)融点より低い温度でも崩壊し得るという当たり前の事実だ。
 鉄の融点より遥かに低い温度でWTCの鉄骨が崩壊した点を指摘する人に悪意は無いのかもしれないが、案外気付きにくい事なのかも知れないので一応解説する。
 鉄は加熱し続けると融点を境にいきなり脆くなる訳ではなく徐々に柔らかくなる。熱と外力を同時に加えれば融点よりかなり低い温度でも小さな力で比較的容易に変形させる事が可能だ。
 例えば刀鍛冶を考えると分かり易い。日本刀は液化した鉄を鋳型に嵌めこんで作る訳ではない。融点に達する前の固体の鉄でも液体としての性質を多少持っているので人間の力で叩いただけでも変形させる事ができる。
 この原理を利用した例の一つに建築工事現場などで行われている圧接がある。圧接は鉄筋などを繋ぐ際に用いられる工法だが、2本の鉄筋を繋げて強い圧力をかけながら加熱する事により融点より低い温度での接合を可能にしている。
 四年生国立大学を出た技術者の中にさえ圧接について「鉄筋を溶かして接合している」と勘違いしている人もいたので、外力がかかった状態での加熱について一般人が勘違いするのは仕方ない面もあるのかもしれないが、融点以下でも鉄は容易に変形、崩壊し得る事を考えるとWTCビルが鉄の融点より低いとされる温度で鉄骨が崩壊したのは不思議ではない事を理解すべきだ。

ペンタゴンの穴が小さ過ぎる?

 ペンタゴンに衝突したボーイング757について疑問を呈する意見も強い。
ペンタゴンに開いた穴は5m足らずだが、38m×47mのボーイング757が何故そんな小さな穴の中に入ってしまったのか。あり得ない話だ」という疑問だ。
 数字を一見するともっともらしい意見に聞こえる. ペンタゴンに衝突したボーイング757

 右図はあまり上手くない絵だが胴体の周りの破線が開いた穴のつもりである。正面から見ると胴体が通過するにはそれほど無理の無い大きさと思われる。実際に正確な穴の大きさが分からず、胴体の径もwikipediaに書いてあった横幅からの推測なので大きさの大小関係が多少逆転する可能性もあるが、両者の径が著しく違う訳ではなさそうだ。

 飛行機は正面から突っ込んでくるので長さがどうだろうとこの場合あまり関係ない。高速で動いている事を考えると胴体だけであれば惰性により通過できたと考えてもさほど無理は無い。
 問題は主翼(エンジン)と尾翼だ。特に尾翼がそうだが、間違いなく穴に引っかかってしまうだろう。これをどう説明するか。
 ポイントは機体の剛性だ。この絵は極端にしても翼は機体と比べると薄っぺらくて剛性が低い。分厚いコンクリート壁にぶつかった場合、そこでもげて落ちるか折れて中に引きづられるかのどちらかだろう。
 全てがきれいに中に引き込まれたというのは不自然な気もするが、実際には外部にもかなり部品が散乱しているようなので機体の全てが入り込んだ訳でもなさそうだ。

 この様に機体の体積や重量に対する比率で考えると機体の大部分が中に入り込んだとしても特に不思議はない。  

単純な勘違い

BBCのWTC7崩壊フライング報道

 建物崩壊に関する疑問をはじめとして多くの疑惑は航空機の衝突による破壊では物理的に無理があるというのが陰謀派の主張だった。
 それと対照的な疑惑としてよく陰謀派によって使われるのがBBCによるWTC7崩壊の際の報道である。
 陰謀派のサイトにBBCに関する下記のような疑惑が掲載されている。
http://rose.eek.jp/911/wtc7.html
2007年2月26日になって、YouTubeに興味深い「BBCの報道番組」が公表されました。WTC7はまだ建っているのに、ソロモン・ブラザーズ・ビルディング(WTC7)が倒壊したと、23分前に報道しているのです。事前に知らされていたのではないかと疑惑を抱かれています。
 これは物理法則と違い専門家でなくても分かり易いかもしれない。如何にも「摩訶不思議で裏に陰謀がなければこんな事はあり得ない」みたいな言い方をする人もいるが、誤報と考えると簡単に説明が付く。
 BBCの言い訳としては「担当者が新任間もなく現場の地理に不慣れだったので間違えた」という事らしいのだが、陰謀派にすると訳の分からない苦し紛れの言い訳に聞こえるらしい。私からするとBBCの説明が特に不自然とは感じない。
 事前に誰かからWTC7崩壊に関する情報を得ていたのではないかというのは多分そうだろう。
 WTC7の倒壊(911陰謀論)というサイトに下記の記述がある。
ある上級消防官が、建物に「ふくらみ」が生じており「じきに崩壊するだろうと確信している」と述べている。
 そういう状況があったので、もう直ぐ崩壊するか或いは既に崩壊したと誤解したかもしれない。事前に爆破の計画を知らさせていないからこそ23分というズレが生じたのだろう。
 そう考えるとBBCの報道と現実の違いに不自然さは何も感じないが一体何が不思議なのだろうか。9.11に関しては他にも誤報がたくさんあったし、これも単なる誤報の一つではないのか。

 この報道の間違いの背景に陰謀があるのならBBCも陰謀に加担していたのか。一体何のために陰謀の首謀者はBBCに情報を与えたのだろうか。「俺たちが陰謀でビルを破壊する。9月11日○時○分に爆破するから、うまく放送してくれよ」とでも言ったのか。例の女性キャスターも加担していたのだろうか。どう考えても不自然だと思うし、知らなかったからこそ間違えたのではないだろうか。予め爆破の詳細を知らさせていたのならなぜ間違った報道をしたのか。その方がよほど不自然だと思う。

WTC7の保険金疑惑

 これもWTC7ビルに関する話だが、崩壊したWTC7ビルのオーナーであるシルバースタイン氏がテロ保険をかけていた事で陰謀派から疑惑を持たれている。
ビルのオーナーは9.11事件の直前に多額のテロ保険に入って大儲けしている。これはタイミングが良過ぎて怪しい」というような意見だ。
 ではいつ保険に入りどれだけの保険金を受け取ったのだろうか。疑惑を持つ人たちのサイトや文献などを調べてみるとなぜかばらばらだ。時期については6週間前というものや数ヶ月前というものもある。保険金の額も46億円だったり80億ドルだったりする。保険に入った時期については2回以上に渡り契約したという可能性が全く無い訳でもないが、保険金の額の違いは一体何なのだろうか。46億円と80億ドルでは全く桁が違い過ぎる。なぜ、このような差が出てくるのだろうか。
 ここで肝心な観点が欠落している。それはビル崩壊による損失が幾らなのかという事だ。当然の事ながら巨大な損失があるわけだから保険金でカバーできる額なのか考えなければならない。しかし、その点を検証している陰謀派が殆どいない。保険金が80億ドルであれば為替レートによっては一兆円近い額になるから、もしかすると採算は合うかもしれないが、46億円だったら赤字の可能性の方が大きいと思う。
 次に保険をかけた時期について検証してみる。6週間前が果たして直前かどうか微妙であるが、それだけで具体的な情報を知っていたと決め付けるのはどうかと思う。ニューヨークではあまり遠くない過去において爆弾テロが発生しているし、テロに備えるのはむしろ当然ではないだろうか。
単なる偶然ではなく、何らかの情報を知っていたではないか」というのは恐らくその通りだろう。私が覚えているのは、あの事件が起こる少し前に「アメリカを狙うテロ組織が在日米軍基地を狙っているらしい」という話が公然と語られていた。ニューヨークのビルのオーナーがアメリカを狙ったテロに備えてテロ保険に入ったとしても特別不思議はないと思う。そもそもアメリカにおいてテロ保険なるものの加入者がそんなに珍しいものなのだろうか。その点が陰謀派によって具体的に語られていない。

 もう一つの素朴な疑問としてBBCの件と同様に民間人に対して陰謀の首謀者が計画を事前に知らせる意味は一体何なのか。 当然そんな事をすれば陰謀が露見する可能性が高まるわけで、そこまでするメリットは一体何なのか。それともこの陰謀の首謀者はブッシュや軍部ではなくシルバースタイン氏その人であり個人的に保険金を稼ぐためにやった事なのだろうか。

 仮に9.11がアメリカの陰謀だったとしてもWTCの保険金については単なる偶然ではないのだろうか。

電話連絡の謎

 同時多発テロで乗っ取られた旅客機の乗客から多数の電話連絡があった事についてイチャモンをつけた人物がいた。
専門家によると高い高度を高速で飛ぶ航空機から携帯電話で連絡する事は不可能だ」という主張だ。しかし、「乗客が旅客機から電話で連絡する事が出来なかった筈」というのが間違いである事はちょっと考えれば簡単に分かる事だ。
 まず電話連絡といっても携帯電話だけではなく実際には殆どが機内の据付電話からかかっているらしい。
 高高度にいる旅客機からの携帯電話による通話が困難だとしても数百人いる乗客の内の何人かが運良くかかった可能性があり、その内何通かはすぐに切れたり聞き難かったりしたかもしれないが、全くかかる可能性が無いとも言い切れない。
 また、アメリカでは同時多発テロ当時に旅客機から乗客が携帯電話をかける事が可能であり、安定した高度で乗客が普通に電話している光景を見かけたと証言している人もいる。
 こういう話題はアメリカの航空事情に対する無知から生じたものと思われ、恐らくアメリカ人からは出てこない話だろう。

NHK主幹の死とユダヤの陰謀

概説

 2001年10月15日に長谷川浩NHK解説委員・主幹が東京都渋谷区神南のNHK放送センターで転落死した。NHKによると長谷川さんは15日午前、同センターの敷地内で「人が倒れている」との通報があり、警察や消防救急隊が駆けつけたが間もなく死亡したそうだ。警視庁代々木署が死因などを調べた結果、「個人のプライバシーの問題で何も申し上げられない」、「事件性はない」としている。検死、遺体解剖はされていない。

 長谷川浩氏は死の直前に同時多発テロに関する微妙な発言をしている。その事による他殺ではないかという見方がインターネットなどでたびたび紹介されている。具体的には下記の様な内容である。

 同時多発テロの真相について訴えている「NHK解説委員・長谷川氏の怪死の真相」というページに長谷川氏がしたとされる下記の発言の記述がある。
崩壊解体された世界貿易センターの死者には、4000人いたイスラエル国籍のユダヤ人二重国籍米国人が1人もいなかった。
 この様に陰謀を匂わせる重大な発言をしたためにユダヤ関係者により他殺されたと考える人により、長谷川氏の死因や同時多発テロにおけるユダヤ人の死者数に関する疑惑がインターネット上で盛んに取り沙汰されているが、この事について検証する。

他殺なのか?

 この事件についてインターネット上で盛んに変死とされており中にはユダヤの圧力によって警察が検死や解剖をしなかったという主張もある。
 しかし、私にはそもそも何が変死なのかさっぱり分からない。死亡状況に関する記事を読んだ限りでは単なる転落死ではないのか。特に不審な点は見当たらない。だからこそ警察は検死や解剖をしなかったのではないだろうか。

 この死をユダヤの陰謀と結びつけるのは短絡的過ぎないか。ユダヤの闇の組織なるものが日本の警察まで支配下においているというのはあまりにも凄過ぎて俄かには信じがたいが、確かな証拠でもあるのだろうか。証拠を示したサイトにお目にかかった事がないのだが。
 そもそもユダヤの力がそんなに強力であるのならなぜユダヤの陰謀説が堂々と論陣を張っていられるのだろうか? そういうサイトの運営者に何らかの圧力がかかったという話を聞いた事がない。そんなに強力な組織なら少なくともプロバイダーに対して削除依頼位はしてもよさそうなものだが。
 また長谷川氏は何のために殺されたのか。口封じであれば公表された後ではもはや意味がないし、ユダヤに対して公然とより挑発的な発言をする者は他にも多数存在する訳で報復としてもあまり意味がない。

 同時多発テロの実態に疑問を示した人がたまたま死んだからといって陰謀、それもユダヤの陰謀と決め付けるのはいささか論理の飛躍があると思う。

ユダヤ人の死亡者数

 先述の長谷川浩氏の発言についてもう一度よく見てみよう。「イスラエル国籍のユダヤ人二重国籍米国人」というのはあくまで伝聞であり私自身も彼の発言を直接聞いていないので一字一句間違いないのか分からないが、何だかとても分かり難い。
 そもそもイスラエル国籍の保有者とユダヤ人とは全く別の概念だ。前者はイスラエル国籍があるかどうかで決まる明確な概念だが、ユダヤ人というのは本国のイスラエルにおいてさえも血統や宗教などによるはっきりとした定義が存在しないようだ。この人はイスラエル人だと断定できる例は多いかもしれないが、ユダヤ人かどうかをどうやって判定したのか素朴な疑問を感じる。
 また、4000人というのも妙に割り切れた数字だが、他のサイトでは7000人説もあった。イスラエル人なのかユダヤ人なのか知らないが死者の数にしても0だったり1人だったり3人だったりする。なぜ3000人もの差があるのか疑問だが、どちらもきれいに割り切れる数字だ。あまり正確な数字ではなく概算なのであろうか。もちろん非常事態において正確な数字を割り出すことは難しいので多少の誤差はやむを得ないのだが、それならば4000人という数字と死者の数にかなりの誤差があり得るのではないだろうか。
 そもそも朝日新聞によるとユダヤ人の死者(これもイスラエル人かユダヤ人だったか不明だが)は少なくとも百人程度はいたらしい。百人や二百人程度は誤差の内なのだろうか。ずいぶんと大雑把な計算だ。

 いずれにせよユダヤの機関からユダヤ人に対して何らかの警告があり当日多くのユダヤ人が欠勤していたのだとしても全てのユダヤ人に徹底する事は難しい。一体どんな手段で伝達したのだろうか。手紙か電子メールか。いずれにせよユダヤ人の大部分が納得して欠勤したとしても連絡不十分だった人も出て来る筈でユダヤ関係の犠牲者が殆どゼロというのは不自然極まりない。
 これも根拠の無い作り話に過ぎないのではないか。そもそも長谷川浩氏が公共の電波で本当にそんな事を言ったのかどうかも怪しいのだが、本人が死んでしまったのをよい事に適当にに改竄して流布しているのではないだろうか。

陰謀だとすれば

衝突だけで十分

 WTCビルの崩壊理由については「旅客機の衝突だけではあんな壊れ方はしない」という意見があり、「小型水爆使用説」、「建物に仕掛けられた爆弾による制御解体説」、「軍用機によるミサイル使用説」など諸説ある。
 しかし、「不自然ではない破壊状況」で述べた通り、建築技術者としての視点からすると全速力で衝突した大型旅客機による衝撃だけで十分に破壊可能だと思う。
 そもそも、この攻撃の何が問題とされているのか。立派な高層建築が完璧に破壊された事に腹を立てているのか、それとも罪のない民間人に何千人もの死者を出した事に対する非難なのか。もちろん両方であろうが、強いてあげるなら当然後者の方が大きな問題だろう。
 航空機の事故において火災が発生するのは珍しい事ではなく消火設備や避難体制が充実している空港においてすら多くの被害者を出すことは珍しくない。仮に建物が完全に破壊できずに原型はほぼ留めたとしよう。その場合でも火災による焼死や窒息死でビルにいる半数以上が死んだ可能性も十分にある。建物にしても使い物にならず立て直した方が安上がりの可能性も高い。

 この様な理由で仮に同時多発テロがアメリカの自作自演だとしても、飛行機を衝突させるだけで十分目的を達する事が可能であり証拠隠滅が難しい、爆弾や水爆やミサイルを使う必要は全くない。仮にアメリカの陰謀があるとしてもビルが崩壊したのは旅客機が衝突したからだと素直に考えるのが自然だ。

荒唐無稽な小型水爆説

 衝突だけで十分の項でも説明した通り旅客機の衝突だけで十分に建物は破壊し得るのだが、陰謀論者はなぜかやたらと凝った破壊方法の存在を提唱する。その極致が小型水爆使用説だ。リチャード・コシミズ氏などが主張している。
 さすがにこれは陰謀論者の中にも「幾ら何でもそんな物は使わないだろう」と考える人も多いだろうし、わざわざ解説する必要もないかもしれないが、他の陰謀説の矛盾を指摘する上で役立つので説明しておく。
 これは後で述べる「仕掛けられた爆弾による制御解体説」の発展系とも言えるものだが、通常爆弾による爆破説では下記の2つの理由でビルの崩壊が説明できない。

@鉄が溶融した状態で3ヶ月も地下に滞留しプールを形成していた。
A自由落下速度並みの速度で崩壊したとされている。

 @もAも通常の爆弾による破壊や熱量ではそんな事は起こりえない現象だ。そう考えると@とAが事実なのであれば確かに小型水爆の使用以外に方法は殆ど考えられない。
 但し、これはあくまで@とAが正しいという前提を必要とする。また、自由落下速度並みの速度で崩壊させるには屋上よりも上で爆発させる必要がある。これはタイミング的に極めて難しく、どうすれば誰にも気付かれず爆発させる事が出来るのだろうか。

 馬鹿馬鹿しい意見ではあるが、その一方で結果的に「爆弾による制御解体説」や「溶融した鉄の目撃証言」や「自由落下を越える速度での崩壊」といった主張に対する痛烈な皮肉となっている点で興味深い説ではある。 とい

更に非現実的な制御解体説

 陰謀論の中でWTCビルについて主流となっているのがビルに仕掛けられた爆弾による制御解体説だ。この説が唱えられている根拠として主に次の様な理由がある。
@自由落下速度並みの速度で崩壊した。
A航空機用燃料による燃焼では鉄の融点に達しない筈なのに建物が崩壊したり、鉄が溶けたのはおかしい。
B発破による解体の様にビルがきれいに崩壊した。

 まず@の「自由落下速度並みの速度で崩壊した」というのが嘘である事は「落下速度の嘘」で既に説明した。実際には自由落下速度の2倍近くかかっている。
 また、前項でも延べた通り、上空で核兵器を爆破でもさせない限り崩壊速度が自由落下速度以上になる事はあり得ない。
 以上2つの理由で、この点については既に理論が完全に破綻している。

 次にAの温度の問題だが、鉄の融点より低い温度でも建物が熱で崩壊しうる事は既に説明した。
 また爆発というのは一瞬の燃焼なので、「航空機の燃料による燃焼では熱量が不足している」のであれば、爆発による熱量では更に不足すると思われる。例えば極真会の空手家が火のついた板や氷を素手で割るのは一瞬にして手が炎を通過するからであり特別熱に強い体質だからではない。「唐無稽な小型水爆説」で既に述べた通り荒唐無稽な「水爆使用説」まで登場したのは鉄が溶けた事を説明するには通常の爆弾による爆破説では不可能だからだ。
 陰謀論者からはそれを補完する苦しい理屈として「サーマイト」なる特別な爆弾が使われたとする主張がある。しかし仮にそんな物を使ったとしても3ヶ月も地下で溶融した鉄のプールが形成される事はあり得ないし、そもそもなぜそこまでややこしい事をする必要があるのか。
「サーマイトが使われた証拠がある」という主張もあるが、これは後付の言い訳ではないのか。そもそも鉄が溶けたという事自体が、爆破説を肯定するための後付の言い訳ではないのか。証拠といっても証言だけだから明確な物的証拠があるわけではない。

 結局、証拠と称するもので残るはBの「発破による解体の様にビルがきれいに崩壊した」しかない。きれいな崩壊かどうかは主観の問題だが、「航空機による破壊ではその様な事象が起こり得ない」という根拠は何なのだろうか。
 説明が一切無いので根拠が分からないのだが、いかにも素人くさい思い込みだと思う。

ミサイル使用説

「衝突した旅客機が実は軍用機でミサイルが発射された」という説もある。これは胴体の全部が不自然に膨らんだように見える写真と衝突直前に閃光のようなものが見られた事を根拠としているようだ。
 これについてもやはり、WTCビル崩壊に関する他の説と互いに否定しあう要因となる。もし、建物に爆弾が仕掛けられていたのならミサイルなど必要ない筈だ。
 これも他の説と同様に「なぜ、凝った割にはそんな露見し易い方法を用いなければならないのか」という疑問がある。既に説明した通り旅客機の衝突だけでビルを破壊させる事は十分に可能と思われる。
 そもそもこの旅客機自体がミサイルの様なものだ。衝突だけでは破壊力が不十分なのであれば、内部に燃料などの可燃物や爆弾などを搭載すれば済む事だ。なぜわざわざ見つかり易い外部に、それも機種の近くにミサイルをすえなければならないのか。

 胴体全部の怪しげな膨らみについては光の反射などでそう写っただけの事ではないか。或いは写真自体が捏造されたものかもしれない。
 衝突直前の閃光については急激な接近により電気が発生して光ったのではないだろうか。どう考えても衝突直前に発射する意味が全く無い。

なぜ部外者に知らせる?(後日追加予定)

より自然な工作(ボルト細工説)(後日追加予定)


陰謀論者への質問

質問に弱い陰謀論者

 陰謀論者は否定的な見解を示す人たちに対して訳の分からない主張を展開し強く説明責任を求めてくる。
 例えば、「WTCビルがほぼ垂直に左右対称な崩れ方をしたのはおかしい」、「ビルの落下速度が速過ぎる」、「ペンタゴンに空いた穴の大きさが小さ過ぎる」という具合だ。「どういうことか説明しろ」と言われても、そもそも特におかしいと思わない人にとっては「特に不自然ではない現象だ」くらいしか説明のしようがない気もするが、それでも我々は最大限誠意をもって説明してあげている。

 逆にアメリカ陰謀論に対して否定的な見解を示す人が質問した場合にまともな答えが返ってきたためしがない。もっとも陰謀論自体がインチキなのだからまともな答えなど返しようも無いのだが。
WTCビルがほぼ垂直に左右対称な崩れ方をするのはおかしいなら、一体どの位の角度で倒れるのが正解なのか?
ビルの落下速度がどの位の範囲であれば適正だったのか?
ペンタゴンに空いた穴の大きさがどの位の大きさになるのが正しいのか?

 こういった質問に対して陰謀論者が極めて弱い事は著名な文化人である大月隆寛氏も指摘している。
 陰謀論者による象徴的な返答として、
お前は教えて君か
 こんなとぼけた返答も見受けられる。(大月隆寛氏のサイトより)
 陰謀論者自身は盛んに説明責任を求めておいて、しかも誠意のある説明を何度も受けているにもかかわらず、「まともな答えが返ってこない」と言い放ち自分自身は単に現状を否定するだけで実際に起きる筈とされる具体的な数値などを示そうとしない。

 ここでは陰謀論者に対して具体的な質問をしてみようと思う。

正しい崩壊の角度は?

 WTCビルの崩壊については「ほぼ垂直に左右対称な崩れ方をしたのはおかしい」という陰謀論者の指摘をたびたび見かける。
 私が妙に思うのは陰謀論者によると「超高層ビルが熱だけで崩壊した例は無い」筈ではなかったのか? 超大型の鉄骨建築物が熱だけで倒れた例が本当に無いのかどうかは怪しいが、ここではそれが正しいという前提で話を進める。超高層ビルが熱で崩壊した唯一の例なのだから経験論からすると何が正しい崩壊の角度なのかと言われても答えられない筈なのだが、陰謀論者は「おかしい」と決め付けている。
 経験論によるものでないとすると建築工学や爆破に関する理論を基にした推測なのだろうか? それならばその法則名を明示すべきだろう。しかし、私はサイトなどで一度として法則名が説明されたものを見た事が無い。
 そもそも「熱だけで倒れる事自体がおかしい」というのであれば、崩壊の角度を論ずる事は無意味な気もする。倒れる事自体があり得ない筈なのだから。

 そこで陰謀論者に質問なのだが、WTCビルに十分な熱が加えられたとして一体何度の傾斜で倒れる事が正しいと仰るのか。是非教えて頂きたい。

 参考までに建築の専門家としての持論を述べよう。私は建築構造力学を専攻していたが、建物が崩壊する際に建物が何度の角度で崩壊するかなど講義を受けた事は一度もないし考えた事も無い。そもそも崩れない物を造るのが設計者の責務であり「最悪崩れた場合に何度で倒れるか」という検討は普通しない。
 経験論からしても「建築物の角度が幾らで崩壊したか」という報告は実は殆ど無い。爆破解体など事前に崩壊の日時が分かっている場合は話しが別だが、偶発的な崩壊に関しては現実問題としてたまたま崩壊の現場に撮影機材を持った誰かが居合わせて映像に記録した例は少ないからだ。完全に横倒しになっている建物については90°で倒れた事はほぼ明白だが、それ以外の場合については崩壊の過程でほぼ垂直に倒壊したとしても、その後の勢いで部材が拡散してしまう事もあるので途中の経過までは分からない。
 最後に、学問的には「S造(鉄骨造)の建築物がほぼ垂直に左右対称な崩れ方をする事はあり得ない」などという説を一度も聞いた事が無いという事を付け加えておく。

正しい落下速度は?

 WTCの倒壊の角度と共に陰謀論者から疑惑が持たれている代表例として「落下速度の速さ」がある。陰謀論者によると「落下速度が速過ぎる」そうだ。
 前項の「正しい崩壊の角度は?」の繰り返しになるが、陰謀論者によると「超高層ビルが熱だけで崩壊した例は無い」のだから他に比較する例がないので経験論から言うと早いも遅いも無い様な気がする。
落下速度が自由落下速度並みであった」という主張もあるが、もしそれが本当なら物理の法則に反するのでおかしいが、実際には落下速度の嘘で説明した通り自由落下速度の半分程度の速度しかなく到底自由落下速度に匹敵するものではない。

 これについても陰謀論者に質問なのだが、WTCビルに十分な熱が加えられたとして一体どの程度の速さで倒壊するのが正しいと仰るのか。是非教えて頂きたい。

 これについても参考までに建築の専門家としての持論を述べよう。私は建築構造力学を専攻していたが、建物が崩壊する際に建物がどの程度のの速度で落下するかなど講義を受けた事は一度もないし考えた事も無い。そもそも崩れない物を造るのが設計者の責務であり「最悪崩れた場合にどの位の速度で落下するか」という検討は普通しない。
 経験論からしても「崩壊した建築物がどの程度の速さで落下したか」という報告は実は殆ど無い。爆破解体など事前に崩壊の日時が分かっている場合は話しが別だが、偶発的な崩壊に関しては現実問題としてたまたま崩壊の現場に撮影機材を持った誰かが居合わせて映像に記録した例は少ないからだ。

何mの穴なら満足か

ペンタゴンに開いた穴が小さ過ぎる」という指摘も陰謀論者からよく聞かれる。「ボーイング75型機の横幅は38メートルあるのに直径5m程度の穴しか開いていないのはおかしい」というのだが、この指摘こそが全くもっておかしい。

 それでは聞くが一体どの様な形状で、どの程度の大きさの穴が開けば満足なのか。直径38mの穴が開かないとおかしいとでも言いたいのだろうか。何かが衝突した場合に衝突した物体とぴったり同じ大きさと形の穴が開く事はむしろ極めて稀と言ってよい。という事は物体より大きいか小さいか通常はこの二通りしかない。開いた穴が衝突した物体より小さい事がそんなに不思議なのか。私はそんな理論を専門家から聞いた事が無い。

 どういう形状や大きさの穴が開くべきなのか明確に示されている主張というのは私が見たところ一つもない。
 私は直径5m程度の大きさの穴が開いた事に対して特に不自然さを感じなかった理由を建築構造力学の技術者として当ページのペンタゴンの穴が小さ過ぎる?に示しておいた。
 構造力学や航空力学を学んだ事の無い素人が一体何の根拠があって「ペンタゴンに開いた穴が小さ過ぎる」などと断言できるのだろうか?
 そんな事が素人の直感で分かるのであれば、大学の建築工学科や航空工学科など必要ないだろう。一体何のために高い税金をそういう所に注ぎ込んでいると思っているのか。
 素人が知ったかぶって嘘を撒き散らすのはもはや犯罪としか言いようが無い。

真珠湾陰謀論の嘘

 日米戦争の発端となった真珠湾奇襲攻撃についてはアメリカ大統領による下記のような陰謀論がまことしやかに語られている。
ルーズベルト大統領は日本海軍の真珠湾攻撃計画を諜報局から通報されていたが、故意に放置した。意図的に攻撃を受けてアメリカの参戦を国民に認めさせた。
 結論から言うとこれは大嘘だ。ではなぜ事実無根の陰謀論が一部の人たちによって強く支持されているのか。その理由を説明する。

情報面からの考察

 真珠湾攻撃陰謀論者は主に下記の様な理由でルーズベルト大統領が事前に知っていたと考える。
 @事前に情報を知らされていた。
 Aアメリカは日本の情報を解読していた。
 B大艦隊が動いて気づかない筈が無い。
 これらについて検証してみよう。

報告はあったのか

 @については、本当にルーズベルト大統領が日本軍の真珠湾奇襲を確実に予知していたのか疑問だ。諜報局から知らされたという情報自体、出所が曖昧だ。報告があったとしても不思議はないが、恐らくそんな情報は他に幾らでもあっただろう。例えば、「日本軍はフィリピンを侵攻するつもりらしい」など(実際に日本軍はフィリピンを侵攻しているが)。大統領が受け取る膨大な情報のうちの一つに過ぎず、その情報がどれだけ重要度が高いものとして報告されたのかの説明が無い。「もしかすると日本が真珠湾を攻めるかもしれない」程度の報告であれば無いのと大差ない。

暗号を解読したか

 Aについては、アメリカが日本の情報を解読したといってもこの時点では海軍の情報は解読されていないようだ。
 仮に解読していたとしても意図的に偽情報を流す事はよくある。実際、日本軍は開戦前に盛んに偽電を流していし、ミッドウェー作戦においても陽動作戦を実施している。

大艦隊に気付かない可能性

 Bについては、当時は今日のように偵察衛星はなく大艦隊が動いたとしても簡単に敵の居場所が突き止められる訳ではない。簡単に敵艦隊の場所が分かるのであれば日本海軍はミッドウェーで大敗していない筈だ。そもそも「大艦隊が北太平洋上を移動すればアメリカの情報収集能力では間違いなく察知される筈だ」というなら、アメリカを熟知した山本五十六連合艦隊長官がこのような作戦を積極的に提案などしない筈だ。

戦術面からの考察

鉄壁の要塞群島

 アメリカが真珠湾攻撃をむざむざと許した大きな理由の一つとして真珠湾の軍事基地としての特性がある。
 ハワイは多くの群島からなる強力な要塞基地であり真珠湾は、その中核をなす。
 戦艦と渡り合える大口径砲が設置されていたので砲撃戦になるとまず日本艦隊に勝ち目は無い。飛行場も備えており陸上から航続距離の長い爆撃機を発進させることもできるため、航空機の射程でもアメリカ軍が有利だ。アメリカ本土に近いため長期戦になるとますます日本に不利になる。
 後は工作員を密かに上陸させるか航空機による攻撃などが考えられる。前者は完全に奇襲攻撃である
 航空機による堂々たる攻撃であったにもかかわらず奇襲攻撃とされるのは航空機による真珠湾攻撃が極めて意外な戦法だったからだ。
 真珠湾の水深は平均12メートルしかない。通常の航空魚雷は一旦数十m沈下してから上昇する。これでは魚雷は使えない事になる。
 海戦では魚雷が主兵器となる。爆弾のエネルギーは四方八方に拡散してしまうが、魚雷は水中で爆発するので爆発のエネルギーは水圧により艦艇側に集中する。しかも船腹に穴が開くと浸水を引き起こし船が沈み易くなる。
 こういう事情があり航空機での攻撃も難しいと考えられてきた。だからこそ奇襲と呼ばれている。日本海軍の努力で浅い水深でも使える魚雷の使用に成功したのだが、アメリカとしては魚雷を使えば全て海底に突き刺さるだけだと思っていただろう。
 実際、海底が浅いため一旦沈められた戦艦の殆どが引き揚げられており海底に沈んだままになっている戦艦は2隻だけだ。
 アメリカが「真珠湾を攻撃したってどうせ失敗するに決まっている」と考えるのは常識的に当然の事であり、もし日本がここまでやれる事を予期していたのなら非常に日本を高く評価していたことになる。

空母不在の理由

 日本海軍が真珠湾を奇襲した頃、空母が湾内に停泊していなかった事について「攻撃を察知していたアメリカ側が空母を温存するために湾外に退避させていたのだろう」という意見もあるが、穿ち過ぎであろう。
 空母は何をしていたのかというと航空機を輸送していたのだ。何ら不思議は無い。そもそも当時の航空母艦は主力艦艇ではなく補助艦艇としての位置付けしかなかった。従って空母を守るために事前に退避させたというのは事実無根のガセネタであり、軍事の素人による言い掛かり或いは軍事に精通している者の発言であれば嘘という事になる。いずれにせよ、ろくなものではない。
 もし湾内に停泊していたのが空母で戦艦が湾外にいて被害を免れていれば逆に「当時の主戦力である戦艦を守るため事前に退避させたのだ」と決め付けられていたかもしれない。

 故意なのか無知なのか知らないが、この様に事実と正反対の事を平気で言って、いかにも本当であるかのように主張するのが真珠湾陰謀論者の特徴だ。
 更に補足すると艦船を守るのであれば湾内に停泊させた方が魚雷攻撃を受ける可能性も低いし、対空砲火を敵機に集中させる事もできるので、戦艦を航空機からの攻撃から守るためにはむしろ外洋にいるより湾内に停泊させた方が安全である。軍事の専門家から見ると特に不自然さの無い行動なのだ。事実、一旦沈んだ戦艦も殆どが引き揚げられて再利用されている。
 9.11同時多発テロにおいても素人臭い知ったかぶりが随所に散見されるが、真珠湾攻撃陰謀論においての決め付けの代表と言える。

主導権は日本にある

 真珠湾陰謀論の最大の難点としては真珠湾攻撃の主導権があくまで日本にあるという事だ。幾らアメリカ側が待ち構えていても日本側が確実に実行してくれなければ陰謀なるものも成り立たない。
 海軍内部でさえ山本五十六提督の強引な計画に対して激しい反対意見が強かった。決定後でも「やっぱりやめた」と意思が変更される可能性は十分あっただろう。
 日本軍が何らかの偶発的な理由で作戦を中止してしまう可能性もある。例えばアメリカ、ソ連、カナダ、メキシコなどの船舶や航空機などによって日本艦隊が発見された場合(或いはこれらの国の船舶や航空機自体は日本艦隊の存在に気付いていないが日本側が気付かれたと思い込んだ場合)などに日本艦隊が虚しく引き揚げていた可能性もある。
 或いは当時の航空機は天候に左右され易いため攻撃予定時刻に暴風雨に見舞われ悪天候が何日も続いた場合に敵に発見され反撃される危険があるために引き返していた可能性もある。
 相手の気まぐれで実行される作戦であり偶発的な要素で中止され易い作戦をなぜ確実に実行される作戦と言い切れるのか疑問だ。

 陰謀が成り立つ唯一の条件としては日本海軍の高級将校がアメリカと通じていた場合位しか考えられない。それは他ならぬ山本五十六提督である可能性が高いわけで、そこまで話を持っていくのであれば面白いのだが、陰謀論者はただ「陰謀だ」と喚くだけで日本側にある主導権の問題についてなんら説明していない。

動機についての考察

真珠湾でなければ駄目か

 日本軍は真珠湾攻撃とほぼ同時刻にフィリピンのクラークフィールドを攻撃している。日本軍に対する参戦の口実としてはそれで十分ではないのだろうか。
 しかもクラークフィールド侵攻に関してはアメリカ側は「戦争になったら日本はクラークフィールドに侵攻するのではないか」と予測している。対日戦争が始まり自分の基地を攻撃されたという点ではどちらも変わりない気がするのだが。
 それともフィリピンは本土ではないから国民の危機感と士気が上がらないと考えたのだろうか。
 幾ら本土ではない外国の基地とはいえ自国が戦争に巻き込まれて危機感を持たないアメリカ国民はあまりいないと思うのだが。
 先制攻撃を受けた点を国際世論に訴えるには日本軍のクラークフィールド侵攻で十分であり、それ以上何が必要なのだろうか。

大被害が必要か

 ルーズベルト大統領の陰謀なるものがアメリカの参戦を国民に認めさせる事が目的なのであれば、なぜ日本軍の真珠湾攻撃を成功させる必要があったのだろうか。攻撃が成功しようとすまいとアメリカの領土に日本海軍が侵入した時点で侵略と見なしても構わないだろう。基地の上空で戦闘機を配置しておいて日本軍に反撃させてもアメリカ国民は何ら不自然さを感じないだろう。それだけでは戦意高揚の面で不足なのだろうか。 情報面からの考察でも述べた通り攻撃地点選択の主導権は日本側にある。日本海軍内部でさえ最後まで実行をめぐり揉めた作戦だ。日本軍が何らかの理由(例えば洋上で艦隊を発見されてしまった)で作戦を中止してしまう可能性もある。 ルーズベルト大統領は日米戦争になるのであれば日本からの先制攻撃を受けてからという形が好ましいと発言していたそうだが、そういう風に望むのは当然だろう。太平洋戦争自体が日米戦争を望んだアメリカによって仕掛けられたものだというのであればともかく、真珠湾に日本軍を向かわせてしかも攻撃を成功させなければならない理由が全く見当たらない。

贔屓の引き倒し

 仮にルーズベルト大統領が国民の戦意を高揚させるために真珠湾攻撃を故意に放置したのが事実だとして、これが果たして陰謀と呼べる様なものなのだろうか。何度も繰り返すが、情報面からの考察でも述べた通り真珠湾攻撃の主導権は日本側にある。意図的に嘘の情報を流した可能性もあるし天候などの影響で中止されていた可能性もある。
 アメリカ大統領が自分の思った程度の被害に留めたというのは絶妙としか言いようが無い。戦争において相手を騙すのは当然であり場合によっては味方すら騙すのが常識だ。まず日本軍の作戦を見事に予想した点と場合によってはハワイを占領される可能性もあるのに敢えて味方にすら知らせなかった大統領の勇気とアメリカの余裕に感服する他はあるまい。

日本に執拗な嫌がらせをしてまで戦争に持ち込みたいアメリカによって仕掛けられた戦争だ」という様な意見がある。私の個人的意見では嘘臭いと思うが、そういう意見を主張するのは自由だ。ただ、仕掛けられた点を問題にするのであれば、真珠湾陰謀論など持ち出さずにアメリカが戦前に行った対日経済制裁などを糾弾すればよいだけの話ではなかろうか。
フィリピンでもハワイでもサン・フランシスコでもどこでもよいから日本に先制攻撃をかけさせたかった」と言うなら、まだ話は分かるが、あくまで真珠湾に限定されてしまうと場所と時間や攻撃の規模などは日本が企画する事なので陰謀と言われても無理がある。

 日本側について述べるなら陰謀論が真実だとすると見事にアメリカの作戦に引っ掛かった事になり「黄色い猿」と呼ばれても仕方ないような愚かな民族という事になる。駐米経験のある山本五十六提督は一体アメリカで何を見てきたのだろうか。陰謀論の真偽によっては「世界最高水準の海軍」と「頭の悪過ぎる劣等民族」と極端に分かれる事になる。
 愛国者が陰謀論を唱える事が多い様だが、なぜわざわざ日本を貶めるような後者を選びたがるのか。理解に苦しむ。


地震兵器HAARPを巡る陰謀説

地震兵器HAARPの噂

 アメリカによる様々な陰謀の存在を訴えているカナダ出身のジャーナリストであるベンジャミン・フルフォード氏が地震兵器HAARPについて言及した。
 太平洋戦争中のアメリカで人工地震による日本攻撃の可能性が検討されていたそうだ。
「日本近海のどこの海底プレートに強力な爆弾を仕掛ければ、人工的に巨大な津波を起こせるかシミュレーションを繰り返した」そうだ。
 この本当に存在するのか疑わしい得体のしれない地震兵器HAARPなる物に関するアメリカ陰謀説議論がインターネットでかなり盛り上がっている。
 震源地は例によってベンジャミン・フルフォードやリチャード・コシミズらアメリカ陰謀論者のようだ。
 こんな与太話に付き合うはとても馬鹿馬鹿しいのだが、信じる人たちが無視できない数に達しているので一応検証を進める。

東北地方太平洋沖地震でHAARPが使われた?

 2chなどのサイトで「東北地方太平洋沖地震は米軍のHAARPにより発生した地震だ」という衝撃的な噂がまことしやかに語られている。
 少し前に起きたニュージーランド地震がその言わば実験のための前哨だとする説も見かけた。
 もちろん苦言を呈する意見も少なくないが、アメリカが地震兵器を使ったとする意見が堂々と多数見受けられる。
 これだけなら根も葉もない壮大な嘘を垂れ流す者はいつの時代でも存在するもので頭のおかしな洞吹きによる与太話で済ませる事も出来るが、民主党議員にも東北地方太平洋沖地震が地震兵器による人工地震と信じる人が現れたために、もはや軽視できない社会現象となってしまった。

 私が言うまでもなく事実ならとてもつもない犯罪行為だ。
 2011年6月現在で既に1万5千人以上の死者が確認され2万人以上死亡した可能性もある。数千人の死傷者を出した9.11同時多発テロを遥かに凌ぐ規模だ。
 陰謀論者が証拠と称するものなどを具体的に紹介、検証する事によって当サイトで噂の真偽を確かめてみよう。

陰謀論者の示す根拠

緊急地震速報が「はずれ」るワケ (リチャード・コシミズ)

 有名な陰謀論者のリチャード・コシミズ氏による「緊急地震速報が「はずれ」るワケ」というブログの内容を引用する。
緊急地震速報が「はずれ」るワケ

以下の通り考察します。専門家の方、忌憚のない御批判を。

そもそも緊急地震速報とは、地震のP波を検知するもの。本震よりもはやく観測できる。

S波(横波)よりもP波(縦波)が早く伝搬するので、P波を先に検知測定することで後から来るS波の大きさも予測できる。よって、S波の大きさをP波から推測して、「大きな地震が来る」と事前(十秒〜前)に警告を発することができる。

「地震では初期微動でのP波と呼ばれる小さな揺れ(縦波)と主要動でのS波と呼ばれる大きな揺れ(横波)が同時に発生する。P波とS波とは伝搬速度が異なり、P波は毎秒約7km、S波は毎秒約4kmの速さで伝わる。この伝搬速度差を利用して、震源に近い地点におけるP波の観測に基づき、後から来るS波の伝播を時系列的に予測し、震源からある程度以上(P波とS波の時間差が充分に開くほど)離れた地点に対しては、その到達前に予測を発表することができる。」

だが、ここのところ「はずれ」ばかりなのである。携帯は、なんだか未知の生物みたいな泣き声をあげて警告してくれるのだが、「スカ」ばっかり。全然揺れない。なぜ、大きなS波が来ないのか?

「核実験は、自然の地震と違いP波(縦波 初期の速い波)が大きく顕著である。S波(横波 後の遅い波)は小さい。マグニチュードは、前回より0.4大きい。エネルギーは4倍大きい。」

核爆発で発生するP波は「大きくて顕著」なのだそうで、当然、緊急地震速報のシステムは、地震が核爆発によるものとは想定していないから、普通の自然の地震であるならその後に来る「S波」も大きいはず、大地震のはずと「演算」して警告を発するのではなかろうか?だが、実際には、核爆発で発生する「S波は小さい。」ので、全然揺れない。「速報、外れ」となる。

これでいかがでしょうか?

リチャード・コシミズでした。

 上記の様に核爆発などによる人工地震はP波のわりにS波が小さいという傾向がある事は事実のようだ。
 しかし、それだけで「緊急地震速報が外れたのは核爆発による人工地震だから」と断定するのは短絡的過ぎないか?

 理由は幾らでも考えられる。例えば今回の地震は複数の震源が複雑に絡み合って連動して起きた珍しい巨大地震なので外れたとするのは不満か?
 そもそも震源と警報を送る地域の組み合わせは無限にあるが、観測地点は有限だ。
 学校で習うP波とS波は傾斜の異なる比例直線だが、現実には地盤の強さなどが場所によって異なるから地震波は常に速度が一定したきれいな比例直線で伝わる訳ではない。
 例えば天気予報でも本州の様に日本海側と太平洋側の間に背骨の様な山脈が連なっている本州と違い北海道では当たり難い傾向があるのだが、地震だって発生した場所や揺れ方などの特徴によって予報に当たり外れは当然出てくるだろう。
 今までの的中率がどれだけで今回はどうだったのか具体的な数値による根拠も述べられていないのも気になる。

 また、最大の疑問として核兵器などによる人工地震が発生したのなら世界の地震専門家、特に我が国の気象庁や研究機関などは確実に気付く筈なのだが、なぜ何も発表しないのか。
 考えられる理由は2つある。まず原発事故の後処理を米国やフランスの技術に頼っている事からも分かる通り実は地震に関する観測技術についても発展途上国並みの技術しか持ち合わせていなかった。
 もう一つの理由は、日本政府は専門家の報告により人工地震である事に気付いたが、沈黙している(1万人以上も同胞が米国に殺された事になるが、なぜ沈黙するのだろう)。
 果たしてどちらなのかリチャード・コシミズ氏には答えて頂きたいものだ。

勉強不足による勘違い

 これは前項の続編なので読んでない方はまず前項を読んで頂きたい。
 前項のリチャード・コシミズ氏のブログに下記コメントが投稿されていた。
私は静岡県に住んでいたので、震源地が地震は何度も体験しています。大抵、地面から突き上げるような衝撃(縦揺れ)を感じるのに、今回は横にしか揺れない。

「なんか変だよ・・この揺れかた。」と直感し、Googleで「地震 真相」で検索し、HARRP関連の記事を読みあさり、このブログにたどり着きました。

どう考えても、横にだけグラグラするのは、不自然だ!
 この人は大きな勘違いをしているので説明する。
 被災地における地震の揺れの方向(上下または水平方向など)は震源地と被災地の位置関係により当然変わってくる。
 学校で縦波というのを習ったと思うが、縦波と言っても振動方向は上下とは限らない。
 縦波は進行方向と同じ方向に振動する波であり、横波は進行方向に対して垂直に振動する波だ。
 従って縦波でも上下方向に揺れない場合もあるし、縦波でほぼ上下に揺れるのは直下型地震だけだ。
 都市直下型地震の方がずっと少ないので縦波でもほぼ垂直方向に揺れる場合は確率的にはむしろ小さいのが実情だ。
 横波については当然、上下方向に揺れなくても特に不思議はない。
 だから、横だけに揺れる大地震に遭遇しても何ら不思議はないし常識なのだが、この人は地震の巣窟の真上である静岡に住んでいるから勘違いしたのだろう。

 こんな事は私がわざわざ書くまでもなく、大地震に遭遇したが横揺れしか体験した事のない人はたくさんいると思うが、このブログに関するコメントは大体がこんな感じの勘違い(或いは嘘か)ばかりだ。
 根拠のない間違いばかりでも賛同する意見を連ねられると、自我の確立していない人は錯覚してしまうかもしれない。

震源深さ10キロの謎

 人工地震で津波注意報というサイトに人工地震の証拠とされるデータが掲載されている。
 そのサイトに掲載されたニュースを読むと東北地方太平洋沖地震の前後に発生した地震において震源地の深さが約10キロに揃っている。
 上記サイトの管理者のコメントを省略して、震源深さについて記述のあるニュースだけ列挙する。
宮城県北部で震度5弱の強い地震 都心も大きな揺れ 津波注意報も発令
2011.3.9 11:56
気象庁によると、9日午前11時45分ごろ、東北地方で震度5弱の強い地震があった。気象庁によると、震源地は三陸沖、震源の深さ約10キロ。地震の規模はマグニチュード7・2と推定される。気象庁は東北地方の太平洋沿岸で津波注意報を発令した。
この地震で、都心でも大きな揺れを観測した。
各地の震度は次の通り。
震度5弱=宮城県北部
震度4=岩手県沿岸北部、同南部、同内陸北部、同南部、宮城県南部、同中部、震度3=秋田県沿岸南部、同内陸南部、山形県村山、福島県中通り、同浜通り
津波注意報は、青森県太平洋沿岸、岩手県、宮城県、福島県に発令された。
早朝の宮城で今度は震度4 神奈川、埼玉は震度3 きのうの余震か
2011.3.10 07:18
 10日午前6時24分ごろ、宮城県で震度4の地震があった。気象庁によると、震源地は牡鹿半島の東130キロで震源の深さは約10キロ。地震の規模はマグニチュード(M)6・6と推定される。
 気象庁は福島県沿岸に津波注意報を出したが、同日午前7時半、解除したと発表した。9日に宮城県北部で震度5弱を観測した三陸沖を震源とする地震の余震とみられる。
 JR東日本によると、東北・山形・秋田・上越・長野の各新幹線は平常通り運転している。
 また、9日の地震の津波で養殖施設が流された岩手、宮城両県で漁協関係者らは10日、被害状況を確認するための本格的な調査を始める。
 各地の震度は次の通り。 震度4=宮城県石巻市、栗原市、丸森市
 震度3=仙台市、青森市、山形県天童市、福島市、茨城県石岡市、埼玉県加須市、神奈川県二宮町 [省略]
岐阜県飛騨地方で震度4、M4・9
2011.2.27 02:31
 気象庁によると、27日午前2時22分ごろ、岐阜県飛騨地方で地震があった。震源の深さは約10キロ、地震の規模を示すマグニチュード(M)は4・9と推定される。この地震による津波の心配はないという。
 震度3以上が観測された地域は以下の通り
【震度4】岐阜県飛騨
【震度3】長野県南部
 震度3以上が観測された市町村は次の通り
【震度4】高山市
【震度3】木曽町、飛騨市
岐阜で震度4が2回
2011.2.27 08:36
 27日午前2時19分ごろと同5時38分ごろ、岐阜県で震度4の地震があった。気象庁によると、いずれも震源地は岐阜県飛騨地方で、震源の深さは1回目の地震が約10キロ、2回目はごく浅い。地震の規模はそれぞれマグニチュード(M)4・9と5・4と推定される。
 1回目の地震以降、岐阜県飛騨では余震とみられる震度2や1の地震が相次いだ。
 午前5時38分ごろにあった地震の各地の震度は次の通り。
 震度4=高山市、高山市桐生町、高山奥飛騨温泉郷、高山市丹生川支所、高山市朝日町、高山市高根町、高山市上宝町、飛騨市神岡町、中津川市加子母町(岐阜)▽震度3=富山市今泉、富山市役所(富山)輪島市、輪島市門前町(石川)王滝村、王滝村役場、木曽町開田、木曽町日義(長野)高山市丹生川、高山市清見町、高山市一之宮町、白川村役場、飛騨市など(岐阜)名古屋市瑞穂区、名古屋市南区(愛知)
地震続く岐阜・飛騨、早朝また震度3
2011.2.28 07:55
 28日午前4時3分ごろ、岐阜県で震度3の地震があった。気象庁によると、震源地は岐阜県飛騨地方で、震源の深さは約10キロ。マグニチュードは3・8と推定される。
 各地の震度は次の通り。
 震度3=高山桐
岐阜・飛騨、白昼も地震、震度2
2011.2.28 12:07
 28日午前11時33分ごろ、岐阜県で震度2の地震があった。気象庁によると、震源地は岐阜県飛騨地方で、震源の深さはごく浅い。
 各地の震度は次の通り。
 震度2=高山桐生、高山奥飛騨温泉郷(岐阜)▽震度1=王滝(長野)高山(岐阜)など
岐阜また地震、震度1「なお警戒を」
2011.3.2 08:12
 2日午前2時16分ごろ、岐阜県の高山、飛騨神岡などで震度1の地震があった。気象庁によると、震源地は岐阜県飛騨地方で、震源の深さは約10キロ
 岐阜県飛騨地方周辺では、27日に震度4を2回観測するなど連日、地震が相次いでおり、活動は徐々に弱まっているとみられるが、気象庁は「1週間程度は警戒が必要」としている。
未明、宮崎県で震度2
2011.3.4 08:27
 4日午前2時51分ごろ、宮崎県で地震があり、小林で震度2を観測した。気象庁によると、震源地は宮崎県南部で、震源の深さは約10キロ
 各地の震度は次の通り。
 震度2=小林(宮崎)▽震度1=小林市役所(宮崎)など
和歌山で震度2
2011.3.5 09:06
 5日午前6時51分ごろ、和歌山県湯浅町で震度2、広川町で震度1の地震があった。
 大阪管区気象台によると、震源地は和歌山県北部で、震源の深さは約10キロ
熊本で震度2、連続3回
2011.3.9 14:25
 9日午後0時59分ごろと午後1時1分ごろ、午後1時3分ごろの3回、熊本市などで震度2の地震があった。気象庁によると、震源地はいずれも熊本県熊本地方で、震源の深さは約10キロ
 午後0時59分の地震による各地の震度は次の通り。
 震度2=熊本植木、菊陽、益城、合志御代志(熊本)▽震度1=熊本、菊池(熊本)など
 一つだけ震源地の深さが10キロと大きく異なる記事があるが他は見事に震源地深さが揃っている。
 陰謀論は正しかったのだろうか?

 種明かしの第一弾としては、まず震源地深さ10キロと言っても当然、多少の誤差はあり本当は9キロかもしれないし11キロかもしれない。
 現実には殆ど誤差がなく見事に揃っている訳ではないだろう。

 更に決定的な問題を突き詰める。
 東北地方太平洋沖地震の本震の震源の深さはwikipediaによると24キロとされている。
 しかし、そんな重要な情報が上記ブログに記されていないのはなぜか?
 常識的に思いつく理由としては意図的に書かなかったのだろう。
 実に簡単なトリックだが、要するに震源地深さが10キロ近辺の地震記事を集めだけという事だ。

 上記のニュースを読めば分かるが震度2とか震度1のものも含まれている。
 世界の地震の2割が日本近辺で発生すると言われているし震度1や震度2の地震なら毎日のように発生している。
 日本全国から地震ニュースをかき集めれば震源地の深さが10キロ近辺の地震が十例くらいあっても何ら不思議はない。

 逆に言うと人工地震であれば震源地の深さが10キロ近辺に統一されている事の方が余程不自然だ。
 なぜなら地震のプレートは人間が自分の都合で造ったものではなく、陸地に起伏があるように海底や地中にも当然凹凸はあるのであって、何かを仕掛けるべき深さがどこもぴったり地下10キロの筈がない。

 また、海底ならともかく岐阜県や九州の地中十キロで日本の関係者に悟られずに人工地震を発生させる芸当を一体どうやったら実現できるのか?
 日本の学者がよほど馬鹿なのか買収されている以外に可能性はないだろう。

YOU TUBEで暴露された地震兵器HAARP使用の証拠?

 地震兵器HAARPが使われた証拠と称するものが下記のYOU TUBEサイトに公開されている。
4/19【重要】HAARP 日本地震での兵器利用の決定的証拠 (日本語字幕公開)

 冒頭に下記の記述が表示される。

今までアラスカにあるHAARP研究所(建前は学術研究)において自由に閲覧できた過去データが4月19日の突然、アクセスできなくなったというのです。これは過去のデータを記録していた、研究者がYOUTUBEにおいてアップデートされたものです。3月10日に驚異的な動きが起きていることにが誰が見ても確認できます。どこの場所かきちんと説明しますので、最後までご覧下さい。
ベンジャミンフルフォード氏は最新情報に基づいて、東日本大地震は海底に埋められた核爆弾が直接の原因であるとお話されています。HAARP研究者の中にも当初から放射能の広がり方が不自然だと指摘していた人たちもいます。核爆弾とHAARP併用や東日本大地震とは別の地震群(東京直下や長野など)でHAARPが作用している可能性もあります。広く情報を集め、また技術論のみではなく、背後の経済社会状況などにも目を向けていきましょう。Love and Peace
 その後、一体なぜそれが証拠となるのかさっぱり分からない不鮮明なグラフが右から左に流れていく。
 素朴な疑問として冒頭の記述で、「東日本大地震は海底に埋められた核爆弾が直接の原因」と書いておきながら、地震を引き起こすために地震前後に電波が発せられたとしている。
 地震を引き起こしたのは核爆発なのか電波なのか一体どちらと言っているのだろうか。

 また、サイトにアクセスできなくなった事をあたかも隠蔽工作であるかの様に書いているが、サイトが一時的にアクセス不可になる事は珍しくない

 更に、これは既に何度も書いたが、そんな学術的に決定的な証拠があるのなら訳の分からない素人ではなく日本の専門家に見せたらどうなのか。
 確かな証拠なのであれば気象庁辺りの技術者なら間違いなく事実を見抜くだろう。

地震兵器の難点

使える場所が限定される

 地震兵器なる物を使う場合の難点としてはまず使用できる場所が限定される事だ。
 プレートを核爆弾や電磁波などで刺激するという事はプレート周辺で地震を起こせそうな場所が標的でないとほぼ使えないだろう。
 どんな場所があるか考えてみよう。
 まず環太平洋地域では日本やフィリピンやインドネシアやチリやアメリカ西海岸辺りが挙げられる。
 アメリカが仕掛ける場合を考えるとアメリカ西海岸は除外される事になる。
 ユーラシア大陸西部ではイタリアやトルコ辺りが地震国の代表だ。
 中国も内陸の一部地域で地震が多いが、内陸なので他国が秘密裏に人工地震を発生させるのは難しい。

 地震兵器なる物が何とか使えそうな場所を見てみると少数の国に限定される上にアメリカの友好国が多い(将来的に敵対する可能性があるが)事が、地震兵器開発の大きなデメリットだ。
 アメリカにとって強力な敵となりそうな軍事力を備えているロシアや中国に対しては使い難い事も地震兵器の開発を積極的に進め難い要因と言えるだろう。

秘匿する難しさ

 当ページでも既に何度か述べているが、地震に関する研究体制が進んでいる今日、人工的に地震を起こせば世界中の研究者に察知されてしまうのだが、それをどうクリアしたのだろうか。
 9.11同時多発テロにおける陰謀論者は「アメリカ政府が証拠を隠滅した」とかなり無理な主張をするが、これはアメリカ国内で起きた話だから、まだ無理がきくとしても地震兵器陰謀説は加害者が米国で被害を受けたのが日本国内だ。
 一体どうやって証拠を隠滅するのだろうか?
 学校で習ったと思うが大規模な振動であれば地震波は世界中に伝わるから世界中の学者によって事実が明らかにされてしまう。
 特に被害を受けた日本は最も明確な振動のデータを計測し易い状況にあるし、地震の研究についても地震国という事で世界最先端の研究が進んでいる筈だ。

 もし米国の技術で世界中の学者(特に日本学者)を全て騙す事が出来る欺瞞作戦が成功したのであれば、米国の技術や経済力は日本を完全に凌駕している事になり日米間には大人と赤ん坊ほどの差がある事になる
 そんな弱小低レベル国家を超優秀人種でいらっしゃるアメリカ様が非常に凝った大がかり過ぎる方法で陥れなければならない理由は一体何なのだろうか?

 それとも日本中の地震学者が買収されたとでも言うのだろうか?
 だとすれば日本の地震学者は同胞の詩を何とも思わない腐った連中ばかりという事になる。

アポロ計画陰謀説

 アポロ計画陰謀論には諸説あるが、ここでは人類による月面着陸自体がなかったという説を検証する。

人類は月に行っていない?

 最近インターネット上で「人類は月に行っていない」という説が盛んに見受けられる。この噂自体は1970年代からあったそうだが、近年のインターネットの普及でこういった噂が広まりやすくなったのかも知れない。
 1969年7月20日にアポロ17号による人類初の月着陸が行われたというのが史実として扱われているが、実際には月に行っておらず月着陸の映像は地球上のスタジオで撮影されたという説がある。
 この衝撃的な意見について検証してみようと思うが、「2割の人が信じている」という説もあり、決して無視できない数の人が信じているようだ。  Wikipediaの「アポロ計画陰謀論」の項目には捏造説主張派の主な根拠が下記をはじめとして何十個も記載されている。
  1. 月面で撮影されたはずの写真なのに、空に星が写っていないのは何故か。
  2. 月面は真空であるはずなのに、写真や映像に写っているアメリカ合衆国の国旗(星条旗)がはためいているのは何故か。
  3. 月着陸船の影に当たる部分も、はっきりと写真に写っているのは何故か。
 陰謀派が唱える証拠なるものは山ほどあり彼らは自信に満ちている。
 果たして人類は月に行っておらずアポロ計画は捏造なのだろうか?

星が見えないのはなぜ?

 これらの疑問に対して何れも明快な反論がなされている。例えば月面で撮影されたはずの写真なのに、空に星が写っていないのは何故かという質問に対しては下記の様な回答がある。
  星が写真に写っていないのは、撮られた時間が月の昼間に当たる時間であり、太陽光が当たって輝いている地表に露出を合わせているからで、写っている方がむしろおかしい(地球上でも天体写真を撮る際には、星に露出を合わせなければ撮れない)。
 実に分かり易く簡単(「過ぎる」を付けるべきか)な答えである。専門家にとっては初歩の科学的知識だ。
 他の何十という回答についてはWikipediaのアポロ計画陰謀論を参照して頂きたい。もうこれで十分だろう。
 こういった感じで陰謀論者は何ら恥じることなく「空はなぜ青いの?」みたいな感じの質問攻めで押し寄せてくる。正直に言うと私も宇宙に関しては詳しくないので陰謀論者の疑問に対して「そう言われれば、そうなのかな」と少し思った。子供みたいに素朴な疑問をぶつけていけない事はないと思う。ただ、陰謀論者のたちが悪いのは子どもなら「ふうん、そうだったの」と素直に受け入れるが、陰謀論者は的確で誠実な返答を聞いても「いや、そんな筈は無い」と頑なに否定し「納得のいく答えが返ってこない」と嘯くのだ。

2度目がないのはなぜ?

 人類が月に着陸した事を疑っている理由として「随分昔の話なのに「2回目」が無いから」という意見はよく聞く。
 2007年4月にオリコンが会員に対してインターネット調査した結果では「人類が、月に行った事を信じられるか」という問いに対して18・5%が「信じられない」と答えている。信じられない理由のトップは「その後、一度も言っていない」だ。

 これに対する答えもまた実に簡単だ。
 実は人類は1度しか月に行っていないわけではなく、その後も何度も行っている。アポロ11号を最初にアポロ17号まで六度も有人月面着陸を敢行している(アポロ13号は失敗)。
 日本の「かぐや」などをはじめとして無人の調査は何度も行われている。単に月面を調査するだけであれば、金がかかり危険が大きい有人調査を行う必要はない。
 そもそも有人調査には米ソの宇宙競争という側面があった。アメリカの威信をかけて最初に人を月に送り込んだ。そういう理由なら一度行けば十分だろう。2度目の月着陸の価値は大きく下がる。現に何度も行っているにも関わらず1度しか行っていないと思っている人が多い事からしても2回目以降の意味は大きくないと言えるだろう。
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