「猫 食欲不振」検索でおいでいただいた方へ   ここは食欲不振のみを症状とする可能性もある猫のIBDという病気に関するHPの一部です。アメリカでは最も重要視される猫の病気のひとつです。

猫のIBDとは

IBDとは、Inflammatory Bowel Disease の頭文字で、日本語では炎症性腸疾患と呼ばれています。その名の通り、腸に炎症が生じる病気(疾患群)で、慢性で原因不明の難治性胃腸炎のことです。長期にわたり、嘔吐 or(&) 下痢 or(&) 食欲不振 or(&) 血便などの症状が強く出たり、良くなったりを繰り返します。

診断名としては「リンパ球性プラズマ細胞性腸炎」と「好酸球性腸炎」が代表的なものです。

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IBDの発生頻度  

近年、アメリカでは猫の胃・腸に発生する慢性疾患のなかで頻度が高く最も重要な病気のひとつ、それはIBDだと考えられています。アメリカでは研究者はかなり以前より猫がIBDに非常に罹患しやすい動物であることを警告していましたが、実際、臨床の場での診断が急増したのは1990年代半ばからのようです。現在では慢性的な嘔吐、あるいは慢性的下痢の症状を呈する猫がいれば、アメリカの獣医にとってまず真っ先に頭に浮かぶ代表的病気のひとつとなっています。かたや我が国の猫医療の現場においては猫のIBDの認知度は残念なことにいまだ極めて低く、まして一般の人にとってはその名を耳にすることはほどんどないといっても過言ではないでしょう(2003年12月)。 既にアメリカでIBDを安易に過剰診断すべきでないとさえ言われていることとは対照的です。

日本に暮らす猫とアメリカの猫とでは勿論、様々な条件が違うと思われます。しかし、アメリカで起きたのは、実態としてIBDの猫が急増したということもあるのでしょうが、その一方で、従来なら異なる判断が下された嘔吐を主訴とするケース(例えばしつこい毛球症とか、数値のわりになぜか症状の重い慢性腎不全とか)、あるいは体質だから「しょうがない」と言われて家族も半ばあきらめてしまった下痢を主訴とするケース、あるいは突然の食欲廃絶のケースなどの内、決して少なくはない部分を、臨床の獣医達がIBDと診断する(できる)ようになったという事ではないのでしょうか?

気をつけて見てみれば、近年日本でも、療法食に「炎症性腸疾患」用を謳った商品が目立つようになっています。もし、猫のIBDの有病率が日本では無視できるほどであるというなら、そのようなものが商業ベースで販売されるとは思えません。この意味するところ、それは海外に本部を持つフードメーカーが大きな需要をこの国のマーケットに於いても見込んでいることに他ならないと私は考えています。


好発年齢など   

猫が何歳であってもIBDに罹患する可能性はあるのですが、より発生率が高くなるのは、中〜高年に猫が達した時です。より具体的に、5〜12歳を初発年齢として最も可能性が高いともいわれます。AAFP(アメリカ猫医協会)が出している老猫の為の治療指針では6つの疾患を特に重要視していますが、それは「甲状腺機能亢進症、慢性腎不全、高血圧、癌、糖尿病、IBD」です。

一方、子猫の場合も嘔吐や下痢の原因がIBDであることがあるようです。(5ヶ月の猫の確認例が報告されています。)

罹患率に、雌雄の差、猫の種類別の違いは認められません。 (シャム猫には遺伝的素因があると考えている獣医もいます)

病理組織的には「リンパ球性形質細胞性IBD」の発現頻度が最も高いとされます。


IBDは治療可能か?

現在多くの場合にIBDはコントロール可能と言われています。

この病気を抱えつつも適切な治療が施されれば、ほとんどの猫が生活を楽しみごく普通に暮らしていける可能性は高いのです。

しかしIBDは完治する(治癒する)ことのない病気ですので、気長な療養が必要です。

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IBDがどのように経過するかは、猫が適切な食事を与えられるかどうか、正しい治療が開始された時の病気のステージ、適切な投薬それも長期に渡って正しい薬量をもってそれがなされるかどうか、猫の人間家族および獣医による注意深い観察がなされるかどうか、そして他の重大な病気を併発しないかどうか、これら全てに寄るところです。

家族が非協力的だったり、正しい診断が行われなかった場合、治療内容及びそれに対する猫の反応の経過記録が保存されずに場当たり的治療が行われた場合などにおいては、もとより良い結果は期待できないのは当然でしょう。

ところがコントロールが比較的上手く行えていると考えられるケースであっても、比較的軽い症状がしつこく続いたり、より激しい症状が復活してきてしまうことがあります。

また、少数ながら、薬に対し全く反応を見せないIBD猫もいて、どのような薬を用いても症状が緩和できない場合には残念ながらそういう猫の予後は良くありません。

治療に反応したかも知れないIBD猫であっても、治療があまりに後手となれば残念ながら手遅れの場合もあります。

理由はいずれにせよ、病状のコントロールができず進行性である場合には、年余にわたる緩解再発の経過の後、消化吸収障害やそれによって引き起こされる様々な理由※1によって猫は悪疫質※2に陥り、最悪ついには死亡に到る、残念ながらこれもまた、IBDの事実なのです。

 実際の重症例が紹介されているサイト  http://www.pet-hospital.org/cat-hospital.htm ここの例題7

         ※1吸収不良症候群 と呼んでいます

         ※2全身症状が極めて悪化した状態の事。猫は全身が衰弱し痩せ細り、貧血、黄疸などを表す

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