
しかし、日本では猫の下部尿路疾患といえば結晶・結石のことばかりが強調され、非閉塞性
Feline Interstitial Cystitis (FIC) 猫間質性膀胱炎
Feline Idiopathic Lower Urinary Tract Disease (iFLUTD 、iLUTD) 猫特発性下部尿路疾患
注意;このページの内容は個人的な興味・覚書のために作成したのもので、猫の医療にたいして全くの素人が書いたものです。内容には間違いや勘違いがあっても不思議ありません。内容には責任を負いかねます。インターネット上にあまりに日本語で情報がなかったので作成したものですが、今年2006年に入り、獣医さんのサイトでくわしく特発性膀胱炎について解説しているところが出てきましたのでそちらをお勧めします。
猫の様子に異常を感じたら、獣医へ受診させるのは飼い主の義務です。
特におしっこが出ていないと疑ったら、迷わず一刻を争って受診しなければあなたの猫は命を落とすかもしれません。
症状は
尿の詰まり(膀胱にはいっぱい溜まっているにもかかわらず尿が出ない状態,すなわち尿閉)はない。
多くの猫がトイレの外におしっこをして(粗相)しまう
なぜかタイルをはった場所や風呂桶のような冷たいツルツルした場所を好んでおしっこをすることがある
いくら検査をしてもこれといった原因は見つからない
尿結石、腫瘍、解剖的欠陥(弱点)、何らかの感染などは認められない
結晶は全くないか、あっても少し
( 尿中の結晶は少量なら健康な猫の尿にも存在する。
逆に尿結石のある猫のうち結晶が尿に確認できるのは50%にすぎないという獣医もいる。
そこで、食餌性の問題が大きいと考えられる中〜重症の結晶が認められた場合のみ
結晶の治療対象とするのがアメリカでは一般的らしい)
たまに少量の血液を認める他にこれといった症状はない場合も多い
(そこで「心理行動学的」な問題と誤診されることがあるが、FICはいわゆる問題行動とは違う)
実際に器質的機能的医学的問題があるのかどうかを見定めるのはとても難しいが
お腹の毛を噛んだ痕跡(どうにか痛いところを癒そうとしている?)
お腹を触られると、嫌がったり、鳴いたりする
などは判断の助けとなるかもしれない
実際に体験される症状は病気の程度により様々 で
しょっちゅうトイレに入る(頻尿、尿意の切迫)
トイレで長時間じっとしている
排尿時の痛み
気張るが少ししか出ない
血尿をみる
陰部を頻繁になめる
症状が持続的であったり、再発的である
などのより強い症状を呈する猫が近年とても増えてきている
天候の変化、異なる環境への移動、そういう猫にとっての強いストレスが発症に関与したという報告がある
雌雄の差はない(従来はメスに多いとされてきたが、そうではないらしい、ある調査ではむしろオスに多かった。同一の調査によれば肥満の猫
ドライフードのみを、あるいはそれを主食に食べている猫に多い(75%以上)
ドライフードの成分とか処方食であるとかの品質には関係しないようだ
FICのネコにおいて有意に薬物処理が遅く、そして膀胱の透過性が高まっているとの報告がある
人間の間質性膀胱炎と本質的に同じものかどうか研究中
ヒト間質性膀胱炎はアメリカでは大問題になっている病気だが、日本では知らない医者も多いようで患者さんは苦労されているようだ
診断
確定診断
1、膀胱鏡(限られた施設にしかない)による検査
膀胱壁に炎症性/出血性の"点状出血"
2、試験的開腹による膀胱壁のバイオプシー
猫の場合、粘膜下および排尿筋に肥満細胞lの増加がみとめられるケースが多いが、ヒトの場合にはそれほどではない
現実的にはむしろ除外診断によって診断されるほうが多い
問診、触診、尿検査、尿培養検査、血液検査(肝機能や血小板の数などもチェック)
単純X線撮影診査や造影法による診査も診断に役立つが、あくまで推察の域を出ない診断しか得られない
治療と予防
FICの原因は特定されていないが、最新の(2004年現在)学説は「神経内分泌説」
猫特発性膀胱炎の場合にも疼痛の伝達には P物質 (サブスタンスP)が関与 PMID: 9679937
◎水分を充分に摂らせる
ドライフードをやめる 、それしか食べようとしないなら、水でふやかす(できれば同重量ほどの水で)
高消化性の食事 (高消化性により大便量が減少→便中の水分量が減少→水分摂取の増加と同じ効果)
人間の間質性膀胱炎ではいくつかの治療法が試みられており、それらの治療が猫に効果があるのか研究中
抗欝剤 アミトリプチリン (トリプタノール) 三環系抗うつ薬(抗コリン作用、神経伝達ブロック、鎮静作用)
短期投薬は疑問という説もある
FICは相当な痛みを伴うことが多いらしいので、ペインコントロールが大切だと考えられ始めている
経口butorphanol が臨床症状の改善に効果があったという報告がある
(しかしこの薬が膀胱の炎症そのものの増悪や進行を抑制することはないという)
炎症を抑える薬
コルチコステロイド (プレドニゾロン)
※感染症ではないので抗生物質は効かない (継続的な予防的投与は耐性菌の出現に寄与する可能性あり)
結局、今のところ、猫の場合も、ヒトの場合もこれといって明確に効果的な治療法は見つかっていない
しかし、持続的であったり、しばしば再発的であったりするケースが増えてきており、その場合QOL(生活の質)はとても下がる
(1) 診断、検査を通して、下部尿路疾患の他の原因を除外しなければならない
(2) 猫の飼い主に 治療効果の確実な研究が今だない事が知らされるべき
(3)
尿道閉塞に関係するリスクファクターが最小限になるよう計画する
(4) 医原性の疾患を予防するよう計画する
(5)
症状の持続や再発に対し、対症療法としての薬物療法について考慮
猫の心理的ストレス
多頭飼育
突如とした食事の変更
猫トイレの変更(箱そのもの、置き場、中に入れる猫砂)
突然の外出禁止
長時間の留守番
通院
引越し
家具の移動、家のリフォーム
地震(!)
気圧の変化 天候の変化
家庭に入ってきた新しい人間(人間の子供の誕生、結婚など)
家族との分離(分離不安、家族の旅行、死亡、仲良し猫との分離、死亡など)
家族の不和、離婚
神経質な性格の家族の存在
食事をとっているところや、排尿、排便を見つめられること
人間のご都合主義なスキンシップ(無理に抱き上げられることとか)
年末年始などの休暇の始まりと終了
滞在客の来訪と帰去
パーティー、人寄せ
大きな音(花火や工事など)
などが挙げられています。
FICの症状は猫が特に強いストレスを受けた2〜3日後に発現することが多い由
対策へのヒント
◎すべての猫にとって、常に誰にも邪魔されない、その猫だけの安全な場所(シェルター)の確保が重要
猫が元気であれば、高見の見物ができる所のほうがより安心感がある
食事とトイレの場所は近すぎないほうが良い
それらは静かで他の猫や犬からは離れているほうがよい
静かな場所への設置が望ましい(換気扇や空気口、電化製品、出入り口の近くでないこと)
人間が良かれと思ってすることでも、段階を踏んで行うこと
例えば、猫砂の変更をするときには、新旧の猫砂トイレを用意して、猫が新しい方を受け入れるか、確認する
マッサージ サンチク(眉頭)タンデン(おへその下1p)
フラワーエッセンス
ビタミンCなど抗酸化物質の補給
この原因不明の膀胱炎はあまり知られていないが、一方有名なのがストラバイト結晶。ストラバイト結晶予防専用の療法食は、アメリカの研究者によって医原性の疾患を生んでいる可能性(シュウ酸カルシウム結石の形成)が指摘されているのだが、これ日本ではあまり知られていないようだ。 日本でもシュウ酸カルシウム結石は確実に増えてきていると聞く。
参考資料・URL
J Am Vet Med Assoc 205[11]:1524-1527 Dec 1'94 Review Article 35 Refs
C A. Buffington, DVM, PhD; Dennis J. Chew, DVM; Stephen P. DiBartola, DVM
J Feline Med Surg 6[3]:133-138 Jun'04 Pilot Study 33 Refs
D.A. Gunn-Moore & M.E. Cameron
J Small Anim Pract 45[3]:144-7 2004 Mar
Cameron ME, Casey RA, Bradshaw JW, Waran NK, Gunn-Moore DA
http://news.bbc.co.uk/1/hi/scotland/3956833.stm
http://www.veterinarypartner.com/Content.plx?P=A&S=0&C=0&A=651
http://www.geocities.co.jp/AnimalPark-Lucky/4641/hinyouseisyokuki.htm
インターズーCLINIC NOTE 2006年12月号 猫下部尿路疾患の診断アプローチと治療の注意点 桑原 康人先生