手作り食/生肉食/低炭水化物

ホリスティックなIBD食事治療

      ※ ホリスティック医療 全体的健康観に基礎を置く医療の意

生肉食(療法)というのは、まず本来猫は真性(絶対的な)肉食動物だということを思い出し、猫がもし人間社会に暮らしていなければ口にしないはずの食物、それらを与えるのを止め、猫本来の食事を摂らせれば現在ねこが悩まされている多くの症状は改善されるはずだ、という信念を柱とした考え方です。 

アメリカヤフー、猫のIBDグループは、IBDを患う猫の家族のメーリングリストであり、ステロイドをはじめとする薬物などの情報交換も盛んですが、中心となって活動しているのは自らの体験をもとに「猫のIBDは生肉食でよくなる」、と考えている人々です。そしてその方法で愛猫のIBDが「完治した」と考えている人達が多数存在していることは注目に値するでしょう。ステロイドの量を減らす事に成功した、あるいは全く必要としなくなったという人達です。勿論、肉だけでは栄養のバランスがとれないので(野生における理想的な全体食の再現ではあり得ない)、それを補う為にレバーと生肉食用に製造されているサプリメントやビタミン等も加えます。この人たちの勧める生肉食にはもうひとつのポイントが強調されています。それは猫に一切の穀物を与えないようにする(→低炭水化物食)ということです。とりわけトウモロコシ、小麦、大豆は避けたほうがよい食材の筆頭に挙げられています。更には、穀類に比べればかなり許容されるとはいえ、IBD猫がいくつかの野菜を受け付けない場合もあると言っています。

生食(なましょく)は BARF ダイエットとも呼ばれることがあります。 

  Biologically Appropriate Row Food  "生物学的に適正な生食" とか 

  Bones And Row Food  "骨と生食" 実際、生肉だけでなく、骨も使用するレシピもあります。

の略称です。


手作り食

(あえて記しますが、手作り食とは人間の残飯のことではありません)

日本においても、手作り生肉食を実践し、以来あまり吐かなくなった、尿石症にならなくなったと証言している方や一年以上続いた血便が治ったという体験を持つ方がいます。猫の家族が病猫を抱えて一から手作り食を始めるのは大変なことです。ただし、この「大変なこと」という思い込みがまず不適切かもしれません。多くの実践者は最初から完璧を目指さない事がネコのためにも良い、と肩の力を抜くようにアドバイスをしています。神経質は愛猫に伝わるようです。

多くの市販のあるいは処方食キャットフードメーカーが計算尽くした理想の栄養バランスを脅迫的に売り物にするなか、手作りを躊躇する気持ちはあって当然でしょう。しかし、そもそもその表現は適切なのでしょうか?これではまるで猫の食の生理が完全解明されているかのようですが、適切も何も、正にそういう錯覚を猫の人間家族に生じさせるのが目的なのかもしれません。腸の炎症がひどくなって、もう何も食べられないようになってしまう前に、ねこに選択肢をあげられればと思います。家猫にとっては家族によって出されたものだけが食べ物です。

ガイドとしては手作り食の本も何冊かありますし、実践として豊富な知識や経験が蓄積されている日本のサイトが在りますので、とても参考になり頼りになるはずと思います(栄養バランスをAAFCO基準値と比較できる表も無料配布されています)。

生肉食への導入は、猫によっては稀に意外と簡単にいくこともありますが、多くの場合、家族はゆったりと構え、急激な変化を避ける意味でも今までのフードにわからない位の少量から混ぜていったほうがよいようです。

   急に食事全部を切りかえてしまうと、食べ慣れない食事にたいし、下痢などの防衛反応を体がしめす可能性があります。あせらず、気長にいきましょう。

肉の生食を始めた当初、猫によってはやや便秘ぎみになることがあります。生肉食はとても消化吸収が良いようで、作られる便がとても少なくなる為だといわれます。


穀物などを使用しない低炭水加物食は猫の栄養学(ネコ科の動物にとってのふさわしい食事)について研究している学者によっても論議されている強力なトピックであり、強く提唱している学者が出てきています。

生肉食はアメリカでは獣医界・フードメーカーがそれをすでに無視できないほどに広がりつつあるようです。研究論文も背中を押される形でもなされているようです。

「タウリンが不足しないように配慮しないと危険だが、ウサギの全体食生ミンチ食がプレミアムフードよりも明らかに猫の下痢を改善し、毛艶を良くしイキイキとさせるのは確かだった。」という研究報告。うんちの目をみはるような改善にもかかわらず腸の炎症の程度や腸内細菌層にはこれといった差異は認められず、その結果をもたらしたのが何であるのかは不明のままです。しかし、この研究が「最高の品質、パーフェクトな栄養の完全ナチュラル派のキャットフード」と呼ばれる(自称している、と表現したほうが適切でしょうか)ものも実はまだ発展途上品であることを示唆しているのは明白です。  本来ならネズミが望ましかった由。   さて、この研究で使ったウサギ全体生ミンチ食は、ミンチにしたその時点ではタウリンがネコの必要量とされているものを満たしていたので、どうしてタウリン不足に陥ったのかはわかっていません(ビタミンEが少ない素材を調理、冷凍保存したため減少?ミンチに存在していた細菌あるいは腸内細菌のため減少?などといろいろに考えられていますが、食餌の計算上のタウリン量と実際、猫が利用できうるタウリン量は様々な要素によって変化してしまうことがわかってきています。タウリン不足が猫に心臓疾患を引き起こしたことを受け、この実験は食餌にタウリンを添加して続行されました。)BARFの実践者にとっては勇気づけられる結果であったと同時に、人工的全体食生食もまた、科学的に立証・確立されたものではなくそれなりにリスクを負うものであるという警告となったというわけです。よく練られた猫の手作り食のレシピには必ずタウリンについては考慮されていると思いますが、保存生食餌を供している猫においてはタウリン不足は常に警戒されるべきです。(捕らえたての獲物の体を食べていればタウリン不足にはならないそうです。逆にタウリンが過剰な場合、過剰分は尿へ排出されます、調合時における総量はAAFCO基準 猫缶用を参考にするしかありませんが、猫の食の生理がよく解明されていない現在、AAFCOもそれなりのものでしょう。猫の栄養の研究が進むことを切に望みます)

かたや、炭水化物の吸収不良と猫のIBDとの関連について否定的意見を示唆?した論文もひとつ出ています。(PMID: 15284405)、この論文の結論には「便の性状は炭水化物の消化不良を測る際の信頼しうる手段とはならないだろう」ということが書かれています。(この実験で一番水分の少ない便、つまり見た目ゲリっぽくないということでしょうが、それは鶏の生肉食を食べさせた猫の便でした。)ちなみにこの研究の第3執筆者はウォルサム所属の研究者です。 

又、耳慣れない名前かもしれませんが、メイラード反応生成物Maillard compoundsというものも一部で問題視が始まっています。これは糖とアミノ酸を一緒に加熱するとできる物質で、ドライ・缶問わずキャットフードの茶色の素です。中でも有害性が注目されてきているのはアクリルアミドなる物質で、腸内異常細菌増殖を促進させる可能性があることやその発ガン性についての研究もなされてきています。もっともこれはめずらしい物質というものではなく、たとえばクッキーやフライドポテトの茶色の物質でもあります。

生肉食は将来、科学的根拠に基づいて獣医サイドからも推奨されるかもしれません。欧米各国にはホリスティック医療に主眼をおく、あるいはそれ専門の獣医がおり、すでに彼等のほとんどは生肉食を勧めています。 ただし、現在は日本でも他国においても一般にはそうではありません。 


野菜については、どう考えたらよいでしょうか。そもそも野生において草食小動物を食料としていた頃、猫は獲物の肉を、血液、内臓、腸で消化中の内容物もろともに食べていたのであって、植物由来の栄養素も自然と口にしていたはずです。しかし本来猫が分解を苦手とする成分(炭水化物。猫のアミラーゼ活性は犬や人に比べとても低いといわれています)が実際に存在することは知られていますから、自らの腸の機能が低下しているIBD猫の場合、炭水化物が構成主体である食材から得るべき栄養は、ビタミン等微量栄養素に関してはサプリメントで吸収しやすい形として摂取するのは療養的かもしれません。

主役の肉に何を使うかということですが、アレルギーのことを考えると、ナマショクといえどもこれならどの猫にも絶対というものはないと思われます。 手作り食の場合、作り手は材料、素材を認識し、吟味し、心を込めて作るのであって、レシピ記録をとっておられる方も多いです。これを嘔吐や便の状態などの記録と合わせ読めば、そこから、症状の悪化を招く食性因子が見えてくるでしょう。

このように作られる穀物を使用しない生食は、療法食のページで取り上げているポイントのうち、「グルテン非含有」、「低残渣」、「添加物不使用」 「選択的除去食」という項目を満たしているようです。


ヤフーUSAの猫のIBDグループで多くの人が参考にしているサイトのレシピです。

   アンさんのレシピ  骨入りレシピ と 骨なしレシピ

   リザ先生のレシピ  ページなかほど太字

           鶏生肉・レバー・卵黄 ・サーモンオイル・ ビタミンE  ・複合ビタミンB  ・タウリン   ・サイリウム ・

          ( リザ先生流は日本でも入手が比較的かんたんな上記材料のみで作ります。)

       サプリのリンク先はあえていろいろにしてありますが、購入する時はできるだけ同一店からのほうが得になることが多いです

       (生の骨をミンチにして使うレシピでは調合する骨の量によって便の硬さが変わるそうです。消化されない分の骨が不溶性繊維質のような働きをするのでしょうか。)

便利ツール: 単位かんたん変換サイト を使うと計算が簡単です。

手作り生肉食を簡単に用意できるように調合された栄養剤 も紹介されています (ただし、これに頼らす自分で調合したほうが安くできます)

ただし、一般にBARF食を簡単に用意できるとして販売されている物には穀物に過敏な反応を示すことが多いIBDネコには向かないと思われる製品があるので留意してください。

     x Sojos European-Style Cat Food Mix (5種の穀物・バターミルク含有、但し犬用には穀物不使用品の販売開始)

     x フィーラインヘルス Dr. Harvey's (6種類の穀物含有)

      ×  NDF P.M. Crumble      本来は犬用のヴォルハード ダイエットという生食用製品だが、メーカーは猫の食生活にも部分的に使用可と言っている。 小麦ふすま、小麦胚芽使用

使用する肉は加熱すれば人が安心してたべられるレベルの物を考えてください。つまり、意味するのは生食(刺身)用鶏ということではなく、たとえば有機生育などで品質管理がよく安全で新鮮な物ということです。ただ、導入時、最初にごく少量与えるとき、今までのごはんに少し混ぜ始める時には人間用のタタキとかサシミ用を使用すれば家族の側の抵抗感を減ずることには役立つかもしれません。それでも猫に生肉を食べさせることに心理的な抵抗を感じる家族もいるでしょう。人間自身にとってはどのような生肉であってもそれを食べることは非常に危険なことですから。しかし、猫と人間の生理は異なります

手作り食を考えるとき、食品添加物(保存料、着色料、香料、乳化剤、酸化防止剤、発色剤、増年多糖類、酸味料など。)の混入を意識的にコントロール出来うるのは、大きな利点の一つです。これらはIBD、食物アレルギーとの関連が云々されていますので、出来るだけ排除したいところです。ちなみにリザ先生は、有機生育鶏が高価すぎるため、いわゆる放し飼い鶏を使用との由。

チキンは最も一般的です。豚肉は適しません。ウサギもアメリカでは一般的です。我々日本人は普段目にしないので思いもよりませんが、日本でも冷凍物ならウサギ(ラパン)、鴨などもネット購入で簡単に入手できます。馬肉は複雑な事情を抱えています。ベルギー、フランスなどの例外を除き、多くの白人は馬を食用動物とは見なさないため(猫や犬に対するのと同じような感情を持っている)、その肉を猫の生食の素材として使用するレシピを英文サイトで見かけることはまずありません。 ネズミの類はピンクマウス(ラット)と呼ばれて日本でもペット食用に販売されており、特定病原体を排除したもの(SPF)もあります。

アレルギー予防の観点からは、肉は数種のものから交代でかわるがわる使うのが望ましいといっている人もいます。「飽き」の問題への対処法としても有効ですが、必ずしも一種類の蛋白源を継続することが常によくない結果を生むというわけではないようです。むしろ、体調を崩したさいになにが原因であるかを究明することが可能とするためには、むやみに新しい食材を次々に与えることは決してよいことだとは思えません。

生肉食を試してみようとする場合は寄生虫や、腐敗、感染の危険について充分配慮すべきです。猫のため、そして人間家族のためにも、肉を扱う際の衛生管理を徹底しましょう。なるべく新鮮なものを入手する、業者や生産者を選ぶ、使用する生肉はまず表面をよく水洗いする、ひき肉はなるべく避ける、などです。

サルモネラ、特に薬剤耐性サルモネラ(Salmonella typhimurium DT104 ) は人間社会への脅威であり、猫は疫学上これに深く関わっている可能性が示唆されており、絶対にヒトへの感染は防御しなければなりません。家族は生肉を取り扱った手・調理器具・台・食器・保管場所は常にキレイにして消毒も習慣としましょう。効果的な手洗いというものも結構練習が必要で、手順を知っていて損はありません!もっとも、こういった注意は猫に生肉を与えるから特別に行わなければならない事ではなく例え猫がいない家庭でも肉類を扱う際の通常の心得でしょう。

生肉食は調合の後、数日分冷凍保存する場合がありますが、猫に給仕する際には「ネズミの体温」ほどに温めて下さい。電子レンジでは栄養素が破壊されるとして湯煎にこだわる人もいますが、なにより、解凍にレンジを使用する際には、時々全体をかき混ぜて温度を確認し加熱しすぎないように加減してください。電子レンジよる解凍は短時間で済むので細菌増殖のリスクが少ないという利点があります。冷凍しても細菌は死なずに生き残っています。食品が解凍されて温度が上がれば、細菌は再び増殖し、食中毒を引き起こす原因になります。猫に供すのは、解凍後30分ぐらいまでとしましょう。冷凍期間は栄養分の喪失や衛生の面から作りおきは長くても一週間分(出来れば4日)としている家族は多いようです。


現在ステロイドを服薬中の場合は特に、生肉食については獣医に相談しましょう。ステロイドが強力に猫の免疫を抑え込んでいる為、生肉を食べる事が危険な場合が想定されるとする考えがあります。(もっともアメリカのヤフー猫IBDグループでは猫の様子を見ながら与え始めるひとが多い。)

糖尿病を併発しているねこにも生肉低炭水化物食は効果的だという意見がありますが インシュリン投与をしている場合は、それを急に止めたりすることは決してあってはなりません。

肥満は人間ばかりでなく家猫の世界でも大きな健康問題ですが、BARF食は肥満猫にも向く食事だといわれます。人間のダイエット法として一時流行したアトキンスダイエットをもじって Catkins キャトキンス・ダイエットと呼ぶこともあります。人間の場合と大きく異なるのは、猫にとってこの食事内容はことさら特別なものではないということでしょうか。

慢性腎不全の場合はどうでしょう?    腎不全と生肉食へ

歯周病

ドライフードのなかには歯石形成予防を謳っているものがありますが、そればかり食べさせていれば絶対歯石がつかないかというとそんなことはありません。歯石というのは口腔プラークが唾液成分により石灰化したものです。プラークというのは歯にまとわりついている細菌の厚い膜で、人における研究で、その構成は環境因子、特に食事の内容によって変化していくのが知られています。歯石予防フードの働きは「噛むことで歯面がこすられ歯垢がぬぐい取られ、歯石ができるのを抑制」するのだそうですが、猫はドライフードなどほとんど噛まずに丸呑みすることは、嘔吐した後のドライフードの残骸をみれば明らかです。猫の歯の形を見てください。猫の奥歯も便宜上、臼歯と呼ぶこともありますが、文字通り上下の歯が互いに臼と杵のような働きをする人間の歯とは違い、猫のそれはハサミのようにすれ違うことにより物を切り裂く「裂肉歯」なのです。調理の際すべてミンチにするのではなく、一部を肉塊としてとりおき、それを混ぜた食事を試してみてもよいでしょう。せっかく備わっている自前のハサミ、それを本来の形で活用することに自浄作用を上げる可能性があっても不思議ではないと考えます。


(猫の食事の好みはかなり幼少期、生後2週間から2、3か月の間に決まってしまうことがほとんどだといわれており、日本の猫が例えば生の鳥レバーに生の鶏肉を混ぜたものを欧米の猫のように喜んで食べてくれるかどうかはかなり疑問です。しかし、末期IBDの状態にあったある日本の猫が良質のマグロの赤身や甘エビの刺身のみを自ら僅かながらも口にできたのは私の経験したところです。そこで私は、猫の体調にある程度以上の余裕があり、食事の切り替えさえうまく乗り越えられれば、生肉食を試してみる価値は充分にあると考えています。また、猫が若く元気な時に生肉の味を教えてあげることはその猫の食事の可能性を良い形で広げる意味でも重要だと思います。 )

猫の摂食行動特性を理解するのに参考となるサイト (犬のサイト内のページですが、摂食行動については猫の研究も詳しく紹介されている)


市販キャットフードとIBD

市販のキャットフードに使われている蛋白源の品質には大きな疑問があるという話は初耳でしょうか?処方食を含めほとんど全てのキャットフードの原材料として人間の食べ物としては適さない低品質の材料が使用されているのは事実です。人間用の食材の使用を標榜するメーカーがそれをセールスポイントに出来ること自体、この業界における材料品質のスタンダードを暴露しています。少なくとも今まで猫に与えてきた物の「質」について家族が改めて疑いを持ち、思いをめぐらせてみるのは有益だと思います。生物の体は食べたものから出来ています。そして家庭の猫は与えられたものを食べる以外に選択肢はないのですから。

既成ペットフードに関して、APIの記事は興味深いと感じる方は少なくないでしょう。日本語に翻訳されたサイトもありますので アメリカ動物保護協会 で検索してみてください。

大阪の大橋進先生は「ホリスティック獣医」でありません、が、先生の慢性嘔吐の猫や動物の食事に関するアドバイス、折々のメールマガジンを読むと、そこに共通した概念の存在を感じとるのは私だけではないでしょう。エヴィデンスとしては低いかもしれませんが、経験をつんだGPの言葉はエキスパート・オピニオンとして傾聴に値すると思います。

ドライフードは「人間にとって」大変便利な条件を備えていますが、その便利さを享受するとき、何かが犠牲となっているかもしれない、と一度考えてみることは必要でしょう。現代の日本人ならそれは「命のようなもの」とか考えたりしますが、アメリカ人のホリスティック獣医は、普通にそれを「Chi=気」と呼んでいることには驚かされます。

何より、胃や腸の弱い猫や年老いた猫にドライフードは実に硬く「乾燥し過ぎて」いはしないでしょうか?かといって柔らかいが本来とても腐りやすいはずなのになぜか腐らないセミモイストタイプは添加物が心配です。ドライフードは、がっつくことで一気に大量の食餌摂取となりやすく、また当然のようにすぐ水を飲みたくなるでしょう。 結論の出ていることではありませんが、それは犬の場合、IBDとの関係もあるのではないかといわれている胃拡張捻転症候群(GDV)という病気のリスクを高めるのではないかと指摘されています。では猫の場合には何ら問題は起きないと言えるでしょうか?むしろ種の故郷は砂漠地帯であると言われる猫にこそ食べ物自体の「中」に存在する形で充分な水が必要なのではないでしょうか。ペットフードは大きな市場ですので、そこに投入されているビジネスのエネルギーはあまりに巨大で、実際、消費者がそれらの製品に疑問を持つことすら困難です。 しかし愛猫にIBDの疑いがあるときには、少なくともドライフードの是非について再考の余地はあります。「一部の飼い主にとってBARFはもはや一種の信仰だ」と発言なさる非ホリスティック獣医には繰り返されるテレビコマーシャルに対しても「それは一種の洗脳だ」と言ってほしいのです。ほとんどのドライフードは穀物を使用していることも意識されるべきでしょう。多くのホリスティック獣医は、

ドライフードは猫の健康を損なう、

と言っています。

もし、あなたが子猫だったら、ドライフードと水で育ちたいですか?私自身、そういう事を想像してみたことはなかったと告白しますが、例え一週間でも完全に乾き物と水で暮らしてみる事をリアルに計画すると慄然とします。


既成のナマ食 

  調合済みの冷凍生フード 

        ネイチャーズ・バライエティー (この製造会社の猫用・犬用どちらの冷凍製品も実際には猫のAAFCO基準をみたしています)。  

        カントリーロード

                 ノースウエスト ナチュラル

        ペットパティース   ただし猫への使用の記載なし

  フリーズドライ生食 (水でもどす乾燥調合済みナマ食)        

        ネイチャーズ・バライエティ  チキン&ターキー

        ペット・パティース

        アーキタイプ Archetype(原型) 非調合タイプなので注意。 ワイソング社は生肉がよいと明言し生肉を補うサプリメントも販売

アメリカでは生肉食への流れが近年非常に大きくなっているので、ペットフード製造会社もこれを無視できない状況になりつつあります。これを受け、2004年にはアメリカ食品医薬品局、FDAはその流通に関し商業生肉フードのガイドラインを発表しています。日本でもこの流れは数年後には大きなうねりとなってやってくるのかもしれません。


穀物を含有しない市販フード (穀物フリー) 

BARF実践者達の生食が一番良いという声の中で、かなり譲歩して、加熱市販フードでもIBD猫のお腹に受け入れられることの多いと評価されるのが一切の穀物を含有しない缶入りキャットフードです(ただし野菜は使用されている)。炭水化物の含有が少ないキャットフードは尿の尿をふやし、結石の形成の予防効果があったという麻布大学の研究結果もあり、IBD以外の猫にも良いようです。

ただし、ネコ缶にも以下のようなマイナス面を指摘する研究があります。    

「缶詰製造工程を経たタンパク質は腸炎のネコには向かないかもしれない」、という研究PMID: 15524331 もありますので、いわゆる猫缶が体に合わないネコもいるかも知れません。缶詰フードとドライフードでは食べた後の腸内細菌の活動に違いがあるようです。これらの研究は極めて興味深いと感じます。

缶詰フードは、この20年来非常に増加している猫の甲状腺機能亢進症の発症に関与している可能性があります。PMID: 15070058 原因はまだわかっていませんが缶の内部コーティング剤として使われているビスフェノールA (BPA)が問題視されています。 (BPAの溶出はプルトップ缶がもっとも大きい)   ただし日本において大阪府立大の行った調査では関連は認められていません。

IBDネコ達のお腹に合うかもしれない缶詰

日本に正規代理店がないメーカー、あるいは正規代理店が扱っていない製品を購入する際には製造年月日や保存状態などに注意しましょう。

 @およびAは 穀物非使用 & 人間向け食用肉の使用を表明 & 全ライフステージを対象としたAAFCO、アメリカ飼料検査協会、栄養基準適合の総合食猫缶で、日本でも購入可能です。

  @ネイチャーズバラエティ   6種類の肉缶

     日本国内でも比較的入手しやすく製品管理の点からしてもコントロールされているはずです。

       生冷凍・水戻しタイプも穀物不使用。価格は高いですが、生肉食冷凍タイプはネコに好評の由

  Aウェルネス  5種類

       ウェルネスは、缶のレシピに玄米を入れ始めたことがあったのですが、IBD猫達の家族の働きかけによりそれを止めたという経緯があります。

       缶底のGWはアメリカ工場、Wはカナダ工場生産品という意味です。また、日本にはウェルネスの正規代理店はありません。

  Bワイソング (call of the wildというサプリメントを配合したほうが望ましい)

    All Meat 6種類(ビーフ;ラビット;チキン;ベニゾン;ダック;ターキー)

       長期にこれをメインに与える時には156グラム缶あたりテーブルスプーン2杯弱(6グラム位)のコールオブザワイルドを混ぜないと栄養バランスに問題が出る

        グルメ缶は穀物入りなので注意

  CAvoderm Select Cuts  

  DMerrick いくつかの製品は穀物入りなので注意

   Innova EVO Cat & Kitten     日本でも売っています

魚の味が好きでウェルネスやネイチャーズバラエティなどの肉缶を食べない猫には穀物不使用で高品質な魚介類猫缶を混ぜたりトッピングしてみてください。(50%を越えない範囲で、出来るだけ少なく)リザ先生の勧めるこの方法はお魚好きの日本の猫には試してみる価値があると思います。

 


 穀物を使用していないドライフード 

        イノーバ EVO 成猫&子猫用 

        オリジン・キャット

        N-R-Gチキン・フィーライン・ブレンド   N-R-Gターキー&カラマリ・フィーライン・ブレンド

 

                ドライフードをほんの少し「おやつ」として与えたい場合。

                ドライのままは与えず、水を加えて戻しウェットタイプとして与えるなどの工夫もできます。

                ただし、せっかく生肉食に慣れた「ドライフード中毒」猫にはドライフードをおやつとして使用するのは止めたほうが良いという声も聞きます。

 

 

 

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猫のIBDの食餌療法として処方食、生食いずれかに圧倒的優位性があるという充分な科学的証拠は現在のところありません。

 

このページでは生食を前面に出していますが、バランスある情報をえるため、「ブームとしての生食」に警鐘を鳴らす下記サイトを是非読まれることをお勧めいたします。(どちらも様々な情報提供をしてくださっている素晴らしいサイトです。)

   http://homepage3.nifty.com/elfaro/zakkan/zakkan-11.htm

   http://www.vetinfo.com/drawmeat.html#Raw%20Meat%20Diet%20-%20%20caution