オープンソース・ライセンス

日本にはオープンソースを正しく解釈している人があまりいません。解説しているサイトは他にも多くありますが、重要なことなので、ここでもオープンソース・ライセンスの概要を解説したいと思います。

1. オープンソースの定義

OSIによると、オープンソースの定義は10個ありますが、重要なのは、ソースを公開しているだけでは、オープンソースとは呼べないことです。オープンソースであるためには、ソースを公開し、なおかつそのソースを改変したり再配布したりする自由を与えなければなりません。例えば、再配布にあたって作者に連絡が必要なものは、オープンソースとは呼べません。また、用途制限をしてはならず、営利目的の使用も可能でなければなりません。

2. フリーソフトウェアの定義

これもまた誤解が多いのですが、無料であるだけでは、フリーソフトウェアとは呼べません。フリーソフトウェアであるためには、ソースを公開し、なおかつそのソースを改変したり再配布したりする自由を与えなければなりません。また、用途制限をしてはならず、営利目的の使用も可能でなければなりません。フリーソフトウェアでないものは、プロプライエタリ(独占的)なソフトウエアと呼びます。Vectorにあるものは、無料なものが多くありますが、ほとんどがプロプライエタリなソフトウェアです。

3. 各種ライセンスの概要

GPL系

フリーでオープンソースである上に、改変したり再配布したり、ライブラリの場合はそのライブラリを使ったりした場合は、当該ソフトウェア全体をGPLで公開しなければなりません。改変・再配布にあたり、GPLに基づく限り、作者に連絡を取る必要はありません。

LGPL系

フリーでオープンソースである上に、改変したり再配布したりする場合は、当該ソフトウェア全体をLGPL又はGPLで公開しなければなりません。ただし、ライブラリの場合でダイナミックリンクライブラリ(DLLやso)のみ使用する場合は、LGPL又はGPLである必要はなく、プロプライエタリ(独占的)なライセンスを適用することも可能です(ただし、リバースエンジニアリングを禁止する条項をつけてはならないという制約があります)。改変・再配布にあたり、LGPLに基づく限り、作者に連絡を取る必要はありません。

修正BSD系

フリーでオープンソースであるが、改変したり再配布したりする場合は、所定のクレジットの記載さえすれば、修正BSDやLGPLやGPLを適用する必要はなく、プロプライエタリ(独占的)なライセンスを適用することも可能です。改変・再配布にあたり、修正BSDに基づく限り、作者に連絡を取る必要はありません。

パブリックドメイン系

著作権が放棄されているので、何をしてもかまいません。しかし、誰かがある日突然著作権を奪って、自分の作ったものだと言ってプロプライエタリ化するかもしれません。

4. GPL感染の問題

オープンソースは良いものですが、プロプライエタリ(独占的)なソフトウェアを開発する際に注意したいのが、GPL感染です。すなわち、プロプライエタリなソフトウェアの中に、誤ってGPLのライブラリやLGPLのソースコードが混入してしまうと、そのソフトウェアはプロプライエタリであることは許されず、GPLかLGPLにしなければなりません。あなたは知識があって混入することを避けるかも知れませんが、下請けの下請けの下請けの下請けの下請けの下請けの下請けの下請けの下請けの下請けが、あまりにも少ない受注金額と短い納期に追われて、GPLのライブラリやLGPLのソースコードを誤って混入させてしまうことがあります。

実際にあった例として、To Heart 2 というゲームソフトで、xvidのライブラリが混入していました。これはユーザーによって発見されたのですが、結局このゲーム会社には弁解の余地がなく、GPLに基づきソースコードを公開することを決断しました。これによる損害は、ソフトウェアそのものよりも、むしろソースコードの汚さとライセンス管理能力による会社の信用力低下でした。

ライブラリの作者は、悪用されないようにするために、混入した場合には特定パターンの記号が埋め込まれるようにしていることがありますので、バイナリを解析すればどのライブラリが使われたか分かるようになっています。

もし、あなたがGPL感染に万全を期すのであれば、オープンソースソフトウェアの作者に相応の費用を支払ってプロプライエタリ版を販売してもらうという方法があります。また、デュアルライセンスといって、作者がオープンソース版とプロプライエタリ版の両方を提供することもあります。しかし、プロプライエタリ版を出すことは、本名や住所などの個人情報がネット上でばれるばかりでなく、年末調整や住民税の通知などによってオープンソースをやっていることが会社にばれて解雇されるリスクがあることから、日本ではあまり一般的ではありません。



(C)2006-2016 フェイシア feisia_n@yahoo.co.jp