海ノ中道砂丘調査報告 2007年11月3日

2007年11月3日(土)、久々に、自分の研究フィールドである、奈多海岸に行ってきました。
再び調査に出向く理由はいろいろありましたが、秋の気持ちのいい1日を大好きな場所で過ごすことが、日ごろのもやもやを忘れさせるいい機会になったことは確かです。
簡単ではありますが、調査の内容を報告させてもらおうと思います。

本来ならば、これまで私がこの地でどのような研究をしてきたか、簡単な説明をしておくべきところでしょうが、準備が間に合っていません。
小学生にも分かってもらえるように、自分の卒業研究を紹介したいという思いが強く、準備に時間がかかっています。
どうぞ気長にお待ちいただければ幸いです。

今回の調査での報告は、あくまでも私個人の推測や、科学的なデータを基にしない意見も数多くあります。
関係の方々がご覧になって疑問に思われる点もあるかと思いますが、何卒ご了承ください。
ご意見・ご感想をいただければ、今後の研究課題として、役に立つことでしょう。どうぞ、ご意見・ご感想をお聞かせください。

古土壌テラス・風上斜面

今から3年前の2004年9月23日に、日本地理学会発表前の調査を実施しました。
その時にはすでに、KBCラジオアンテナ西側の、一番標高の高い砂丘の風上斜面(海側の斜面)には、松の植林が施されていました。

現在も斜面全体を松が覆っており、順調に生育しているように見えます。

竹垣によって、いくつかの林地に区分されており、この地の北西卓越風が直接当たる、最も海側の松は、ほかの松に比べてあまり成長が見られず、10cm〜100cmの樹高のものが多く見られました。

内陸に向かうほど、1mを越す背丈の松も多く見られるようになります。

全体的には、順調に生育しているように思えます。

上の写真は、最も海側の区域に植えられた松です。それでも樹高は1m近くあります。

植林箇所とそれ以外の斜面には、以前に比べて海浜植物が多く見られるような気がしました。この箇所よりも南西側のなだらかな砂丘地帯には以前から多く見られます。

この辺りで見られる代表的な海浜植物は、コウボウムギです(右写真)。

以前はこの風上斜面も、強風が吹くたびに砂がダイナミックに動く場所で、海浜植物も根を張る暇がなかったのかもしれません。そう考えると、砂丘の固定が進んでいるといえなくもありません。

前回と比較するために、同じアングルで写真撮影をしようと試みますが、どうしても前回よりも高い位置からの撮影になってしまいます。

写真を撮って初めて気づいたことです。一見、植生があり、飛砂を食い止めているように見えますが、実際は、樹間に堆積しながら、同時に松も成長をしていて、結果的にその地の標高を高めているのではないかという推測が生まれてきました。

つまり、この砂による「底上げ」のスピードに、成長が追いつかない松は、やがて埋没し、「底上げ」のスピードよりも成長が早い松は、相対的に見てぐんぐん大きくなっているのではないかということです。

植林がなされている箇所の外側は、風が内陸へ抜けやすくなっています。そのため、砂も運ばれやすく、林地よりも高い土手のような砂の高まりを築いています。

砂が通りやすい、林地の外側は、当然堆積も激しく、松が埋没していくのも林地の外側からです。

山では人が歩く道が、周りの土地よりも低く、溝のようになるのが普通ですが、ここでは、松林から海へ抜ける人の通り道も、砂が積もり、周りよりも高い尾根のようになります。

左の写真は、植林箇所から、その外側に向かって撮影した写真です。くいが立っているところは、周りよりも50cm〜100cm高くなっています。

  

左上写真:古土壌テラス(2004年9月23日撮影)  右上写真:古土壌テラス(2007年11月3日撮影)

  

左上写真:風の通り道(2004年9月23日撮影)    右上写真:風の通り道(2007年11月3日撮影)

  

左上写真:松の植林(2004年9月23日撮影・黒木先生提供) 右上写真:松の植林(2007年11月3日撮影)

0面頂上・風下斜面0

砂丘の海側の斜面(風上斜面)に植林がなされているわけですが、この砂丘の頂上に足を運んでみると、昔からの松のほかに、セイタカアワダチソウやタンポポ(左写真)が見られました。

セイタカアワダチソウはともかくとして、タンポポに関しては、少し前までは見られない植物でした。前述のように、斜面に植林される以前は、風が通りやすく、海側からの砂が、目に見える砂嵐として、ダイナミックに移動していました。松の落ち葉も風で吹き飛ばされるような場所では、海浜植物ですらなかなか根付かず、これが飛砂被害を大きくする原因でもありました。

このような場所に、タンポポなどが見られるということは、植林の効果が大きく現れているといえます。

さらには、砂丘の表面を松の落ち葉やツル植物、草などが覆うことで、砂の移動を抑制し、地形変化を防いでいるものだと考えられます。




  

左上写真:砂丘の堆積前線(2001年12月11日撮影)     右上写真:砂丘の堆積前線(2007年11月3日撮影)

砂丘の頂上から内陸側に降りると、植林地とは反対側の斜面(風下斜面0)があります。上の写真でも分かるとおり、以前は海側からの砂が、砂丘の頂上を越えて、斜面になだれ落ち、明瞭な砂の境界線(砂丘の堆積前線)を作っていました。本当に上から覆いかぶさるような感じです。

今回の調査では、樹木の位置や形態を参考に、同じ地点の撮影を行いましたが、撮影された写真(右上写真)は一面を枯葉が覆い、そこに斜面があるかどうかさえ分からないように見えます。明らかに砂の移動が落ち着いています。

  

左上写真:砂丘の堆積前線(2001年12月11日撮影)     右上写真:砂丘の堆積前線(2007年11月3日撮影)

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